カフェ開業は多くの人が抱く夢の一つではないでしょうか。
現在はフランチャイズや、カフェ開業支援サービス、スクールなど開業方法が充実していて、未経験でもカフェ開業は可能です。
この記事では「カフェ開業」についての流れや開業資金の調達方法などを中心に解説していきます。
カフェ開業をご検討の事業者様は、この記事を見て少しでも参考にしていただけますと幸いです。
目次
カフェの種類
カフェと一口に言っても、様々な種類のカフェや喫茶店が存在しています。ここでは大きくカフェと喫茶店に分けて、いくつかご紹介します。
カフェと喫茶店はかつては営業許可証が異なっていましたが、現在は法改正により、どちらも飲食店の営業許可申請に統一されており、法律上の違いはなくなっています。
カフェの種類
- シアトル系カフェ・・・スターバックスを代表とした、エスプレッソをベースに、フォームドミルクやチョコレートソース、ココアパウダーなどでアレンジしたコーヒーを提供するカフェです。
- イタリア系カフェ・・・エスプレッソ発祥の国であるイタリア系のカフェは、エスプレッソコーヒーを使用したメニューが豊富な点が特徴です。マキアートやカプチーノ、カフェモカなど、ミルクとエスプレッソの配分によって細かな種類に分けられており、バラエティ豊かなエスプレッソコーヒーが楽しめます。パスタやパニーニなど、イタリアンフードのメニューも豊富です。
- フランス系カフェ・・・フランス系のカフェでは、コーヒーと食事がゆっくりと楽しめるように店内席とテラス席の両方を設けており、フードメニューに力を入れているところが多いようです。コーヒーのメニューは、次に紹介するイタリア系カフェの方が豊富ですが、フランスでもエスプレッソコーヒーを使用したメニューを置いているのが一般的です。
- コンセプトカフェ・・・猫カフェや小動物カフェ、犬やペット同伴OKのペットカフェやドッグカフェのほか、世界観や接客を楽しむメイドカフェや執事カフェなど、飲食以外のアクティビティを目的とした様々なカフェがあり、そのコンセプトも年々多様化しています。
喫茶店の種類
- 純喫茶・・・純喫茶の「純」には「純粋にコーヒーだけを楽しむ」といった意味合いがあるようです。チェーン店ではコメダ珈琲や上島珈琲が純喫茶風として営業していますね。
- 漫画喫茶・・・漫画を楽しむことを主としている形態です。漫画のほかにインターネットやオンラインゲームも楽しめる「インターネットカフェ」として24時間営業している店舗が多く、フードやドリンクも幅広いメニューに対応しています。
- ジャズ喫茶・・・店内でコーヒーと共にジャズやレコードなどの音楽を楽しむ喫茶店で、大正から昭和にかけて人気のあったスタイルです。
カフェ開業に必要な資格や許可
カフェを開業する際に、取得が必要な資格は食品衛生責任者です。施設ごとに1名以上置くことが義務付けられています。
また、店舗内の収容人数が30名以上の場合は、火災などの被害を防止するための防火管理者を置かなければなりません。
食品衛生責任者、防火管理者のいずれの場合も、条件によっては資格取得のために講習会を受講する必要がありますので、余裕を持って準備しておきましょう。
カフェ開業に必要な資格や届出は、主に以下のとおりです。
飲食店の開店の際の主な届出や提出先
資格や申請書類 | 講習の主催先や提出先 | 条件 |
---|---|---|
食品衛生責任者 | 各都道府県の食品衛生協会 | 各都道府県の食品衛生協会が主催する養成講習会の受講が必要。ただし、栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、畜場法に規定する衛生管理責任者、作業衛生責任者、船舶料理士、食品衛生管理者の有資格者は受講不要 |
防火管理者 | 都道府県知事、市町村の消防長、一般財団法人日本防火・防災協会のいずれかが主催 | 各地域で主催される講習会の受講が必要。講習会は、防火対象物全体の収容人数や延べ面積によって分けられ、甲種防火管理者か乙種防火管理者のいずれかを選択 |
飲食店営業許可申請書 | 保健所 | 必ず開業前に許可が必要 |
菓子製造業許可申請 | 保健所 | パンやスイーツを製造し、店舗販売やテイクアウト販売する場合 |
防火管理者の選任(解任)届出書 | 消防署 | 30名以上収容できる店舗の場合 |
防火対象物使用開始届出書 | 消防署 | 建物や建物の一部をこれから使用しようとする場合 |
防火対象物工事等計画届出書 | 消防署 | 使用形態を変更して工事を行う場合(居抜きも含む) |
火を使用する設備等の設置(変更)届出書 | 消防署 | 火を使用する設備等を設置する場合 |
個人事業の開業・廃業等届出書 | 税務署 | 個人で開業する場合 |
所得税の青色申告承認申請書 | 税務署 | 確定申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けたい場合 |
カフェ開業のフローチャート
一般的に、カフェは以下のような流れで開業します。
12カ月前 |
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6カ月前 |
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2~3カ月前 |
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1カ月半前 |
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1カ月前 |
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10日前 |
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※創業融資を検討されている事業者様は、事業計画書の作成やその他資料、自己資金など、事前の準備が重要なポイントになってきます。融資の確率が少しでも上がるような資料や根拠ある資料になるよう取り組みましょう!
