令和4年度の経済産業省の報告書によると、日本のEC市場規模は13兆円に達しています。この成長の要因として、アマゾンや楽天などの国内大手に加え、韓国や中国など海外向けの「越境EC」が急速に拡大していることが挙げられます。
今回はネットショップ(ECサイト)を開業する際に必要な知識と、資金調達について解説していきます!
ネットショップ開業をご検討の事業者様は、この記事を見て少しでも参考にしていただけますと幸いです。
目次
ネットショップ開業の基礎知識
ネットショップ開業に必要な基礎知識は下記のとおりです。
開業に必要な費用
まず、開業に必要な費用を紹介します。
出店費用
ネットショップを開業するには以下の方法があります。
- 既存の出店プランを利用する
無料プランを提供している場合もありますが、制約が多かったり、機能に限りがあることがあるため、注意が必要です。大手のECモールに出店する場合、月額で10万円程度かかることもあります。 - 出店サービスを利用せず、自分でネットショップを構築する
サーバーの利用料やウェブサイトの構築費用、ドメイン取得料などが必要になります。これらの費用は、数十万円から100万円程度かかることもあります。
出店費用とは別に、ECモールの利用料やサーバー利用料などはネットショップを開業した後も継続的に発生します。
既存の出店プランを利用してECモールに出店した場合は、月額の出店費用や販売手数料がかかります。
出店サービスを利用せず、自分でネットショップを構築した場合は、サーバーの維持費やサイトの保守・更新費用が定期的に発生します。
初期投資だけでなく、運営にかかるコストも考慮した上で、出店方法を決定しましょう。
設備費用
ECサイトを運営するには、インターネット環境が不可欠です。具体的には、インターネット回線の契約や、パソコンやスマートフォンといったデバイスを用意する必要があります。
さらに、プリンター、在庫を保管するためのスペース、梱包資材など、様々な設備費用も発生します。初期費用を抑えたい場合は、すでに自宅にある機器を有効活用したり、中古の機器を検討するのも一つの方法です。
設備費用は、運営規模やビジネスモデルにより異なりますが、一般的な金額は下記のとおりです。
小規模運営の場合:10万円〜30万円
中規模運営の場合:30万円〜100万円
大規模運営の場合:100万円以上
- ネット環境
◦インターネット回線:月額3,000円〜10,000円(回線速度や契約プランによる)
◦Wi-Fiルーター:5,000円〜20,000円
- 機器
◦パソコン:約5万円〜20万円
◦スマホ:約3万円〜10万円
◦プリンター:約5,000円〜10万円 - 在庫管理・保管スペース
◦在庫保管スペース:自宅で運営する場合は無料
倉庫を借りる場合は、月額数万円〜数十万円(地域やスペースの広さによる)
◦棚・ラック: 約5,000円〜10万円(規模による) - 梱包資材:1箱あたり数百円〜1,000円程度(仕入れ量によって変動)
- 在庫管理ソフト・会計ソフトなど(月額1,000円〜5,000円)
ネットショップ開業の初期費用は100万円以上になることがあります。資金計画をしっかりと立てましょう。また、資金調達方法については後の項で詳しく紹介しています。
モール型とASP型の違い
次に出店プランの形態(モール型・ASP型)について説明します
特徴 | モール型 | ASP型 |
説明 | 大手ECモールに出店する形態です。ECモール内で複数の店舗が一つのプラットフォーム上に集まり、出店者はその中で自分の店舗を運営します。 | 独自のオンラインショップを構築するためのサービスを提供するプラットフォームです。これにより、出店者は独自のドメインやデザインでネットショップを運営できます。 |
集客力 | 高い(モール自体が集客を行う) | 低い(自分で集客を行う必要あり) |
料金 |
| 基本無料、必要な機能に応じて追加で料金が発生する場合が多い |
自由度 | 制約が多い(デザインや機能に限界) | 高い(デザインや機能のカスタマイズが可能) |
競争 | 競合が多く、価格競争が激しい | 競合は少ないが、集客が自力で必要 |
手数料 | 高い(販売手数料や決済手数料など) | 低い(基本的には月額費用のみ) |
主な例 |
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- モール型は、初期費用が比較的低く、集客力も高いですが、競争が激しく、自由度が制限されます。特に集客に困らず、比較的早く売上を上げたい場合に向いています。
- ASP型は、自由な店舗運営ができ、手数料が低い反面、集客は自分で行う必要があり、マーケティングのスキルが求められます。独自ブランドを構築したい場合に適しています。
どちらの出店方法を選ぶかは、ビジネスの目的や運営スタイルに応じて決めることが重要です。
販売できるかどうかの確認する
