創業資金の相場は?開業・起業時に必要な費用と調達方法を徹底解説
開業・起業を考える際、最初に不安を感じるのが「資金面」ではないでしょうか。いくら優れた事業計画があっても、実際に動き出すためには必要な資金をどう確保するかが大きな課題となります。
実際、2024年に行われた日本政策金融公庫総合研究所の「新規開業実態調査」では、回答した起業家の59.6%が開業時に「資金繰り、資金調達」に苦労したと答え、さらに開業から一年後も37.0%が同様の問題に直面していることがわかりました。

開業・起業に必要な資金は一律ではなく、事業内容や規模、運営方法によって異なります。この記事では、開業・起業を目指す方々に向けて、必要な費用やその調達方法について具体的に解説します。これからの起業活動に役立つ情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。

監修: 駒田 裕次郎(こまだ ゆうじろう)
駒田会計事務所 【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金支援を中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。
目次
創業時の資金調達の方法や手続きは複雑で、特に創業融資を受ける際には専門的な知識と経験が求められます。【コマサポ】では、創業融資の申請から資金調達のサポートまで、幅広いサービスを提供しています。各種金融機関・融資先へのご連絡前に、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。
創業資金はいくら必要?
一般的な創業資金の目安
一般的に創業資金がどの程度必要であるか、日本政策金融公庫総合研究所が2024年に実施した調査「2024年度新規開業実態調査」からみていきましょう。
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起業や開業に必要な資金の平均額はおよそ985万円とされています。しかし、その詳細を見てみると、500万円未満で事業をスタートさせたケースが全体の41.1%を占めており、少額の資金で起業するスタイルが増えていることがわかります。この傾向は過去のデータと比べても明らかで、創業資金の総額は年々減少しています。
また、平均額は一部の大規模法人によって押し上げられている可能性があるため、より現実的な目安としては中央値(580万円)に注目することが重要です。中央値に基づくと、多くの起業家は500万円から600万円程度の資金で事業を始めていることがわかります。これらのデータを参考にしつつ、事業の規模や業種に合わせた適切な資金計画を立てることが大切です。
業種によって異なる開業・起業に必要な資金
~【業種別】開業資金の目安
開業・起業に必要な資金は、業種や事業形態によって異なりますが、一般的な目安として参考にしてください。
業 種 | 開業資金の目安 | フランチャイズの場合 |
---|---|---|
飲食業(カフェ) | 100~1,500万円 | 300~1,200万円 |
飲食業(居酒屋) | 500万円~2,000万円 | 100~1,500万円 |
美容業(サロンなど) | 500~2,000万円 | 50~2,000万円 |
小売業(アパレルなど) | 800~1,500万円 | |
コンビニエンスストア | 100~350万円 | |
IT業 | 50~2,000万円 | |
建設業 | 50~2,000万円 | |
不動産仲介業 | 800~1,500万円 | |
学習塾 | 300~1,000万円 | 150~1,000万円 |
接骨院・整骨院 | 500~1,500万円 | |
介護サービス業 | 400~1,000万円 | 200~1,000万円 |
製造業 | 500~2,000万円 |
事業形態や開業の場所によって、開業資金は大きく変動します。例えば、フランチャイズを選ぶか直営店を開設するか、また店舗を自宅や居抜き物件でまかなうのかによって、必要な資金が異なります。さらに、什器や設備の再利用が可能かどうかも、経費に大きな影響を与えます。同一業種でも、経費のかけ方によって開業資金に幅があるため、慎重に計画を立てることが求められます。
資金計画を立てて創業資金の目安を知ろう

事業を始めるにあたり、必要な資金額を把握するためには、まず資金計画をしっかり立てることが大切です。資金計画とは、事業に必要な資金をどこから調達し、どのように使っていくかを計画することです。特に、初期投資が大きい店舗型の事業では、実際に下見をしたり相見積もりを行うなど、計画を具体的に立てることが事業の成功に大きく影響します。また、万が一に備えて代替案を考えることも重要です。
資金計画を立てる際は、設備資金と運転資金を分けて考えるのが一般的です。まずは、必要となる設備や資材、日々の運転にかかる費用を細かくリストアップし、それらを合算することで起業に必要な最低金額を見積もることができます。その際、事業が軌道に乗るまでの期間や、収益と支出のバランスも考慮する必要があります。
もし資金が不足した場合、次は資金調達の方法を検討します。自己資金や銀行からの借入れなど、調達手段を考える必要があります。
このように、創業資金がいくら必要かを明確にするためには、まずは資金計画を立てることが最も重要です。
資金がなくても創業はできる?
事業内容によっては、創業資金がゼロでも起業できなくはありません。例えば、設備資金や運転資金が不要な場合、創業資金がなくても事業を始められることがあります。ただし、創業資金なしでの起業は事業内容によるため、まずは資金計画を立て、収益や費用のバランスも考慮することが重要です。
そして、資金が足りない場合は、融資などの資金調達を検討しましょう。創業資金を減らすための工夫を考えることも必要ですが、その工夫については後の章でご説明します。
創業時に必要な費用とは?
