週末起業は、リスクを最小限に抑えながら自分のビジネスを立ち上げるための優れた手法です。
特に飲食店業界においては、廃業率が高いという現実があるため、まずは週末だけで始めるというスタイルが初心者には非常におすすめです。
そこで本記事では、週末起業で飲食店を立ち上げるメリットや、成功させるためのポイントについて解説していきます。
目次
週末起業とは?なぜ飲食店でおすすめなのか?
週末起業とは、本業を続けながら週末や休日を活用して副業としてビジネスを立ち上げるスタイルを指します。
平日の安定した収入を確保したまま、リスクを最小限に抑えつつ新しいチャレンジができるため、多くの人にとって魅力的な選択肢となっています。
週末起業は、事業を軌道に乗せるための「助走期間」を確保できる点が大きな利点です。
この期間中に事業運営のノウハウを学び、顧客基盤を築くことで、専業移行後の成功率が高まります。
さらに、事業が成り立たないと判断した場合でも、本業を持っているため撤退しやすい点がリスク軽減につながります。
実際、調査では起業家の27.5%が副業を通じて起業を開始しており、専業に移行した人は収入満足度や事業の安定性が専業起業者を上回る傾向があります。(参考 副業起業は失敗のリスクを小さくする―「起業と起業意識に関する調査」(2016年度)より― 日本政策金融公庫 )
また、上述の日本政策金融公庫の調査では、副業起業者のうち、専業へ移行した人の事業生存率が、直接専業で起業した人よりも高いことが確認されています。
- 事業が軌道に乗っている割合
副業から専業へ移行した起業者:47.4%
直接専業で起業した起業者:34.0% - 収入に満足している割合
副業から専業へ移行した起業者:35.2%
直接専業で起業した起業者:23.0%
飲食店開業に挑戦するなら、副業から始めることで安全かつ着実に成功へ近づけるでしょう。
飲食店での週末起業が適している理由
飲食店は、人々の生活に密着しており、需要が常にある業種です。
しかし、飲食店の廃業率が高いという現実もあります。
実際に下記の宿泊業,飲食サービス業の開業率・廃業率を調べると開業率は8.7%と高い数値である一方で、廃業率も5.9%と高い数値になっています。(参考 中小企業庁 第3節 開廃業の状況)
そのため、いきなりフルタイムでの開業を目指すのではなく、週末だけの営業からスタートすることで以下のようなメリットがあります。
- リスクの軽減:初期投資を抑えつつ、試行錯誤を繰り返せる。
- 市場調査の実施:顧客の反応や需要を把握できる。
- 経営スキルの向上:実際に運営しながらスキルを習得できる。
週末起業で飲食店を始めるメリット
週末起業で飲食店を始めるには以下のメリットがあります。
1. 資金リスクの軽減
- 初期投資:日本政策金融公庫の調査によると、飲食店の平均開業資金は約1,000万円。
その内訳は内外装工事費(約41.7%)や機器・備品費用(約21.1%)が主な割合を占めています。
週末起業では営業規模を抑えることで、この費用を抑えることが可能です。 - 資金調達:創業資金の約32.8%は自己資金で賄われるケースが多いです。
しかしながら、週末起業なら本業の収入もあるため、少額の自己資金(約150万円~200万円)で始められる可能性があります。
2. 試行錯誤の余裕
- 営業日数:本業を維持しながら週末のみの営業にすることで、営業日数は月4~8日程度に限定できます。
- 売上規模:例えば、1日あたりの客単価が2,000円、座席数10席、1日平均2回転の場合、1日売上は約40,000円。
月8日営業なら、月間売上は約32万円となり、小規模ながら確実な収益検証が可能です。
3. マーケティング力の向上
- 集客コスト:SNSを活用した集客は初期費用0円から可能です。
飲食店オープン前にInstagramやFacebookでアカウントを運用し、フォロワーを100~500人獲得すれば、初回の来店につながる見込みがあります。 - ターゲット市場の把握:週末のみの営業なら、顧客のニーズや反応を具体的に分析する時間が確保できます。
例えば、40代以上が多い立地ならば客単価3,000円以上のメニューが適していることがわかるなど、実データを基にマーケティング戦略を練ることができます。
