創業融資

【個人事業主向け】創業融資完全ガイド~日本政策金融公庫などの融資制度を知って賢く開業資金を確保しよう ~

この記事で分かること

創業融資を受けるまでの5ステップ

  1. 融資相談・申請先の決定
    専門家に相談しながら、自分に合った最適な融資機関を選ぶことが大切です。
  2. 書類作成・提出
    事業計画書や資金使途計画書などは、正確で分かりやすい内容に仕上げましょう。
  3. 面談
    スムーズに対応できるよう、想定される質問をあらかじめリストアップしておくと安心です。
  4. 審査
    審査には通常1週間ほどかかります。
  5. 融資開始・返済
    契約手続きが完了したら、資金を受け取り、返済がスタートします。

創業融資制度の「新規開業・スタートアップ支援資金」は担保や保証人が不要で利用しやすいです。

融資をスムーズに受けるためには、事業計画書を明確にし、実務経験や自己資金を確認、信用情報に問題がないかを事前にチェックしましょう。

事業を始めるために必要な資金をどう調達するかは、成功のカギを握ります。
法人と同様に、個人事業主でも融資を受けることができます。
今回は、個人事業主で開業をご検討中の方に向けて、創業融資を受けるための基本的な流れから、融資制度の選び方、審査で重視されるポイントまで、成功へのステップを解説します

監修:駒田 裕次郎
駒田会計事務所【コマサポ】代表

【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

目次

個人事業主として開業を考えている、または開業したけれど、資金調達に悩まれる方は少なくありません。
これからの起業活動を円滑に進めるために、まずは融資の知識を深め、確実に資金を調達する方法を学びましょう。
コマサポでは資金調達のサポートを行っていますので、お気軽にご相談ください。

個人事業主でも融資は受けられる

創業したばかりの個人事業主には、設備資金や運転資金など、さまざまな資金が必要になります。自己資金が十分にあっても、それだけでは全ての資金をまかなうことが難しい場合もあります。そんな時におすすめなのが、創業融資の利用です。創業融資は、法人だけでなく、個人事業主にも適用されるため、資金調達の選択肢として活用できます。

融資を受けるためには、審査通過のための流れやポイントを理解しておくことが大切です。しっかりと準備をして、必要な対策を講じることで、スムーズに融資を受けることができるでしょう。

個人事業主が創業融資を受けるまでの5ステップ

流れとしては大きく5点があります。

1.融資相談・融資申請先の決定

融資を受けるための最初のステップは、信頼できる相手に相談することです。税理士や中小企業診断士、商工会議所など、専門的な知識を持った人に相談することで、客観的で的確なアドバイスを得ることができます。

次に、融資機関を選ぶ必要があります。融資制度は多岐にわたるため、それぞれの特徴を比較検討し、自身の事業内容や資金ニーズに合った、最適な融資機関を選びましょう。

2.書類の作成・融資元への提出

次に、融資を申し込むための必要書類を準備します。
事業計画書や資金使途計画書、過去の決算書類、税務申告書など、融資元が求める書類を漏れなく整えましょう。準備が整ったら、選定した融資元にこれらの書類を提出します。
書類は正確で分かりやすく作成することが求められるため、必要に応じて専門家に相談して、内容を確認してもらうことも有効です。

3.融資元の担当者と面談する

書類を提出した後、融資元の担当者との面談が行われます。この面談は、融資を受けるために非常に重要なステップですので、事前にしっかりと準備をして臨むことが大切です。
また、面談では、事業計画や資金使途計画について詳細に説明する必要があります。担当者からの質問にスムーズに答えられるよう、想定される質問をリストアップし、それに対する回答を準備しておくと良いでしょう。

4.審査を受ける

書類の提出や面談が終わると、いよいよ融資の審査が始まります。
審査にはおおよそ1週間程度かかります。その間に追加の資料を求められることもありますので、迅速に対応できるよう準備しておくことが重要です。
審査結果が出ると、融資の可否が通知されます。

5.融資開始・返済

融資が決定した場合、まずは契約手続きを行う必要があります。
契約手続き完了後に、指定口座に融資金額が入金され、実際に資金を受け取ることができます。融資金が入金されると、返済が始まります。

日本政策金融公庫の返済期間や据置期間について下記の記事で詳しく解説しています。興味のある方はぜひご覧ください。

創業融資の返済期間はどれくらい?据置期間の決め方金利の目安も紹介します【公庫の創業融資】 { "@context": "http://schema.org", "@type": "WebPage", "...