1.カフェ開業のコンセプト設計
コンセプト作りは、カフェの方向性を決める最も重要な行程です。
ここで基礎となるコンセプトを具体的に設計します。
競争が激しいカフェ業界ですが、最近はブックカフェ、アニマルカフェ(猫カフェ、ドッグカフェ等)、プラネタリウムカフェのように、ただカフェとして利用するだけでなく体験型タイプのカフェも増えています。
通常のカフェスタイルでも、日本茶専門のカフェやヴィーガン向けのカフェなど幅広い種類のコンセプトが存在しています。
どのようなコンセプトにするか、リサーチして検討することが重要です。
2.事業計画の策定
お店(カフェ)のコンセプトを決めたら、事業計画書を作成します。
事業計画書に記載すべき最低限の項目は、下記の7点です。
- カフェ開業の動機
- 経営者の略歴
- 店のコンセプトやカフェのメニュー・料金等の決定
- 店舗情報(立地と競合状況・営業時間・取引先など)
- 雇用計画(雇用予定の従業員数・人件費)
- 資金計画(カフェの開業資金の調達方法・返済計画など)
- 損益計画(売上や経費の見込み)
金融機関で創業融資を受ける際や法人口座を開設する際に提出を求められることもある重要な書類のため、必ず作成しましょう。
3.物件探し
カフェを開業するためには、適切な物件の選定が極めて重要です。
下記の5項目を考慮して物件を選びましょう◦
- エリア
- 店舗の広さ
- 家賃予算
- 居抜き物件かスケルトン物件か
- 独立店舗か施設内か
一般的な30席のカフェ店の場合「居抜き店舗」であれば開業資金として500万円前後、「スケルトン(物件)引渡し」であれば開業資金として1,200万円前後を見積もっておいた方が良いでしょう。スケルトンの方が約2倍以上高くなることを想定しておきましょう!
こちらの記事では、飲食店の立地選びのポイントについて詳しく説明しています。
4.店舗内外装施工・メニュー開発
コンセプトをもとに、店舗の内装外観の設計やカフェのメニュー作りを行います。
ドリンクのココアに使うココアパウダーをチョコレートケーキに使用するなど、同じ材料を使う工夫を行うことで、廃棄ロスとコスト削減につながります。できるだけ無駄のないようにしたいですね!