運転資金と設備資金
事業を始める際や運営する上で必要となる資金は、大きく「運転資金」と「設備資金」の2つに分類されます。それぞれの特徴を理解することで、適切な資金計画を立てやすくなります。以下のように考えて頂くとよいでしょう。
設備資金】
事業に必要な設備や備品を購入するために一時的に必要となる資金。一般的に高額な支出となることが多く、事業のスタート時や拡張時にまとまった資金が必要になる。
運転資金】
事業を継続するために日常的に発生する経常的な支出。事業を続ける限り必要となる資金であり、安定した運営のために計画的な管理が求められる。
では、具体的にどのような支出が該当するのかを詳しくご説明していきます。

設備資金とは
創業に必要な設備費用は、事業運営を支える重要な初期投資となります。具体的にはどのような費用があるのでしょうか。
賃借物件の敷金・礼金や保証料
賃貸物件を借りる際には、敷金や礼金、保証料が発生します。これらは物件の契約時に一度支払う費用であり、開業資金に含めて考慮する必要があります。事業の規模や場所により異なりますが、初期投資の中でも大きな負担となることが多いため、事前に不動産業者などに確認しておきましょう。なお、自宅開業の場合にはこうした費用はかかりません。
リフォーム費用
事業に適した空間を作るために、内装や施設のリフォームが必要になる場合があります。特に、水回りや設備のアップグレードが求められることが多く、高額な費用がかかることもあります。リフォームが必要な場合、その費用や工事期間を事前に計画し、予算を組んでおくことをおすすめします。自宅開業でも、リフォームは必要な場合があります。
事業に必要な機器・設備代
開業にあたっては、業務に必要な機器や設備をしっかりと揃えることが欠かせません。パソコンやOA機器、事務用デスク、応接セットなどは基本的な備品として必要になります。特に、事業用のパソコンやプリンターは家庭用のものでは性能が不足することも多く、専用のものを新たに購入するケースが一般的です。なお、これらの機器は購入だけでなく、リースやレンタルを利用する方法もあるため、コスト削減の観点から最適な調達方法を検討することも大切です。
パソコンなどの機器の購入・リース費用
開業すれば、事業用のパソコンやその他のOA機器が必要になります。家庭用のプリンターでは機能が不十分なことが多く、自宅開業でも新たに購入しなければならないケースがあります。こういった機器は、購入する以外に、リースやレンタルで調達する方法もあります。
通信回線などの工事費用
電話やインターネット回線を事業専用に設置するための工事費用も発生します。自宅開業の場合でも、家庭用の回線とは別に事業用の専用回線を準備することをおすすめします。この場合、回線追加に伴う工事費用や月々の通信費も予算に含めておきましょう。
事務用机や応接セットなどの備品購入費用
オフィスを借りる場合、事務用のデスクや応接セット、パーテーション、受付カウンターなどが必要となることが多いです。加えて、ロッカーや空調機器、文房具なども開業時に揃えるべき備品です。これらは事業規模に応じて購入する必要がありますが、初期費用がかさむため、忘れず予算をしっかりと組むことが大切です。
運転資金とは
開業後の事業運営には、設備資金などの初期投資に加えて、日々の運営を支えるための運転資金が必要です。これには、毎月必ず支払わなければならない費用や、売上に応じて変動する費用が含まれます。
仕入れ代金
商品を扱う事業では、仕入れ代金が運転資金の中で大きな割合を占めます。商品の在庫を確保するための仕入れ費用は、事業の営業活動を支える基本的なコストです。仕入れ代金は売上に直結するため、適切な管理が求められます。仕入れの際は、在庫の回転率や販売予測を元に計画的に仕入れることが重要です。
人件費
人件費とは、事業に関わる従業員や経営者自身に支払う給与や報酬のことです。人件費は毎月発生する固定的な支出であり、事業の資金繰りに大きく影響を与えます。人件費が高すぎると、利益を圧迫し資金繰りが厳しくなるため、適正な額の設定が重要です。
【人件費に含まれるもの】
- 従業員の給与・賞与
- アルバイト・パートの給与
- 社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)※株式会社を設立している場合
- 退職金(該当する場合)
専門家費
専門家費とは、事業の運営に必要な専門的なサービスを提供するプロフェッショナルに支払う費用のことです。事業を円滑に進めるために、創業時や運営途中で専門家のサポートが必要になることがあります。
【専門家費に含まれるもの】
- 税理士・会計士の顧問料(帳簿作成、決算書作成、税務申告など)
- 司法書士や行政書士の報酬(法人設立手続き、許認可申請など)
- 弁護士費用(契約書の作成・チェック、法律相談など)
- コンサルタント料(経営アドバイス、マーケティング支援など)
