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飲食店の開業、立地選びのポイントを解説~店舗の場所を決めるには

賑わう商店街

カフェ、ベーカリー、ドーナツショップなど、『自分の店を持つ』という夢を実現するためには、出店場所の選定が非常に重要です。「商品が素晴らしいのに、なぜか客が集まらずに閉店してしまう場所」は、決して珍しいことではありません。どの業種においても、より多くの顧客を獲得し、より多くの商品をより長く販売するために考慮すべきポイントは多岐にわたります。

ここでは、開業時のより効果的な立地選びについてご説明します。また、開業時の資金調達についても、詳しくご紹介いたします。

開業時の三大要素とは

まず、開業時の三大要素は、以下のようにまとめられます。

1. 立地

  • 重要性: 事業の成功には、適切な立地が不可欠です。顧客となるターゲット層が集まる場所を選ぶことで、集客力が高まります。
  • ポイント: アクセスの良さ、競合状況、周辺環境などを考慮し、事業に最適な場所を選定することが重要です。

2. 資金

  • 重要性: 開業資金は、店舗の設置、仕入れ、運転資金、宣伝費用など、事業運営に必要なすべての費用をカバーするために必要です。
  • ポイント: 自己資金と外部からの資金調達(融資や投資など)を計画し、十分な資金を準備することが重要です。
  ※資金調達については、のちほど詳しくご説明します。

3. 商品・サービス

  • 重要性: 提供する商品やサービスの質は、顧客の満足度やリピート率に大きく影響します。市場のニーズに応えるものでなければなりません。
  • ポイント: 市場調査を行い、顧客のニーズや競合との差別化ポイントを明確にして、魅力的な商品やサービスを提供することが求められます。

 

つぎに、具体的な立地選びのポイントについて解説していきます。

立地選びのポイント

開業時の立地選びは、事業の成功を大きく左右する非常に重要なステップです。以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

  1. ターゲット市場の分析
  • 顧客層の特定: どのような顧客をターゲットにするのかを明確にし、その顧客層が多く集まる場所を選びます。必ずしも駅周辺や繁華街など人が集まる場所=好立地ではなく、ターゲット層の集まる場所であることが重要です。
  • 年齢層や趣味: 商品コンセプトに合った特定の年齢層や趣味を持った人々が集まるエリアを選ぶことも重要です。
  1. 交通の便
  • アクセスの良さ: 駅やバス停からの距離、主要道路へのアクセスを考慮します。通勤・通学路沿いや、車の交通量が多い場所も有利です。
  • 店舗への入りやすさ:人や車の流れを確認し、店舗への導線が容易であるか=入りやすいかが重要です。また、通りから店舗が見えやすく、周辺環境など来店しやすい場所であることも確認しましょう。実際に候補となる場所を歩き、自分の目と足で実地調査を行いましょう。
  • 駐車場・駐輪場の有無: 自動車利用者のための駐車場や駐輪場があると、集客力が向上します。
  1. 競合の状況
  • 周辺の競合分析: 立地条件がよいとされる「人気エリア」は競合率も高くなります。競合他社の数や種類を調査し、むしろニーズが満たされていない場所を選ぶと良いでしょう。
  • 差別化ポイント: 競合が多い場合、何らかの差別化要素を持っているかどうかも重要です。
  1. 地域の特性
  • 商業地域と住宅地域: 商業地域は集客に有利ですが、家賃が高くなることが多いです。住宅地域では住民が集まりやすいですが、集客力は弱いことがあります。
  • 地域の発展性: 発展が見込まれる地域や、新たな開発が予定されている場所も将来的な集客が期待できます。
  • 「流動商圏」と「安定商圏」:店舗が開業したり閉店するスパンが短いエリアを「流動商圏」といいます。一方、店舗の開業や閉店が少ない安定したエリアは「安定商圏」と呼ばれます。このようなエリアでは、既存の店舗が長く営業を続けていることが多く、顧客の支持が得られているため、店舗の流動性が低く、商業環境が安定しています。

エリア別 立地の特徴

立地の特徴適した商品利点・短所など
駅前集客率と回転率が高いため、商品単価が低くても利益を得やすい飲食店、コンビニ、テイクアウト専門店家賃など賃貸契約費
オフィス街・学生街昼と夜、平日と休日の人口差が大きいランチ営業の定食屋、居酒屋、日用品や食料品営業時間と曜日別の売上分析などの対策が必須
繁華街利便性が高く、主に休日の商圏人口が増加アパレル、美容関係、飲食、雑貨など多岐にわたる家賃など初期経費が嵩み、競合率も高い。必ずしも人口=購買者数ではない
ロードサイド土地が広く、売り場面積・駐輪駐車場も確保しやすい。遠方からの集客も見込めるホームセンター、家具家電販売、大型スーパー、ファミリー向け飲食店主要道路の利用者属性や、地理的な立地分析が必要

 

  1. コスト
  • 賃料の妥当性: 賃料や初期投資が予算内に収まるかを確認します。賃料が高いと、利益を圧迫する可能性があります。
  • 固定費の管理: 立地によって変わる固定費(賃料など)を計算し、経営に無理がないか検討します。
  1. 法律や規制
  • 許認可の確認: 特定の業種によっては、立地に関する規制や許認可が必要な場合があります。事前に確認しておくことが大切です。

住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めた「用途地域」についてはこちらをご参照ください。 用途地域/国土交通省 近畿地方整備局

 

