ビジネスを興したい、自分の店を持ちたい、独立したい…いままさに行動を起こそうとしている方、いつか実現させたい方、起業・開業がいまや多くの方にとって身近なものとなってきました。
ですが、開業を志す方みなさんが、資金についても詳しいわけではありません。
「開業のための資金は何を準備すべき?」、「どうやって集めたらいいの?」、「そもそも、融資って何??」と、専門外のことに戸惑っておられる方も、この記事を読んでいただいている貴方だけではありません。
ここでは、起業の融資&創業サポートのスペシャリスト”Komajiro”が、みなさんの素朴な疑問から専門的な質問までなんでもお答えします。
いちから分かるQ&A~今さら聞けない「融資」の疑問
ℚ.融資って何ですか?「クラウドファンディング」などとは何が違うの?
A. 「融資」とは、金融機関や投資家などが企業や個人に対して、一定の条件で資金を貸し付けることです。いわば、お金の貸し借りの事ですね。融資額である元本と、契約に基づいた利子を返却することになります。融資側が経営に関与することはないので、会社経営の自由度を保つことができます。幅広い事業や会社が融資の対象となり、審査基準も明確かつ公平なため、起業する際にはぜひ活用したいシステムです。
一方、クラウドファンディングは「出資」であり、利益の見込める企業や趣旨に賛同するプロジェクトに対して資金を提供します。投資家などから出資を受ける場合、返済の必要はありませんが、その見返りとして所有権(株式など)の一部を投資家に渡し、利益が出た場合は配当という形で分配しなければなりません。株主が会社の経営にも関与できるため、自由な会社運営が取りにくくなる可能性もあります。
ℚ.開業するとき、融資はどのような団体から受けられるの?
A.これから事業を始める方から広く支持を受けている融資制度が三つあります。
それは、つぎの三つです。
日本政策金融公庫が実施している創業融資
「信用保証付き融資」
信用保証協会が信用保証を行う制度融資
信用保証付き融資の一部であり、自治体と信用保証協会、金融機関によって実施されている
まず、日本政策金融公庫とは、政府が100%出資する政策金融機関です。民間金融機関が実施する金融を補完し、中小企業などの資金調達を助けることを目的に設立されました。起業家支援を積極的に行い、創業時に利用できるさまざまな融資制度を実施しています(創業融資)。
具体的には、「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」「再挑戦支援資金」などです。
次に「信用保証付き融資」とは何でしょうか。
まず、信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者の金融を円滑にすることを目的とした公的機関です。創業直後で資金や信用に乏しい中小企業・小規模事業者の方が融資を受ける際に、保証協会が金融機関との間に立って「信用保証書」を発行し、金融機関への返済を保証する役割を担っています。
最大の特徴は、信用保証協会が連帯保証人になってくれることです。事業主から金融機関への返済が不可能になった場合、保証協会が返済義務(金額の80%)を請け負います。(事業主が債務を返済する対象は金融機関から保証協会に移るのであり、負債や返済義務がなくなるわけではありません)。
これにより信用力が高まるため、事業を始めてから間もない方でも融資を受けやすいとされています。
ただし、融資の金利とは別に、保証協会に対する「信用保証料」が必要となります。
最後に、制度融資とは何かご説明します。
制度融資とは、信用保証付き融資の一部であり、特に地方自治体が金融機関、信用保証協会と提携し、実施している融資制度のことを言います。信用保証協会の審査を受けた上で、地方自治体の斡旋により地方銀行や信用金庫・信用組合から有利な条件で融資を受けます。
自治体が保証料や利息の一部などを負担してくれるケースがある点も特徴ですが、金融機関と保証協会の両方で審査が必要なため、融資が降りるまでに時間がかかります。
制度融資の目的は、資金調達をサポートして起業家を後押しすることとされています。
「都道府県制度」「市区町村制度」などがありますが、代表的な制度融資として、東京都が実施している東京都中小企業制度融資「創業」、大阪府が実施している「開業サポート資金」などが挙げられます。
創業融資と制度融資については、メリットやデメリットなどについてもこちらの記事で分かりやすくご説明していますので、ぜひご一読ください。
ℚ.借りられる限度額や適用条件などはありますか?
