女性による起業は近年注目を集めています。
日本政策金融公庫が公開している2022年度の「新規開業実態調査」によると、開業者に占める女性の割合が過去最高を記録しました。
これから起業を考えている女性の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、女性が起業する際に人気の事業や職種について、調査データをもとに詳しく解説します。
起業を考えている女性の方はぜひ本記事を参考に、事業や職種を選んでみてください。
目次
女性が選ぶ人気の事業・職種と成功事例を紹介
日本政策金融公庫が融資した開業後4年以内の企業7,915社のアンケート調査である「女性による新規開業の特徴~「2022年度新規開業実態調査(特別調査)」結果から~」を見てみると、女性の業種別の開業割合については下記の通りとなりました。
圧倒的に多いのがサービス業で全体の4割をしめます。
その他小売業と医療福祉関係が約15%、飲食店・宿泊業が12%と男性より起業率が高い傾向にありました。
一方で、建設業・情報通信業、運輸業、不動産業は女性にとっては不人気の職種となりました。
また、女性起業家には下記のような特徴もあります。
- 開業時の経営形態は「個人経営」が70.1%と多く、株式会社化しているケースは少ない
- 女性起業家の主な販売先・受注先は、「一般消費者」が82.3%となり、B to C事業が多い
- 商圏を「事務所や店舗の近隣」「同じ市区町村内」にしている女性起業家は、53.1%と多く、基本的には生活県内でサービスを展開している
- 女性起業家の商品・サービスの主な最終ユーザーの性別をみると、「女性」が36.4%と主なターゲットを女性としている
つまり、女性起業家は「個人事業主のB to C事業で主に女性をターゲットとし、生活県内でサービスを提供する」という傾向にあります。もう少し具体的に内容を見ていきましょう。
(1) サービス業(全体の40.4%)
女性起業家の約4割が「サービス業」での起業を選んでいます。
サービス業は、個人事業主で低コストで開始できることや、特定のスキルを活かしやすい点が魅力です。
具体的な業種について紹介していきます。
エステサロン・美容関連
美容や健康意識の高まりを背景に、ネイルサロンやエステサロン、リラクゼーションサロンなどが人気です。
参入障壁が低いことや高いニーズがあることなどが高い人気となっている理由かと思われます。
成功事例としては下記のフェイシャルエステサロンが挙げられます。
幅広い年齢層の方にワンストップで様々な美容サービスを提供することを差別化ポイントとしてあげています。
ペット関連サービス
ペットブームの影響で、ペットシッターやトリミングサロンの需要が高まっています。
ペットを飼う家庭が増えた一方で、忙しい飼い主をサポートするサービスが求められています。
専門知識や資格があれば信頼性が向上しやすい点がポイントです。
成功事例としては下記のドッグサロンがあります。
一般的なペットサービスから預かりサービスまでを展開し、差別化しています。
(コロナ禍における 小規模企業の創業事例集 〜A(U・I・J)ターン及びコロナ禍で⼯夫している創業事例を中⼼に〜 )
(2) 小売業(15.5%)
女性特有のセンスを活かした商品選定や、ECサイトの普及により、低リスクで始められる点が魅力です。
ハンドメイド商品販売
アクセサリーや雑貨を制作・販売するビジネスは、自宅で始めやすい事業として人気です。
特にメルカリといったフリマアプリやBASEといった無料で利用できる通販サイトの普及に伴い、
子供向け用品の販売
子育て経験を活かし、育児に役立つ商品の販売を行う女性も多く見られます。
代表的な成功事例としては下記が挙げられます。
看護師だった須佐瞳氏は、育児中に「もっとシンプルで使いやすい抱っこ紐が欲しい」と感じ、自作を開始しました。それを使っているところを見た友人からの依頼を契機に販売を開始しました。
(3) 医療・福祉(15.0%)
介護サービスや保育施設の運営など、社会的なニーズが高い分野での起業も支持されています。
保育園
保育園不足が問題となって久しいですが、逆に言えば、大きなチャンスともなる分野です。
成功事例としては下記が挙げられます。
事例:「合同会社はひぷぺぽ」墨田区で小規模保育所をゼロから立ち上げ J-net21
介護サービス
高齢化社会の中で、地域に密着したサービスを提供する事業は需要が高まっています。
(4) 飲食業(12.6%)
趣味や特技を生かせる分野として、飲食業は根強い人気があります。
カフェ・軽食スタンド
地域のコミュニティスペースとして、アットホームな雰囲気の店舗を展開する事例が増えています。
また、地産地消といった地元に特化したカフェを起業するケースも多い傾向にあります。
下記の成功事例は地元の農家から直接仕入した商品を使ったメニューを提供してます。
保育士の管理栄養士としてのスキルも活用し、バランスのとれたメニューを提供するとともに、子供の料理教室なども行い、地元に根差した活動を行っています。
(コロナ禍における 小規模企業の創業事例集 〜A(U・I・J)ターン及びコロナ禍で⼯夫している創業事例を中⼼に〜 )
女性起業家のための資金調達方法
起業を成功させるために、利用可能な資金調達を活用することが重要です。
特に
(1) 融資制度
日本政策金融公庫や地方自治体は、女性起業家を対象とした融資制度を提供しています。
初期資金の調達をサポートするこれらの制度は、特にサービス業や小売業での起業を支えています。
特におすすめなのは日本政策金融公庫の新規開業資金です。
2024年4月より融資制度が大幅に拡充され、無担保無保証制度や融資上限金額の増加、据置期間の増加や自己資金要件の撤廃などがされました。
特に女性起業の場合、女性、若者/シニア起業家支援資金といった資金(新規開業資金と利息以外はほぼ同様)を使うことで、利息が安くなります。
起業を考えている方は必ず検討すべき融資制度といえるでしょう。
(2) 助成金・補助金
厚生労働省や地方自治体は、女性起業家向けの助成金や補助金を設けています。
これらを利用することで、事業開始時の負担を軽減できます。
(3) 起業セミナーやネットワーク
地域の商工会議所や女性起業家向けのコミュニティでは、セミナーや情報交換会が頻繁に開催されています。
これらに参加することで、他の起業家とのつながりを持つことが可能です。
まとめ
今回は女性が起業する際に人気の事業や職種について紹介してきました。
ポイントは下記の通り。
- サービス業が女性起業家に最も人気で、個人事業主として低コストで始められる業種が多い。
- 小売業や医療・福祉分野も注目され、特に地域密着型や女性向けサービスが成功しやすい傾向にある。
- 日本政策金融公庫の新規開業資金や助成金・補助金を活用することで、初期費用の負担を軽減可能。
- 起業成功の鍵は、特技や経験を活かし、地元資源やニーズに合った差別化を図ること。
- 起業セミナーやネットワークを通じて情報交換や人脈形成を行うことで、事業の安定化を目指せる。
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