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学習塾、個人指導塾の開業「開業の流れから開業資金の調達まで」を紹介します

勉強するこども

いまや、全国では約15~20%の小学生が中学受験を行い、東京都ではその割合が約30~40%に達しています。また、家庭教師を利用しながら大手学習塾に通う家庭も少なくありません。東京都では、実に約7割の子どもが通塾していると言われています。

ここでは、学習塾の開業に必要な手順や手続きをステップごとに紹介し、資金調達の方法についてもご説明します。

弊社でも皆様の起業サポートや創業支援を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

学習塾の種類

学習塾には、個別指導と集団指導という指導体制の違いや、受験対策と学校の授業の補習型という指導内容の違いなど、さまざまな種類があります。種類ごとに、それぞれ異なる経営の特性や戦略が求められます。経営者は自らの強みや市場ニーズを考慮し、適切なスタイルを選ぶことが重要です。

以下に、オンライン塾も含めた主な塾の種類を紹介します。

1. 個別指導塾

生徒一人ひとりに対して個別に指導を行うスタイル。カスタマイズされたカリキュラムを提供し、個々のニーズに応じた学習が可能です。

  • 初期投資:自宅での開業が可能なため、比較的低コストで始められます
  • 講師の確保:高い指導力が求められるため、質の高い講師の採用が重要です。
  • 顧客の維持:個別対応のため、生徒との信頼関係が収益の安定に寄与します。

2. 集団指導塾

複数の生徒を一斉に指導する形式です。通常、教室での授業が行われます。決まったカリキュラムに基づいて授業を進行します。

  • 初期投資:教室の設備や教材の購入に多くの投資が必要となります。
  • 生徒数の確保:規模の経済が働くため、多くの生徒を集めることが収益に直結します。
  • コスト管理:効率的な運営が求められ、固定費の管理が重要です。

3. オンライン塾

インターネットを通じて授業を行う形式です。自宅での受講が可能です。幅広い地域から生徒を集めることができます

  • 初期投資比較的低コストで始められますが、ITインフラの整備が必要です。
  • 市場競争:競合が多く、差別化が重要です。質の高いコンテンツや講師の確保がカギとなります。
  • スケーラビリティ:生徒数が増えても追加の設備投資が少ないため、成長の余地が大きいといえます。

4. 専門塾

特定の科目やスキルに特化した指導を行います(例:英語塾、プログラミング塾)。

  • ニッチ市場:特定のニーズに応えることで、競争優位を築けます。
  • 高付加価値:専門性を活かして、高い授業料を設定できる場合が多いでしょう。

5. 補習塾

学校の授業内容を補うための指導を行います。

  • 安定した需要:定期テストや進級対策で一定の需要が見込まれます。
  • リピート率:継続的な通塾が期待でき、顧客の維持がしやすいといえます。

6. アフタースクール(放課後塾)

学習だけでなく、さまざまなアクティビティを提供します。

  • 多様な収入源:学習だけでなく、スポーツや文化活動などで収益の多様化が可能です。
  • 地域密着型:地域のニーズに応じたサービスを提供しやすくなります。

これらの塾の種類は、それぞれ異なる経営の特性や戦略が求められます。経営者は自らの強みや市場ニーズを考慮し、適切なスタイルを選ぶことが重要です。

 集団指導塾と個人指導塾について、さらに詳しく比較してみましょう 

1. 指導スタイル

  • 個別指導塾:生徒一人ひとりに対してカスタマイズされた指導を行います。個々の学習進度や理解度に応じたカリキュラムを組むことが可能です。
  • 集団指導塾:複数の生徒に対して一斉に授業を行います。授業内容は一般的に同じであり、全体のペースで進めます。

2. 授業料

  • 個別指導塾:通常、授業料は高めに設定される傾向があります。個別の指導に伴うコスト(講師の人件費など)が影響します。
  • 集団指導塾:授業料は比較的安価で、同じ授業を複数の生徒で分担するため、コストを抑えることができます。

3. 講師の採用と研修

  • 個別指導塾:講師は1対1での指導に特化したスキルが求められます。指導法やコミュニケーション能力が重視されるため、講師の研修が重要です。
  • 集団指導塾:授業を一斉に行うため、講師は教室管理や授業の進行能力が重視されます。教科内容の深い理解も求められます。