A.日本政策金融公庫の創業融資では、限度額は最大7,200万円です(そのうち、運転資金の上限は4,800万円)。設備投資は使い方が決まった資金ですが、運転資金は使い方に柔軟性をもたせることができるため、起業当初では非常に助かる資金です(※運転資金と設備資金の違いについては当欄下部の記事をご参考ください。)
新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象となり、女性の方、35歳未満または55歳以上の方などはより低い金利で融資が受けれる優遇制度もあります。
つぎに制度融資ではどうでしょうか。制度融資では、自治体によって制度設計が異なるため、対象者、融資限度額、融資期間、利率などを制度ごとに確認しなければなりません。
ちなみに、先述の東京都中小企業制度融資「創業」では、上限は3,500万円です。都内に事業所(個人事業者は事業所又は住所)があり、東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者で以下3点のいずれかに該当する方が融資の対象となります。
- 現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している
- 創業した日から5年未満である中小企業者等
- 分社化しようとする会社又は分社化により設立された日から5年未満の会社
ℚ.自宅などを担保にしないと借りられないのですよね?
A.日本政策金融公庫の創業融資では、原則として、無担保・無保証人で融資を受けることができます。公庫の「新規開業資金」を利用すれば、最大で7,200万円(うち運転資金4,800万円)までを無担保・無保証でお借入れ可能です。ただし、実際には1,000万円が1つのラインとなることが多いです。足りない分は制度融資などをダブルで受けるなどの方法をとることもできます。
一方、制度融資を利用する場合、原則として経営者が保証人になります。万が一、事業に失敗してしまうと、経営者が責任を取らなければならず、個人的な返済義務が発生します。担保と保証人を不要にできる日本政策金融公庫との大きな違いと言えます。
日本政策金融公庫の創業融資と各自治体の制度融資は、事業を始めたばかりの方でも資金を調達しやすい点が魅力です。
ただし、制度の詳細は異なります。一般的には、担保・保証人を不要にでき、融資実行までのスピードが速い日本政策金融公庫の創業融資のほうが利用しやすいと言えるでしょう。
制度融資に比べて、融資限度額が大きいとされている点も魅力です。2つの融資制度で悩んでいる方は、日本政策金融公庫の創業融資を中心に検討するとよいでしょう。判断に迷ってしまう場合は、創業融資の専門家に相談してみてはいかがでしょうか?
いざ融資の申請! その不安にお答えします
ℚ.融資を申請すれば、必ず借りられるのでしょうか?
A.日本政策金融公庫の創業融資を受けられる率(融資承認率)は一般的に、10~20%前後と言われています。公庫に申請後、創業計画書の内容や自己資金の有無、経営者の経歴(起業する業務の経験が十分かどうか)、信用情報などが総合的に判断され可否が決定されます。
「信用情報」とは、公共料金、税金の支払いやローンの返済などお金の支払いがしっかりなされているかという情報のことをいいます。信用情報はCIC(信用情報機関)によって、金融機関を中心とする会員で共有しています。ローンやクレジットカードの支払いが数回遅れている場合、信用できる人物ではないとみなされ、融資を受けることができなくなります。
この融資審査を通るためには、事前の準備を十分に行い、計画書など申請書類の質を高めることが大切であることは言うまでもなく、公庫の面接での受け答えや自己資金の要件等も非常に重要となります。
創業融資を申請する場合は事業の実績がないため、審査の際、参考にすべきものは書類と面談しかありません。特に創業計画書は重要種類の一つなので、作成が難しい場合は会計事務所に相談することをお勧めいたします。
創業融資の審査については、重要なポイントなどこちらで詳しく説明しています。
一方、制度融資の承認率も、日本全国での正確な統計は公表されていませんが、おおむね10~20%前後とされています。地域や業種、金融機関の方針、申請者の状況により承認率が異なるため、地方自治体や金融機関、信用保証協会によって多少のばらつきがあります。創業融資と同様に、審査のための対策と準備が必要となります。
また、会社を設立して間もない場合でも、今後の事業計画をしっかりと策定できれば、必要額の融資を受けることが可能です。
ℚ.申請手続きが難しそうで、自分でできる自信がありません。
A.公庫から創業融資を受ける流れは大まかに次のとおりです。
1 | 融資相談 |
---|---|
2 | 申込書類の準備 |
3 | 申し込み |
4 | 公庫による面談 |
5 | 審査 |
6 | 融資 |
7 | 返済 |
詳しくはこちらをご覧になってみて下さい。
先ほどのご質問でも説明しました通り、審査に必要な書類は、正確かつ詳細に記入することが重要です。確実に融資を得るためには、多少の出費や手間に感じられても、専門の会計事務所に依頼することで、結果的に希望する融資額を得られる可能性が高まります。
また、公庫の審査は一発勝負です。一度審査に落ちてしまいますと、しばらく間は残念ながら、再チャレンジができません。また、面談対策も非常に重要になります。
弊社、創業融資代行サポート(CPA)は、日本政策金融公庫の創業融資の代行サポート実績は1,000件を超え、そのノウハウを提供し、皆様のお役に立てればと思います。
創業計画書の作成からサポートさせていただき、創業計画書・事業計画書が完成しましたら、面談練習も実施いたします。書類だけでなく、面接対策もしっかり行わないと創業融資を審査を突破できません。まずは公庫の創業融資に強い、実績のある専門家にご相談ください。
もちろん、公庫の創業融資だけでなく、制度融資・保証協会付き融資もダブルで受けることもできます。お客様に最適なプランを設計させていただいております。お気軽にお問い合せください。
ℚ.ほかにも自宅や自動車などのローンがあるのですが、融資の申請に影響はありますか?
