創業融資の運転資金と設備資金の違いを解説

創業融資の運転資金と設備資金の違いについてご存知でしょうか。
なんとなく違いは分かっているものの、違いを明確に説明できるという方は少ないかと思います。
そこで今回は創業融資の運転資金と設備資金の違いについて解説していきます。
誤って認識していると大きな不利益になることもあります。
正しく認識したうえで、創業融資の審査に申し込みましょう。

創業融資には運転資金と設備資金の２つの資金がある

創業融資には運転資金と設備資金の２つの資金があります。
公庫の新創業融資制度の概要には下記の通り、説明があります。

資金のお使いみち・・新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額・・3,000万円（うち運転資金1,500万円）

また公庫が提供している創業計画書の中でも下記のとおり、明確に運転資金と設備資金は分かれています。

7.必要な資金と調達方法の欄に設備資金としていくら必要か、運転資金としていくら必要か記入する欄があります。
このとおり、運転資金と設備資金は明確に分けて説明しなければなりません。
また実際の面談でも運転資金はいくら必要で、設備資金はいくら必要かということは聞かれるでしょう。

しかしながら、運転資金と設備資金の違いを正しく把握していなければ、しっかりとした答えを出すことはできませんよね。
そこで次の章では運転資金と設備資金の違いについて解説していきます。

運転資金と設備資金の違い

運転資金と設備資金の特徴と違いを具体的な費用項目を含めて解説していきます。

設備資金とは？具体例も解説

設備資金は一時的に必要となる資金のことです。
主な費用項目は下記の通りです。

土地・建物、店舗、車両、機械の購入
知的財産権に係る費用
事務所や店舗内の設備や備品（パソコン・コピー機・事務用品など）
無形資産（ECサイト構築や自社ホームページ作成費用など）
店舗や事務所の改装費

主に資産計上される科目が対象となり、基本的には貸借対照表の「固定資産」の欄に計上されるものをいいます。
事業の将来のために使う資金となります。公庫の創業融資では運転資金よりも金利が安くなる傾向にあり、また返済期間も長めに設定されることが多いです。
設備資金は資金の利用目的が明確でなければいけません。
例えば、「この店舗を購入するのに○○円必要、金額の根拠は見積書のとおり」といったように具体的に何にいくら使うのかというのを明記する必要があります。

運転資金とは？具体例も解説

運転資金とは継続的に必要となる資金のことです。
主な費用項目は下記の通りです。

買掛金での支払い分
商品の仕入れ代金
広告宣伝費
人件費
事業所や店舗の光熱費、家賃、通信費
外注費

主にランニングコストと呼ばれる継続的に必要となる費用に対する資金が運転資金です。
一般的には、損益計算書の「費用」の欄に計上されることをいいます。
運転資金は現在の会社運営のために利用する資金となります。
運転資金は設備投資とは異なり、資金の用途に柔軟性があります。
ですので、設備資金ほど明確になににいくら必要かという点は求められません。

運転資金と設備資金の違い

運転資金と設備資金の違いを簡単に表にまとめますと下記の通りとなります。

運転資金	設備資金
・現在の会社運営のために使う資金・継続的に資金を使う・損益計算書の「費用」に計上されることが多い・資金の用途は柔軟性がある	・将来の会社運営のために使う資金・一時的な資金・貸借対照表の「固定資産」に計上されることが多い・資金の用途は限定的。前もって決まった設備しか利用できない

上記のとおり、運転資金と設備資金には性質に大きな違いがあります。
融資審査の際は明確に区別する必要があるので、上記の違いをしっかり把握していきましょう。

運転資金と設備資金を区別する際に、2点注意点があります。
下記の章で解説していきます。

設備資金と運転資金の注意点

設備資金と運転資金を利用する上での注意点は下記の通りです。

設備資金の方が有利な条件となりやすい
設備資金を運転資金として利用すると一括返済を求められることも

具体的に解説していきます。

設備資金の方が返済期間が長くなることが多い

設備資金の方が運転資金よりも返済期間を長めにできることが多いです。
例えば、返済期間は運転資金は原則として3年~7年であるのに対して、設備資金は5~10年程度の期間で借り入れすることができます。
また設備資金は条件を満たしていれば、最長20年の返済期間を設けることができます。
設備資金は運転資金よりも大きな投資となりやすく、返済に時間がかかるため、返済期間が長く設定される傾向にあります。