働き方が多様化し、起業を目指す方が増えています。
これまで会社などの組織で働いていた方が独立し、それまでの経験やスキルを活かして一人起業・開業することもあれば、「自分も起業したいけど、何から始めればいいんだろう」と考える人も少なくないと思います。
今回は、起業するのにおすすめの業種から創業融資で申請できる金融機関についてまで、説明していきたいと思います。
目次
起業する人に人気・おすすめの業種とは
日本政策金融公庫総合研究所2023年度起業と起業意識に関する調査(2024年1月)によると、2023年に起業した業種の中で最も多かったのは個人向けサービス業で、21.1%を占めました。次いで、事業所向けサービス業が16.5%、情報通信業が10.7%、小売業が10.6%、建設業が8%という結果でした。これにより、個人や企業を対象としたサービス業が特に人気であることが伺えます。

やはり、製造業のような大規模な設備投資が必要となる業種よりも、ミニマムな資金で始められるサービス業が起業するにはおすすめといえます。
サービス業の主な業種
- 旅館業
旅館やホテル、シェアハウス、民泊など。 - 飲食業
カフェ、パン屋、レストラン、居酒屋、キッチンカーなど。 - 生活関連サービス業
美容室やエステサロンをはじめとする各種美容サービス、クリーニング業、家事代行サービスなど。 - 娯楽業
映画館やスポーツ関連施設など。 - 教育、学習支援
習い事(学習塾や音楽、英会話、スポーツ)など。 - 情報通信業
Webコンテンツの提供、音楽・映像のWeb配信、アプリ開発、ゲーム開発、データベースサービス業など。 - 人材派遣サービス業
企業に必要な人材を派遣します。 - コンサルタント業
経営など専門的なアドバイスや戦略を提供します。 - 税理士や社会保険労務士などの士業
専門的な知識を基に法律や税務、人事などの相談・手続き・アドバイスを提供します。 - 広告業
広告代理店やサンプル配布などのプロモーション活動など。
今回は、起業でおすすめの業種としてサービス業の主な分野を紹介しました。自分に合った分野を見つけることで、より成功に近づけるでしょう。
サービス業の特徴

- 【人との関わりが中心】
サービス業は顧客との直接的なやり取りが多いです。提供するサービスが顧客満足度に直結するため、コミュニケーション能力や接客スキルがビジネスの成功に大きく影響するといえます。 - 【柔軟性が求められる】
サービス業に限った話ではないのですが、顧客のニーズや市場の動向に応じて、サービス内容を柔軟に変更する必要があります。例えば、トレンドの変化や技術の進化に対応するために、常にサービスを見直し、改善していくことが求められます。 - 【労働集約型ビジネス】
サービス業は、人手による労働が重要な要素です。サービスの品質は従業員のスキルや取組により大きく変わるため、人材の育成やマネジメントが重要になります。 - 【デジタル化やオンライン化の影響】
最近では、デジタル技術やオンラインプラットフォームを活用したサービス提供が増加しています。オンライン予約やデリバリー、リモートサービスなど、新しい形態のサービスが求められる場面が増えています。
これらのサービス業の特徴を踏まえ、ご自身に向いてそうかどうか、適性を考えながら起業を検討されても良いと思います。
起業・開業で必要な資金調達について
一般的に必要資金のすべてを自己資金でまかなうことは難しい場合が多いです。
また、創業・開業後には予想外の支出が出てくることも念頭に置いておきましょう。
創業・開業時に限った話ではないのですが、創業・開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。

金調達の方法には、以下のような方法があります。
- 自己資金
自身が所有する資産を利用する資金調達方法です。自己資金が多いと多くの融資を受けやすくなるというメリットもあります。 - 親・親戚・友人に貸してもらう。
公式な手続きや審査が不要なため、迅速に資金を調達できるほか、低金利または無利息で借りられることが多く、返済期間についても柔軟に設定できる場合が多いです。 - 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。

- ベンチャーキャピタル
将来成長が見込めるベンチャー企業やスタートアップ企業の将来の成長を見込んで投資する組織のことです。資金を返済する必要はありませんが、企業が成長や上場したときに株式を売却することで資金を回収します。 - エンジェル投資家
将来成長が見込めるベンチャー企業やスタートアップ企業に出資する個人投資家のことです。投資したお金を企業から直接回収することはせず、将来そのベンチャー企業が株式上場した際の出資金のキャピタルゲインを得ることを目的としている場合が多いです。
このうち、自己資金で開業できればベストなのですが、必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。
また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によって開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。
現実的には、日本政策金融公庫などの金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが多くなると思います。
それでは、具体的に融資を受ける方法について見ていきましょう。
自己資金の目安
自己資金の目安は、融資を受ける金融機関や事業内容によって異なりますが、一般的には、融資額の10%~30%程度が求められます。
自己資金が少ない場合でも融資を受けることは可能か?
自己資金が少なくても、事業計画が具体的で実現可能性が高いと評価されれば、融資を受けることは可能です。
「自己資金が少ない場合」や「自己資金なし」でも申請は可能ですが、今までの実績からしますと、融資額の30%を目安にすることをおすすめいたします。
日本政策金融公庫等の融資について
下記は、創業融資を受けられる金融機関の例です。起業・開業の際にもぜひご活用ください。
【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開等、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。
●日本政策金融公庫に飲食店で申請をご検討の事業者様
諸条件はありますが、東京都飲食業生活衛生同業組合に加入することで、金利等の優遇を受けられる場合があります。
●日本政策金融公庫に美容師で申請をご検討の事業者様
諸条件はありますが、東京都美容生活衛生同業組合に加入することで、金利等の優遇を受けられる場合があります。
【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。実際の融資は信用金庫や信用組合が行い、それを保証協会が連帯保証してくれる形です。
まとめ
今回は、起業するのにおすすめな業種として「サービス業」について、スポットをあててご説明してきました。
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駒田会計事務所 代表
税理士・公認会計士 駒田裕次郎
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