創業融資

事業計画書の書き方を徹底解説|創業融資で見られるポイントと記入例

この記事を読めばわかること

事業計画書は、起業や新規事業の立ち上げにおいて欠かせない重要な書類です。
特に、日本政策金融公庫などの創業融資では、事業計画書の内容が審査結果を大きく左右します。

一方で、

  • 何を書けばいいのか分からない
  • 数字の作り方に自信がない
  • この内容で本当に融資が通るのか不安

と悩む方も多いのではないでしょうか。

実際、事業計画書は「見やすくまとめること」以上に、“実現可能性と根拠をどう示すか”が重要です。融資に落ちる計画書の多くは『熱意』ではなく『客観的な根拠』が不足しているのです。

この記事では、融資審査の視点も踏まえながら、事業計画書の基本から具体的な書き方、数字の考え方まで分かりやすく解説します。

融資申請に必要な事業計画書には、審査を通過しやすくするためのポイントや効果的な書き方があります。【コマサポ】は、事業計画書の作成に関する豊富なノウハウと実績を活かし、創業融資の申請から資金調達までトータルでサポートいたします。金融機関や融資先へのご相談前に、ぜひお気軽にお問い合わせください。

事業計画書とは

事業計画書とは、事業の内容や収益計画、必要資金などを整理し、文章や数字でまとめた書類です。

創業計画書 記入例【洋風居酒屋】 (日本政策金融公庫HPより)

創業計画書の記入例【洋風居酒屋】

主に、

  • どのような商品・サービスを提供するのか
  • 誰をターゲットにするのか【市場】
  • どのように売上を作るのか【販売戦略】
  • どのくらいの資金が必要なのか【資金調達&収益モデル】

といった内容を記載します。

また、創業融資や補助金申請では、事業計画書をもとに「事業の実現可能性」や「返済能力」が審査されます。そのため、単にアイデアを書くのではなく、数字や根拠を交えながら、具体的に説明することが重要です。

事業計画書を作成する3つの目的

事業計画書は、単なる融資申請用の書類ではありません。
事業の方向性や売上計画、必要資金などを整理し、「どのように事業を進めていくのか」を明確にするための重要なツールです。

特に創業時は、頭の中のアイデアだけで進めてしまうと、資金不足や計画のズレが起きやすくなります。事業計画書を作成することで、課題やリスクを事前に整理し、現実的な経営判断がしやすくなります。

事業計画書を作成する主な目的を3つに整理してみましょう。

日本政策金融公庫の創業融資や銀行融資、補助金・助成金の申請では、事業計画書の提出を求められることが多くあります。

金融機関や支援機関は、事業計画書をもとに、

  • どのような事業を行うのか
  • 売上の見込みはあるか
  • 資金の使い道は適切か

などを確認しています。

特に創業融資では、売上や資金計画に具体的な根拠があるかが重要になります。

また、補助金・助成金では、制度の目的に合った事業内容になっているかも審査対象になります。そのため、各制度の要件に合わせて事業計画書を作成する必要があります。

事業計画書を作成すると、

  • 誰に向けて販売するのか
  • どのように集客するのか
  • 競合との差別化ポイントは何か

といった事業の方向性や戦略を整理できます。

また、計画を文章にすることで、

  • 売上見込みが甘すぎないか
  • 必要資金に漏れがないか
  • リスク対策は十分か

といった課題にも気づきやすくなります。

創業前にこうした問題点を把握しておくことで、資金不足や想定外のトラブルなど、経営上のリスクを減らしやすくなります。

事業を継続するためには、「どのくらい売上が必要で、どれくらい資金がかかるのか」を把握することが欠かせません。

事業計画書を作成することで、

  • 必要な開業資金
  • 毎月の固定費
  • 売上目標
  • 利益の見込み
  • 資金繰り

などを具体的に整理できます。

事業開始後も、計画と実績を比較することで、売上や経費の改善点を見直しやすくなります。

特に創業初期は、売上が安定するまで時間がかかることも少なくありません。事前に資金計画を立てておくことで、「運転資金が足りない」といったリスクを防ぎやすくなります。

事業計画書を作成するときのポイント・注意点

事業計画書は、単に情報を並べるだけでは評価されません。
金融機関や投資家に「この事業は実現できそうだ」と感じてもらえるよう、分かりやすく、根拠のある内容にまとめることが重要です。

ここでは、事業計画書を作成する前に押さえておきたいポイントを解説します。

事業計画書作成のポイント&注意点
  1. 要点を整理して簡潔にまとめる
  2. 実現可能な計画を具体的に示す
  3. 自社の強み・差別化を明確にする
  4. 読み手を意識して作成する
  5. データに基づいた根拠を示す
  6. オリジナリティのある計画にする
  7. 第三者に確認してブラッシュアップする

1. 要点を整理して簡潔にまとめる

事業計画書は、情報を詰め込みすぎず、要点を整理して分かりやすくまとめるようにしましょう。

特に金融機関の融資担当者は、多くの事業計画書を確認しています。そのため、短時間でも内容を理解できる構成が求められます。

  • どのような事業なのか
  • どのように売上を作るのか
  • なぜ実現できるのか

といったポイントを簡潔に伝えることを意識しましょう。文章は簡潔で明確にし、専門用語を使用する場合は注釈や具体例を加えたり他の表現に言い換えるなど、誰が読んでも理解しやすい表現を心がけることが大切です。

また、必要に応じて補足資料を活用し、図やグラフで詳細なデータや検討結果を示すことで、事業計画の説得力を高めることができます。

💭ミニコラム
現役の担当者が求めるのは「シンプルで説得力のある一枚の事業計画書」

融資担当者は、1件の計画書に長い時間は割けません。複数の案件を抱え、それぞれを上司に報告する必要があるからです。そのため、「簡潔でありながら説得力がある計画書」の方が、スムーズな決裁につながります。