例えば、会社を設立する際に司法書士に登記を依頼したり、事業の財務管理のために税理士と顧問契約を結ぶ場合、その費用は専門家費に分類されます。
広告宣伝費
運転資金の中でも「広告宣伝費」は、事業の認知度を高め、顧客を獲得するために欠かせない費用です。特に創業初期は、顧客がいない状態で集客のための広告戦略が重要となるため、効果的な広告戦略と適切な予算を設定することが重要です。
広告宣伝費に含まれるもの
- チラシ・名刺の作成費用(紙代、印刷代、デザイン費)
- ホームページ制作費用(制作費、サーバーレンタル料、ドメイン取得費)
- Web広告費(Google広告、SNS広告、リスティング広告など)
- 看板やポスターの設置費用
- イベントやキャンペーンの費用(集客イベント、割引キャンペーンなど)
通信費
事業運営において、電話やインターネットなどの通信費も必要です。特に、事業専用の電話回線やインターネット回線を設置する場合、その維持費用も定期的に発生します。通信費は毎月の支出として計上されるため、通信回線の種類や契約プランを見直すことでコスト削減ができることもあります。
業務用ソフト
業務を効率化するための業務用ソフトウェアやツールにも費用がかかります。例えば、会計ソフト、顧客管理ソフト(CRM)、在庫管理システムなどが挙げられます。これらのソフトウェアは、事業運営の効率を高めるために重要ですが、初期費用や定期的なライセンス費用が発生します。必要なソフトウェアを適切に選び、コストパフォーマンスを考慮して導入することが大切です。
消耗品、諸経費
日々の業務で使用する消耗品やその他の諸経費も運転資金の一部です。文房具や事務用品、名刺、清掃用具などは、必要に応じて継続的に購入する必要があります。特に、事業の規模が大きくなるにつれて、消耗品費は増加するため、在庫管理を徹底し、無駄な支出を防ぐことが求められます。
運転資金の準備が必要な理由とその目安
開業直後は売上が安定せず、入金までにタイムラグが発生することが多いため、事業を継続するための運転資金を確保しておくことが重要です。事業の収益が軌道に乗るまでの間も、家賃や人件費、仕入れ代などの経費は発生し続けるため、資金が不足すると支払いが滞り、最悪の場合黒字倒産に陥るリスクもあります。
一般的に、開業時には最低3か月分、可能であれば6か月分の運転資金を用意しておくのが望ましいとされています。特に、仕入れを伴う業種や人件費の負担が大きい業種では、余裕をもった資金計画が必要です。また、売上の回収サイトが長い場合は、資金繰りを見越した対策を講じることが重要です。開業時の資金調達では、こうした初期投資だけでなく、日々の運営を支える資金も考慮し、慎重に計画を立てることが求められます。
【参考】融資と設備資金・運転資金
また、融資を受ける際に提出する事業計画書では、設備資金と運転資金を分けて記載する必要があります。資金の用途が異なるだけでなく、融資の審査や借入条件にも影響を与えるため、明確に区別して計画を立てることが重要です。
たとえば、後述する日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」を例にとると、それぞれ融資の限度額と返済期限が異なります。[※融資限度額7,200万円(うち運転資金は4,800万円)。返済期間は設備資金20年以内 運転資金10年以内]
【設備資金と運転資金の融資における違い】
設備資金 | 運転資金 | |
---|---|---|
用途 | 設備や備品の購入 | 事業運営のための日常的な支出 |
融資額 | 比較的大きい(まとまった金額) | 比較的小さい(毎月の支出分) |
返済期間 | 長め(10〜20年程度) | 短め(5〜7年程度) |
審査のポイント | 設備の見積書や購入計画の提出が必要 | 売上予測や資金繰り計画が重要 |

起業手続きの費用
起業する際に最初に決めなければならないことのひとつが、「個人事業主」として起業するのか、「法人」として起業するのかという点です。この章では、それぞれの場合に必要となる起業費用について詳しく解説しますが、まずは各定義について簡単にご説明いたします。
「法人」=株式会社や合同会社など、国に所定の手続きを行い法人格を取得した組織形態のこと。法人として独立した権利・義務を持ち、契約や資金調達を法人名義で行える。
「個人事業主」=株式会社や合同会社などの「法人」を設立せず、個人の名義で事業を営む人や形態のこと。事業の責任はすべて個人が負い、所得は個人所得として扱われる。
個人事業主としての起業手続き費用
個人事業主の場合、起業の際に必要な手続きは開業届の提出をはじめ、以下のようなものがありますが、費用が不要なものが多く、費用がかかるものは少ないです。
1. 開業届の提出
- 費用: 無料
