パーソナルジムの開業は、フィットネス業界で非常に注目されているビジネスモデルです。
近年の健康志向により、ボディメイクやダイエット、健康管理等で通う方が増えています。「パーソナルジム」は、一般的なスポーツジムと異なり、マンツーマンで指導を受けることができるのが特徴です。1人の方に対して1人の専属トレーナーがトレーニング指導を行うスタイルです。
運動知識や技術を持ったトレーナーが指導してくれるため、一般のフィットネスジムよりも短期間で効果が実感できるのも特徴です。また、トレーナーから目標達成に向けて精神的なサポートを受けることも選ばれる大きな理由です。
目次
パーソナルジム開業に必要なもの
- 資格
パーソナルトレーナーの資格は必須ではありませんが、有資格者の方が顧客からの信頼を得やすくなります。また、ボディビルの大会で入賞経験があるなど、人に誇れる実績があると差別化を図りやすいです。 - 資金
店舗の賃貸、内装、トレーニングマシン、広告費等、多額の資金を確保することが必要です。 - 知識とスキル
トレーニング指導だけでなく、経営、マーケティング、顧客対応等、幅広い知識とスキルを取得する必要があります。
パーソナルジムとフィットネスクラブとの違い
パーソナルジムとフィットネスクラブの違いは、大きく分けて以下の3つがあります。
- トレーニング内容
パーソナルジムでは、お客様の目的や目標について把握しているため、重視するべきトレーニングや、苦手なトレーニング等も時間を費やして行うことができます。フィットネスクラブは、自身でトレーニングできるため、一人で行きたいときに通えて好みのトレーニングを行うことができます。 - 料金形態
パーソナルジムは1ケ月で約5~10万円程、フィットネスクラブは1ケ月で約1~2万円が料金の目安になります。 - 指導方法
パーソナルジムは、マンツーマンでパーソナルトレーナーが指導します。フィットネスクラブは、自身一人でトレーニングします。
パーソナルジムのメリット・デメリット
<メリット> | <デメリット> |
---|---|
マンツーマンでの指導のため効果が高い | 料金が高い |
トレーニング以外の食事等の指導をもらえる | トレーナーとの相性が良くないと失敗する |
トレーニング前にカウンセリングがある | 通える回数等の制限がある |
パーソナルジムの開業を成功させるポイント
パーソナルジムの開業を成功に導くためには、どのような点がポイントになるのでしょうか。ここでは、パーソナルジムの開業を成功させる4つのポイントについて説明したいと思います。
- ターゲット顧客の明確化
どのような顧客にサービスを提供したいのかを明確にすることが重要です。
パーソナルジム開業の場合、ダイエットを目指す20代~40代の女性が多いと言われていますが、昨今はメタボ対策で通う男性や、健康維持のために通うアクティブシニアも多く、店舗の立地やエリアを考慮しながら最適なターゲットを決めましょう。 - 差別化
競合他社との差別化を図るために、独自のトレーニングプログラムやサービスを提供することが大切です。例えば、プライベートジムによる運動の指導に加えて、糖質制限を目的とする食事のコントロールを行うなど、様々な方法が考えられます。ほかにも「美尻専門のパーソナルトレーニング」 など、ニッチな戦略で差別化を図ることも考えられます。 - 顧客とのコミュニケーション
顧客との信頼関係を築くために、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。また、アフターケアまで気に掛けることで、より親密な信頼関係を築けることから、契約の継続率が高まります(リピーターの創出)。ほかにも、LINEなどのコミュニケーションツールを活用し、顧客との距離感を縮めたりすることも有効でしょう。 - 継続的な学習
フィットネス業界は常に変化するため、新しい知識やスキルを習得し続けることが重要です。最新のメニューに加えて、効果に期待できそうなメニューを取り入れるとよりいいでしょう。
パーソナルジムの開業に必要な資金の調達について
一般的に必要資金のすべてを自己資金でまかなうことは難しい場合が多いです。
また、創業・開業後には予想外の支出が出てくることも念頭に置いておきましょう。
パーソナルジムの開業に限った話ではないのですが、創業・開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。
- 全額自己資金で賄う。
- 他人(家族・親族を含む)から出資を受ける。
- 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。
このうち、自己資金でパーソナルジムを開業できればベストなのですが、開業・起業に必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。
また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によって開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。
現実的には、パーソナルジムの開業についても、日本政策金融公庫等の創業融資を検討することが多くなると思います。なお、創業当初が最もお金を借りやすいと言われています。
パーソナルジムを開業するための自己資金の目安
自己資金の目安は、創業融資を受ける金融機関や事業内容によって異なりますが、パーソナルジムの開業においても、一般的に融資額の10%~30%程度が求められます。
自己資金が少ない場合でも創業融資を受けることは可能か?
自己資金が少なくても、事業計画が具体的で実現可能性が高いと評価されれば、創業融資を受けることは可能です。「自己資金が少ない場合」や「自己資金なし」でも申請は可能ですが、今までの実績からしますと、融資額の30%を目安にすることをおすすめいたします。
日本政策金融公庫等の創業融資について
下記は、創業融資を受けられる金融機関の例です。パーソナルジムの開業の際にもぜひご活用ください。
【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開等、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。
【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。実際の融資は信用金庫や信用組合が行い、それを保証協会が連帯保証してくれる形です。
創業時・起業時に創業融資を受けるべきか?
パーソナルジムの開業で必要となる「資金の量」は事業内容や業態などによっても変わってきます。
「自己資金でまずはリスクを小さくしてスタートしたい」「手元の自己資金で何とか起業できそう」という方も多くいらっしゃると思います。
一方で、創業時が最も融資を受けやすいと言われており、後になってから「やっぱり借りておけばよかった」と嘆かれる方も数多いです。
事業を行う上で最も避けなければならないのは「倒産」です。そのためには、できる限り手元資金を手厚くし、資金繰り悪化による倒産に備えておくことが最良の選択と言えるでしょう。
仮に現状は余裕があると考えられている方も、創業融資を前向きに検討されることをおすすめしております。
まとめ
今回は、「パーソナルジムの開業」について、スポットをあててご説明してきました。
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駒田会計事務所 【コマサポ】 代表
公認会計士・税理士 認定支援機関
駒田 裕次郎