立地は開業の成否に直結する要因であるため、慎重に検討する必要があります。ターゲット市場、交通の便、競合状況、地域特性、コスト、法律など、さまざまな要素を総合的に考慮して、最適な場所を選ぶことが重要です。

自社の強みを明確にするためには、競合他社の分析は必須です。事業の強み、競合相手、市場規模の分析に最適な方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。

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開業に申請が必要な主な業種と窓口

具体例窓口
飲食店食堂、レストラン、専門料理店、日本料理店、料亭、中華料理店、ラーメン店、焼肉店、そば・うどん店、すし店、酒場、バー、喫茶店、カフェ保健所
食料品製造業・販売業八百屋、果物屋、肉屋、魚屋、弁当・惣菜屋、パン屋、ケーキ屋、アイスクリーム屋、菓子屋、お茶屋、コーヒー豆屋、米屋、コンビニ保健所
宿泊業旅館、ホテル、カプセルホテル、ユースホテル、下宿、民宿保健所
医療業病院、一般診療所、歯科診療所、助産所、歯科技工所、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師保健所
理容業理容院、理髪店、バーバー、床屋、シェービングサロン保健所
美容業美容院、美容室、ビューティサロン、まつげエクステサロン、ヘアサロン、ヘアカラー専門店保健所
洗濯業クリーニング店、クリーニング工場、リネンサプライ保健所
接待飲食等営業キャバレー、ラウンジ、ホストクラブ、料亭、待合茶屋警察署
遊技場営業麻雀クラブ、パチンコホール、スロット店、ゲームセンター警察署
古物営業リサイクルショップ、リユースショップ、古本屋、古着屋、古美術商、金券ショップ、質屋、中古自動車の販売店警察署
深夜酒類提供飲食店営業スナック、パブ、バー、酒場、居酒屋 ※深夜(午前0時から午前6時)に営業する場合警察署
探偵業探偵事務所、興信所警察署
警備業施設警備業者、雑踏警備業者、交通誘導警備業者、貴重品運搬警備業者警察署
自動車運転代行業運転代行サービス警察署
医薬品・化粧品等販売業薬局、薬店、ドラッグストア都道府県庁
公衆浴場業銭湯、温泉、サウナ、スーパー銭湯、健康ランド、岩盤浴、酵素風呂都道府県庁
興行場営業映画館、劇場、寄席、音楽堂、ライブハウス、演劇場、演芸場、サーカス、見世物小屋都道府県庁
学校等幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校 ※私立の場合都道府県庁
児童福祉事業保育所、託児所、ベビーシッター都道府県庁
訪問介護事業訪問介護事業所、訪問入浴介護事業所、夜間対応型訪問介護事業所都道府県庁
住宅宿泊事業民泊(年間営業日数180日の上限あり)都道府県庁
動物取扱業ペットショップ、ペットサロン、ペットホテル、動物園、水族館、ねこカフェ都道府県庁
旅行業旅行会社、旅行業者代理店、旅行サービス手配業者都道府県庁 または観光庁
宅地建物取引業不動産販売代理店、不動産仲介会社都道府県庁
建設業大工、左官屋、とび職人、解体工事業者、造園工事業者、ガーデナー都道府県庁
電気工事業電気工事店、電気工事業者都道府県庁
貸金業消費者金融業者、貸付けを行うカード会社都道府県庁
酒類製造・販売業酒蔵、酒造場、醸造所、ワイナリー、酒屋、ワインショップ、リカーショップ税務署
職業紹介業転職エージェント、人材バンク、人材派遣サービスハローワーク
道路旅客運送業乗合バス業者、タクシー業者、ハイヤー業者、福祉タクシー業者、貸切バス業者運輸局
一般貨物自動車運送事業トラック運送業者、配送会社、運輸会社運輸局
倉庫業タンク倉庫、危険品倉庫、冷蔵倉庫、トランクルーム運輸局
たばこ小売業たばこ専売店、たばこ販売店、シガーバー、シーシャバーJT

※業種によっては複数の申請が必要な場合もあります。

 

理想の立地を見つけたら ~資金調達の方法

自分の理想とする立地を見つけることができたら、その土地や店舗を確保するために資金調達が必須です。

開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。

  • 全額自己資金で賄う。
  • 他人(家族・親族を含む)から出資を受ける。
  • 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。

自己資金で開業できれば理想ですが、開業に必要な資金を全額自己資金や身近な関係者からの出資で賄える人は非常に少ないと言っても過言ではないでしょう。

ちなみに、開業する際の資金について、自己負担割合はさまざまな要因によって異なるものの一般的なガイドラインとして、全体の開業資金の20%〜50%を自己資金で用意することが推奨されています。例えば、開業資金が1000万円の場合、200万円〜500万円を自己負担する形です。

「自己資金」については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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それでは、具体的に融資を受ける方法について見ていきましょう。

開業に利用できる融資先の例

下記は、創業や開業時に利用可能な融資先の例です。

【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開など、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。詳しくは、こちらをご覧ください。

【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。
詳しくは、こちらをご覧ください。

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まとめ

今回は、飲食店の開業について、スポットをあててご説明してきました。
「コマサポの創業サポートナビ」を運営する駒田会計事務所は、これから創業される方・創業5年以内の皆様に対して、創業時における資金調達のサポートを行っております。日本政策金融公庫の創業融資の支援を始め、多くの創業融資のサポート実績があります。

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 公認会計士・税理士 認定支援機関
 駒田 裕次郎

 

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