4. 生徒数の管理

  • 個別指導塾:生徒数が少なく、よりパーソナルな関係を築くことが可能です。個々の生徒に焦点を当てた管理が必要です。
  • 集団指導塾:一度に多くの生徒を受け入れることができるため、効率的な運営が可能ですが、個々のニーズには対応しきれない場合があります。

5. マーケティングと集客

  • 個別指導塾:特化したニーズに応えるため、口コミや個別の紹介を重視する傾向があります。オンライン広告やSNSを活用することも効果的です。
  • 集団指導塾:広範な集客を目指すため、地域の広告やイベント、チラシ配布など多様なマーケティング手法が求められます。

6. 運営の柔軟性

  • 個別指導塾:生徒のニーズに応じたカリキュラムの変更がしやすく、柔軟な運営が可能です。
  • 集団指導塾:授業計画が固定化されがちで、大人数を対象とするため、変更には時間がかかることがあります。

このように、それぞれ異なる特徴と経営スタイルがあります。どちらを選ぶかは、経営者の目指す方向性やその塾が対象とする生徒層によって決まります。

学習塾開業の流れ

1. 市場調査

  • ターゲット層の特定:未就学児、小学生、中学生、高校生など、どの年齢層を対象にするかを決めます。
  • 競合分析:周辺の学習塾や塾の種類、授業料などを調査し、差別化ポイントを見つけます。

自社の強みを明確にするためには、競合他社の分析は必須です。事業の強み、競合相手、市場規模の分析に最適な方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。

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2. ビジネスプランの作成

  • 塾の目的と教育方針:個別指導、集団授業、オンライン授業など、提供するサービスの形態と、どの成果を目指すのかを決めます。
  • 対象とする生徒の年齢と科目:未就学児~高校生までの分類、数学、英語、国語、理科、社会などの指導科目を決めます。
  • 料金設定:競合との比較、市場の需要を考慮し、授業料や入会金、教材費などの価格を設定します。教室の設備費、初期の人件費、広告宣伝費、教材費用、レンタルスペースの費用など、初期費用と運営に必要な継続的費用に加え、利益も確保できるよう設定します。
  • マーケティング戦略:広告やプロモーションの計画を立てます。

一般的に、集団指導型の塾は規模が大きくなるほど経営の難易度が高まります。しかし、個別指導塾であれば、自宅に塾スペースを設けて開業することで、初期投資を抑えた幅広い対応が可能です。

また、学習塾業界においても、フランチャイズ経営での運営も可能です。 フランチャイズ経営の特色については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

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3. 立地選定

  • 場所の選定:立地条件は保護者が重要視するポイントの一つです。学校の近くや駅からアクセスがよいことはもちろん、子どもが一人で通塾しても安全であることも大切です。都市中心部や駅近辺では難しいですが、駐輪場が確保できるかどうかも確認しましょう。
  • 物件の契約:塾の形態や募集生徒数に適した教室の広さや間取りの貸物件を探し、契約を行います。また、エレベーターの有無や、教材など資材置き場、トイレの個数、避難経路なども留意しましょう。敷金礼金の初期費用・家賃のみでなく、エアコン代など光熱費も検討が必要です。

4. 法的手続き

  • 法人登記: 法人を設立する場合は、法務局で法人登記を行います。個人事業主の場合は、特に登記は必要ありませんが、開業届を提出します。
  • 開業届の提出: 個人事業主として開業する場合、税務署に開業届を提出します。開業届は開業日の1か月前に提出する必要があります
    違反したときの罰則は特にありませんが、書類を提出するだけなので、なるべく早めに提出することをおすすめします。
 開業届の提出先についてはこちらをご参照ください。
  個人事業の開業届等手続き/国税庁
  • 必要な許可・資格の取得: 塾の運営に特別な許可は必要ありませんが、塾を開く前に大手の塾で講師経験を積んだり、教員免許を取得して教育実習を経験している方が多く、教育に関する資格を持つことが望ましいでしょう。
  • 税務手続き: 所得税や消費税に関する手続きを行います。青色申告を行う場合は、「青色申告承認申請書」も同時に提出します。青色申告を行うと、所得控除を受けられる等、税金面で有利になる場合があります。

