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保育園を開業するには?「開業の流れから資金の調達まで」解説いたします!

近年では保育園が不足しています。子どもが好きな方など、「保育園を開業するにはどのようにしたらいい?」「資格は必要?」などとお考えの方もいることでしょう。保育園の経営に資格は必要ありません。また、地域の信頼を獲得していけば、事業の発展も期待できるでしょう。

この記事では、保育園の開業について必要な知識を紹介します。保育園の開業に興味のある方はこの記事を見て少しでも参考にしていただけますと幸いです。

弊社でも皆様の起業サポートや創業支援を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

保育園の種類

保育園にはいくつかの種類があります。そして、その種類に応じて、保育料も変わってきます。保育料はなぜ変わるかというと、国や市町村からの助成金があるかないかの違いです。

保育園を大きく2つに分けると、認可保育園と認可外保育園の2つに分けられます。認可保育園の場合、市町村から助成金が出ます。

つまり、経営者として保育事業に参入を考えているなら、認可保育園の方が助成金をもらうことができ、経営の安全性も高まります。

ただ、認可外保育園は、自由度が高く、こんな保育事業をやりたいと決まっているのであれば、認可外保育園も悪い選択肢ではありません。

以下に主な保育園の種類を紹介します。

認可保育園

認可保育園とは、国の定める基準をクリアした児童福祉施設のことです。対象となるのは、0歳~小学校就学前の子どもです。国や自治体などからの補助金によって運営されていますが、開業するには厳しい基準が設けられています。運営方法も細かく決められていますが、認可外などに比べると安定した運営が期待できます。

小規模認可保育園

「子ども・子育て支援新制度」によって市町村の認可事業(地域型保育事業)となった施設です。認可されると公的な補助金が支給されます。認可保育所を設立するとなると開園までに2~3年は必要ですが、小規模認可保育園であれば4~5ヵ月ほどで開園が可能です。園児19名以下の小規模施設なので、個人でも開業できる保育施設の1つです。

要注目の小規模認可保育園

保育園の数が足らず、待機児童問題が叫ばれる中、国が支援のために打ち出した事業が小規模認可保育園です。

認可保育園ほど、定員数が多くなく、開園までにかかる時間も認可保育園よりも短いため、保育事業の開業を考える方はぜひ一度確認しておきたい形態です。

認定こども園

保育と幼児期教育のどちらも行う施設で、幼稚園と保育園の特性を併せ持った施設です。
0~2歳児は、保育の必要性があると認められた場合に利用可能です。3~5歳児は保護者の就労状況などに関わらず幼児期教育を受けることができ、さらに保育を必要とする場合は夕方までの保育が可能です。

認証保育所

待機児童問題の解消対策として、東京都が独自に創設した制度です。認定されれば東京都からの補助金を受けられます。大都市ならではのニーズに応えるため、認証保育所は駅から近い立地が原則となります。認可保育園より開所時間を長くし、残業や退社時間の遅い保護者にも対応しています。すべての施設で0歳児保育を実施しているのも特徴です。

夜間保育園

夜間保育園とは、その名の通り夜間や深夜に子どもの保育を行う施設です。定められた開所時間は11時~22時、仕事などの事情で保護者が子どもを保育できない場合に利用できます。認可夜間保育園になると公的な補助が出ますが、ニーズに反して数が少ないのが現状です。

認可外保育園

認可外保育園とは、国の定めた認可基準を満たせなかったり、条件を満たしていても自治体等の都合で認可が下りなかった保育園のことです。なかには公費の助成を受けている認可外保育園もありますが、ほぼすべて民間の運営となっています。保育料の規定もなく、サービス内容に応じて料金システム・金額もさまざまです。

ベビーホテル・託児所

託児所はデパート・スポーツクラブ・医療機関等に設置されており、保護者に代わって子どもを預かり保育を行う施設のことです。国が定めた児童福祉施設最低基準に沿った保育所には該当しない、認可外保育所となります。一定の基準を満たしているようであれば行政からの助成を受けられるケースもあるようですが、ベビーホテルには行政からの助成等はありません。