- 内容: 個人事業主として開業するために、税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出する必要があります。これは税金の申告に関連するため、必ず提出します。
- 注意点: 提出期限は、事業開始から1ヶ月以内に提出することが推奨されています。
2. 青色申告承認申請書の提出(任意)
- 費用: 無料
- 内容: 青色申告を希望する場合、開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出することができます。青色申告を選ぶと、税制上の優遇が受けられるため、特にお勧めです。青色申告をするための手続きも無料です。
3. 屋号の登録(任意)
- 費用: 無料
- 内容: 個人事業主として事業名(屋号)を使う場合、法的に登録する義務はありません。ただし、銀行口座や契約書に屋号を使う場合、事業の証明として屋号を登録しておくと便利です。
4. 必要な許可や免許の取得(事業内容により異なる)
- 費用: 許可や免許が必要な場合、数千円から数万円の費用がかかることがあります。例えば、飲食業や古物商など特定の業種では、必要な許可や免許を取得しなければなりません。
5. 【参考】国民健康保険・年金の加入(本人)
- 費用: 変動あり
- 内容: 事業を開始すると、国民健康保険や国民年金への加入が必要です。これらは月々の保険料がかかり、地域によって異なります。
法人設立の起業手続き費用
法人には、株式会社、合同会社のほかにも、非営利活動法人などの種類があります。設立する際には法人の形態によって規模や必要な項目が異なりますが、共通して登録免許税や定款認証手数料がかかり、法人の形態によっては資本金が必要となる場合もあります。
1.定款作成・認証にかかる費用
法人設立の際には、法人の基本的なルールである「定款」を作成し、公証人の認証を受ける必要があります。以下は、独自で定款を作成した場合の費用ですが、定款の作成を行政書士に委託した場合は、別途費用がかかります。
定款認証手数料(約5万2000円)
公証人の認証手数料は、法令により1件につき5万円と規定されています。収入印紙代(4万円)
紙の定款を使用する場合、公証人保存用の定款に4万円分の収入印紙を貼る必要があります。ただし、電子定款を利用すれば、印紙税は免除されます。謄本交付手数料(250円/枚 約2000円)
定款認証時に謄本を取得する際の手数料が1枚につき250円かかります。通常は必要な枚数に応じて追加費用がかかりますが、多くても約2000円程度です。
2.設立登記にかかる費用
定款認証後、次に株式会社設立のための登記を行う必要があります。登記時には、国に納める国税である登録免許税がかかります。
- 登録免許税(6~15万円)法人形態によって計算方法が異なりますが、株式会社は資本金の0.7%または15万円、合同会社は資本金の0.7%または6万円のどちらか高い額を納税します。資本金が一定額未満の場合は最低金額が適用されます。地方自治体の支援制度を利用すれば登録免許税を半額に軽減することができます。
3.資本金
資本金は、会社が事業を行うための元手となるお金です。会社設立時には、個人のお金と会社のお金を分け、会社の資本金として用意します。平成18年の新会社法の施行により、資本金は1円からでも会社設立が可能となりました。
ただし、会社の運営や社会的信用を考慮すると、最低でも100万円程度は準備しておくことが理想的です。特に銀行から融資を受ける際や、取引先からの信頼を得るためには、一定の資本金を準備するべきでしょう。事業の規模にもよりますが、業務運営に必要な初期費用や流動資金を考慮すると、100万円〜300万円程度の資本金を準備することが望ましいとされています。ただし、消費税の免税事業者となるためには資本金が1,000万円未満である必要があるため、この点には注意が必要です。
4.印鑑作成費用など
- 印鑑作成費用
実印をはじめとした会社の印鑑が必要です。実印、銀行印、角印の3点セットが一般的です。 - 印鑑証明書・登記簿謄本等の取得費用
役員個人の印鑑証明書の他、設立後も登記事項証明書や会社の印鑑証明書が必要になることがあります。
【書類の取得費用】個人の印鑑証明書=1通300円、登記事項証明書=1通600円、会社の印鑑証明書=1通450円。
5.専門家への委託費用
会社設立を司法書士に依頼する場合、費用は大体5万円~20万円が相場です。一方、税理士の顧問契約を含む場合(会社設立+年間顧問料)は、約50万円ほどかかります。予算や起業後のサポート体制に応じて、検討しましょう。
「個人事業主」か「法人設立」で悩む場合の考え方
個人事業主の場合と法人設立の場合の起業費用に違いがあることについて説明しましたが、そもそも個人事業主と法人の違いはどのような点にあるのか、詳しく見ていきましょう。「個人事業主」として起業すべきか、「法人」を設立すべきかで悩んでいる方の参考にしていただければと思います。
個人事業主と法人の違いとは?