個人事業主が活用できる創業融資制度一覧表

個人事業主が活用できる創業融資には、主に3つの種類があります。

1.日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金

創業融資は日本政策金融公庫がおすすめ!

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の特徴・要件

2024年3月に「新創業融資制度」が廃止され、その代わりに「新規開業・スタートアップ支援資金」が拡充されました。これにより、創業を支援するための融資制度がより柔軟かつ広範囲に提供されることとなり、個人事業主や中小企業の創業時の資金調達がしやすくなっています。

  • 制度の対象
    ・新たに事業を始める方
    ・事業を始めてからおおむね7年以下の方
  • 融資限度額
    ・7200万円(うち運転資金4,800万円)
  • 返済期間
    ・設備資金:20年以内(据置期間:5年以内)
    ・運転資金:10年以内(据置期間:5年以内)
  • 利率
    ・日本政策金融公庫が定める基準利率。所定の要件に該当する場合は特別利率を適用。
     新規開業・スタートアップ支援資金の金利についてはこちらをご確認ください。
  • 担保・保証人
    ・原則不要

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金を利用するメリット

  • 創業時の融資に積極的
    新規開業・スタートアップ支援資金は、これから事業を始める人や創業間もない事業者を積極的に支援する制度です。実績がない段階でも事業計画や将来性を評価してもらえるため、資金調達のハードルが低くなります。
  • 低金利で融資が受けられる
    金利が比較的低く、長期的に返済することができるため、事業の負担を軽減できます。
  • 保証人や担保が不要
    創業時は、まだ十分な実績や資産がないことも多いため、担保なしで利用できる点は大きなメリットです。
  • 返済期間が長い
    通常、返済期間が長いため、毎月の返済負担を軽減でき、安定した事業運営がしやすくなります。

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の注意点

  • 制度融資と比較すると金利が高い
    民間の金融機関と比べれば金利が低いですが、自治体の制度と比べると金利が高くなる傾向があります。
  • 融資額に上限がある
    融資額に上限があり、必要な資金を全額カバーできないこともあります。追加で資金調達が必要な場合もあります。

2.自治体による制度融資

制度融資の特徴・要件

自治体による制度融資とは、地方自治体、民間金融機関、信用保証協会の3つの機関が連携して融資を実行する仕組みです。地方自治体は、地域経済の振興と中小企業者の支援を目的に、民間金融機関や保証協会と協力し、低金利の融資を提供します。万が一返済が滞った場合、保証協会が代わりに返済を行うことで、民間金融機関は融資を実行できる仕組みです。この融資制度では、自治体が金利の一部を負担し、保証協会が連帯保証を引き受けるため、事業者は低金利で融資を受けやすくなります。
自治体が金利を一部負担 + 保証協会が連帯保証を引き受け

制度融資を利用するメリット

  • 民間金融機関と比べて審査が通りやすい
    自治体の制度融資は、自治体と信用保証協会、民間金融機関が協調しているため、審査のハードルが比較的低く設定されています。そのため、創業したばかりの事業者や、これから創業を考えている人でも利用しやすいのが大きな特徴です。

  • 担保や保証人が不要なことがある
    自治体によっては、担保や保証人を求めていない場合があります

  • 低金利で融資を受けられる
    自治体が貸付原資の一部を負担しているため、金利が低く抑えられています。これにより、民間金融機関単独の融資よりも低い負担で資金を調達することができます。

制度融資の注意点

  • 融資までの期間が長くなる
    民間の金融機関では、申し込みから融資実行まで2週間〜1カ月程度が一般的ですが、制度融資の場合は自治体、金融機関、信用保証協会の3者で手続きや審査を行うため、融資が実行されるまでに時間がかかることがあります。場合によっては、申し込みから融資まで3カ月ほどかかるケースもあります

