副業が順調に成長し、本業の収入を超える状況になったという方も多いですよね。
近年は副業・兼業が一般的になってきたため、以前よりも本業の収入を超えるというケースが増えてきたように感じます。
そこで不安になる方が多いのが社会保険や税金の問題で、それぞれ複雑で、誤解が多い問題となっています。
そこで本記事では、副業が本業を超えた際に注意すべきポイントを整理し、どのように対処すべきかを解説します。
目次
副業が本業を超えるとはどういう状態か?
まず、「副業が本業を超える」とは、単に副業の収入が本業の給与を上回るということを指します。
ただし、以下の2つのケースに分けて考える必要があります。
- 副業の収入が一時的に本業を超える場合
たとえば、一時的に副業が好調で高収入を得たケースです。
本業を辞める判断をするには早計な場合があります。 - 副業の収入が安定的に本業を超えている場合
副業の収入が持続的に本業を上回り、経済的な基盤が整っている場合、自身のキャリアプランを再考するタイミングといえます。
副業の社会保険の仕組み
サラリーマンが副業をしている場合、社会保険制度は主に以下の3種類に大別されます。
- 本業が会社員+副業が個人事業主
- 本業が会社員+副業が法人
- 本業が会社員+副業も会社員
それぞれ解説していきます。
本業が会社員+副業が個人事業主の場合
本業を通じて厚生年金や健康保険に加入している場合、副業では原則として追加の保険料は発生しません。
つまり、本業の収入をいくら副業が上回っても新たに社会保険料を支払う必要がないということです。
例えば、本業のサラリーマンの収入が年収300万円で個人事業主の副業が所得800万円だった場合、社会保険料の対象となるのは年収300万円の部分のみで、個人事業主の副業の部分にはかかりません。
しかしながら、このスキームは社会保険削減スキームといわれており、問題視されている部分でもあります。
今後条件が変わる可能性がある点には注意しなければなりません。
本業が会社員+副業が法人
次は本業で会社員をしているけど、副業で法人経営しているケースです。
こちらも役員報酬を0としている場合、本業を通じて厚生年金や健康保険に加入している場合、副業では原則として追加の保険料は発生しません。
しかしながら、役員報酬を1円以上としている場合は本業との合算の収入で社会保険料の負担義務が発生し、本業にも副業がばれてしまうので、注意しましょう。
(参考資料:兼業・副業等により 2カ所以上の事業所で勤務する皆さまへ 日本年金機構)
副業での収入を個人で受け取りたいなら、配偶者や親、子供などの親族に給与を支払うことが一般的です。
本業が会社員+副業も会社員
本業が会社員で副業も会社員の場合、本業との合算の収入で社会保険料の負担義務が発生します。
(参考資料:兼業・副業等により 2カ所以上の事業所で勤務する皆さまへ 日本年金機構)
収入が増えたら、増えた分だけ本業も副業も社会保険料が増えますので、注意しましょう。
副業の税金の仕組み
副業の税金の仕組みについて、下記の3つに分けて解説していきます。
- 本業が会社員+副業が個人事業主
- 本業が会社員+副業が法人
- 本業が会社員+副業も会社員
本業が会社員+副業が個人事業主の場合
副業が個人事業主としての収入の場合、税金は本業の給与収入と副業の事業所得を合算した額で計算されます。具体的には、以下のステップで課税額が決まります:
- 給与所得控除の適用
本業の給与に対して給与所得控除が適用されます。副業の事業所得にはこの控除は適用されません。 - 事業所得の計算
副業の収入から必要経費を差し引いて事業所得を算出します。この必要経費には、副業で使用したパソコン代、通信費、交通費などが含まれます。
また、青色申告の場合は最大65万円の控除が受けれるため、おすすめです。 - 総所得の申告
本業の給与所得と副業の事業所得を合算して、課税所得を算出します。その後、課税所得に基づいて所得税と住民税が計算されます。
注意点
- 確定申告の義務
副業で年間20万円以上の所得がある場合、確定申告が必要です。確定申告では、事業所得や必要経費を正確に申告する必要があります。 - 住民税の徴収方法
確定申告後、副業の収入に基づく住民税が本業の会社に通知されるため、副業を知られる可能性があります。「住民税の普通徴収」を選択することで、本業の会社に通知されるのを防ぐことができます。
本業が会社員+副業が法人の場合
副業として法人を設立した場合、税金の計算方法は異なります。法人の場合、副業の収入は「役員報酬」として受け取るか、法人の利益として残すかで処理が分かれます。
- 役員報酬を受け取る場合
役員報酬を設定した場合、それが給与所得として課税されます。本業の給与と合算されて課税額が計算されるため、累進課税の影響で税率が上がる可能性があります。 - 利益を法人内に留保する場合
法人税率(約23.2%)で課税されます。個人の累進課税よりも低い税率になる場合がありますが、法人の利益を個人に移転する際には再度課税される点に注意が必要です。
注意点
- 法人設立に伴う手続き費用
設立費用や毎年の申告費用が発生するため、十分な利益が見込めない場合はデメリットとなります。 - 社会保険との関係
役員報酬が発生する場合、本業との合算収入で社会保険料の増加が避けられません。
本業が会社員+副業も会社員の場合
副業として別の会社で勤務している場合、収入が給与所得として取り扱われます。
本業と副業の給与所得を合算した額で課税所得が計算され、これに基づき所得税と住民税が課税されます。
注意点
- 住民税の通知
本業と副業の給与を合算した住民税が本業の会社に通知されるため、副業が発覚するリスクがあるので、必ず本業に確認を取ってから副業をしましょう。 - 確定申告の必要性
2箇所以上から給与を受け取っている場合、確定申告が必要になるケースがあります。
副業が本業を超えた場合の選択肢
副業の収入が本業を上回った場合、以下の選択肢を検討することが重要です。
1. 本業を継続し、副業を拡大
本業の安定性を保ちながら、副業をさらに成長させる選択肢です。この場合、副業で得た収入を再投資し、事業としての基盤を整えることが可能です。
- メリット: 社会保険や税金の変更リスクが少ない。
- デメリット: 時間や体力的な負担が増加。
2. 本業を辞め、副業を本業化
副業を本業として完全に移行する場合、社会保険と税金の変更が大きな課題となります。
- メリット: 時間を効率的に使える。
- デメリット: 社会保険料や税金負担が増加する可能性。
3. 副業と本業を掛け持ちで維持
両立が可能であれば、両方を続けることも選択肢です。
ただし、労働時間や健康管理に配慮する必要があります。
いずれにしても副業が本業を上回るほどの収入になった場合、銀行融資をおこない、さらなる規模拡大を検討してみても良いかもしれません。
サラリーマンの副業でも銀行融資は可能です。
内容については下記の記事を参考にしてみてください。
まとめ
今回は副業が本業を超えた際に注意すべきポイントを整理してきました。
ポイントは下記の通り。
- 副業が本業を超えた場合、社会保険や税金の影響を正確に理解する必要がある
- 本業の安定性を維持しつつ、副業の成長を図るか、副業を本業化するかをキャリアプランに基づき判断することをおすすめ
- 住民税の通知方法に注意し、副業が本業に知られない工夫が必要
- 副業の拡大具合によって、融資を検討してみることをおすすめ
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