コマサポ

もちろん、革新的なビジネスモデルで詳細な説明が求められる場合や、5,000万円を超える高額な融資案件などでは例外もあります。

でも、多くの場合、シンプルで要点を押さえた事業計画書を作成し、面談の場で自信を持って説明できることが、融資を成功させる鍵となります。

2. 実現可能な計画を具体的に示す

事業計画書では、理想だけでなく、「実際に実行できる計画」であることを示す必要があります。

例えば、「売上を増やしたい」と漠然と書くだけでは不十分で、読み手に「本当に実現できるのか?」という疑念を抱かせてしまいます。

  • どのような方法で集客するのか
  • どのくらいの売上を見込んでいるのか
  • なぜその数字になるのか

まで具体的に説明することで、説得力の高い計画になります。

さらに、企業の沿革、ビジネスモデル、代表者の経歴などの情報を盛り込むと、事業の信頼性が一段と上がります。

想定されるリスクや課題があれば、それを隠さず記載してください。その上で「だから、こうして対応します」という具体策を示すことで、「この人たちは現実的に事業を考えているな」という好印象につながります。

3. 自社の強み・差別化を明確にする

市場には、同様の商品やサービスを提供する競合が存在します。そのため、事業計画書では、競合分析を踏まえたうえで、「なぜ自社が選ばれるのか」を明確に示すことが重要です。

競合のターゲット層や市場環境、業界動向などを把握することで、自社の立ち位置や差別化ポイントを整理しやすくなります。市場の規模や成長性、競争の状況などを調査し、それを踏まえた上で、自社の戦略や収益目標を説明できれば、金融機関や投資家からの評価も高くなります。

一方、市場調査や競合分析が不十分だと、「計画が甘い」と判断されやすくなります。自社の強みや戦略を具体的に示し、事業の優位性を分かりやすく伝えましょう。

4. 読み手を意識して作成する

事業計画書は、「誰に向けて作成するのか」によって重視されるポイントが変わります。

例えば、金融機関向けであれば、

  • 返済できる見込みがあるか
  • 安定した売上が期待できるか

が重視されます。

一方、投資家向けの場合は、

  • 市場の成長性
  • 将来的な収益拡大

などが重要視される傾向があります。

そのため、読み手が何を確認したいのかを意識して、優先順位をつけて説明することが大切です。

5. データに基づいた根拠を示す

事業計画書では、売上予測や市場規模などの数字に、客観的な信頼できる根拠を持たせるようにしましょう。

  • 公的機関の統計データ
  • 業界の市場調査
  • 過去実績
  • 見積書

などを活用すると、計画の信頼性が一気に高まります。

特に融資審査では、「なぜその数字になるのか」を具体的に説明できるかどうかが、最も重視されます。根拠のない売上予測や資金計画は、「計画が甘い」と判断される原因になります。

6. オリジナリティのある計画にする

事業計画書を作成する際は、独自性を意識することが重要です。他社と似た内容ではなく、「なぜこの事業が成功できるのか」を明確に示し、自社ならではの強みを伝えましょう。

他社の事例やテンプレートを参考にすることも大切ですが、そのまま流用してはいけません。あなたの「独自性」を必ず盛り込んでください。

  • なぜこの事業を始めたのか(背景・動機)
  • あなたたちにしかできない強みは何か
  • 他社にはない工夫やアイデアはあるか

オリジナリティを出すのは難しいと感じるかもしれませんが、完璧を目指す必要はありません。大切なのは、自分自身のアイデアや計画を自分の言葉で説明することです。その方が、審査担当者の心にも届きますし、融資後の面談でも自信を持って説明できるようになります。

7. 第三者に確認してブラッシュアップする

一人で事業計画書を作成していると、「これで大丈夫」と思っていても、実は説明が不足していたり、計画に無理があったりすることに気づきにくいものです。

  • 売上計画に無理がないか
  • 資金計画に漏れがないか
  • 説明に説得力があるか

家族、ビジネスパートナー、会計士や税理士など、異なる視点、客観的な視点を持つ人に確認してもらいましょう。

特に「会計士・税理士」への相談がおすすめ

事業計画書の確認だけでなく、以下のようなアドバイスも受けられます

  • 創業後の資金繰り計画をどう立てるか
  • 税務上、注意すべき点は何か
  • 融資後の経営改善計画をどう立てるか

つまり、長期的に事業を成功させるための総合的なサポートが得られるということです。

事業計画書『融資担当者がチェックする7つのポイント』

融資の際に提出する事業計画書(創業計画書)では、融資担当者はどのような点をチェックするのでしょうか。

融資担当者の7つのチェックポイント一覧

①どのような事業を行うのか

提供する商品やサービスの内容が明確であり、ターゲットが明確に設定されているかが審査されます。

②事業に関連する経験の有無

金融機関は「経験に基づいたビジネスのほうが成功しやすい」と考えています。そのため、申請者が過去に同業種または関連分野での経験を持っているかが重要視されます。

③競争優位性とセールスポイント

競合と比較して、どのような強みや独自の魅力があるのかが問われます。市場での差別化が明確であるほど、融資の承認を得やすくなります。

④取引先の確保状況

販売先・仕入先・外注先がすでに確保されているかをチェックされます。安定した取引先があることで、事業の継続性が担保されると判断されます。

⑤既存の借入状況

すでに他社からの借入がある場合、今回の融資を加えた返済負担を事業の収益で十分に賄えるかどうかが審査のポイントになります。

⑥投資計画と資金調達の妥当性

設備投資や運転資金の計画が適正か、過大投資になっていないか、また資金調達の実現可能性があるかどうかを確認されます。

⑦収支見込の確実性

売上や経費の見込みが現実的であるか、その根拠が明確であるかが審査されます。特に、事業の収益が融資の返済に十分な余裕を持って対応できるかが重要な判断材料となります。

