趣味でパン作りをしていたり、パンが好きな方の中には、『いつか自分の店をオープンさせる』という夢をお持ちの方も数多くいらっしゃるでしょう。
現在はフランチャイズや、ベーカリー開業支援サービス、スクールなど開業方法が充実していて、経営未経験でもベーカリーの開業が可能です。
この記事では「ベーカリー開業」についての流れと開業資金の調達方法について解説していきます。また、必見!人気店として勝ち残るヒントなどもご紹介します。
ベーカリーの開業をご検討の事業者様は、夢の実現のため、この記事を見て少しでも参考にしていただけますと幸いです。
ベーカリーの開業の流れ
ベーカリーの開業に必要な期間は、一般的には数ヶ月〜1年以上です。
詳しい流れは以下の通りです。
- ベーカリーのコンセプト設計
テイクアウト販売のみか、イートインスペースを設けるか。
菓子パン、調理パンのどちらをメインにするかなどコンセプトを決めましょう。 - 事業計画書作成
- 資金計画・資金調達
- 物件探し・設計・内装工事・製造設備(オーブン、ミキサー等)
- 許認可の取得・手続き
- 商品開発・仕入れ先決定
- プロモーション(HP作成・チラシの配布等)
- 人材採用・研修
※ベーカリー開業に向けて創業融資を検討されている事業者様は、事業計画書の作成やその他資料、自己資金など、事前の準備が重要なポイントになってきます。融資の確率が少しでも上がるような資料や根拠ある資料になるよう取り組みましょう!
その際、具体的なパンのメニュー、焼きたてを提供する時間帯、パンの料金や客単価、ターゲット(近隣の住民、サラリーマン・OL、お土産需要など)、仕入れや販売体制など、多くのことを決めていく必要があります。
必見!人気店として勝ち残るためのヒント
パンの市場規模はここ十年で11%の伸びを見せているものの、消費する家庭数や購入される数はあまり変化がありません。一方、原料単価の高騰などの影響もありますが、商品の単価が11%増えています。つまり、「少し贅沢をしても、美味しいパンを食べたい」という消費者が増えているともいえるでしょう。
『ブランディング』…ここにしかない商品・店舗
2020年現在、日本には約3万店以上のベーカリーがあるとされています。東京都内だけでも約4000店、その中で、「このベーカリーに行って買いたい!」と思われるような、オリジナリティや魅力ある看板商品を持つことが重要です。
アメリカ・ニューヨークに4店舗を構える人気店「Liberty Bagel(リバティベーグル)」の見るのも食べるのも楽しくなるような、「レインボーベーグル(Rainbow bagel)」なども成功例のひとつでしょう。
生産性を大切に、コストを抑えて利益を確保
原材料の高騰や人件費の引き上げなど、経営者にとって頭の痛い問題は多くあります。商品価格に転嫁するのも限度があり、より生産性を高めることが重要なポイントとなります。
たとえば、通常、商品に合わせて複数の生地の仕込みが必要となりますが、デニッシュ生地などひとつの生地から複数の商品に転用できれば、仕込みの手間は一種類で済みます。また、冷凍生地を用いることで、必要な機材をオーブンや冷凍冷蔵庫などに絞ることができ、機材に関する初期投資を抑えることも可能です。
クロワッサン専門店
クロワッサン専門店は、特に近年人気が高まっています。さまざまな種類のクロワッサンを提供しており、定番のバタークロワッサンから、チョコレートやアーモンド、さらにはユニークなフレーバーのものまで多彩です。
仕込みもデニッシュ生地一種類のみでよく、さらにデニッシュ食パン、ソーセージデニッシュ、クロワッサンサンドイッチなどバリエーションを増やしていくことも可能です。
店内で焼きたてのクロワッサンを提供するところも多く、カフェスペースを併設している店も増えています。
最近では、InstagramなどのSNSでの発信が集客につながることもあり、特に若い世代の間で人気を集めています。このような背景から、今後もクロワッサン専門店は増加する可能性が高いでしょう。
ベーカリーの開業に必要な資格について
ベーカリー開業に専門的な資格は必要ありませんが、以下の取得は必要です。
- 食品衛生責任者
飲食店開業に必須の資格で、パン屋の開業時にも必要となります。
食品衛生協会が各地で開催する6時間ほどの講習を受講することで資格取得が可能です。 - 菓子製造許可
パンをテイクアウト販売する場合は必須の資格です。
イートインに関してはパンとドリンクのセットのみ菓子製造許可があれば販売可能です。 - 飲食店営業許可
イートインでパンとドリンク以外(サラダやスープ)を販売する場合は必要な資格です。
