創業融資

鍼灸師の自宅開業|創業融資は必要?出張・レンタルサロンとの比較と資金計画の立て方

自宅開業なら、わざわざ融資を受けなくてもいいのでは?

保健所の基準を満たす内装にするだけで、意外とお金がかかりそう…

出張やシェアサロンから始めたほうがリスクは低いの?

鍼灸師として独立を考える際、固定費を抑えられる自宅開業や出張、シェアサロンは非常に賢い選択です。

しかし、いざ準備を始めると

  • どこまで自己資金で賄うべきか
  • どのスタイルが一番自分に合っているのか

という現実的な壁にぶつかります。

この記事では、鍼灸師の独立における創業融資の考え方と、開業形態の違いを実務目線で整理しております。結論を急ぐ必要はありません。まずは「今の自分の計画に何が必要か」を一緒に確認していきましょう。

この記事でわかること

🔸自宅だから安く済むと思いがちな初期費用の落とし穴
🔸自宅・出張・シェアサロン、自分に合った開業形態は?
🔸開業の流れ
🔸鍼灸師の創業融資で見られるポイント
🔸初期費用の目安と融資の考え方【開業形態別】

   監修: 駒田 裕次郎 駒田会計事務所【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2026年2月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

日本政策金融公庫の創業融資には、書類作成段階からいくつかのポイントがあります。公庫の認定支援機関でもある弊社コマサポでは、事業計画書の内容から融資審査の面談まで、手厚くサポートさせていただいております。まずは無料相談にお気軽にご連絡ください。

鍼灸師の独立で悩む人が最初につまずくポイント

自宅だから安く済むと思いがちな初期費用の落とし穴

自宅開業の場合、テナントを借りない分、家賃がかからないのは大きなメリットです。
ただし、「ほとんどお金はかからない」と考えてしまうと、後から困るケースも少なくありません。

例えば、次のような費用は、自宅開業でも確実に発生します。

  • 保健所基準を満たすための内装・設備工事
  • 施術スペースと生活スペースを分けるための簡易工事
  • 施術ベッドや備品の購入
  • 開業後すぐに売上が安定しない期間の生活費・運転資金

特に見落とされやすいのが、「開業後半年分程度の生活費・固定費」です。
売上が立ち上がるまでの期間をどう乗り切るかは、資金計画を考えるうえで重要な視点になります。

創業融資はハードルが高そう、という先入観

もう一つ多いのが、「創業融資はハードルが高い」「自分は対象外ではないか」という不安です。

  • 自宅開業だからダメなのでは
  • 鍼灸院は医療系で難しいのでは
  • 実績がないと通らないのでは

こうしたイメージが先行し、調べる前から諦めてしまう方もいます。
ただ、この段階では「正しいかどうか」を判断する材料が揃っていないことがほとんどです。

調べれば調べるほど判断できなくなる理由

ネット上には多くの情報がありますが、制度の説明だけで終わっていたり、個別事情が考慮されていないなど、「自分の場合に当てはまるか」が分かりにくいのが実情です。

ここで必要なのは、「すぐに融資を申し込むかどうか」ではなく、判断するための情報の整理です。

【比較】自分に合った開業形態は?自宅・出張・シェアサロン

情報整理の第一歩として、初期費用を抑えた開業で、「自宅」と他の選択肢との違いを整理しておきましょう。

1.自宅開業

自宅開業は、固定費を抑えつつ、自分の「城」を築きたい方に向いています。

メリット🔸移動時間ゼロ
🔸家賃負担を抑えつつ、自分の好きな空間を作れる
デメリット🔹保健所基準のクリアに費用がかかる
🔹プライバシー確保の工夫が必要

2.出張開業

出張開業は、初期費用を最小限に抑えたい方に向いています。

メリット🔸家賃がゼロ
🔸ポータブルベッドがあれば即開業可能
デメリット🔹移動効率が悪く1日の施術件数が限られる
🔹信頼獲得に時間がかかる

3.シェアサロン開業

シェアサロン開業は、立地を重視し、リスクを抑えたい方に向いています。

メリット🔸都心などの好立地で開業できる
🔸内装工事が不要
デメリット🔹利用料が変動費としてかかる
🔹看板が出せず、リピート率向上に工夫が必要

賃貸テナントで開業する場合はどうなのかも気になりますね。
この選択は、単に「どちらが良さそうか」で決めるものではなく、初期費用・毎月の固定費・融資の使い方によって、向いている開業形態が大きく変わります。