コマサポ

融資を受けるためには、金融機関が重視するポイントを理解し、事業計画書にしっかりと反映させることが重要です。事業の内容やターゲットの明確さ、関連する経験の有無、競争優位性、取引先の確保状況、資金計画の妥当性、既存の借入状況、そして収支の見込みなどが審査の対象となります。

事業計画書の書き方

それでは、いよいよ、事業計画書の各項目の具体的な書き方や注意点を説明していきます。

事業計画書の項目
  1. 創業動機・目的
  2. 経営者の職歴や事業実績
  3. 企業・事業の概要
  4. 体制・人員計画・勤務体制
  5. 主要な取引先や取引関係先
  6. 借入状況
  7. 資金調達に関する計画
  8. 売上・損益計画

【項目①】創業動機・目的

事業計画書では、なぜこの事業を始めるのか、どのような目的を持っているのかを明確に伝えるようにします。

単なる独立願望ではなく、経験や市場ニーズに基づいた具体的なストーリーを示すことで、説得力を高められます。

金融機関が注目するポイント

融資担当者は、創業者の経験が事業と結びついているかを重視します。

例えば、飲食・接客業の経験がないのに「カフェを開く」と言っても説得力に欠けますが、「全国各地〇店のカフェを訪問し、独自性のあるコンセプト設定やメニューを開発している」などの実績があれば、納得感が増します。

創業動機と目的を具体的に伝える

創業のきっかけや背景を書く際は、以下の要素を盛り込みましょう。

  • 事業と経験の関連性
     例:「飲食業界で10年経験を積み、独立を目指した
  • 起業の準備の取り組み
     例:「起業ビジネススクールに参加した」「人脈づくりや独自の仕入れルートを確保した」
  • 市場のニーズや独自の強み
     例:「地域にカフェが少なく、憩いの場を提供したい」
  • 創業の決定的な理由
     例:「知人の移転により、居抜き物件を借りられた」「顧客確保の目途がついた」

事業の目的を明確にする

単なる利益追求ではなく、社会貢献や顧客への価値提供も意識すると、金融機関や投資家に信頼される事業計画になります。

  • 社会的な意義
     例:「地域の高齢者向けサービスを提供し、地域活性化に貢献」
  • 顧客への価値
     例:「無添加・オーガニック食材で健康志向の人に安心な食を提供」

【項目②】経営者の職歴や事業実績

事業計画書では、経営者の職歴やスキルが事業とどのように結びつくのかを示すようにします。

金融機関は「この人物が事業を成功させられるか」を見極めるため、関連する実績を強調し、説得力のあるプロフィールを作成しましょう。

金融機関が注目するポイント

  • 事業に関連する経験・スキルの有無
  • 過去の業務実績(責任者経験、表彰歴など)
  • 自己資金の形成過程(直近の収入状況など)

※事業に関係のない経歴や資格を過剰に記載すると逆効果になるため、事業との関連性が高い実績を中心に記載しましょう。

経歴を魅力的に伝えるには

  • 事業に直結する職歴・スキルを強調
     例:「○○カフェで10年間勤務し、店長として3年間経営」「ITエンジニアとして5年間、○○システム開発を担当」
  • リーダー経験・実績をアピール
     例:「営業部でトップ成績を記録し、社長賞を受賞」「店舗アルバイトから店長に昇進し、売上20%増を達成」
  • 学歴・資格・スキルを明確に
     例:「〇〇専門学校卒業」「調理師免許取得」「中小企業診断士」「プログラミング資格」
  • 新しい業種への挑戦の場合、活かせるスキルを明示
     例:「マーケティング経験を活かして飲食店の集客戦略を強化」「過去の営業経験を生かし、BtoB向けに販路開拓」

経歴を簡潔にまとめつつ、事業の成功に直結する実績を強調することで、金融機関の信頼を得やすくなります。

【項目③】企業・事業の概要

事業の全体像を明確にし、取り扱う商品やサービスの詳細、ターゲット市場、販売戦略、競合分析、市場規模などを示すことで、金融機関や投資家に対して説得力のある説明を行います。

また、企業概要には基本的な情報(所在地、設立年、代表者名など)を記載し、事業概要では市場・ターゲットに対する提供価値を簡潔に説明しましょう。

 

事業内容

事業内容では、単に「飲食店の経営」や「商品の販売」といった簡単な説明にとどまらず、どのような商品やサービスを、誰に、どのように提供するのかを具体的に記載します。

また、事業のビジョンや目標、事業の仕組みやコンセプトも含めることで、事業計画の方向性が明確に伝わります。ビジョン・目標には、具体的な数値目標も含めると説得力が増します。

記載内容
  • 具体的な商品・サービスの内容
  •  ターゲット顧客の明確化(属性、人数、地域など)
  •  提供方法や販売戦略
  •  事業のビジョン・目標(数値目標含む)
  •  写真や図表の活用(店舗の外観・内観、商品写真、サービスのフロー図など)

例文 当社は、○○地域にて地元産の有機野菜を使用した健康志向のカフェを運営します。主要顧客は30~50代の健康志向の高い女性であり、特に○○駅周辺のオフィスワーカーや主婦層をターゲットとしています。売上目標は、1年目で月商300万円、3年目で500万円を達成することを目指します。