企業内保育

企業が、働く社員のために設置する保育所のことを企業内保育といいます。政府も企業内保育設置者への支援を推進しているなど、注目を集めているサービスになります。

こちらで挙げられた形態以外にも、神奈川県の川崎市が独自に設けた制度である認定保育園や、横浜市が独自に基準を設けた認可外保育園である横浜保育室など、自治体独自に運営費等が補助されるものもあります。

保育園開業の流れ

1. 保育園の種類を決める

まず最初に、認可保育園にするのか、認可外保育園にするのかを決めます。認可保育園・認可外保育園ともさまざまな形態があるため、どのようなニーズに応えようとするかを決定します。ひとつの方法として、フランチャイズを利用することも可能です。こちらの記事では保育園に限らず、フランチャイズについて説明していますので、ご参考ください。

フランチャイズでの起業は成功しやすい?メリット・デメリットなど説明します! { "@context": "http://schema.org", "@type": "WebPage", "...

2. 保育施設の確保・施設長を決める

保育園を開業するためには、子どもを安全に受け入れられる施設が必要です。
物件を探す際には、自治体の規定に沿った広さ、安全性(避難経路、耐震性など)、周囲の環境(騒音や交通量など)を確認します。必要に応じて内装工事や設備を設置し、保育環境を整える必要があります。保育園の種類に応じた基準を満たしていなくてはなりません。また、このときに保育施設の運営を実際に行う施設長も決めておくのが良いでしょう。

3. 事業計画書作成・提出・建築工事

施設を決めたら、事業計画書を作成します。事業計画書には保育方針や施設配置図、人員配置、保育時間、経営戦略などを記載します。作成した事業計画書を自治体に提出し、計画承認書が発行されたら、建築確認申請を行なって保育施設の工事です。

4. 保育士の採用・教育

工事の間に保育士を採用します。保育士の人数は認可・認可外ともに基準が定められているため、それを満たさなければなりません。また、保育士のほか、調理スタッフや事務スタッフも必要になります。採用後は質の高い保育を維持できるよう、研修も実施すると良いでしょう。

5. 保育園の開園準備

子どもたちが安全に楽しく過ごせるために、家具、遊具、教材などの準備を行います。また、衛生管理のための設備や、保育園内での事故を防ぐための対策(クッション材の使用、角のガードなど)も必要です。
保育園の理念に基づいた運営方針や、子どもの発達段階に応じたカリキュラムを作成します。保育士と共有し、保護者にもしっかり説明できるようにします。

6. 法的手続きと許認可の取得

  • 設立届出と開業申請
    認可保育園の場合、自治体の保育課や児童福祉担当窓口に申請書を提出し、審査を受ける必要があります。審査には、施設の基準が満たされているかどうか、保育士の資格や人数が揃っているか、運営方針が適切かなどが確認されます。
  • 消防署・保健所の検査
    安全基準に沿って、消防署による火災予防や避難経路の確認、保健所による衛生管理の確認が行われます。これらの検査に合格することが必要です。

申請が承認されたら、いよいよ開業となります。

必要な資格・設置基準は?

保育園を経営するために必要な資格

保育園を経営するために特別な資格は必要ありません。保育園の経営者に必要なのはあくまでも経営のスキルであり、保育士の資格や保育士としての実務経験などは一切不要です。

ただし、保育園の従業員には、保育士の資格保有者が一定人数いなければなりません。認可保育園では、子どもの年齢および人数に応じて保育士の人数が定められています。認可外保育園では、保育者のおおむね3分の1以上は保育士または看護師であることが必要です。

保育園の設置基準

認可・認可外保育園の設置基準の概略は、以下の通りです。

形態
認可保育園
認可外保育園
保育士の人数
・0歳:子ども3人に保育士1人
・1~2歳:子ども6人に保育士1人
・3歳:子ども20人に保育士1人
・4歳以上:子ども30人に保育士1人
・保育時間が11時間以内の場合は認可保育施設と同一の配置基準(保育者の3分の1以上が保育士または看護師)
・保育時間が11時間以上の場合は、保育されている児童が1人である場合を除き、常時2人以上を配置
施設の面積
・0歳、1歳児
乳児室:1.65㎡/人
ほふく室:3.3㎡/人
・2歳児以上
保育室:1.98㎡/人
園庭:3.3㎡/人
乳幼児1人あたり1.65㎡以上
開所時間
原則11時間無制限
自治体の審査
あり開業時の届出のみ

開業資金はどれくらい必要?