自宅開業と比較すると、以下のようになります。

比較項目賃貸テナント自宅開業
初期費用保証金・礼金・内装工事費などが別途必要内装工事などが発生するが必要最低限
毎月の固定費光熱費・通信費に加え、家賃が発生光熱費や通信費など
融資の考え方固定費を含めた余裕が必要借入額を抑えやすい
融資審査の評価事業計画による事業計画によるが大きな問題なし
開業初期のリスクやや高い低い
向いている人早期に売上が見込める人慎重に始めたい人

賃貸テナントを選ぶ場合は、融資や自己資金で最低でも6か月分以上の固定費を見込めているかが一つの判断基準になります。

開業の流れ

【開業形態別】必要な届出

開業形態によって必要になる届出が異なりますので、一覧でみてみましょう。

自宅開業出張開業
シェアサロン開業
届出場所保健所 or 自治体の担当課
届出書類施術所開設届出張業務開始届
届出の提出期限開業後10日以内業務開始後10日以内
その他必要書類鍼灸師免許証
平面図
鍼灸師免許証

自宅の一部を鍼灸院にするためには、保健所に施術所開設届を届け出る際に、構造設備基準及び衛生上の措置を満たす必要があります。
内装の図面完成のタイミングで、管轄の保健所に基準をクリアしているかの確認をしておくと、申請がスムーズになります。

参照:東京都保健医療局|施術所の構造設備基準等について

開業までの6ステップ

開業までの流れは、以下のようになります。
開業形態を問わず、市場調査を行って地域で継続できそうかどうかを確認することをお勧めいたします。

①市場調査
 ↓
②ビジネスプランの作成
 ↓
③開業場所の決定(自宅、シェアサロン)
 ↓
④保健所への書類提出
 ↓
⑤税務署での開業手続き
 ↓
⑥宣伝活動

1. 市場調査

  • ターゲット層の特定
    美容意識の高い女性、中高年以降の近隣住民など
  • 競合分析
    美容系、病後ケア系など差別化ポイントを見つける

自宅やシェアサロンの立地が住宅街なのか、人が多い駅近立地なのか、オフィス街に近いのかによって顧客層が異なります。

まずは地域の状況を知り、競合にはない特色を出していくことが重要になります。

ご自身の強みを明確にするためには、競合分析が必須です。
以下の記事では、事業の強み、競合相手、市場規模の分析に最適な方法を詳しく紹介しています。

SWOT分析とクロスSWOT分析について!詳しく解説します創業時に関わらず、事業を行う際にはその前提となる事業計画を立てることが多いと思います。その際に、事業の強みや弱み、事業を取り巻く環境の機...

2. 事業計画の作成

いきなり完璧な事業計画書は書けません。
まずは、箇条書きで以下の内容を書き出すところからスタートし、整理しながらまとめていく方法をおすすめいたします。

  • 鍼灸院の目的と方針
    開業する目的や施術方針を決定する
  • 対象者と施術内容の決定
    市場調査をもとにターゲット層を絞り込み、施術内容を決定する
  • 料金の決定
    競合との比較、市場の需要を考慮し、価格を設定する
  • 集客方法の決定
    集客から予約、来場までの流れを考え、その計画に必要なもの(ホームページの整備やチラシ、SNSなど)を具体的に決定する

3. 保健所への書類提出

開業(事業開始後)10日以内に、管轄の保健所か自治体の担当窓口に届出を提出します。

自宅開業出張開業
シェアサロン開業
届出場所保健所 or 自治体の担当課
届出書類施術所開設届出張業務開始届
届出の提出期限開業後10日以内業務開始後10日以内
その他必要書類鍼灸師免許証
平面図
鍼灸師免許証