取扱商品・サービスの内容

取り扱う商品やサービスの詳細を明確に記載します。商品の特徴やサービス内容、売上シェアなどを含めることで、どのように商品が顧客に提供されるのか、どれほどの市場で需要があるかを説明します。

提供する商品やサービスの魅力を短く、分かりやすく表現しましょう。

記載内容
  • 具体的な商品・サービスの内容
  • 売上構成(例:ランチ30%、ディナー70%)
  • 価格設定(市場相場と比較して競争力があるか)
  • 独自性・強み(競合との差別化ポイント)

例文 当店では、有機野菜を使用したランチプレート(1,200円)や、低糖質スイーツ(800円)を提供します。売上構成は、ランチ30%、ディナー40%、テイクアウト30%を想定しています。他店との差別化として、○○産の野菜を使用し、栄養士監修のメニューを提供することで健康志向の高い層を取り込みます。

自社の商品・サービスの強みや特徴・顧客のメリット

自社の商品やサービスが他社とどのように差別化されているのか、競合との差別化ポイントや顧客にとってのメリットを強調します。また、これらの強みがどのように市場での競争優位性を生むのかを具体的に記述しましょう。

顧客満足度やリピート率などの実績も示すことで、信頼性を高めることができます。

記載内容
  • 商品・サービスの独自性(例:隙間市場を狙う)
  • 他社製品との差別化要素
  • 技術的優位性や特許(例:大学などとの共同研究、特許など知的財産権)
  • コストパフォーマンス(例:独自の仕入れルート)
  • 社会的責任やサステナビリティ

例文 当店では、管理栄養士と共同開発したメニューを提供することで、健康意識の高い顧客に安心して利用いただける環境を整えています。また、○○農場と提携し、新鮮な地元野菜を直接仕入れることで、低価格ながら高品質な料理を提供可能です。

コマサポ

自社の強みや戦略をより深く整理したい場合は、「3C分析」の活用もおすすめです。3C分析については、以下のページで分かりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

創業計画書を作成する前に、【3C分析】のススメ!

販売ターゲット・商圏・販売戦略

どのような顧客層をターゲットにしているのかを明確にし、そのターゲット層にどのようにアプローチするか、具体的な販売戦略を記載します。

ターゲット層に合わせたマーケティング方法やプロモーション戦略、販売場所なども説明し、事業が実現可能であることを示します。また、競合との差別化や販促手段を具体的に記載しましょう。

独立し以前の勤務先や取引先、顧客などから受注見込みがある場合は、その点も重要なポイントになりますので記載しましょう。

記載内容
  • ターゲット層の明確化(年齢、性別、職業、ライフスタイル)
  • 販売地域・商圏の設定
  • 競合との差別化要因
  • 販売チャネル(店舗販売、オンライン販売、BtoBなど)
  • プロモーション戦略(SNS広告、イベント、DMなど)

例文 メインターゲットは、30~50代の健康意識の高い女性です。主な商圏は○○駅から徒歩圏内の○○地区とし、オフィスワーカーのランチ利用や、週末のカフェ利用を想定しています。販売戦略として、SNSマーケティングを活用し、インスタグラムでの情報発信やインフルエンサーとのコラボレーションを実施します。

市場環境・社会的背景・競合

事業を取り巻く市場環境や社会的な背景について説明します。市場規模やニーズ、競合他社の状況などを明確にし、事業が成功するための根拠を示しましょう。

外部環境(政治、経済、社会、技術)を分析し、事業の成功に向けた機会があることを示し、競合分析を行いどのように競争に打ち勝つかの戦略も記載しましょう。

記載内容
  • 市場規模と成長性(統計データや市場調査を活用)
  • 関連する政策動向(補助金や規制の影響)
  • 競合他社の動向と差別化戦略
  • 外部環境分析(PEST分析・SWOT分析の活用)

例文 健康志向の高まりにより、国内のオーガニック食品市場は年平均5%の成長を遂げています(○○調査レポートより)。当店が出店する○○エリアには同業態の競合が少なく、地元産食材を活用したメニュー展開により独自のポジションを確立できます。SWOT分析を活用し、強み(新鮮な食材・専門家監修)、弱み(初期認知度の低さ)、機会(健康志向の拡大)、脅威(大手チェーンの参入)を把握し、戦略策定を行います。

コマサポ

市場環境の把握には、SWOT分析の導入も効果的です。
SWOT分析とは、自社の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの視点から、内外の状況を整理し、今後の戦略を導き出すフレームワークです。
強みを活かし、弱みを補いながら、外部環境の変化に柔軟に対応する戦略を立てるうえで有効です。
SWOT分析の詳しい活用方法については、以下のページで詳しく解説しています。

👉SWOT分析とクロスSWOT分析について!詳しく解説します

【項目④】体制・人員計画・勤務体制

1.体制

会社を運営するための組織構成を記載します。役員の人数や役職、従業員の配置について詳細に記述し、社内での責任範囲や権限を明確にしましょう。

特に創業時には、最少人数で効率的に運営することが求められるため、業務ごとの担当者や責任者を明確にし、組織運営をスムーズに進めるための体制を整えます。

2.人員計画

現時点での従業員数や今後採用予定の人数、必要な業務に応じた人員数を記載します。特に創業期には、最小限の人員で事業を立ち上げることが一般的ですが、事業の拡大を見据えて、将来的に増員が必要となる場合の計画を立てましょう。

人件費や採用費用を予測し、無理のない範囲での採用計画を検討することが必要です。

3.勤務体制

業務を円滑に進めるための勤務時間や勤務形態を記載します。正社員、契約社員、アルバイトなど、雇用形態に応じた勤務条件を明確にし、業務に必要な人員が適切に配置されるように計画を立てます。