ベーカリーの開業資金について
ベーカリーを開くためには、高額な初期費用が必要で、一般的に1,000万円から3,000万円程度と言われています。
居抜き物件を借りて設備や機器をそのまま使ったり、中古の機器を使ったりと節約をすれば費用を削減できますが、それでも1,000万円以上は必要です。
(参考)居抜き物件とスケルトン物件について
ベーカリーの開業において、良い「居抜きテナント」に巡り合うことができれば、開業・創業時の設備投資額を大きく抑えることができます。
ただし、少し立ち止まって考えていただきたいのは、「居抜き」ということは、その前に同じ場所でベーカリーを開業していたオーナーがいて、様々な理由でうまくいかずに閉店に至ったという可能性があります。
オーナーにベーカリー経営のセンスがなかった・・・という理由でしたらまだ良い(というよりは挽回の余地がある)のですが、立地面で思ったよりも地域での認知度が高まらず、新規のお客様が増えなかった・・・という理由で撤退した可能性もあります。
その見極めを外部から行うことは難しいのですが、弊社にご相談いただければ、ベーカリーのテナントの選定段階から立地のアドバイス等も含めて行わせていただいております。お気軽にご相談ください。
なお、スケルトン物件とは、内装は一切施されておらず、コンクリートはそのままで配管や配線もむき出しになっているテナントです。オーナーが一から自由に内装設計やデザインを行える長所・メリットがありますが、デメリットとして内装費用が多額になります。そのため、一般的にスケルトン物件は十分な自己資金も必要となってくるでしょう。
ベーカリー開業のための資金調達方法について
ベーカリーに限った話ではないのですが、ベーカリーの開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。
- 全額自己資金で賄う。
- 他人(家族・親族を含む)から出資を受ける。
- 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。
このうち、自己資金で開業できればベストなのですが、ベーカリーの開業に必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。
また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によってベーカリーの開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。
ちなみに、販売店を開業する際の資金について、自己負担割合はさまざまな要因によって異なるものの一般的なガイドラインとして、全体の開業資金の20%〜50%を自己資金で用意することが推奨されています。例えば、開業資金が1000万円の場合、200万円〜500万円を自己負担する形です。
資金の一部を自己資金で負担するとしても、現実的には、日本政策金融公庫等の金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが多くなると思います。
また、創業融資を申請する際の自己資金の果たす役割については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
それでは、具体的に融資を受ける方法について見ていきましょう。
ベーカリーの開業に利用できる融資先の例
下記は、ベーカリーの創業や開業時に利用可能な融資先の例です。
【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開など、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。
※日本政策金融公庫に飲食店で申請をご検討の事業者様
諸条件はありますが、東京都飲食業生活衛生同業組合に加入することで、金利等の優遇を受けられる場合があります。
【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。
まとめ
今回は、「ベーカリー開業」について、スポットをあてて見てきました。
ベーカリー開業時の融資を含め、弊社では多くの融資サポート実績があります。また、創業融資代行サポート(CPA)では、ベーカリー開業を含む、多くの事業主様から、日本政策金融公庫の創業融資や創業支援のご相談を承っており、多くのノウハウや情報を持っております。まずはお気軽にご相談ください。お客様にとって最適なアドバイスを行わせていただきます。