項目 | 個人事業主 | 法人 |
---|---|---|
設立手続き | 開業届の提出のみ | 設立登記や定款作成が必要 |
事業開始にかかる費用 | 無料 | 株式会社:約22万円 合同会社:約10万円 |
税制 | 所得税(最大税率45%) 個人住民税、個人事業税 | 法人税(最大税率23.2%) 法人住民税、法人事業税 |
経費の範囲 | 経費になる範囲が狭い | 経費として認められる範囲が広い |
社会保険 | 従業員1名以上:労災保険・雇用保険 従業員5名以上:厚生年金・健康保険 | 厚生年金、健康保険 |
責任の範囲 | 無限責任(事業の借金などを個人が背負う) | 有限責任(会社の資産範囲内で責任) |
融資・資金調達 | 融資方法が限定される | 株式・債権や投資家からの資金調達も可能 |
社会的信用力 | 低い | 高い |
決算・申告 | 青色申告、白色申告を選択可能 | 決算報告義務、法人税の申告が必要 |
赤字繰り越し | 3年(青色申告時) | 10年 |
事業の廃止 | 届出の提出 | 届出や公告が必要(少なくとも8万円程度) |
上記は、個人事業主と法人の違いについて、一覧にまとめた表です。特に注目すべき点について、焦点を絞ってご説明します。
税金面のポイント
税金面での大きな違いは、所得税と法人税の税率です。個人事業主は所得金額に応じて最大45%の累進課税が適用され、所得が増えると税率も上がります。一方、法人税は最大23.2%で、所得が高くなっても税率は変わりません。このため、収入が増えると法人の方が税負担が少なくなる場合があります。また、赤字の場合、法人は最低でも7万円の法人住民税を支払わなければならない点も異なります。
経費面のポイント

個人事業主と法人では、経費として認められる範囲に大きな違いがあります。
資金調達面のポイント
法人と個人事業主では、資金調達の選択肢にも違いがあります。法人の場合、銀行融資に加え、株式や社債の発行といった方法も利用でき、大規模な資金調達が可能です。特に株式会社であれば、投資家からの出資を受けることもできます。
一方、個人事業主は株式の発行ができず、銀行融資や補助金・助成金、クラウドファンディングなどが主な選択肢となります。ただし、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ資金制度など、個人事業主でも法人と遜色なく利用できる融資制度もあります。
比較項目 | 個人事業主 | 法人 |
金融機関等の融資 | 〇 | 〇 |
補助金・助成金 | △ | 〇 |
クラウドファウンディング | △ | 〇 |
株式の発行 | × | 〇(株式会社の場合) |
社債の発行 | × | 〇 |
ご自分の事業に適した形態を選択しましょう
【税金面】
個人事業主は所得税が累進課税(最大45%)。法人は法人税が一定(最大23.2%)で、高所得時の税負担が軽い。法人は赤字でも最低7万円の住民税が必要。
【経費面】
個人事業主は業務に直接関連する費用のみ経費計上可能。
法人は役員報酬、福利厚生費、社宅の家賃など広範囲の経費計上が可能。
【資金調達面】
個人事業主は銀行融資や補助金、クラウドファンディングが主な選択肢。
法人は株式や社債の発行、投資家からの出資など大規模な資金調達も可能。
以上のように、法人と個人事業主には、それぞれ異なる特徴があります。法人は税制や経費の面で優遇される点が多く、資金調達の幅も広がりますが、設立費用や運営の手間がかかります。一方、個人事業主は開業しやすく運営コストも低めですが、税負担が増える場合や経費計上に制限がある点に注意が必要です。事業の規模や将来の展望を踏まえ、最適な事業形態を選択することが重要です。
資金が必要となるタイミングは?
起業を成功させるためには、必要な資金を適切なタイミングで準備することが重要です。ここでは、特に資金が必要となる主なタイミングについて解説します。
オフィスや店舗の契約のタイミング
自宅以外にオフィスや店舗を構える場合、不動産契約に関連する費用が発生します。レンタルオフィスやバーチャルオフィスを利用する際にも、契約時に初期費用が必要になるため、法人設立のタイミングと合わせて資金を準備しておく必要があります。
特に実店舗を開業する場合、日本政策金融公庫などからの融資を利用するケースが多いですが、融資申請を進めるには、具体的な物件を特定し、物件概要書などの資料を提出する必要があります。そのため、融資の申し込み前にテナントや土地の不動産契約に必要な費用を用意しておくことが求められます。
その他のタイミング
事業に必要な機器や備品を購入する際にも、事前にまとまった資金を用意する必要があります。また、従業員を雇用する場合には、給与の支払いや社会保険の加入費用が事業開始時に発生するため、余裕を持った資金計画を立てることが求められます。
こうした各タイミングを見越して、余裕を持った資金調達計画を立てることが、安定した事業運営への第一歩です。
創業費用を削減する工夫を考えよう
これまで、起業時に必要な資金について詳しく説明してきましたが、すべての費用を準備できるかどうか不安に感じる方も多いでしょう。そんなときは、必要な資金を削減する工夫を考えることも一つの方法です。無理のない資金計画を立て、賢くスタートを切るためのポイントを紹介します。
固定費を抑える
毎月発生する固定費は、できるだけ低く抑えることが安定した経営につながります。例えば、次のような工夫も検討してみましょう。
- オンラインサービスの活用:会計や顧客管理などのクラウドツールを活用することで、専用ソフトの購入費用や人件費を削減できます。
- レンタルオフィスやバーチャルオフィスの利用:物件を購入・賃貸するよりも初期費用や維持費を大幅に抑えることが可能です。