労働法規や社会保険、福利厚生費などの法的要件を考慮し、無理のない人員配置で事業を運営することが重要です。

【項目⑤】主要な取引先や取引関係先

販売先や仕入先、外注先など、主要な取引先を記載します。

販売先が決まっている場合は、企業名や取引内容、売上シェアなどを記載しましょう。まだ正式契約に至っていない場合でも、商談中や取引見込みがある場合は、その内容を記載しておくと効果的です。

また、仕入先や外注先についても記載することで、事業運営の実現性や安定性を示しやすくなります。

特に創業初期は実績が少ないため、あらかじめ取引先を確保できていることは、事業の信頼性を示すポイントになります。

【項目⑥】借入状況

借入状況には、現在の借入金について記載します。

具体的には、

  • 借入先
  • 借入目的
  • 借入残高
  • 年間返済額

などを整理して記載しましょう。

創業融資では、事業だけでなく、代表者個人の借入状況も審査対象となります。ただし、住宅ローンなどを適切に返済している場合は、必ずしもマイナス評価になるわけではありません。

重要なのは、借入状況を正確に記載することです。虚偽の申告や記載漏れがあると⚠️金融機関からの信用を損なう可能性があります。

また、消費者ローンやカードローンなどが多い場合は、返済負担が審査に影響することもあるため注意が必要です。

【重要】信用情報の確認を!

融資審査の際には、提出した内容だけでなく、信用情報機関に登録されている情報も確認されます。

代表的な信用情報機関のひとつに CIC(指定信用情報機関) があり、クレジットカードの利用状況やローンの返済履歴、過去の延滞などの情報が記録されています。

クレジットカードやローンの延滞履歴が残っている場合、審査に影響することもあるため、事前に自身の信用情報を確認しておくと安心です。

👉信用情報については「創業融資は信用情報で決まる?仕組みを理解して、融資審査に備えよう!」で詳しく解説しています。

【項目⑦】資金調達に関する計画

創業に必要な資金の内訳と、その調達方法を明確に記載します。

記載のポイント
  • 設備資金と運転資金に分けて整理する
  • 自己資金の割合や融資の根拠を示す
  • 資金の使い道を具体的に説明する
  • 無理のない返済計画になっているか確認する

創業資金は、大きく「設備資金」と「運転資金」に分かれます。

設備資金には、店舗の内装工事費や設備・備品の購入費など、開業時に必要となる費用を記載します。見積書などを用意し、金額の根拠を示すことが重要です。

一方、運転資金には、仕入費・人件費・家賃・光熱費など、日々の事業運営に必要な費用を記載します。特に創業初期は売上が安定しにくいため、3~4カ月分の運転資金を見込んで計画を立てておくと安心です。

また、創業初期は売上が安定しにくいため、固定費を増やしすぎないことも重要です。特に家賃や人件費などの固定費が高いと、売上が想定を下回った際に資金繰りが厳しくなる可能性があります。

👉設備資金・運転資金については「起業の際の運転資金の相場●円だった!お得な調達方法も解説」の記事で詳しく解説しています。

さらに、自己資金と融資のバランスも重要です。一般的には、自己資金が全体の3分の1程度あると「事業への準備状況や計画性がある」と評価されやすく、融資の審査でも有利に働きます。

そのうえで、「なぜこの金額が必要なのか」を具体的に説明できるようにしておくことが、事業計画全体の説得力を高めるポイントです。

【項目⑧】売上・損益計画

売上・損益計画では、「どのくらい売上が見込めて、最終的にどれだけ利益が残るのか」を数字で示します。

売上予測では、「客単価 × 想定顧客数」など、具体的な根拠をもとに計算することが重要です。理想的な数字ではなく、実際の価格設定や市場環境を踏まえて計画を立てましょう。

また、売上だけでなく、

  • 仕入原価
  • 人件費
  • 家賃
  • 広告費
  • 支払利息

などの経費も整理し、最終的にどれだけ利益が残るのかを確認します。

特に融資審査では、「利益から無理なく返済できるか」が重視されます。そのため、売上規模だけでなく、毎月の資金繰りまで意識した計画を立てることが重要です。

なお、創業直後は売上が安定しにくいため、固定費を増やしすぎず、早期の黒字化を目指せる計画にすることが理想です。

コマサポ

融資審査では、会計上の利益だけでなく、「実際に手元にお金が残るか(キャッシュフロー)」も確認されています。利益が出ていても、資金繰りが厳しければ返済は難しくなるためです。

また、売上や利益の計画だけでなく、「いつ・何を実行するのか」といった事業の進捗スケジュールを整理しておくことも重要です。

例えば、

  • いつ開業するのか
  • いつ集客施策を始めるのか
  • いつ黒字化を目指すのか

など、具体的なマイルストーンを設定しておくことで、事業計画の実現可能性を伝えやすくなります。三年間程度の期間を目安に設定するのがおすすめです。

特に注目されるのは「利益計画」です。以下の手順で各種利益を算出しましょう。売上高は、販売計画で見積もった金額を使用します。

利益の計算式イメージ図

【利益計算の計算式】

  • 売上総利益 =売上高-売上原価
  • 営業利益 =(売上高-売上原価)-販管費
  • 経常利益 =(売上高-売上原価-販管費)-営業外損益
  • 純利益 =(売上高-売上原価-販管費-営業外損益)-税
営業外損益財務活動・金融活動など、本業外の損益(支払利息など)
販管費販売費および一般管理費のこと。人件費や減価償却費などが含まれる。販管費比率(販管費÷売上高)が低いほど経営効率がよいとされる。
減価償却費設備や機械、車などの資産を長く使う場合に、その購入費用を一度に経費にせず、使える年数に分けて少しずつ経費として計上する仕組みです。実際に毎年お金が出ていくわけではないため、返済能力を判断する際は「税引後の利益」にこの減価償却費を足した金額を、返済に使えるお金(キャッシュ)として見なす。

