創業融資

日本政策金融公庫「ソーシャルビジネス支援資金」とは?ソーシャルビジネスの具体例と融資制度を専門家が解説

この記事で分かること
  • ソーシャルビジネスとは何か
  • ソーシャルビジネスの代表的な具体例
  • 一般的なビジネスやボランティアとの違い
  • 日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援資金
  • ソーシャルビジネスで融資を受ける際のポイント

「社会課題を解決する事業を始めたい」
「ソーシャルビジネスで起業したいけれど、資金調達ができるか不安」

このように考えている方もいるのではないでしょうか。

この記事ではソーシャルビジネスと日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援資金について解説します。
社会課題の解決につながる事業で起業・開業を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

そもそもソーシャルビジネスとは

ソーシャルビジネスとは、福祉・子育て・地域活性化・環境問題など、社会が抱えている課題の解決を目的として行う事業のことです。

対象となる分野は幅広く、たとえば次のようなものがあります。

ソーシャルビジネス具体例
  • 介護や高齢者の生活を支援するサービス
  • 子育て・教育支援
  • 女性活躍推進
  • 商店街の空き店舗対策
  • 過疎地域の活性化
  • 被災地復興
  • 自然、環境保護
  • 途上国支援
  • 障がい者の就労支援

社会貢献を目的としている点ではNPOやボランティア活動と似ていますが、ソーシャルビジネスでは、商品・サービスを販売して収益を確保し、事業として継続していくことが重要になります。

「社会に役立つ活動」であると同時に、「継続的に収益を生み出せる事業」であることがソーシャルビジネスの特徴です。

また、一般的なビジネスと大きな違いとして挙げられるのは、事業を通じて解決しようとする課題の社会性です。

どのような事業がソーシャルビジネスに該当するのか、詳しく見ていきたいと思います。

高齢化が進むなか、介護や高齢者の生活を支援するサービスの需要は高まっています。

具体例
  • リハビリ型デイサービス
  • 高齢者向けの配食サービス
  • 買い物代行
  • 通院支援
  • 高齢者向け家事代行
  • 見守りサービス

単に介護サービスを提供するだけでなく、

「高齢者の自立を支援する」
「地域で安心して暮らせる環境をつくる」

といった社会的課題の解決につながる事業であれば、ソーシャルビジネスとして位置付けられる可能性があります。

デイサービス開業についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
👉デイサービスは自宅で開業できる?

共働き世帯の増加などを背景に、子育てを支援するサービスも重要なソーシャルビジネスの一つです。

具体例
  • 放課後児童クラブ
  • 学習支援
  • 子ども食堂
  • 一時保育サービス
  • 子育て家庭向け家事支援
  • 不登校児童への学習支援

特に、家庭環境や経済状況による教育格差の解消、保護者の就労支援などにつながる事業は、社会的な意義が大きい分野です。

出産や育児をきっかけに仕事を離れた女性の再就職支援や、起業・キャリア形成を支援する事業もソーシャルビジネスの一例です。

具体例
  • 子育て中の女性向け職業訓練
  • 在宅ワーク支援
  • 女性向け起業支援
  • 育児と仕事を両立できる就労支援

女性におすすめの起業業種は下記の記事で紹介しています。
👉女性の起業ガイド

地方や商店街では、人口減少や後継者不足などによって空き店舗・空き家が増えている地域もあります。
こうした地域課題を解決するためのビジネスもソーシャルビジネスに当たります。

具体例
  • 空き店舗を活用した
    ・カフェ
    ・コワーキングスペース
    ・シェアハウス
    ・地域住民向け交流施設
  • 移住者向け住宅
  • 地域商品の販売拠点

空いている建物を活用しながら人の流れを生み出せれば、商店街や地域経済の活性化にもつながります。

  • 買い物ができる場所が少ない
  • 移動手段がない
  • 働く場所が少ない
  • 空き家が増えている

人口減少が進んでいる地域では、さまざまな課題があります。
過疎化地域で事業として行うことで、地域課題の解決と新たな雇用の創出につなげることができます。

具体例
  • 移動販売
  • 地域交通サービス
  • 空き家を利用した宿泊施設
  • 地域特産品の開発
  • 移住支援サービス

自然災害によって大きな被害を受けた地域では、建物やインフラの復旧だけでなく、地域コミュニティの再生も重要な課題となります。

具体例
  • 観光客などを呼び込むカフェや施設
  • 被災地の商品を販売するECサイト
  • 観光客を呼び込むツアー
  • 事業地域産品の開発・販売

地域内外の人をつなげる事業を通して、継続的な復興支援につなげていくことができます。

環境保護とビジネスを組み合わせた事業も増えています。

具体例
  • 植林体験ツアー
  • 自然体験サービス
  • 廃棄物のリサイクル事業
  • フードロス削減サービス
  • 再生可能エネルギー関連事業
  • 環境に配慮した商品の製造・販売

