副業といえばアルバイトやパートで働くなどもありますが、空いた時間を活用してプチ起業を始める人も少なくありません。
この記事では、副業での起業に興味がある人に向けての必要な知識や、メリット・デメリット、起業した場合に注意すべきことなどについて解説したいと思います。
目次
副業とは
副業とは、本業とは別に職業・仕事を持つことをいいます。あくまで中心は本業であり、就業後や休日などを利用して行うケースが一般的です。本業のほかに収入源が欲しいという目的だけでなく、スキルアップのために副業を開始する人も増えています。
副業が注目されている理由とは
- モデル就業規則の改定
就業規則により副業を禁止する企業が一般的でした。しかし、厚生労働省がモデル就業規則を改定し、副業禁止の文言を廃止したため、従業員の副業を解禁する企業が増加傾向にあります。このように、企業が副業に関して前向きになっている動きがみられるため、今後も副業をもつ人の数は増えていくのではないか、といわれています。 - 新型コロナウィルスによるテレワークの推進
2020年の新型コロナウィルスの拡大により、従来通りの働き方ができなくなった人が増えました。テレワークが導入され通勤しなくても済むようになった人もいますし、景気悪化や営業時間の短縮などにより収入が激減した人もいるでしょう。時間の有効活用や減ってしまった収入を補填するために副業に興味を持つ人は増えています。
副業で起業する方法
副業で起業する方法として、「個人事業主で起業する」「法人で起業する」という2つの方法があります。
- 法人(株式会社、又は合同会社)として起業する
法人として起業した場合、社会からの信用度が高まる、節税がしやすいなど、さまざまな恩恵を受けることができます。
一方、法人化するためには、資本金の用意や登記の手続きなどのさまざまな条件をクリアしなければなりません。また、法人設立の費用がかかるため、個人事業主として起業するよりも手間とコストがかかります。 - 個人事業主として起業する
個人事業主として起業した場合、とくに資本金を用意しなくても大丈夫です。税務署に「開業届」を提出すれば事業を開始できるため、起業に必要なコストを安く抑えられます。
ただし、法人化にくらべ、社会からの信用度はそこまで高くありません。そのため、融資を受けにくい、優秀な人材が集まりにくいというデメリットもあります。副業としてプチ起業をするのであれば、個人事業主からのスタートがおすすめです。資本金などの用意は必要なく、開業届を提出するだけで誰でも個人事業主となれます。もちろん個人事業主から法人化するのも可能です。目安としては、年間500万円以上の収益を上げるようになってから法人化を検討してみてもいいでしょう。
個人事業主の開業・創業についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

副業として起業するメリット
1. 収入の多様化
副業として起業することで、本業以外の収入源を確保できます。特に経済状況が不安定な時期などは、本業に依存しすぎるリスクを軽減できる点は大きなメリットです。
2. リスクを抑えられる
副業での起業は、本業の収入を維持しながら始められるため、失敗した場合でも大きな経済的損失を避けることができます。フルタイムの起業と比べてリスクが少ないので、初めてのビジネスに取り組むには安心感があります。
3. スキルの向上と成長
副業を通じて新しいスキルや知識を習得することができます。これが本業にもプラスに働くことが多く、総合的なスキルアップや自己成長につながります。
4. ビジネスのテストができる
副業としてビジネスを始めることで、市場の反応やビジネスモデルの効果を小規模でテストすることが可能です。成功の可能性を見極めてからフルタイムで起業する選択肢を取ることができます。
5. 本業への満足感が増す可能性
副業で自分の好きなことや得意なことをビジネスにすることで、自己実現の感覚が得られ、本業に対するストレスが減ることもあります。バランスを取りながら新しい挑戦ができるため、全体的なライフバランスの向上にもつながります。
6. 柔軟性がある
副業での起業は、通常フルタイムの仕事の外で行うため、柔軟な時間管理が可能です。週末や夜間など、自分のペースでビジネスを展開できる点が魅力です。
副業として起業するデメリット
1. 時間の制約
本業と副業の両立には時間的な制約があります。特に、ビジネスが成長してくると副業としての運営が難しくなり、どちらにも全力を注げなくなる可能性があります。時間管理が難しくなると、体力的にも精神的にも負担がかかることが多いです。
2. 収入の不安定さ
副業での収入は、特に始めたばかりの頃は不安定で、収益が安定するまでに時間がかかることがあります。本業の安定収入があるものの、ビジネスとして成功するには継続的な努力が必要です。
3. 集中力と効率の低下
副業をしながら本業を続けると、仕事の両方に分散された集中力が低下し、効率が悪くなることがあります。本業のパフォーマンスに影響が出たり、逆に副業に十分な時間を割けない場合があります。