【例】
売上高:事業で得た収入(例:1,000万円)
売上原価:商品やサービスを提供するためにかかった費用(例:400万円)
販管費:人件費や広告費、事務所の家賃などの間接費用(例:300万円)
営業外損益:借入金の利息など、本業以外の損益(例:50万)
税金:法人税や所得税など(例:60万円)

売上総利益営業利益経常利益純利益
600万円300万円250万円190万円

このように損益を段階的に整理することで、「どれだけ利益が残るのか」を具体的に把握しやすくなります。

特に創業初期は、売上が安定しにくいため、家賃や人件費などの固定費を増やしすぎないことが重要です。無理のない黒字化計画を立て、資金繰りに余裕を持たせることを意識しましょう。少なくとも6カ月〜1年以内に黒字転換する計画にしておくことが理想的です。

また、融資審査では、利益だけでなく「実際に返済に回せる現金が残るか(キャッシュフロー)」も重視されます。そのため、売上だけでなく、毎月の支出や返済負担まで含めて計画を立てることが大切です。

必要な資金の金額を決める手順

融資を受ける際は、開業に必要な資金を整理し、不足分から融資希望額を決めていきます。

必要資金は、以下の流れで整理すると分かりやすくなります。

必要資金の金額決定のステップ図
  1. 必要な設備を整理する
  2. 各設備の見積金額を確認する
  3. 設備資金の合計額を算出する
  4. 運転資金(仕入・家賃・人件費など)を見積もる
  5. 自己資金や補助金など、自己調達できる金額を整理する
  6. 不足分から融資希望額を決める

【ポイント】数字の根拠の出し方と売上予測の方法

事業計画書で重要な要素のひとつが「数値の説得力」です。

売上や利益の予測がいくら優れていても、その数字に根拠がなければ、金融機関や投資家にとっては信頼に値しません。ここでは、根拠のある数字をどのように算出すれば良いのか、そのポイントを解説します。

① 客観的なデータを活用する

予測に使う数値は、信頼性の高い客観的データに基づいて設定しましょう。特に、政府や公的機関、業界団体の統計資料などは、第三者にも納得されやすく、計画の説得力を高める要素になります。

データの出典や根拠を明記し、可能であれば一次情報に基づいて記載することが重要です。政府機関や業界団体の発表資料など、信用性の高い情報を活用することで、読み手に安心感を与え、計画の実現性をより強く印象付けることができます。

また、数字を設定する際は「計画どおりにいかなかった場合」も想定し、最悪のケースでも事業継続が可能なラインを意識することが大切です。リスクへの備えが見えることで、金融機関からの信頼も得やすくなります。

参考にできる主な情報源】

  • 総務省・経済産業省・自治体などの統計データ
  • 業界団体の市場調査・動向レポート
  • 民間のリサーチ会社による消費者調査・白書
種別内容主な情報例公式サイトリンク
総務省統計局国勢調査や消費支出、労働統計など業種別従業者数、家計支出の傾向、地域別人口動態https://www.stat.go.jp
経済産業省商業統計、業種別の動向、産業別売上高など業界別売上規模・経営実態調査、設備投資動向https://www.meti.go.jp
地方自治体(例:東京都産業労働局)地域別の産業支援情報や補助金、地域経済分析地域の創業支援施策・業界動向https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp
業界団体(例:日本フードサービス協会)業界ごとのトレンド、市場規模、課題など飲食業界の市場規模・業態別売上推移https://www.jfnet.or.jp
リサーチ会社(例:矢野経済研究所)市場調査、消費者動向レポート、白書消費トレンド、BtoB市場動向、ECの伸長状況https://www.yano.co.jp
日経BPマーケティング業界白書、ビジネスレポート小売・IT・製造など幅広い業界の事例分析https://marketing.nikkeibp.co.jp

これらの情報は「市場規模」「ターゲット層のニーズ」「競合の売上規模」などの裏付けとしても使用できます。

② 自社の過去データ・実績を基にする

既にビジネスを行っている場合は、自社の実績を根拠にしましょう。

  • 過去の売上推移
  • リピート率・成約率
  • 1人あたりの平均購入単価(客単価)

自社の実態に即した数値をもとに将来の売上や利益をロジカルに展開していくことで、説得力が高まります。

③ 売上予測は「客単価 × 想定顧客数」で考える

創業前など、まだ実績がない場合でも、売上は以下のような計算式で予測できます。

売上高 = 客単価 × 想定来店(購買)数 × 営業日数

たとえば、カフェの場合

客単価800円⇒【月商予測】
800円 × 30人 × 25日 = 60万円
1日あたりの平均来店数30人
月間営業日数25日

このように分解して予測すると、金融機関もその根拠をイメージしやすくなります。

主な業種別の売上予測方法

主な業種別に、その他の算出方法もご紹介します。

業種1か月当たり売上高の予測方法
飲食業客単価 × 座席数 × 1日当たり回転数 × 営業日数
・昼・夜の時間帯別や平日、週末別で分けるとより精緻に
・テーブル席について満席率をかけるとより実態に即した数値となる
小売業商品平均単価 × 1日当たり客数 × 営業日数
・客数に「リピート率」をかける方法もある。
・アイテム数が多数の際には、関連商品をグループに分けて算出
美容業メニューごとの料金 × 1日あたり来店客数 × 営業日数
・椅子の台数と回転数で算出する方法もある
学習塾コース別月謝金額 × 生徒数
・入会金がある場合は新規生徒数をかけて加える
・夏期春期講習など短期コースを実施する場合は、別途算出
エステサロン施術ごとの単価 × 1日当たり客数 × 営業日数
・施術時間制の料金設定の際は、平均客単価で計算
製造業平均製品価格 × 月当たり見込み販売数
・取引先ごとに単価を設定することも可能。
システム開発受託開発:平均単価 × 月当たり案件数
・開発が長期にわたる場合は、回収高の月平均で計算
・保守料金(更新メンテナンスなど)がある場合は、別途加える