  • 自治体によって制度内容が異なる
    制度融資は自治体ごとに条件や支援内容が異なります。希望する条件の制度融資がない場合や、近隣の自治体と比べて補助内容が少なかったり、金利が高かったりする可能性もあります。

  • 担保不要でも連帯保証人が必要になることがある
    制度融資の中には、担保は不要でも連帯保証人を求められるケースがあります。特に創業時や事業実績が少ない場合、信用を補完するために保証人を立てることが条件となることもあるので、事前にしっかり確認しましょう。

3.信用金庫や信用組合による融資制度

信用金庫や信用組合による融資の特徴・要件

信用金庫や信用組合では、「信用保証協会の創業融資」と「信用保証協会を介さずに直接融資を行うプロパー融資」の2種類があります。
特に創業融資は、信用保証協会の保証がついているため、創業時や中小企業の資金調達において広く利用されている主流の融資制度です。保証協会の支援を受けることで、事業実績が少ない段階でも融資を受けやすくなるのが大きな特徴です。

信用金庫や信用組合による融資のメリット

  • 個人事業主や中小企業向けの融資に積極的
    信用金庫や信用組合は、地域の会員や組合員の出資によって運営されているため、地元の個人事業主や中小企業の支援に力を入れています。創業時の資金調達はもちろん、事業拡大や運転資金の調達にも柔軟に対応しています。

  • 少額の融資にも対応
    1,000万円以下の比較的少額な融資に積極的で、小規模事業主でも利用しやすいのが特徴です。特に、創業直後や事業規模が小さい段階でも借りやすい環境が整っています。

  • 経営や資金繰りに関するサポートが充実
    単に融資を提供するだけでなく、創業融資をはじめ、経営相談、資金調達、資金繰りに関するアドバイスや情報提供も行っています

信用金庫や信用組合による融資の注意点

  • 金利がやや高め
    信用保証協会の保証付き創業融資は金利2%前後プロパー融資は3%前後と、日本政策金融公庫の新創業融資制度や自治体の制度融資と比べて高めです。
  • 利用する信用金庫・信用組合によって条件が異なる
    利用する信用金庫や信用組合によっては、希望する条件の融資が受けられなかったり、連帯保証人が必要になる場合もあるため、事前にしっかり確認しましょう。
  • 融資実施まで時間がかかる
    融資実行までに2〜3カ月程度かかる
    ことがあります。スケジュールには余裕を持つことが大切です。

スムーズに融資してもらうためのポイント

融資をスムーズに受けるためには、事前の準備としっかりとした計画が重要です。特に金融機関が重視するいくつかのポイントを押さえておくことで、審査の通過率を高めることができます。ここでは、融資審査でチェックされる主要なポイントについて詳しく解説します。

重視されるポイント①事業計画書の内容

事業計画書は、融資審査において最も重要な資料のひとつです。
事業のビジョンや目的、具体的な運営方針、収益モデルなどがしっかりと記載されていることが求められます。特に「事業がどれだけ有益か」「将来的に成長が見込めるか」といった点は、金融機関が注視するポイントです。
また、計画に基づいた数値や市場分析など、客観的なデータに基づいた説得力のある内容が求められます。主観的な予測だけでなく、根拠を明示することで信頼性を高めましょう。

創業計画書の項目と書き方のポイントを下記の記事で詳しく解説しています。興味のある方はぜひご覧ください。

【すぐ使える!15業種無料テンプレ有り!】創業計画書とは?記入例と書き方をわかりやすく解説 { "@context": "http://schema.org", "@type": "WebPage", ...