保育園事業は他ビジネスに比べると比較的低予算での開業が可能ですが、実際にどれくらいの資金が必要になるのでしょうか?保育園開業にかかる資金の目安と、その内訳について詳しくまとめてみました。不動産取得費などは地域によっても異なりますが、ぜひ参考にしてください。

保育園開業の際にかかる費用の目安

※施設規模20~30坪(園児定員20~30名前後)の保育園開業の場合

項目費用概要
不動産取得費
(賃貸保証金等)
100~150万円不動産取得に関する費用は地域・立地・物件によって異なります。保証金や賃貸料を含め、経営に適した物件を選びましょう。ただし、保育園はどこにでも開業できるというものではなく、定められた設置基準・指導監督基準に適合した事業用物件を選ぶ必要があります。
周辺の交通・治安・公園の有無・他保育園の稼働状況などしっかり調査することも重要です。
内装工事費100~150万円物件が決まったら、保育園にふさわしい内装にするため工事を行います。必要なのは工事費だけでなく、内装デザイン・素材・看板などの費用。こだわればこだわる分だけ費用も高くなるため、理想と現実のバランスを取りつつ内容を決めていきましょう。
子どもが過ごしやすく、保護者が安心して子どもを預けられる施設の実現が第一です。
備品・消耗品費60~100万円保育園で子どもやスタッフが使用する備品・消耗品代です。これには託児用品(おもちゃ・整理箱・絵本・おむつ入れ・園児用の椅子とテーブル)やお散歩用のカート、衛生的な環境を保つための掃除器具・消毒用品などが含まれます。
また、保育士・事務員・調理員などが使用する椅子・机・キャビネット・電話・パソコン・プリンター・デジタルカメラ・ロッカー・冷蔵庫・洗濯機なども必要です。
広告宣伝費20~50万円園児数を確保するために、園の広告・宣伝をするための費用です。チラシ・ポスター・パンフレットなどの製作費や、ホームページ開設・運用費、SNSの運用費などが含まれます。保育園の存在をアピールし、十分な数の園児・保育士を集めるための費用となります。

 

運営費用

保育園の日常的な運営費用は、月額200万円~300万円が目安です。内訳は以下のようになります。

項目
費用
人件費
180万円
賃貸料
45万円
水道光熱費
6万円
給食費
12万円
合計
213万円

保育園は人材が欠かせない事業であるため、人件費が多くなります。

保育園には、国や自治体から補助金が交付される条件があります。保育する子どもの年齢や人数に応じて支給される補助金のほか、保育所等整備交付金、家賃補助などを受け取ることができます。補助額や要件は自治体によって異なるので、しっかり確認しましょう。

起業するために必要な資金は?

保育園開業に必要な資金は、規模や内容などによって大きく異なりますが、一般的に必要資金のすべてを自己資金でまかなうことは難しい場合が多いです。また、起業後には予想外の支出が出てくることも念頭に置いておきましょう。

保育園の開業に限った話ではないのですが、開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。

  • 全額自己資金で賄う。
  • 他人(家族・親族を含む)から出資を受ける。
  • 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。

このうち、自己資金で開業できればベストなのですが、必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。

また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によって開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。

現実的には、日本政策金融公庫等の金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが多くなると思います

自己資金の説明はこちらの記事で詳しく説明しています。

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日本政策金融公庫の融資についてはこちらの記事でも説明しています。

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利用できる融資先の例

下記は、創業や開業時に利用可能な融資先の例です。

日本政策金融公庫
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開など、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。

保証協会付き融資
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。

独立行政法人福祉医療機構
福祉や医療業界に特化した融資を行っており、保育所事業でも利用できます。建物や土地取得時にも使えるなど、幅広い用途に対して融資を行っています。

まとめ

今回は、「保育園の開業」について、スポットをあててご説明してきました。
「コマサポの創業サポートナビ」を運営する駒田会計事務所は、これから創業される方・創業5年以内の皆様に対して、創業時における資金調達のサポートを行っております。日本政策金融公庫の創業融資の支援を始め、多くの創業融資のサポート実績があります。

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駒田会計事務所 【コマサポ】  代表
 公認会計士・税理士 認定支援機関
 駒田 裕次郎

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