5.厨房設備・什器・備品購入
カフェ席数によって金額は代わりますが、厨房設備・什器・備品購入で100万~500万を見積もっておくと良いでしょう。特に設備は、想像以上に費用がかさみますので、しっかりとした選定が必要になります。
※居抜き店舗を借りる場合は、すでに什器がそろっている場合があるので金額が抑えられます。また、中古の機器にすることで節約になりますので、そのあたりも検討されるといいと思います。
居抜き物件とスケルトン物件について
カフェの開業において、良い「居抜きテナント」に巡り合うことができれば、開業・創業時の設備投資額を大きく抑えることができます。
ただし、少し立ち止まって考えていただきたいのは、「居抜き」ということは、その前に同じ場所でカフェを開業していたオーナーがいて、様々な理由でうまくいかずに閉店に至ったという可能性があります。
オーナーにカフェ経営のセンスがなかった・・・という理由でしたらまだ良い(というよりは挽回の余地がある)のですが、立地面で思ったよりも地域での認知度が高まらず、新規のお客様が増えなかった・・・という理由で撤退した可能性もあります。
その見極めを外部から行うことは難しいのですが、弊社にご相談いただければ、カフェのテナントの選定段階から立地のアドバイス等も含めて行わせていただいております。お気軽にご相談ください。
なお、スケルトン物件とは、内装は一切施されておらず、コンクリートはそのままで配管や配線もむき出しになっているテナントです。オーナーが一から自由に内装設計やデザインを行える長所・メリットがありますが、デメリットとして内装費用が多額になります。そのため、一般的にスケルトン物件は十分な自己資金も必要となってくるでしょう。
6.カフェの開業に必要な手続き
カフェ開業に関して、下記の申請と資格が必要です。
- 飲食店営業許可申請
店舗完成の10日前までに保健所に届出をする必要があります。 - 食品衛生責任者資格
1日の講義受講で資格を取ることができます。 - 防火責任者資格(収容人数が30名以上のみ)
乙種講習は1日、甲種講習は2日間の受講で資格を取ることができます。 - 菓子製造業許可申請
パンやスイーツを製造し、店舗販売やテイクアウト販売する場合に必要です。 - 防火対象物工事等計画届出書
使用形態を変更して工事を行う場合(居抜きも含む)に必要です。
そのほか、業種や業態によって必要な届出が異なるため、忘れずに届出を行いましょう。
7.カフェ開業の準備
いよいよ開業ですが、カフェ開業の2週間前には、必要な設備や備品の準備・確認、スタッフの採用が完了していることが望ましいです。オープンに向けて最終準備を整えましょう。
カフェ開業に必要な資金はどのくらい?
具体的にはどのくらいの資金が必要なのか、例を紹介します。
面積10坪程度のカフェの場合です。
店舗の家賃や従業員の人数、メニューや内装へのこだわりなどによって、実際にかかる費用は変動しますので、あくまで参考値です。
費用名 | 内容 | 想定費用 |
---|---|---|
物件取得費 | 前家賃6か月分、敷金、礼金、仲介手数料など | 家賃12か月~15か月分 |
内装費 | 天井、壁、床など | 約20万~50万円 |
設備費 | ガス・電気・水道の配線や配管、厨房設備など | 約200万~250円 |
備品費 | テーブル、椅子、POSレジ、食器類など | 約30万~50万円 |
宣伝費 | 看板、チラシ、Webサイト、グルメサイトへの掲載、ポスティング費用など | 約20万~50万円 |
運転資金 | 家賃、光熱費、人件費、仕入れ代金など | 最低6か月分 |
カフェ開業のための資金調達方法について
カフェ開業資金は10席以下の小規模なカフェであれば約500万円前後~、30席以上の大きなカフェでは2倍以上高くなることもあります。また、都市部の人気エリアなどはそれ以上の資金が必要になります。
また、運転資金についても3か月~6か月分を準備しておくと、安心できるでしょう。
カフェに限った話ではないのですが、カフェの開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。
- 全額自己資金で賄う。
こちらの記事で自己資金について説明しています。
- 他人(家族・親族を含む)から出資を受ける。
- 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。
日本政策金融公庫の融資についてはこちらの記事でも説明しています。
このうち、自己資金で開業できればベストなのですが、カフェ開業に必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。
また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によってカフェ開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。
現実的には、日本政策金融公庫等の金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが多くなると思います。
それでは、具体的に融資を受ける方法について見ていきましょう。
カフェ開業に利用できる融資先の例
下記は、カフェの創業や開業時に利用可能な融資先の例です。
【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開など、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。
※日本政策金融公庫に飲食店で申請をご検討の事業者様
諸条件はありますが、東京都飲食業生活衛生同業組合に加入することで、金利等の優遇を受けられる場合があります。
【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。
まとめ
今回は、「カフェ開業」について、スポットをあてて見てきました。
飲食店の創業時の融資を含め、弊社では多くの融資サポート実績があります。また、創業融資代行サポート(CPA)では、カフェ開業を含む、多くの事業主様から、日本政策金融公庫の創業融資や創業支援のご相談を承っており、多くのノウハウや情報を持っております。まずはお気軽にご相談ください。お客様にとって最適なアドバイスを行わせていただきます。