ℚ.どのくらいの期間で返却する必要がありますか?
A.日本政策金融公庫の融資の場合は、元本返済は行わずのみを支払う「措置期間」が、運転資金は最大5年間、設備資金は最大5年間です。返済そのものの期限である「償還期限」は運転資金が10年以内、設備資金は20年以内です。
(廃業歴等があり、創業に再チャレンジする方は、運転資金は15年以内(うち据置期間5年以内)まで利用可能です。)
制度融資では、返済期間や条件は、地方自治体や金融機関、制度の種類によっても異なるため、具体的には申請先の信用保証協会や提携金融機関で確認することが必要です。
運転資金の償還期限は5~7年程度、設備資金の償還期限は10~15年が一般的でしょう。それぞれ、措置期間は最大1年程度設けられる場合があります。
また、弊社創業融資代行サポート(CPA)は税理士・会計事務所のため、確定申告をはじめ、法人設立・経理・税務のトータルサポートを行っております。融資の返却プランなどについても、お気軽にご相談ください。
ℚ.返却不可能になった場合、個人の貯蓄などから返済する必要がありますか?
A.日本政策金融公庫の創業融資は、原則として、無担保・無保証人で融資を受けることが可能ですが、申請者自身が「連帯保証人」となるケースもあり、この場合は事業の返済が滞った際に、申請者個人が返済義務を負います。
申請者が返済責任を負っている場合、事業での返済ができない際には、個人財産(貯蓄、給与、場合によっては不動産など)に対して公庫が返済を求める可能性があります。返済義務が発生している限り、債務者個人が返済しなければなりません。
ですが、返済が難しい状況に陥った場合、すぐに公庫に相談することで、条件緩和(リスケジュール)などができる可能性もあります。経営状況によっては月々の返済額の調整や一時的な返済猶予を受けられるケースもあります。
公庫の金利は2.46~2.85%(基準利率)と、一般的な金融機関の融資よりも低く設定されています。返却期限も長く、長期的な返済計画を立てることが可能です。
初めての融資に不安を感じられることももっともなことと思いますが、まずは気軽に会計事務所などにご相談をなさってください。
ℚ.返却不可能になった場合、家族に責任が及ぶなど迷惑はかかりませんか?
A.通常は家族には返済義務は生じません。この融資で連帯保証人となるのは、基本的に申請者本人(代表者)のみであり、家族は保証人や連帯保証人としての義務を負わない限り、法的に返済義務を負うことはありません。
ですが、家族が連帯保証人として契約していたり、申請者本人が亡くなり、返済義務が残っている場合、その債務は相続財産の一部とみなされ、相続人が返済義務を承継することになります。ただし、相続放棄をすることで、債務を含む相続財産を放棄し、返済義務を免れることが可能です。
まとめ
今回は、融資に関するみなさんが抱えている疑問や不安についてお答えしてきました。
起業も初めてであれば、融資を受けるのも初めての経験で不安に感じられるのもごく自然なことです。創業時の融資を含め弊社では、多くの融資実績があります。
創業融資代行サポート(CPA)では、皆様の起業に関する相談を多数いただいており、日本政策金融公庫を含む各種の創業融資や創業支援のサポート実績があり、多くのノウハウを持っております。