重視されるポイント②創業分野の経験・実績

創業しようとしている分野でのこれまでの経験や実績も、審査で大きく評価されるポイントです。
過去にその業界でどのような役割を果たしてきたのか、どんなスキルや知識を持っているのかが重要視されます。特に、経営に必要なノウハウや人脈、成功事例などがあると、事業の安定性や成長の可能性が高く評価されます
もし未経験の分野に挑戦する場合は、どのようにして知識を補完するのか、具体的な学習計画や支援体制を明示することが大切です。

重視されるポイント③資金計画および自己資金

事業を始めるにあたって、資金計画の実現可能性は審査において非常に重要なポイントです。金融機関は、事業に必要な資金をどのように調達し、運用していくのかを細かくチェックします。計画に無理がないか、支出と収入のバランスが取れているか、返済計画に無理がないかなど、多岐にわたる項目を審査するため、具体的でわかりやすい計画を示すことが大切です。
また、自己資金の割合は、融資の審査に大きく影響します。融資に全面的に頼るのではなく、どれだけ自分の資金を投入しているかが重要視されます。新規開業・スタートアップ支援資金は自己資金なしでも申請は可能ですが、実際のところ自己資金なしで融資を受けることは難しいです。自己資金が多いほど、金融機関からの信頼を得やすくなります。
さらに将来的な返済能力も審査の重要なポイントです。金融機関は、事業が安定的に収益を上げ、融資を返済できるかどうかを慎重に判断します。そのため、収益計画やキャッシュフローの見通しを具体的かつ明確に示すことが不可欠です。

重視されるポイント④過去の信用情報

過去の信用情報は、融資審査において非常に重要な判断材料となります。具体的には、これまでの借入や返済状況、クレジットカードの支払い履歴、滞納や延滞の有無などがチェックされます。特に、長期間の支払い遅延や未納がある場合、信用情報に傷がついているとみなされ、審査を通過するのが難しくなることがあります
また、スマートフォンの分割払いの滞納や、公共料金の未払いなども信用情報に影響するため、注意が必要です。金融機関は、これらの情報を通じて「きちんと計画的に返済ができる人物か」を判断するため、過去の信用情報に問題がないか、事前に確認しておきましょう。

新規開業・スタートアップ支援資金の審査に落ちてしまったら?

新規開業・スタートアップ支援資金の審査に落ちてしまった場合、その後すぐに再申請を行うことはできません。通常、審査に不合格となった場合、再申請が可能になるまでに半年以上の期間を要することが一般的です。この間、同じ金融機関には再申請をしても審査が通らない可能性が高いため、慎重に対応する必要があります。
また、審査に落ちた理由については、教えてくれないケースがほとんどです。そのため、何が問題であったのかを特定することが難しく、次回の申請に向けてどの点を改善すべきかが不明なままとなります。
そのため、申請前に専門家と相談し、事業計画書の添削や自己資金の確認、収益計画の見直し、信用情報の確認・整理を行うことが必要です。審査に通るためには、準備段階での細かなアドバイスやサポートが不可欠であり、しっかりと準備を整えておくことが重要です

審査に落ちる5つの理由と対策、審査に落ちてしまった際の対応策を下記の記事で詳しく解説しています。興味のある方はぜひご覧ください。

創業融資の審査に落ちてしまった場合はどうする?? { "@context": "http://schema.org", "@type": "WebPage", ...

駒田総合会計事務所で創業融資の審査を通過したお客様の事例

A社は、自己資金が少なく、一見不利な状況にありましたが、駒田総合会計事務所のサポートを受け、競合他社との差別化を事業計画書に詳しく記載しました。また、家族から開業資金の譲渡を受ける形で自己資金を増やし、審査を無事に通過し、順調に事業を展開しています。

まとめ:事前の準備が肝!まずはコマサポに無料でご相談ください

今回は、個人事業主向けの創業融資について紹介しました。
ポイントは以下の通りです。

  • 個人事業主でも創業融資を受けられる
  • 融資を受けるためには、計画的な事前準備が不可欠
  • 日本政策金融公庫や自治体、信用金庫など複数の選択肢がある
  • 審査通過のためには事業計画書や過去の信用情報が重要
  • 創業融資の審査に通らない場合、再申請には時間がかかる

個人事業主として開業する際は、計画的な事前準備と資金の調達が重要です。しっかりと準備を整え、確実に資金を確保することが成功のカギとなります。
事業計画の立案や資金調達について不安がある方は、専門家に相談するのも一つの方法です。

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駒田会計事務所【コマサポ】 代表 駒田裕次郎 税理士・公認会計士

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