バーンレートは、資金燃焼率のことを言い、ベンチャー企業やスタートアップ企業でよく使われる指標です。
この指標は、企業が1ヶ月にどれだけコストをかけているかを示します。特に新興企業は売上が少ないため、コストのかかる段階であり、バーンレートを知ることは資金調達の目安となります。

ランウェイは企業の設立資金が尽きるまでの期間で、計算にもバーンレートが使われます。バーンレートの理解は経営陣や設立者にとって重要で、資金不足の時期や成長予測に役立ちます。
この指標を通じて、月ごとのマイナスキャッシュフローや資金から見積もった維持期間、枯渇タイミングの把握が肝要です。
新興企業では資金が限られているため、バーンレートの把握は自社の生存期間や経営戦略の評価につながります。
目次
バーンレートの種類
バーンレートには、グロスバーンレートとネットバーンレートの2つのタイプがあります。この2種類それぞれの違いを把握し区別することが重要です。
グロスバーンレート
グロスバーンレートにおける「グロス(Gross)」は「総額」を意味し、「グロスバーンレート」は、企業の1ヶ月間の支出総額を指します。
ネットバーンレート
英語で「Net」は純資産を意味し、純資産とは総資産から負債を引いた金額です。つまりネットバーンレートとは実質コストのことであり、グロスバーンレートから収入を引いた額を指します。
バーンレートは、企業の資金余力がどれくらいあるかを見積もるために計算します。そのため、バーンレートという言葉を使う際には、一般的にネットバーンレートのことを指している場合がほとんどです。
バーンレートの計算方法
バーンレートは月単位で表示するのが一般的です。計算方法は
「1ヶ月でかかった総経費-1ヶ月の総収入」です。
例)今月の総支出が3000万円、総収入が1500万円だったとします。この場合のバーンレートは「3000万円-1500万円=1500万円」という計算になります。
総収入が総支出を上回っている企業は、バーンレートがマイナスの値になることを頭に入れましょう。
費用や収入の中にはその月のみ発生する特殊なものも含まれている場合があるため、そうしたものは取り除き計算したほうが翌月以降の参考にしやすい数値となります。
バーンレートの活用「ランウェイ」とは
企業設立時の資金がなくなるまでの猶予期間を「ランウェイ」と呼びます。これを計算する際にもバーンレートを活用できます。ランウェイの計算方法は
「残りの資金÷ネットバーンレート」です。
例えば、残りの資金が800万円、バーンレートが200万円だったとします。
するとこの会社のランウェイは「800万円÷200万円=4ヶ月」ということになるでしょう。
つまり、あと4ヶ月で資金が尽きることを意味します。そのため、何かしらの経営戦略を考える必要があります。
このように、バーンレートを活用してランウェイを計算すると、会社の経営状態を見直すきっかけにもなるため、ベンチャー企業やスタートアップなどの新興企業には重要な指標とされます。
ランウェイの把握
ベンチャー企業やスタートアップ企業の経営者は、バーンレートとランウェイを適切な状態に維持することが、企業の経営維持につながります。常に1年間のランウェイ確保をしておけばある程度安心できます。しかし、これはあくまで起業して間もない会社の話になります。

起業して最初の1年を乗り越えた会社は、その後数年にわたって事業を継続する事が次の目標になるでしょう。その際にはランウェイが18ヶ月以上であることが理想的です。
バーンレートとランウェイを把握しておけば企業の資金を常に把握できるので、イレギュラーな事態が起きた際、早急な対応が可能となります。
ランウェイを把握すれば企業戦略の見直しができる
ベンチャー企業やスタートアップ企業に限らず、ランウェイが12ヶ月を切った際には企業戦略を見直す必要があります。
たとえば、自社製品の開発ではなく受託製品の開発に路線を変更するといったような多少バーンレートが高めでも自社の成長につながる大きな投資をするなど、思い切った決断をしたことが契機で、ランウェイを持ち直せた企業も少なくないです。
固定費の見直しにつながる
ランウェイが短くなってきたら、固定費の削減も検討する必要があるでしょう。企業における固定費とは、常に一定的に発生する費用全般を指し、主に人件費や福利厚生費、減価償却費、通信費や水道光熱費、賃貸オフィスの場合は家賃などです。

資金調達や投資に役立つ
バーンレートを算出すれば、キャッシュイン・キャッシュアウトがどの程度なのかといった、現状の把握にもつながります。
これらの把握は、スムーズな資金調達や投資に役立つ可能性が高いです。資金調達を受ける場合、企業のキャッシュフロー全体を考慮して審査が行われ、融資金額が決まります。
バーンレートが低く将来性が期待できると判断された場合は、より高額な融資を受けることも可能です。
スタートアップ企業はバーンレートが高くなってしまいますが、支出が売上を下回るようになれば、バーンレートの値はマイナスになります。
最初はなかなか難しいですが、より多くの資金を調達するためには、バーンレートをマイナスに近づけることを目指しましょう。
人件費の削減がマイナスに働く場合も
バーンレートを低くするには人件費の削減が効果的です。しかし、人件費削減は従業員のモチベーションなどにも影響するため、場合によっては悪い影響が出る可能性があります。
人件費削減は効果的な方法ではありますが、マイナスに働く危険性もあるので、慎重な判断が必要です。
会社を長く存続させるためには資金調達が重要
バーンレートを下げ、ランウェイをできるだけ伸ばすことは当然ですが、その前提として創業時に資金調達を行い、起業資金を確保しておくが非常に重要です。
一方、まだ安定した売上を見込めないスタートアップ企業にとって、資金調達で高い金額を得るのは難しい場合もあります。
いくつかの資金調達方法を慎重に検討し、会社の業績や今後の見通しを踏まえご自身に合った方法で資金調達を行いましょう。
安定した利益を得られないベンチャーやスタートアップ企業は、資金調達を行うのが難しいとされています。では、どのような方法で資金調達を行えば良いのでしょうか。

資金調達の方法として一般的なのが融資です。
その中でも日本政策金融公庫の創業融資はベンチャー企業やスタートアップ企業等の新興企業に寄り添った融資と言えます。
日本政策金融公庫の新規開業資金の条件や内容については、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご確認ください

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まとめ
今回は、バーンレートについて、スポットをあててご説明してきました。
経営の継続が難しいといわれる事の多い新興企業ですが、しっかりとした戦略を練ることで業績を伸ばすことが可能です。まずは1年持たせることを目指し、その後さらなる成長を目指していきましょう。
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駒田会計事務所 代表
税理士・公認会計士 駒田裕次郎
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