④ 経費の算出も「見積・相場」で裏付ける

経費に関しても、見積書をはじめ根拠となる資料を用いて信頼性を高めましょう。

  • 見積書(設備・工事費・内装費など)
  • 相場データ(人件費、家賃、光熱費など)
  • 類似業態の平均値(業界白書など)

たとえば、賃貸契約を予定しているなら賃貸契約書案を添付したり、従業員を雇う場合は給与相場を示すと、説得力のある計画になります。

⑤ 数字の整合性を確認する

売上とコスト、利益のバランスに一貫性があることも大切です。
「売上が月100万円のはずなのに、仕入が80万円、人件費が50万円」といった矛盾は、融資審査でマイナス評価を受ける要因になります。

✅ 数値同士がつながっているか?
✅ 他の項目(資金計画・収支計画)と整合性が取れているか?

など、複数の視点で数字をチェックしましょう。

何年分の事業計画が必要?

創業融資を申し込む際に提出する事業計画書では、1年~3年分の計画を立てるのが一般的です。それぞれの期間には、次のような役割があります。

【1年目:詳細な計画が必要な期間】
・月ごとの売上、経費、資金繰りを具体的に記載
・開業直後の運転資金や収支の見通しを明確に示す

【2年目~3年目:年単位での見通しを作成】
・年ごとの売上や費用の増減を予測
・事業の成長ペースや黒字化のタイミングを示す

金融機関は、「1年以内に事業が安定するかどうか」を特に重視します。
また、3年先までの計画を用意することで、将来の成長性や返済能力の根拠が明確になり、審査でも好印象につながります。

💭ミニコラム「事業計画書はこわくない!」

事業計画書を初めて作成する際、より良い計画書を作ろうと意気込むあまり、思うように進まないこともあります。そのようなときは、まず項目ごとに自分の頭に浮かんだことを自由に書き出してみましょう。

カードや付箋にひとつずつアイデアを書き、それを壁や大きな紙に貼り出すと効果的です。自由に書き出すことで、思考が整理され、新たなアイデアが湧きやすくなります。

このブレインストーミングの過程を通じて、漠然とした考えを具体的に言語化し、ビジネスの全体像を明確にすることができます。最終的には、出てきたアイデアの中から重要なものを選び、事業計画書の内容に組み込んでいきましょう。

 

問題点のある事業計画書とは?

事業計画書は、事業の方向性や成長戦略を明確に示す重要な書類ですが、作成時にいくつかの問題点が見られることが多いです。以下に、よくある課題を整理しました。

1. 事業の目的・意義の説明不足

事業計画書には、「なぜこの事業をやるのか?」という明確な理由が必要ですが、その検討が不十分なケースが多く見られます。

例えば、単に「新しい市場だから」「技術が優れているから」といった理由だけでは、投資家や金融機関を納得させるには不十分です。

改善例

  • 市場や社会の課題と、自社の事業がどのように結びつくのかを明確に説明する
  • 事業ビジョンを単なる理想論ではなく、具体的なデータや根拠とともに提示する

2. 事業の成長性・魅力の説明不足

「この事業がなぜ成長するのか?」「なぜ魅力的な市場なのか?」といった点の検討が甘いと、事業の将来性が伝わりません。「技術が優れている」「アイデアがユニーク」といった点に終始し、実際の市場のニーズや競合状況への理解が不十分なケースも少なくありません。

改善例

  • 市場規模や成長率、競合の状況などを具体的なデータで示す
  • 技術やアイデアの優位性が、なぜ事業の成功につながるのかを論理的に説明する

3. 顧客ニーズの分析不足

顧客のニーズを的確に捉えられていないと、どれほど優れた製品やサービスでも売上にはつながりません。特に次のような点が曖昧なケースが多く見受けられます。

  • 顧客の課題がどの程度切実なのか
  • ターゲット層によってニーズがどう異なるのか
  • 購入の決め手となる要素は何か

改善例

  • 顧客インタビューやアンケートなどの調査データを活用する
  • ペルソナ(典型的な顧客像)を設定し、具体的な購買行動を想定する

4. 戦略的な検討不足

事業計画書が、売上予測や資金計画といった数値中心になり、戦略の具体性が欠けているケースがあります。特に、以下の点の説明が不足しがちです。

  • 競争優位性(他社とどう差別化するのか)
  • マーケティング・販売戦略(どのように顧客に届けるのか)
  • 長期的な成長計画(数年後にどう発展するのか)

改善例

  • 競合分析を行い、自社の強みや差別化ポイントを明確にする
  • ターゲット市場ごとの販売チャネルやプロモーション戦略を具体的に示す

5. 競争優位性の説明不足

「なぜこの事業が競争に勝てるのか?」という点の説明が不十分だと、投資家や金融機関はリスクを感じます。多くの場合、「良い商品だから売れるはず」といった楽観的な前提に依存してしまい、競争環境の厳しさを軽視することが問題となります。