4. 開業手続き|事業開始から1か月以内

事業を開始する際には、個人事業主か法人を選択します。
まずは個人事業主で開始される方がほとんどです。

個人事業主での開業の場合、以下のような手続きがあります。
「開業届」と「事業開始等申告書」、「青色申告承認申請書」は同時に提出すると一度で済ませられます。

【必須】

  • 開業届の提出
    届出先:税務署
    開業後、1か月以内に税務署に提出する
  • 事業開始等申告書の提出
    届出先:都道府県税務署
    事業所がある都道府県税務署が定める期限内に提出する

【任意】

  • 青色申告承認申請書
    届出先:税務署
    新規開業の場合は、業務を開始した日から2か月以内に提出
    白色申告に比べ節税効果が高い
  • 商号登録
    教室の名称を商号としたい場合は、商標登録を検討する

青色申告承認申請書の提出についてはこちらをご参照ください
国税庁|青色申告制度

開業届の提出についてはこちらをご参照ください
国税庁|個人事業の開業届出等手続

商号登録はこちらをご参照ください
商標登録のいろは|特許庁

青色申告のメリット

  • 最大65万円の特別控除
  • 赤字を最大3年間繰り越し可能
  • 家族の給与を経費計上できる
  • 30万円未満の資産を一括で経費にできる など

個人事業主と法人、何が違う?

両者の大きな違いは税金で、個人事業主が所得税(累進課税、最高45%)であるのに対し、法人は法人税(比例課税、15~23.2%*)になります。まずは個人事業主で創業し、所得が年800万円を超えたあたりで法人化を検討されるのがよいでしょう。

*参照:国税庁|法人税の税率

5. 設備の準備

鍼灸院の開業準備は、①環境・設備と②施術道具に分けられます。
出張やシェアサロンでの開業でも、備品・施術道具は必要になります。

1. 環境・設備

準備の中で最重要項目なのが、安心して施術を受けられる環境整備です。
構造設備基準に適合している前提で、注意すべきは次の3点です。

  • 受付や施術室がリラックスできる内装・雰囲気
  • 施術ベッドの配置や、患者のプライバシーを考慮した間取り
  • 清潔感あるトイレや水廻り

2. 道具

鍼や灸、鍼パルスなど、ご自身の施術内容に合う道具をそろえます。
出張開業の場合、施術用の簡易ベッドやマットレスも必要になる可能性があります。

6. 宣伝活動

自宅開業で住所が出せなくても、SNS等で積極的にアピールを!
集客~予約、来場までの流れは決めておく!

開業日を決め、予約を開始します。
駅前や商業施設前などでのチラシ配布、ホームページの作成、SNSなどで集客を図りましょう。

SNSでは、施術内容を細かく解説したり、キャンペーンや季節に応じたおすすめの施術などを定期的に発信すると効果的です。

結論|どの開業形態でも創業融資は申請できる

結論からお伝えしますと、開業形態に関係なく創業融資は申請できます。自宅開業だから、出張開業だからといって一律に融資対象外になる、ということはありません。

実際、鍼灸師の方が公庫の創業融資や、信用保証協会付きの制度融資を活用して開業しているケースは珍しくありません。ただし、「誰でも」「いくらでも」「必ず通る」わけではない、という点も同時に理解しておく必要があります。

▼創業融資や制度融資は、こちらの記事で詳しく解説しております。

日本政策金融公庫と信用保証協会の違いとは?創業融資の専門家が「あなたに最適な選択」を徹底解説【保存版】 はじめに:創業融資の2大選択肢、「日本政策金融公庫」と「保証協会」で悩んでいませんか? 資金調達を考えているけれど、どちらの制度...

次の章では、審査で実際に見られているポイントを整理します。

審査で見られるのは「形態」ではなく「継続性」

公庫の担当者がチェックするのは、建物の形態ではなく「事業の継続性」です。

鍼灸師の創業融資で見られる3つの視点

実務上、よく見られているのは次の3点です。

  1. 開業の現実性
    本当に営業できる状態なのか、保健所対応や導線が整理されているかが見られます。
  2. 資金計画の妥当性
    必要な費用が抜け落ちていないか、借入額が現実的かが確認されます。
  3. 継続性・再現性
    一時的な売上ではなく、継続的に返済できる見込みがあるかが重視されます。