4. 実績作りによる信用獲得
- 融資の活用:日本政策金融公庫の新創業融資制度では、自己資金が総資金の10%以上必要ですが、週末起業で売上実績を半年~1年作ることで、年間売上300万円以上の事業計画書を作成可能です。
- 事業リスク低減:週末起業で経験を積むことで、開業後の黒字化までの期間を短縮。飲食業の約6割が半年以上で軌道に乗るというデータに基づき、準備期間中に改善を重ねることで成功確率を高めます。
実例:週末カフェのシミュレーション
- 店舗規模:10坪(約10席)
- 初期投資:内装費300万円+厨房機器200万円=約500万円
- 月間売上:客単価2,500円×2回転×8日営業=40万円
- 運営コスト:
- 家賃:10万円
- 原材料費:売上の30%(12万円)
- 人件費:自己経営のため0円
- その他経費:5万円
- 合計:27万円
- 月利益:40万円-27万円=13万円
週末起業で飲食店を創業する場合は創業の手引+ 日本政策金融公庫を確認することをおすすめします。
週末起業でも融資は可能!
「週末起業では融資を受けられないのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかしながら、サラリーマンが副業で融資を受けることは十分に可能です。
特に飲食店のような廃業率が高い業種の場合、本業の収入があることで、融資審査にプラスに働く可能性もあります。
しかしながら、事業への真剣度を疑われやすいので、事業計画書で収益性を示し、事業計画を具体化することが鍵です。
また、副業の法人化は信頼性を向上させために有効な手段の一つです。
十分な収益が見込める場合は法人化の検討もしてみることをおすすめします。
サラリーマン副業に関する点につきましては下記の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
日本政策金融公庫の活用
日本政策金融公庫は、新規創業者向けの融資制度を提供しています。
内容は下記の通り。
項目 | |
---|---|
融資限度額 | 最大7200万円 |
運転資金の融資枠 | 上限4800万円 |
返済期間 | 設備投資:最大20年 運転資金:最大10年 |
据置期間 | 最長5年 |
自己資金要件 | なし |
公庫の創業融資のメリットは下記の通り。
- 低金利・無担保
公庫の融資は低金利で、担保や保証人が不要な場合もあります。 - 柔軟な返済条件
据置期間(返済開始を一定期間延ばす措置)や長期返済が可能です。 - 幅広い資金用途
運転資金で在庫購入、広告宣伝、設備投資など、さまざまな目的で利用できます。
創業融資の中では最も条件が良い可能性が高いため、最もおすすめできる制度です。
しかしながら、公庫はコンプライアンスの関係上、本業に在籍確認や副業の許可を確認するケースがあります。
勤務先から許可を得ていない場合は、別の金融機関を利用した方が良いかもしれません。
公庫の副業バレについては下記の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
地域密着型の金融機関を利用する
地域密着型の金融機関(信用金庫、信用組合など)も週末起業でおすすめできる金融機関の一つです。
地域密着型の金融機関は、申込者から提出された収入証明や確定申告書などの書類を基に、主に個人の信用情報を確認する形で審査を行います。
職場確認を求められるケースはあまりなく、副業に対する勤務先の承諾については申込者の判断に任されることが一般的です。
そのため、公庫の融資が副業であることが原因で下りなかった場合は他の金融機関を利用するという手もあるでしょう。
メガバンクや地方銀行は厳しい
一方で、メガバンクや地方銀行で副業の融資を受けるのは非常に難しいのが現実です。
これらの金融機関は、安定した収益や十分な信用力がある企業や事業主を優先するため、副業のような小規模な活動には興味を示さないことが多いです。
週末起業で融資を狙う場合、上述の公庫や地域密着型の金融機関を利用することをおすすめします。
まとめ
今回は週末起業で飲食店を立ち上げるメリットや、成功させるためのポイントについて解説してきました。
ポイントは下記の通り。