改善例

  • 競合との差別化ポイントを明確にする(価格・品質・ブランド力・技術力など)
  • 市場参入の障壁(特許・独自技術・流通網など)を示し、競争優位を強化する

6. 事業計画に対する経営者のコミットメント不足

事業計画書を作成したものの、経営者自身がその内容を十分に理解しておらず、実行に対する強い意志が欠けているケースも見られます。投資家や金融機関は、計画の実現可能性だけでなく、経営者の情熱や覚悟も重視します。

改善例

  • 経営者自身が事業計画を納得できるまでブラッシュアップする
  • プレゼンテーションの練習を重ね、計画を自信を持って説明できるようにする

事業計画書を作成する際には、単に数値を並べるだけでなく、「なぜこの事業をやるのか」「どうやって競争に勝つのか」といった戦略的な要素をしっかり検討することが重要です。また、計画の実行に向けた経営者のコミットメントも欠かせません。これらのポイントを意識して事業計画書を作成することで、投資家や金融機関の評価を高めることができるでしょう。

高評価を得る事業計画書のポイント~おさらい

これまでの章では、事業計画書の目的や基本的な書き方、作成時の注意点について詳しく解説してきました。さらに前章では、「評価されにくい事業計画書」に見られる共通の課題も整理しました。

本章では、それらをふまえて、高評価を得る事業計画書に共通するポイントをあらためて確認していきます。読み手に伝わりやすく、かつ信頼性と実現性のある計画書に仕上げるために、押さえておきたい5つの視点をおさらいしましょう。

事業計画書のポイント図

1. 事業の独自性を明確にする

競合との差別化ポイントや、自社が提供する価値を具体的に示すことが重要です。「なぜこの事業が必要なのか」「他社にはない強みは何か」を明確に説明しましょう。

2. 数値データや市場分析を盛り込む

事業計画書には、売上予測や市場分析のデータを入れることで、より信頼性が増します。特に融資を受ける場合、資金計画や収益見込みを具体的な数値で示すことが求められます。

3. 事業の実現可能性を示す

「この事業計画は本当に実行できるのか?」という視点で、運営体制や資金調達の計画をしっかり説明しましょう。事業が長期的に継続できることを伝えることが大切です。

4. 訴求内容が簡潔に整理され、1分程度でプレゼンできる

事業計画書の内容が簡潔で分かりやすく整理されていることも重要です。特に、金融機関や投資家との面談では、短時間で事業の魅力を伝える必要があります。事前に要点をまとめ、1分程度で説明できるようにしておきましょう。

5. 実際に説明してみて、改善する

書類としての事業計画書だけでなく、実際に口頭で説明できるかどうかも重要です。説明することで、内容が明確になり、不足している情報や修正すべき点が見えてきます。プレゼンを想定して何度も練習しましょう。

事業計画書は、事業の未来を形にするための重要なツールです。読み手を意識し、説得力のある内容にすることで、融資や投資の成功率を高めましょう。

 事業計画書のテンプレート・フォーマット

創業融資の申請時に活用できる事業計画書のテンプレートや記入例をダウンロードできます。

 事業計画書テンプレート

「新規開業・スタートアップ支援資金」の創業計画書のテンプレート(公庫公式HP版)と、弊社【コマサポ】が作成したテンプレートは、以下のページでダウンロードいただけます。

日本政策金融公庫【新規開業・スタートアップ支援資金】事業計画書テンプレート

日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

創業時の代表的な融資制度、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」の概要をご紹介します。

新規開業・スタートアップ支援資金制度は、日本政策金融公庫が提供する創業支援制度のひとつで、これから起業を目指す方や、創業後間もない事業者(おおむね2期以内)を対象とした融資制度です。

なかでも、女性・若者・シニア層には条件面での優遇措置が設けられています。

項目内容
対象者以下のいずれかに該当する方が対象です。
🔷これから新たに事業を始める方
🔷事業開始後おおむね7年以内の方
融資限度額7,200万円(うち運転資金は4,800万円まで)
金利基準金利:2.40~5.00%
*決算が2期未満の方は、原則として0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引下げ
返済期間🔷設備資金:20年以内
🔷運転資金:10年以内
*うち据え置き期間5年以内
担保・保証人原則不要
自己資金要件は明記されていませんが、融資希望額の30%程度が望ましいです
*金利は令和8年5月1日現在のものです。最新の金利情報を公庫のHP(金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】)でご確認ください。
*参照:日本政策金融公庫|新規開業・スタートアップ支援資金

日本政策金融公庫に強いコマサポについてはこちらをご覧ください

👇【新規開業・スタートアップ支援資金】の詳細については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

創業融資は日本政策金融公庫がおすすめ!

 事業計画書作成に関する相談先

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まとめ

ここまで、事業計画書の役割や書き方、金融機関が重視するポイントについて解説してきました。最後に、事業計画書を作成するうえで重要なポイントを整理しておきましょう。

事業計画書の作成ポイント
  • 自社の強みや独自性を明確に伝える
  • 客観的なデータや根拠ある数字を用いる
  • 実現可能な計画を具体的に示す
  • 読み手に伝わる、分かりやすい構成にする
  • 第三者の意見を取り入れながらブラッシュアップする

事業計画書は、単なる申請書類ではなく、事業の方向性や将来の戦略を整理するための重要な資料です。

一方で、

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駒田会計事務所【コマサポ】 
代表 駒田 裕次郎
(税理士・公認会計士・認定支援機関)

創業融資代サービス【コマサポ】メンバー

   監修: 駒田 裕次郎 駒田会計事務所【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2026年4月末現在)
【所有資格】
・日本公認会計士協会 東京会所属(第26214号)
・東京税理士会所属(第118805番)
・経営革新等支援機関(認定支援機関)
コマサポ代表 駒田裕次郎
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。
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