4. ストレスや疲労の増加
仕事が本業と副業の両方に広がるため、長時間の労働やストレスが増えるリスクがあります。これにより、休息が不十分になり、健康に影響を与えることもあります。
5. 本業とのコンフリクト
場合によっては、副業が本業の会社の規則や契約に反する可能性があります。特に同業種での副業や、会社の機密情報を扱うようなビジネスを副業で始めると、法的な問題や会社からの信頼低下を招くリスクがあります。
6. 成長に時間がかかる
副業ではフルタイム起業と比べて時間が限られているため、ビジネスの成長速度が遅くなることがあります。全力を注げないことで、拡大や発展に時間がかかるかもしれません。
副業で起業するときの注意するべきこと
- 就業規則で禁止されている場合がある
従業員の副業を解禁する企業が増えてはいます。しかし、本業に支障が出る、情報漏えいのリスクが高まる、競業によって企業に損害を与えるおそれがあるため、就業規則で副業を禁止している企業も少なくありません。副業開始まえには就業規則をチェックしましょう。 - 働きすぎに気を付ける
副業を行えば、本業以外の労働時間が必然的に増えます。早く軌道に乗せるためにオーバーワークをすれば、睡眠不足や体調不良などで本業に支障をきたす可能性があります。副業により本業に支障が出ないようにするためにも、働きすぎには注意しましょう。 - 納税額に注意
本業以外に年間20万円以上の収入が発生した場合、確定申告が必要です。申告漏れがないよう、納税についての知識も深めておきましょう。
個人事業主として副業で起業する方法
副業で起業する場合は法人ではなく個人事業主として起業するケースが多いのではないでしょうか。ここでは個人事業主の起業の仕方を解説します。
- 開業届の提出
個人事業主として起業する場合、まずは「開業届」を税務署に提出する必要があります。開業届を提出する期限は事業開始から1カ月以内とされていますが、期限内に提出しなくても懲罰の対象にはりません。開業届のフォーマットは国税庁の公式ホームページからダウンロードできます。自宅でプリントアウトした開業届も利用可能です。 - 事業開始等申告書の提出
次に、居住地の都道府県に「事業開始等申告書」を提出します。事業開始等申告書とは、都道府県に事業の開始を報告するための書類です。ただし、都道府県ごとに申告書の呼び方や提出期限などが異なるケースもあるため、各自治体の公式ホームページで確認した上で提出しましょう。 - 青色申告書の提出
青色申告をする場合は、事業開始から2カ月以内に「青色申告承認書」を税務署に提出してください。青色申告は個人事業主が必ず申請しなければならないものではありません。白色申告でいい場合はこちらの承認書は提出しなくてもいいでしょう。青色申告と白色申告のどちらにすべきは後述しますので、そちらを参考にしてください。
副業での資金調達について
副業での起業に必要な資金は、事業内容などによって大きく異なります。
一般的に必要資金のすべてを自己資金でまかなうことは難しい場合が多いです。また、起業後には予想外の支出が出てくることも念頭に置いておきましょう。
副業での起業に限った話ではないのですが、副業での起業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。
- 全額自己資金で賄う。
- 他人(家族・親族を含む)から出資を受ける。
- 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。
このうち、自己資金で開業できればベストなのですが、副業での起業に必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。加えて、本部の支援があるため、全額自己負担のケースも少ないと思います。
また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によって開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。
現実的には、日本政策金融公庫等の金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが多くなると思います。
自己資金の説明はこちらの記事で詳しく説明しています。

副業での起業に利用できる融資先の例
下記は、創業や開業時に利用可能な融資先の例です。
【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開など、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。特に「新規開業資金」は副業でも利用されることが多いです。
【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。
まとめ
今回は、「副業からの起業」について、スポットをあてて見てきました。
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駒田 裕次郎