 青色申告の詳細については、こちらをご参考ください。
  青色申告制度|国税庁

  • 労働保険・社会保険の加入: 従業員を雇う場合は、労働保険や社会保険に加入する手続きが必要です。

 労働保険制度の詳細については、こちらをご参考ください。
  労働保険制度|厚生労働省

  • 商号登録: 塾の名称を商号として登録する場合は、商標登録を検討します。

 商標登録の詳細については、こちらをご参考ください。
  商標登録のいろは|特許庁

開業届や許認可の申請については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

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5. 教材と設備の準備

  • 教材の選定:授業で使用する教材や参考書、ワークシートの選定、授業計画などカリキュラムを準備します。
  • 教室の設備:机、椅子、ホワイトボードなど、生徒が安全かつ快適に学習できる環境を整えましょう。

6. スタッフの採用

  • 講師の募集:講師やスタッフを募集し、面接・選考を行います。経験や専門知識、指導力のみでなく、コミュニケーション能力や生徒への理解力も重視しましょう。生徒の学力向上のみでなく、保護者面談などの対応満足度も塾の評価に影響します。
  • 研修:選考後もコミュニケーション能力や生徒への理解を深めるための研修を提供することで、スタッフ全体のレベル向上が期待できます。

7. 宣伝活動

  • 広報活動:開校日をきめ、生徒の募集を開始します。最寄りの学校近辺等でのチラシ配布、ホームページの作成、SNS活用、インターネット広告などで集客を図りましょう。
  • キャンペーン:無料体験授業や紹介割引キャンペーンなども検討しましょう。

学習塾の開業に必要な資金は

学習塾の規模や形態によって、必要となる資金は幅がありますが、一般的に準備が必要な資金は以下の通りです。

施設費用教室の賃貸料:地域や物件によりますが、月額10万~30万円程度。敷金・礼金:1~3か月分の賃料が必要。
設備投資椅子や机、ホワイトボードなどの教室設備:100万円程度。PCやコピー機などのオフィス用品:30万~100万円
教材費教材や参考書の購入:数万円から数十万円。
広告宣伝費開業時の宣伝活動(チラシ作成、Webサイト制作など):10万~50万円。
運転資金初期の運転資金として、数か月分の運営費(賃料、光熱費、人件費など):50万~100万円。
その他の費用登録や許可に関する費用:数万円。
保険や会計サービスなどの費用:数万円。

総合的に見ると、少なくとも300万~500万円程度の資金が必要になることが多いですが、規模や立地によって変動します。具体的な計画に基づいて見積もることが重要です。

 

学習塾開業のための資金調達方法について

学習塾に限った話ではないのですが、開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。

  • 全額自己資金で賄う。
  • 他人(家族・親族を含む)から出資を受ける。
  • 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。

自己資金で開業できれば理想ですが、開業に必要な資金を全額自己資金や身近な関係者からの出資で賄える人は非常に少ないと言っても過言ではないでしょう。

ちなみに、開業する際の資金について、自己負担割合はさまざまな要因によって異なるものの一般的なガイドラインとして、全体の開業資金の20%〜50%を自己資金で用意することが推奨されています。例えば、開業資金が1000万円の場合、200万円〜500万円を自己負担する形です。

 「自己資金」については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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資金の一部を自己資金で負担する場合でも、日本政策金融公庫などの金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが現実的かつ効率的であると言えるでしょう。

それでは、具体的に融資を受ける方法について見ていきましょう。

学習塾の開業に利用できる融資先の例

下記は、創業や開業時に利用可能な融資先の例です。

【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開など、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。詳しくは、こちらをご覧ください。

【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。
詳しくは、こちらをご覧ください。

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まとめ

今回は、「学習塾の開業の流れから開業の資金調達まで」について、ご紹介してきました。

 創業時の融資を含め弊社、創業融資代行サポート(CPA)では、多くの事業主様から、日本政策金融公庫の創業融資や開業資金のご相談を承っており、多くのノウハウや情報を持っております。まずはお気軽にご相談ください。お客様にとって最適なアドバイスを行わせていただきます。

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