- 居抜き物件の活用:内装や設備がすでに整っている物件を選ぶことで、改装費を大幅に削減できます。
- 中古備品の購入:オフィス家具やPC、事務用品などは、中古品を活用することでコストを抑えられます。
また、自宅を事業所として利用したり、すでに持っている備品を活用したり、より安価なサービスを比較検討することで、さらなるコストダウンも期待できます。
小規模からスタートする
最初から大きな事業を始めるのではなく、スモールスタートを意識することで初期費用を抑えることができます。スモールスタートとは、事業の範囲を限定して開始し、状況に応じて徐々に規模を拡大していく考え方です。無理のない範囲で事業をスタートさせることで、精神的にも経済的にもリスクを軽減できます。
例えば、最初は個人事業主やフリーランスとして事業を始めることで、法人設立にかかる費用を削減することできます。個人事業主は株式会社と比べて設立手続きが簡単で、税金面でも優遇されることが多いため、ある程度の利益が見込めたタイミングで法人化を検討するのも賢い方法です。
在庫は持たない
在庫を多く抱えると、管理や保管にかかるコストが増加するだけでなく、売れ残りによる廃棄リスクも発生します。特に流行商品や賞味期限のある商材は、在庫過多による損失が大きくなりがちです。
在庫管理は大企業でも課題となることが多い難しい分野です。起業初心者は、できる限り在庫を持たずに済むビジネスモデルを選ぶことで、リスクを軽減しつつ効率的な経営が実現できます。
おすすめの資金調達方法
創業時の費用を削減する工夫をしても、必要な創業資金を確保するのは決して簡単ではありません。ある程度まとまった資金が求められるため、どのような方法で資金を調達するかをしっかり検討することが大切です。
前述した日本政策金融公庫の調査によると、開業資金の約65%は金融機関からの借入、約24%は自己資金で賄われており、公的融資の重要性が示されています。一方で、クラウドファンディングやベンチャーキャピタル、補助金・助成金など、新たな資金調達手段も広がりつつあります。
また、資金繰りの面でも事前準備が重要です。起業後に資金不足に陥ると、実績がない状態では融資の審査が厳しくなることもあります。そのため、事業の実績が出る前の段階でも、計画的に創業時に必要な資金を確保することが重要です。
各資金調達方法のメリットや注意点については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

では、具体的な方法について、ご説明していきます。
自己資金
資金調達の方法として最初に挙がるのが、自己資金です。端的に言うと、自己資金とは自分の資産のうち、事業を始めるために投入するお金のことを指します。具体的な例はいくつかありますが、基本的な定義として「自分自身でコツコツ貯めたもの」である点が重要です。
自己資金がなくとも創業はできますが、起業直後のことを考慮しても、一定金額の自己資金は確保しておくのが望ましいでしょう。融資を検討する場合でも、「起業前にできるだけ多くの自己資金を貯めるべき」という考えは重要で、総資金額の三分の一程度の自己資金の確保を目指しましょう。
金融機関からの融資を検討する際、自己資金に関する要件が設けられていることが一般的です。自己資金として認められるものと認められないものがあるため、事前にしっかり確認しておく必要があります。ここでは、注意点を含めて各項目について解説していきます。
貯蓄
給与から計画的に貯めてきた貯蓄は、融資審査で非常に高く評価されます。これは、資金管理能力や経営者としての計画性を示すためです。ただし、タンス預金や一括で口座に預け入れた資金は、出所が不明確と判断され、融資の際は自己資金として認められない可能性があるため、定期的に口座に貯蓄していることを示せるようにしましょう。
退職金
退職金も自己資金として認められます。融資審査の際には、退職金の源泉徴収票などの証明書類を求められることが多いため、必ず保管しておきましょう。
保険の解約返戻金
生命保険やその他の保険を解約した際に受け取る解約返戻金も、現金化すれば自己資金に含まれます。解約をしない場合でも、保険証券や解約返戻金の通知書を提出することで、資産状況の裏付けとして融資審査において有利になることがあります。
親族等からもらう
親族からの資金援助も自己資金として認められる場合がありますが、自力で継続的に貯めた資金と比べると融資審査での評価は低くなります。親族からの資金を自己資金として認めてもらうためには、贈与契約書を作成し、必ず口座間の振込を通じて入金する必要があります。通帳の摘要欄に振込者の名前が明記されていることも重要です。
また、贈与扱いとなるため、年間110万円の上限を超えると贈与税が発生する可能性がある点にも注意が必要です。さらに、親族間の資金援助は事前にしっかりと取り決めを行わないとトラブルの原因になることもあるため、贈与契約書を作るなどしてリスクを回避しましょう。
なお、金融機関の融資を受ける目的で親族や友人から一時的に資金を借り、自己資金の比率を高めようとする行為は認められません。融資は自己資金として扱われないため、出資や贈与を受けることが前提となります。ただし、出資や贈与を受けた場合でも自己資金として認められない可能性があるため、十分な注意が必要です。
- 自己資金として認められるためには、贈与契約書を作成し、必ず口座間振込を通じて入金し、通帳の摘要欄に振込者の名前を明記すること。
- 年間110万円を超える贈与には贈与税が課税される可能性があるため注意。
- 贈与契約書など書面を交わしてリスクを回避する。
- 金融機関の融資を目的に親族や友人から一時的に資金を借り、自己資金の比率を高めようとする行為(見せ金)は認められない。
