創業計画書には運転資金の記入欄があります。
創業するにあたってどのくらい資金が必要になるのかを、公庫に説明する際に必要な数字となります。
これから創業計画書を作成する方にとって、
- 運転資金の定義は?
- 人件費や家賃は含まれるの?
- 何か月分記入すれば良いの?
という点は気になるところですよね。
そこで今回は、創業計画書における運転資金の定義と書き方について解説していきます。
本記事を見ることで、創業計画書の運転資金の範囲を分かることができ、正しい数字を記入することができます。
目次
運転資金の定義とは?
運転資金の定義は事業を行う上で必要となる資金のことをいいます。
一般的にはランニングコストと呼ばれ、継続的に必要になるお金のことをいいます。
主に運転資金として計上できるのは下記の通り。
- 買掛金での支払い分
- 商品の仕入れ代金
- 広告宣伝費
- 人件費
- 事業所や店舗の光熱費、家賃、通信費
- 外注費
ただし、何でも運転資金として計上できるかといえばそうではありません。
あくまで事業に必要な資金のみを計上するようにしましょう。
指摘を受けやすい科目についてもう少し詳しく解説していきます。
広告宣伝費
広告宣伝費は運転資金に含まれますが、過剰になっている場合、融資金額から減らされやすいといわれています。
事業の開始当初はあまり必要のない資金のためです。
広告宣伝費は事業が軌道に乗り、さらに拡大させるために必要となる科目です。
そのため、初期に過剰な広告宣伝をするのは好ましくありません。
広告宣伝費の計上は最低限にするようにしましょう。
人件費
人件費についても運転資金として含んでも問題ありませんが、過剰な計上には注意しましょう。
「事業をはじめたばかりで、顧客も安定していないのにこんなに人件費必要なの?」ということはよく聞かれることです。
人件費が高額になっている場合はしっかりと人件費を高額にしたエビデンスを提供できるようにしておきましょう。
どのくらいの人件費にすればよいかわからないという方は厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」を参考にしてみてください。
年齢別、産業別にどのくらいの賃金が適正かが分かるようになります。
家賃
家賃も適正な金額の計上が必要となります。
周辺家賃や見込み顧客を精査し、適正な坪数の不動産を借りるようにしましょう。
生活費は含まれない
運転資金に生活費は含まれません。
創業融資で借り入れできる範囲はあくまで事業用に限った資金のみです。
食費、住居費、衣料費などはもちろんのこと、プライベート用のパソコン、自家用車などは運転資金の中に入れないようにしましょう。
創業計画書の運転資金の書き方
創業計画書の運転資金の記入欄は「7 必要な資金と調達方法の欄」の中にあります。

重要なポイントは事業の見通しと整合性を合わせるという点です。
運転資金のすぐ下に「8.事業の見通し(月平均)」という記入欄があります。

「8.事業の見通し(月平均)」の欄には創業当初と1年後の事業がどうなっているかを書く必要があります。
「7.運転資金」の仕入が90万円、「8.事業の見通し(月平均)」の仕入が87万円となっています。
ほぼイコールとなっており、整合性が取れていると言えるでしょう。
また広告宣伝費等諸経費支払いが140万円となっていますが、年間360万円(月の利益30万円*12か月)となっており、広告宣伝費を支払っても220万円のお金が残る計算となります。
220万円で生活費が賄えますので、十分に採算性が取れると言えるでしょう。
このように運転資金は事業の見通しと数字を合わせることが重要です。
運転資金ありきで考えるのではなく、まずは収支計画を作成し、どのくらいの運転資金が必要かを算出するようにしましょう。
運転資金の借入は何か月分が妥当か
運転資金の借入は3か月分が妥当です。
新商品開発などを必要とするなど、事業が軌道にのるまで時間がかかる場合でも最長半年までと考えるのが妥当でしょう。
運転資金3ヶ月分というのは会社に万が一があっても、十分に耐えられるだけのキャッシュといわれています。
そのため、3か月分以上運転資金が必要の場合、採算性が低い事業であるとみなされます。
いくら公庫が創業を支援しているとはいっても、無駄なお金はだしません。
3か月の運転資金で経営が回るような計画を策定していきましょう。
まとめ
今回は創業計画書における運転資金の定義と書き方について解説してきました。
ポイントは下記の通りです。
- 運転資金は事業上で継続的に必要な資金。ランニングコスト
- 広告宣伝費・人件費・家賃などが対象。生活費は対象外
- 過剰な計上は融資の対象外に
- 運転資金は事業の見通しと整合性を合わせる
- 運転資金の融資は3か月分までが基本
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