環境問題は一時的な活動だけで解決することが難しいため、収益を確保しながら継続的に取り組める仕組みをつくることが重要です。

ソーシャルビジネスで利用できる日本政策金融公庫の融資制度

ソーシャルビジネスを始める場合、課題となりやすいのが開業資金の確保です。

日本政策金融公庫では、このソーシャルビジネスに該当する事業を営む事業者に対して「ソーシャルビジネス支援資金」という融資制度を設けて、社会的課題の解決を目的とする事業者の支援をしています。

対象となる事業者は、NPO法人だけとは限りません。
一定の要件を満たせば、株式会社や合同会社、個人事業主などが対象となる場合もあります。

しかし、ソーシャルビジネスなら必ず融資を受けられるわけではありません

ソーシャルビジネスで融資を受ける際のポイント

ソーシャルビジネスの創業融資では、特に次のポイントを整理しておきましょう。

ポイント
  1. どの社会課題を解決する事業なのかを明確にする
  2. 社会貢献だけでなく収益モデルを説明する

1.どの社会課題を解決する事業なのかを明確にする

まず、「誰が、どのようなことで困っているのか」を具体的に整理することが重要です。

高齢者を支援する

👉漠然としていてどのような課題をどう解決するか理解できない

公共交通機関が少ない地域に住む高齢者が、日常の買い物に困っているため、定期的な移動販売サービスを提供する

  • 対象者
  • 課題
  • 原因
  • 解決方法

を明確にしてことで、事業の必要性を伝えやすくなります。

2.社会貢献だけでなく収益モデルを説明する

ソーシャルビジネスでも、安定した売上を確保できなければ事業は継続できません。
そのため、社会的意義だけでなく、「事業として成立する根拠」も示しましょう。

  • 誰から料金を受け取るのか
  • 商品・サービスの価格はいくらか
  • 何件利用される想定なのか
  • 毎月どのくらいの売上になるのか
  • いつ黒字化するのか

を担当者が納得する形で提示する必要があります。

3.なぜ自分がその事業を行うのかを説明する

創業融資では、経営者の経験も重要です。

たとえば介護事業を始めるのであれば、

  • 介護業界での勤務経験
  • 保有資格
  • 管理職経験

などが事業計画の説得力につながります。

経験が十分でない場合には、共同経営者や従業員など、必要な人材をどのように確保するのかも説明できるようにしておきましょう。

4.必要な資金を具体的に算出する

開業資金についても、具体的な根拠が必要です。

とりあえず500万円借りたい

👉なぜその金額が必要なのか不明瞭

  • 物件取得費
  • 内装工事費
  • 設備購入費
  • 車両費
  • 広告宣伝費
  • 人件費
  • 家賃
  • 運転資金

などを整理し、見積書などをもとに必要額を計算します。

必要資金を明確にすることで、借入希望額の妥当性も説明しやすくなります。

ソーシャルビジネスの創業では事業計画が重要

ソーシャルビジネスは、社会的な意義だけで成立するものではありません。
継続的に社会課題を解決するためには、利益を確保し、事業を続けていく必要があります。

そのため事業計画では、「どのような社会課題を解決するのか」だけでなく、「どのように収益を生み出し、事業を継続するのか」まで具体的に説明することが大切です。

特に創業融資を申し込む場合には、売上予測や経費、資金繰りなどについて数字を使って説明できるようにしておきましょう。

創業計画書の項目と書き方のコツはこちらの記事で詳しく解説しています。
👉事業計画書の書き方を徹底解説|創業融資で見られるポイントと記入例

まとめ

ソーシャルビジネスとは、福祉、子育て、地域活性化、環境問題などの社会課題を、ビジネスの仕組みを活用して継続的に解決していく事業です。

社会課題の解決を目的とする事業者については、日本政策金融公庫の「ソーシャルビジネス支援資金」を利用できる可能性もあります。

ただし、社会的な意義が高いだけで融資を受けられるわけではありません。

融資審査では、事業の実現可能性や収益性、自己資金、経営者の経験、返済可能性なども確認されます。

そのため、創業前の段階から、

「社会課題の解決」と「収益を生み出す仕組み」

の両方を具体的な事業計画に落とし込むことが重要です。

コマサポでは、日本政策金融公庫の創業融資を中心に、事業計画書の作成や融資申請をサポートしています。

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駒田会計事務所【コマサポ】 
代表 駒田 裕次郎
(税理士・公認会計士・認定支援機関)

   監修: 駒田 裕次郎 駒田会計事務所【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2026年4月末現在)
【所有資格】
・日本公認会計士協会 東京会所属(第26214号)
・東京税理士会所属(第118805号)
・経営革新等支援機関(認定支援機関)
コマサポ代表 駒田裕次郎
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。