- 出資や贈与を受けた場合でも、必ずしも自己資金として認められるとは限らないため注意が必要。
金融機関からの融資
融資というと、一般的に銀行や信用金庫などの金融機関からの借入をイメージされる方も多いでしょう。しかし、現在は、新規開業を支援・推進する国の施策により、政府系金融機関や自治体によって、さまざまな融資制度が整備されています。
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
日本政策金融公庫とは、、国が全額出資をする政策金融機関です。中小企業・小規模事業者や農林漁業者など、事業に取り組む人々を支援することを目的としています。中小企業向けの融資に特化し、特に新規開業者やベンチャー企業へのサポートが充実しているのが特徴です。低金利での融資や、無担保での融資も提供しており、民間の金融機関からの資金調達が難しい企業に対して、積極的に支援を行っています。
新規開業・スタートアップ支援資金制度は、日本政策金融公庫が提供する融資制度の一つで、新たに事業を始める方や、事業開始後まだ2期分の税務申告を終えていない方を対象とした制度です。特に、女性・若者・シニア層、また過去に廃業を経験し再チャレンジする方には、有利な条件が設定されています。こうした幅広い創業者を支援することで、多様な事業のスタートを後押しする制度です。
対象者 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 |
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資金使途 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金20年以内 運転資金10年以内 ※うち措置期間5年以内 |
新規開業・スタートアップ資金制度の主な優遇制度 | |
女性・若者/シニア起業家資金 | |
中小企業経営力強化関連 | |
再挑戦支援関連 |
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自治体・金融機関・信用保証協会による「制度融資」
信用保証協会は、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達を支援するために設立された公的機関です。創業直後で資金や信用力が十分でない中小企業や小規模事業者が融資を受ける際、保証協会が金融機関との間に立ち、「信用保証書」を発行することで、金融機関への返済を保証する役割を担っています。
制度融資はこの信用保証付き融資の一つで、特に地方自治体が金融機関や信用保証協会と連携して行う融資制度です。信用保証協会が創業間もない事業者の債務を保証することで、金融機関からの融資を受けやすくなります。この制度では、信用保証協会の審査を経て、地方自治体の斡旋により地方銀行や信用金庫、信用組合などから有利な条件で融資を受けることができます。なお、信用保証協会の保証が付くことから、「信用保証付き融資」とも呼ばれます。
制度融資には、「都道府県制度」や「市区町村制度」などがあり、年間金利や融資限度額などの条件は自治体ごとに異なります。各自治体が独自の融資制度を設けて起業家を支援しているため、具体的な内容については個別の問い合わせが必要です。
代表的な制度融資 |
東京都:東京都中小企業制度融資「創業」 |
大阪府:「開業サポート資金」 |
東京都渋谷区:区の中小企業事業資金融資あっせん制度 |
銀行・信用金庫
プロパー融資は、保証協会を利用せず、銀行や信用金庫など金融機関から直接融資を受ける方法です。融資を受ける側と金融機関が直接契約を結び、万が一返済不能になった場合、金融機関が100%リスクを負います。そのため、貸し倒れのリスクを避けるために金融機関の審査が厳しくなり、実績のない創業期においては融資が受けにくい傾向にあります。
①ビジネスローンの活用
ビジネスローンは、事業資金の調達に特化したローンで、銀行やクレジット会社、消費者金融などが提供しています。新規事業の資金や運転資金など、事業関連の支払いに利用可能です。一般の融資より審査が早く、担保や保証人が不要な点が利点ですが、その分金利が高めに設定されているため、返済計画を慎重に立てる必要があります。
②カードローンの活用
カードローンは、銀行や消費者金融が提供する借入専用カードを使った融資サービスで、借入限度内であれば何度でも自由に利用可能です。個人事業主はビジネス用のクレジットカードでもキャッシングができますが、カードローンは金利が低いため、長期間の利用には有利です。
金融機関からの資金調達をする際の留意点
個人事業主が融資を受ける際の注意点
融資の申し込みに必要な書類は資金調達先によって異なりますが、開業届や確定申告書など共通の書類もあるため、事前に準備が必要です。審査で不利にならないよう、提出書類の整理や税金の支払い確認を行いましょう。
① 開業届の提出
個人事業を始める際は開業届の提出が求められ、融資申請時の事業証明として重要です。提出期限は開業から1カ月以内ですが、未提出だと融資が難しくなることがあるため、早めの対応が望まれます。
② 確定申告と納税状況
融資申請には確定申告書の控えや決算書が必要な場合があり、適正な申告と書類の保管が重要です。税金の未納は審査に悪影響を及ぼすため、所得税や住民税などの支払い状況を確認し、納税証明書を用意しておくと安心です。
出資
株式発行
株式を発行して資金を調達する方法です。特に株式会社が利用でき、投資家からの資金を得ることができます。返済義務がないため、企業の負担が軽減されますが、経営権の分散が懸念されます。
社積の発行
投資家から資金を調達するために社債を発行する方法です。融資と同様に返済義務がありますが、複数の投資家から資金を集めることが可能です。