自宅開業ならではのプラス評価・注意点

自宅開業は、固定費が低いという点でプラスに評価されやすい側面があります。
一方で、

  • 生活と事業の線引きが曖昧
  • 実態が見えにくい

といった点があると、説明が必要になります。

出張やシェアサロンでの開業も同じで、実務上は「店舗でないから不利」ではなく、どう説明できるかがポイントになります。

実務上つまずきやすいポイント

事業計画を立てる上でつまずく方が多いのが、以下の内容です。

  • 売上予測が根拠不足
  • 初期費用が楽観的すぎる
  • 運転資金を考慮していない

数字関係は具体的に根拠を示し、事業自体は最低でも1年間の生活をシミュレーションするなど、慎重に整理しておく必要があります。

以下の記事では「つまずきやすいポイントをどのように事業計画書に反映させるか」を、事例を交えて解説しております。ぜひご覧ください。

個人事業主向け創業融資徹底解説
【個人事業主向け】創業融資を徹底解説!日本政策金融公庫の申請から審査通過の秘訣まで 「創業資金はどうやって準備すればいいのか分からない」 「日本政策金融公庫ってよく聞くけれど、自分でも利用できるの?」...

開業形態別・いくら借りるのが適切か

初期費用の目安と融資の考え方

開業するには、主に次のような費用が発生します。

  • 内装・設備費(自宅開業のみ)
  • 施術機器・備品
  • 広告費・HP制作費
  • 開業後の運転資金・生活費

これらを整理したうえで、自己資金と融資のバランスを考えます。

▼開業形態別の初期費用の目安
開業形態初期費用の目安融資の検討ポイント
自宅開業100〜500万円内装などの工事が必要なため、融資検討の価値が高い
出張開業30〜80万円施術道具類と広告費のみ
自己資金で賄えるケースも多い
シェアサロン開業50〜100万円施術道具類と広告費のみ
広告費と運転資金を確保したい

自己資金と融資のバランス

融資を利用する・しないに関係なく、最低半年間の生活費・固定費の準備を!

「借金は怖い」と感じるのは自然なことです。
ここで大切なのは、「借金がある状態」と「手元資金が極端に少ない状態」、どちらがあなたの精神衛生上よいかという視点です。

手元資金が少ないと広告費を削らざるを得なかったり、判断が守りに入りすぎたりします。どちらが良いかではなく、自分にとって無理のない状態はどこかを考えることが大切です。

専門家に相談するのは「まだ早い」と感じている方へ

「融資を受けると決めていないのに相談していいの?」と迷われるかもしれませんが、実はこの段階での相談が最も価値があります。

  • セカンドオピニオンとし
    「今の計画に無理がないか」を第三者の視点で確認するだけで、漠然とした不安は消えます
  • 相談すると整理されること
    自分の強みの言語化、必要な資金の具体化、そして「今、無理に動かなくてもいい理由」が見つかることもあります

私たちは無理に契約を迫ることも、決断を急がせることもありません。

【Q&A】よくある質問

自宅が賃貸でも融資は使えますか?

可能です。ただし、大家さんの「開業承諾書」が必要になるケースが多いです。

出張やレンタルサロンでも融資は受けられますか?

可能です。ただし、拠点が固定されない分、「どうやって安定的に集客するか」の計画がより重視されます。

女性鍼灸師でも融資の条件は同じですか?

制度上は全く同じです。
公庫では、女性の創業には基準金利よりも低い特別利率が適用されます。

家事や育児と両立しやすい「自宅・出張」は、資金面でもライフスタイル面でも非常に合理的な選択肢になります。

まとめ|後悔しない独立のために大切なこと

鍼灸師の自宅開業は、資金面でも現実的な選択肢になり得ます。
ただし、自宅の改装や必要なケースが多く、「何となく始める」「勢いだけで決める」という開業は、後悔につながりやすいです。

迷っているのは慎重に考えている証拠で、その姿勢自体は、決して間違っていません。
判断材料を整理したうえで、必要であれば、同じようなケースを多く見てきた専門家に
一度話をしてみるのも一つの選択肢です。

無理に進む必要はありません。まずは「今の自分の立ち位置」を整理してみる。それだけで、次の一歩は驚くほど軽くなります。

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駒田会計事務所【コマサポ】

代表 駒田裕次郎 税理士・公認会計士・認定支援機関

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