多くのプラットフォームには販売が禁止されている商品があります。ネットショップを開業する際は、販売する商品がそのプラットフォームで販売可能かどうかを確認することが重要です。具体的には、違法な薬品や武器、著作権侵害をする商品などが該当します。開業前に、ネットショップの規約やサービスのポリシーを確認し、問題がないか事前に確認しておきましょう。
必要な届出や許可を確認する
ネットショップを開業するには、まず開業届を提出する必要があります。さらに、開業届とともに「青色申告承認申請書」を提出することで、控除や赤字の繰越など税務上の特典が受けられるため、合わせて提出しましょう。
また、取り扱う商品やサービスによっては、販売前に特別な許可や届け出が必要となる場合があります。事前に許可や申請が求められる商品は以下のとおりです。
- 薬品や医薬品:薬事法に基づく許可が必要
- 酒類:酒類販売免許を取得する必要あり
- タバコ:喫煙具やタバコを販売する場合、税務署への届け出が必要
- 食品:食品衛生法に基づき、保健所への届出や許可が必要
- 化粧品:化粧品販売には、厚生労働省への届け出が必要
- 古物:中古品を販売する場合は、公安委員会への許可が必要
取り扱う商品に応じて、必要な許可や届出が異なるため、事前に確認しましょう。
炎上リスクに注意する
ネットショップを運営する際には、炎上リスクにも十分注意が必要です。一度の炎上が原因で閉店に追い込まれることもあるため、誤解を招く表現や不適切な対応は避けることが大切です。特に、商品説明や広告で不正確な情報や誇張した内容を提供することは避けるべきです。また、顧客とのやり取りにおいても、言葉遣いには細心の注意を払い、丁寧な対応を心掛けましょう。
ネットショップ開業の流れ
ネットショップ開業の詳しい流れはこちらの記事で紹介しています。合わせてご確認ください。
ネットショップ開業のための資金調達方法について
次に資金調達方法について説明します。ネットショップ(ECサイト)開業に限った話ではないのですが、ネットショップ開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。
- 自己資金
自身が所有する資産を利用する資金調達方法です。自己資金が多いと多くの融資を受けやすくなるというメリットもあります。自己資金の説明はこちらの記事で詳しく説明しています。
- 親・親戚・友人に貸してもらう。
公式な手続きや審査が不要なため、迅速に資金を調達できるほか、低金利または無利息で借りられることが多く、返済期間についても柔軟に設定できる場合が多いです。 - 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。
日本政策金融公庫の融資についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
- ベンチャーキャピタル
将来成長が見込めるベンチャー企業やスタートアップ企業の将来の成長を見込んで投資する組織のことです。資金を返済する必要はありませんが、企業が成長や上場したときに株式を売却することで資金を回収します。 - エンジェル投資家
将来成長が見込めるベンチャー企業やスタートアップ企業に出資する個人投資家のことです。投資したお金を企業から直接回収することはせず、将来そのベンチャー企業が株式上場した際の出資金のキャピタルゲインを得ることを目的としている場合が多いです。
このうち、自己資金で開業できればベストなのですが、必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。
また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によって開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。
現実的には、日本政策金融公庫などの金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが多くなると思います。
それでは、具体的に融資を受ける方法について見ていきましょう。
融資先の例
下記は、創業や開業時に利用可能な融資先の例です。
【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開など、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。詳しくは、こちらをご覧ください。
【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
まとめ
今回は、「ネットショップ(ECサイト)開業」について、スポットをあててみてきました。日本政策金融公庫による創業時の融資を含め弊社では、多くの融資実績があります。
また、創業融資代行サポート(CPA)では、ネットショップ開業を含む、多くの事業主様から、日本政策金融公庫の創業融資や創業支援のご相談を承っており、多くのノウハウや情報を持っております。まずはお気軽にご相談ください。お客様にとって最適なアドバイスを行わせていただきます。