「起業は9割失敗する」「ほとんどの起業家が失敗に終わる」といった話を聞いたことがある方も多いでしょう。
起業を考えている人にとって、躊躇する要因の一つになっているかもしれません。
そこで今回はこの起業はほとんど失敗するのか、ほんとに怖いのかを解説していきます。
目次
起業は9割失敗しない!ほとんど生き残る
まず結論から申し上げますと「起業は9割失敗しませんし、ほとんど失敗しないどころか、ほとんど生き残ります」。
なぜ「起業は9割失敗する」というイメージが広まっているのかを考えてみましょう。
確かに新規事業は、設立後数年以内に事業をやめることが多く、起業を取り巻くリスクも存在します。
しかし、具体的なデータに基づいた「9割失敗」という数値は一般的に見当たりません。
よく国税庁2005年調査という記事を見かけますが、インターネット上からはおそらく確認することはできないかと思います。
代わりに中小企業庁が提供している中小企業白書では下記の通り、5年後の企業生存率は80.7%という調査結果がでています。
創業後5年を経過した日本における起業後の企業生存率は、80.7%である(ただし、データベースに収録される企業の特徴やデータベース収録までに一定の時間を要する等から、実際の生存率よりも高めに算出されている可能性がある)。創業後5年以外を経過した企業における企業生存率については、(株)帝国データバンクが実施した「令和4年度中小企業実態調査委託費(中小企業の新たな担い手の創出及び成長に向けたマネジメントと企業行動に関する調査研究)」の委託調査報告書を参照されたい。
つまり、起業しても、5年後で8割以上の企業は生き残っているということで、起業がほとんど失敗するというのは迷信であることが分かります。
また、この数値は諸外国と比較しても高い傾向にあります。

上記の通り、米国では49.3%、ドイツでは35.5%の5年後の生存率となっています。
しかしながら、下記の通り日本よりも諸外国の方が開業率が高いという結果がでています。

つまり日本は「失敗するリスクが低いのに、開業率が低い」という結果になっていることが分かります。
開業率が低い理由には諸説ありますが、「起業がほとんど失敗する、起業は9割が失敗する」のような根拠のない迷信が定着しているのも要因の一つでしょう。
無担保・無保証融資制度の充実でさらにリスクが低く
しかしながら、当然起業にはリスクがあり、個人的な借金や自己破産が怖いという理由で企業に躊躇している方も多いかと思います。
そこで活用したいのが「無担保・無保証融資制度」です。
無担保無保証融資は起業家にとって大きなメリットとなっており、万が一の際にも個人資産を失うリスクを軽減してくれる制度です。
現在政府は開業率が低く、起業の新陳代謝が進まないことを問題視しており、経営者保証を求めない無担保無保証融資を推奨しています。
詳しくは下記の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

例えば、日本政策金融公庫が提供する「創業融資」では、無担保での融資が可能であり、これにより自己資金の乏しい人でも安心して起業に挑戦できる環境が整っています。
さらに、こうした無担保・無保証の融資制度は、起業後の再起を支援する意味でも重要です。
起業に失敗したとしても、個人資産を守ることで再挑戦の機会を確保しやすくなっています。
つまり、起業を志す人が一度の失敗で全てを失うリスクが少なくなり、再チャレンジを可能にする環境が整備されつつあるのです。
日本政策金融公庫の創業融資は無担保無保証で利用可能!
代表的な無担保無保証融資として、日本政策金融公庫の創業融資(新規開業資金)があります。
簡単な内容は下記の通り。
項目 | 新規開業資金 |
---|---|
融資限度額 | 最大7200万円 |
運転資金の融資枠 | 上限4800万円 |
返済期間 | 設備投資:最大20年 運転資金:最大10年 |
据置期間 | 最長5年 |
自己資金要件 | なし |
日本政策金融公庫の新規開業資金の主な特徴は下記の通り。
- 無担保・無保証:通常の金融機関と異なり、日本政策金融公庫の創業融資では無担保・無保証で資金を借り入れることが可能です。これにより、万が一事業が失敗した場合でも、経営者が自己破産を避けられるケースが増えました。
- 低金利での融資:創業時は資金繰りが厳しいことが多いですが、低金利の融資制度により、返済負担も軽減されます。
- 柔軟な返済スケジュール:事業の成長に合わせて返済スケジュールを調整できるため、経営が安定するまでの負担が少なく、長期的な運用が可能です。
特に無担保無保証での融資は、特に起業初心者にとって大きな安心材料です。
たとえ事業が失敗したとしても、自分の生活や家族に深刻な影響を与えることなく再出発できる可能性が高まります。
起業への挑戦を周囲のサポートに頼らず自己責任で行いたいと考える人には、適した支援制度といえるでしょう。
起業に過度な心配は不要!今こそチャレンジのチャンス
起業に対して「9割失敗する」「ほとんど成功しない」といったネガティブなイメージが広まっているものの、実際はそんなことはありません。
それどころか中小企業庁のデータに基づくと、起業の生存率は諸外国と比較しても高く、さらに日本には無担保無保証融資といったリスク軽減の制度も整っています。
これらの制度を活用することで、資金が少ない方でも挑戦しやすく、失敗したとしても再チャレンジの機会は整っています。
起業を考えているけど、リスクが怖いと考えている方はぜひ日本政策金融公庫の無担保無保証の創業融資を活用してみましょう。
まとめ
今回は起業はほとんど失敗するのか、ほんとに怖いのかについて解説してきました。
ポイントをまとめると下記の通り。
- 「起業は9割失敗する」は誤解:データに基づけば、日本の起業の5年後生存率は80.7%で、諸外国と比べても高い水準
- 無担保・無保証融資でリスク軽減:日本政策金融公庫などが無担保・無保証で創業融資を提供しており、個人資産が守られる
- 低金利と柔軟な返済で安心:創業初期の資金繰りが厳しい中でも、低金利かつ返済スケジュールの調整が可能
- 再挑戦しやすい環境:失敗しても個人資産を守れるため、再チャレンジ可能
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駒田会計事務所 代表
税理士・公認会計士 駒田裕次郎
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