飲食 資金調達

飲食店融資は自己資金なしでも可能!融資のための「ある条件」とは

日本政策金融公庫の飲食店融資は、実は「自己資金なし」でも受けられることをご存知でしょうか。
ある条件を満たせば、自己資金なしの状態から融資を受けられる可能性も見えてきます。
そこで今回の記事では、自己資金がない状態で飲食店融資を受けるための方法についてご紹介します。

飲食店開業の資金目安とは

飲食店開業資金の目安や、自己資金と融資の割合について解説します。

飲食店開業費用の目安

飲食店を開業するときの費用の目安は、500~1,000万円です。
小規模な店舗で約1,000万円とされていますが、最近では少ない資金で開業する方も多く、2019年度の日本政策金融公庫の調査によると、500万円未満で開業しているケースが40.1%と最も多くなりました。
同調査によると開業費用の平均額は1,055万円となっていることから、飲食店を開業するためには500~1,000万円程度の資金が必要だと考えられるでしょう。

出典:日本政策金融公庫総合研究所:(PDF)「2019年度新規開業実態調査」

飲食店開業費用の自己資金と融資額の割合

飲食店を開業している人の自己資金割合は20~25%、融資額割合は65~70%です。
自己資金と融資額の割合に関しても日本政策金融公庫による調査結果を参照していますが、調査によると、自己資金平均額が262万円、借入平均額が847万円となりました。
自己資金割合と融資額割合を足すと100%とはなりませんが、その他の方法で資金を調達している人も多いためです。
飲食店融資を検討する際には、自己資金と融資額の平均的な割合を参考にした上で費用の計算を行うとスムーズでしょう。

出典:日本政策金融公庫総合研究所:(PDF)「2019年度新規開業実態調査」

自己資金なしでも融資を受ける方法とは?

自己資金なしで飲食店融資を受けるための方法について解説します。

自己資金なしで「新創業融資」を利用できる例外

日本政策金融公庫の「新創業融資」は、自己資金なしでも利用できます。
新創業融資を利用するためには基本的に自己資金が必要であるとされているため、自己資金なしで融資を受ける方法は例外的ですが、新創業融資の要件には次のような記載があります。

3.自己資金要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします。

出典:日本政策金融公庫:新創業融資制度

自己資金要件の「ただし」以降を参照すると、現在勤めている企業と同業種で事業を開始する場合と、「認定特定創業支援等事業」を受けて事業を開始する場合は、自己資金なしでも新創業融資を利用できるということになります。

自己資金なしで融資を受ける方法

自己資金なしで新創業融資を受けるためには、前項で解説した2項目のうち、1つを満たさなければなりません。
現在勤めている企業と同業種の事業を開始する場合は、特に何もせず条件を満たせますが、異業種の企業に勤めている場合は創業セミナーなどを受講しましょう。

「認定特定創業支援等事業」を受けて事業を開始するためには、自治体で開催されている創業セミナーなどを受講し、「認定特定創業支援事業による支援を受けたことの証明書」を交付されなければなりません。
創業セミナーを受講し修了証明書が交付されれば、自己資金なしで融資を受けるための条件が整います。

飲食店融資で自己資金を調達する際の注意点

飲食店融資を受けるために自己資金を調達するなら、次のようなポイントに注意しましょう。

自己資金として認められる範囲を把握する

飲食店融資を受けるために自己資金を調達するなら、自己資金として認められる範囲を把握することから始めましょう。
自己資金として認められる範囲は下記のとおりです。

・通帳で貯蓄した経緯がわかる貯金
・退職金
・生命保険の解約金
・両親や親族から贈られた現金
・不動産などの資産を売却して得た現金
・相続により受け取った現金
・企業の出資金

自己資金として認められるものは、出所が明確であり、自分のものとなった現金のみです。
そのため、通帳に記載されていない貯金や出所が不明瞭である大金、親族などから借りた現金は自己資金として認められません。
上記のように、自己資金として認められる範囲を把握してから調達しましょう。

自己資金は必ず事業に使用すること

飲食店融資を受けるために調達した自己資金は、必ず事業のために使用するようにしてください。

例えば、自己資金を300万円用意し、1,000万円の融資を受けたとして、飲食店融資の1,000万円だけしか事業のために使用しなかったとしましょう。
もし後日、融資金額の用途について報告を求められ、自己資金を使用していなかったことが知られた場合、融資の返還を求められたり、今後の融資が受けられなくなったりする可能性があります。

飲食店融資を受ける際には、必要な費用を正確に算出し、どうしても不足する金額分を融資で賄うようにしてください。

飲食店融資は自己資金なしでも受けられる

日本政策金融公庫の飲食店融資は、条件を満たせば自己資金なしでも受けることができます。
開業する業種と同業種で勤務されている方はすでに条件を満たしていますし、創業セミナーなどを受けることでも条件を満たすことが可能です。

今回ご紹介したように、日本政策金融公庫の融資には多くの方が知らない隠された活用方法も存在します。
飲食店融資をより有利に活用するために、申込み前に専門家に相談されてみてはいかがでしょうか。

創業融資代行サポート(CPA)では、公庫の創業融資を含め、資金調達のご相談に乗らせていただいております。まずはお気軽にお問い合わせください。

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