近年、キッチンカーは人気が高まっており、様々な種類のキッチンカーが登場しています。気軽に美味しい料理を楽しむことができるため人気があり、イベントや観光地を盛り上げる存在としても注目されています。
また、最近では、訪日外国人観光客の増加に伴い、キッチンカーインバウンドが注目を集めています。
本記事ではキッチンカーでの開業と開業資金について解説したいと思います。ご検討の事業者様は、この記事を見て少しでも参考にしていただけますと幸いです。
キッチンカーとは
キッチンカーとは、食品の調理設備を備えた車両のことです。「フードトラック」「ケータリングカー」「ケータリングトラック」などとも呼ばれています。
軽トラックや軽バンなどの荷台や後部座席に調理設備を導入した車両が一般的です。あらかじめ仕込みをした食材や料理を積み、出店場所まで移動し、その場で煮る・焼くなどの簡単な調理を行います。
キッチンカーの特徴
- 調理設備を備えている
キッチンカーは、調理台、コンロ、冷蔵庫、シンクなどの調理設備を備えているため、注文を受けてから調理することができます。そのため、お弁当やお惣菜などのあらかじめ調理された食品だけでなく、揚げ物、焼き物、炒め物など、幅広いメニューを提供することができます。 - 移動販売が可能
キッチンカーは、車体にエンジンを搭載しているため、自走で移動することができます。そのため、イベント会場や観光地など、様々な場所で営業することができます。また、天候や客足に合わせて、出店場所を自由に選ぶこともできます。
- 店舗を持つよりも低コストで開業できる
キッチンカーは、店舗を構えるよりも初期費用が抑えられます。そのため、少ない資金で開業したい人にとって、魅力的な選択肢となっています。
キッチンカーの種類
キッチンカーの開業に際して、多くの方が悩まれるのが「キッチンカーの種類」となります。小型から大型まであり、荷室容量が大きく異なります。
調理したい料理の種類や調理方法、購入予算などを踏まえて、ご自身の事業にマッチしたキッチンカーを選択しましょう。
- 小型キッチンカー(軽自動車ベース)
維持費が安く、狭い場所でも駐車できます。初期費用は比較的安いです。 - 中型キッチンカー(1t~2tトラックベース)
調理スペースが広く、積載量が多いです。 - 大型キッチンカー(トラックベース)
調理スペースが非常に広く、広いお客様席を設けることができます。 - トレーラータイプのキッチンカー
車体とキッチンが独立しているため、非常に広い調理スペースを確保することができます。
キッチンカーのメニュー例
路上・公園・イベント会場で営業するキッチンカーにとって大事なのは、メニューの質と個性です。勝負のポイントは実店舗のような雰囲気ではなく、お店の看板となるメニューを作ることです。
近年では、地域の特色を生かしたローカルフードや、健康志向を反映したヘルシーフードを提供するキッチンカーも増えてきています。
- グルメフード系
ハンバーガー、タコス・ブリトー、ピザ、ホットドッグ - スイーツ・デザート系
クレープ、かき氷、ドーナツ、アイスクリーム - ドリンク系
コーヒー、フレッシュジュース、アルコール - 和食系
焼きそば、焼き鳥、おにぎり、弁当
キッチンカーを開業する流れとスケジュールについて
キッチンカーでの開業にはいくつかのステップがあります。
通常、準備から開業までに3〜3~6ヶ月程度かかると見込んでおくと良いでしょう。
以下にその流れを詳しく説明します:
1. キッチンカーのビジネスプランの作成
目的とビジョンの設定: キッチンカーでお客様にどのようなメニューを提供するのか、どのような顧客層をターゲットにするのかを明確にします。
市場調査: 競合他社や市場の需要を調査し、自分の強みや差別化ポイントを見つける。
オフィス街であれば平日のランチ需要が大きそうですし、住宅地であればランチよりも夕飯時にも一定のニーズある等。また、競合のキッチンカーの有無や、競合がいた場合には提供しているメニューの種類や価格帯も分析・調査しておきましょう。
その上で、競合のキッチンカーがいたとしても勝算があると判断した地域・ジャンル・時間帯にて勝負を掛けましょう。
財務計画: 初期費用、運営費用、売上予測を含む詳細な財務計画を立てます。
2. キッチンカーの許認可・販売許可を取得する。
保健所の許可: キッチン―は「移動販売車」として、保健所の営業許可を取得する必要があります。事前に保健所の相談しておいた方がスムーズです。
商標登録: キッチンカーのブランド名やロゴを商標登録することで、知的財産を保護します。
3. キッチンカーの購入と装備、開業資金の調達
車両の選定: 予算や必要な設備に応じて適切なキッチンカーを選びます。
内部装備: 厨房機器、調理器具、冷蔵設備、収納スペースなどを設置し、衛生基準を満たすようにします。具体的にはガスコンロやオーブン、鉄板焼き器、シンクや給排水設備、フライヤー、給湯器や炊飯器など、どのような設備が必要なのかを決めます。