親族・知人等からの借入
親族や知人から資金を借りる際は、「金銭消費貸借契約書」を必ず作成しましょう。これは、税務上の問題と融資審査の両面で重要だからです。税務面では、契約書がないと贈与とみなされ、高い税率の贈与税が課される可能性があります。融資審査では、契約書の提出を求められることがあり、利息の記載や銀行口座間での返済記録も必要です。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数から資金を集める方法で、寄付型や購入型などの種類があります。審査なしで資金調達が可能で、ニーズ調査や認知度向上にも活用できます。
一方で、出資者へのリターン計画や目標金額未達のリスクに注意が必要です。特に「オール・オア・ナッシング型」では、目標に届かないと資金を受け取れません。資金調達後も進捗報告が求められますが、PRにもつながります。成功には効果的なマーケティングが不可欠です。
エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)から調達
ベンチャーキャピタル(VC)は、投資家から集めた資金を急成長企業に投資し、株式を取得するファンドです。返済義務はなく、上場時の株式売却で利益を得ます。成長資金や経営サポートを受けられますが、持ち株比率の低下や経営方針への影響があるため注意が必要です。
エンジェル投資家は、個人資金でスタートアップに投資する投資家で、引退した起業家や経営者が支援するケースが多いのが特徴です。VCとメリット・デメリットが共通する点もあります。
ビジネスコンテスト
開催中の主なビジネスコンテストについては、官民ともにミラサポplus 中小企業向け補助金・総合支援サイト(経済産業省・中小企業庁)から調べることができます。
助成金・補助金
補助金や助成金は、国や地方自治体、または中小企業庁や厚生労働省などの機関が提供する支援制度です。これらの支援を受けるためには、審査を通過する必要があり、場合によっては一定の条件を満たさなければならないこともあります。
補助金には、応募期間や支給額、採択件数があらかじめ決められているものが多く、申請しても必ず受け取れるわけではありません。そのため、申請の際は、提出する書類の内容が非常に重要となります。
一方で、助成金は多くの場合、随時申請を受け付けており、一定の条件を満たせば支給される可能性があります。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が、新製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際に必要な設備投資を支援する補助金です。生産性向上や競争力強化を目的とし、革新的な取り組みを後押しします。
詳しくはこちらでご紹介しています。
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務の生産性を向上させるために、ITツールを導入する際の費用を一部補助する制度です。主に、ソフトウェアの購入やクラウドツールの利用などに活用することができます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が新たな販路開拓を目指す際に発生する経費の一部を支援する制度です。日本商工会議所が管轄しており、各地域の商工会議所によって申請条件が異なります。対象となるのは、商工会議所の管轄内で事業を営む小規模事業者と、特定の条件を満たすNPO法人です。
補助金申請の際の留意点
補助金を申請する際、次のような点に注意しましょう。
① 審査がある
補助金の申請には審査があり、提出した事業計画書や申請書類が評価されます。審査基準を満たさない場合、申請が不採択となる可能性があります。具体的には、申請要件を満たしていること、事業計画が目的に沿っていること、書類に不備がないことが求められます。
② 受付時期
補助金の申請は常に受け付けられているわけではなく、特定の受付期間が設けられています。多くの場合、毎年春頃に1ヶ月程度の期間で申請を受け付けるため、事前にスケジュールを確認しておく必要があります。
③ 発注するタイミングに注意
補助金の対象となる経費は、補助事業が開始されてから発生したものでなければなりません。したがって、交付決定前に発注した経費は補助対象外となるため、発注のタイミングには十分注意が必要です。
④ 補助金受給は後払いのため先に支払いが必要になる
補助金は原則として後払いで支給されます。つまり、事業を実施した後に必要書類を提出し、審査を経てから補助金が支払われるため、事業実施には自己資金や借入金での立て替えが必要です。
⑤ 会計監査が入る補助金もある
一部の補助金では、会計監査が求められる場合があります。これは、補助金の使用状況や事業の実施状況を確認するためのもので、監査に合格しなければ補助金が支給されないこともあります。
まとめ~必要となる創業資金を理解し、スムーズな創業準備をしましょう
今回の記事では、創業時に必要となる資金についてご説明してきました。
創業に必要な資金は、事業内容や規模、運営方法によって大きく異なります。設立費用や運営資金、設備投資、運転資金など、資金計画をしっかり立てることが成功への第一歩です。また、自己資金だけでなく、金融機関からの融資、補助金・助成金、クラウドファンディングなど、多様な資金調達方法も活用することでスムーズな事業スタートが可能です。創業時には資金が必要となるタイミングを見極め、計画的に準備を進めることが重要です。
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駒田会計事務所【コマサポ】 代表 駒田裕次郎 税理士・公認会計士