また、キッチンカーの開業資金の調達・工面もこの段階で行っておく必要があります。
4. キッチンカーのメニューの開発
メニューの選定: 季節やターゲット層に応じたメニューを開発します。
原材料の仕入れ: 信頼できるサプライヤーから原材料を仕入れます。
5. マーケティングとプロモーション
ブランドの構築: キッチンカーのロゴやカラー、オリジナルのユニフォームなどで一貫性のあるブランドイメージを作ります。
オンラインプレゼンス: ウェブサイトやSNSアカウントを作成し、定期的に更新します。お金を掛けずにマーケティングできる点でSNSでの情報発信は非常に有効でしょう。
プロモーション活動: キッチンカーで地元のイベントに参加する、フライヤーを配布する、SNS広告を出すなど。
6. キッチンカーの運営開始
運営場所の選定: 人が集まる場所やイベントの近くなど、時間帯も加味しながら適切な営業場所を選びます。
営業日と時間の設定: 効果的な営業日と営業時間を決定します。
スタッフの採用とトレーニング: 必要に応じてスタッフを採用し、トレーニングを行います。
7. キッチンカー事業の継続的な改善
フィードバックの収集: キッチンカーを利用してくれたお客様からのフィードバックを収集し、サービスやメニューの改善に役立てます。
例えば、「ちょっと価格が高い」「料理が冷めている」「テイクアウト用の袋があると良い」等、消費者の様々なニーズをいかに汲み取るかがキッチンカー運営のポイントとなります。
業績の分析: 売上データや顧客動向を分析し、ビジネス戦略を調整します。
これらのステップを踏むことで、キッチンカーの売上を安定させるだけでなく、さらなる事業拡大のための基盤を築くことができます。
一方で、感覚だけに頼ったキッチンカー運営を行ってしまうと売上も安定せず、再現性のない事業運営となってしまいかねません。
キッチンカーを開業するのに必要な資金
キッチンカーの開業資金として、以下のような設備や運転資金が必要となります。
- 設備
車両、車両の改造費、調理用機器等があります。加えて、保健所の営業許可「飲食店営業」の取得や食品衛生責任者の資格取得も必要になってきます。
設備資金の目安は、200~500万円程度です。中古車なら金額を抑えることができます。
- 運転資金
仕入、水道光熱費、ガソリン代、駐車場代、出店料、広告宣伝費、販売手数料、保険料等があります。
設備や運転資金等、総額で300~800万円程度となり、概ねこの程度の資金があれば開業することができるといえます。
キッチンカー開業のための資金調達方法について
キッチンカーに限った話ではないのですが、キッチンカーの開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。
- 全額自己資金で賄う。
- 他人(家族・親族を含む)から出資を受ける。
- 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。
このうち、自己資金で開業できればベストなのですが、キッチンカーの開業に必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。
また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によってキッチンカーの開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。
現実的には、日本政策金融公庫等の金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが多くなると思います。
それでは、具体的に融資を受ける方法について見ていきましょう。
融資先の例
下記は、創業や開業時に利用可能な融資先の例です。
【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開など、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。詳しくは、こちらをご覧ください。
【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
まとめ
今回は、「キッチンカー開業と開業資金」について、スポットをあててみてきました。創業時の融資を含め弊社では、多くの融資実績があります。
また、創業融資代行サポート(CPA)では、キッチンカーの開業を含む、多くの事業主様から、日本政策金融公庫の創業融資や開業資金のご相談を承っており、多くのノウハウや情報を持っております。まずはお気軽にご相談ください。お客様にとって最適なアドバイスを行わせていただきます。