創業融資

個人事業主におすすめの融資先リスト【創業融資のプロが開業・起業を考えている方向けに解説】

この記事でわかること
  • 多様な融資先の特徴
  • 個人事業主の創業時には日本政策金融公庫の融資がおすすめ
  • 経験豊富な融資の専門家を選ぼう
  • 融資に失敗しないためにできること

個人事業主として開業・起業を考えている方にとって、資金調達は最初の大きなハードルです。自己資金だけでは不十分なケースが多く、適切な融資を受けることが事業の成功を左右するといっても過言ではないでしょう。

しかし、融資の種類や申請方法は多岐にわたり、どの金融機関を選べばよいのか迷うこともあると思います。
本記事では、それぞれの融資機関ごとの特徴を解説し、最適な融資を選ぶためのポイントをご紹介します。

創業融資の主な相談先は6つ

一口に融資といっても、その種類は多岐にわたります。
それぞれの融資機関には異なる特徴があり、事業規模などに応じた最適な選択が求められます。ここでは、代表的な融資先の種類について解説します。

融資先創業者へのおすすめ度特徴向いている人注意点
日本政策金融公庫創業前・創業直後でも相談しやすい初めて開業する人、実績が少ない人事業計画書と面談対策が重要
自治体の制度融資自治体・金融機関・信用保証協会が連携する制度地域の支援制度を活用したい人自治体ごとに条件が異なる
信用金庫・信用組合地域密着で小規模事業者に相談しやすい地元で店舗・事業を始める人保証協会付き融資になることが多い
地方銀行△〜○地域企業向けの融資に対応すでに取引がある人、一定の事業計画がある人創業直後は審査が慎重になりやすい
都市銀行・メガバンク大きな資金調達に対応しやすい事業実績がある法人、成長企業創業時の小規模融資には不向きな場合が多い
クラウドファンディング融資ではなく、支援者から資金を集める方法商品・サービスのPRもしたい人必ず資金が集まるとは限らない

日本政策金融公庫

【図解】なぜ公庫は無担保・無保証で貸してくれるのか?

政府が100%出資する金融機関 で、創業時の資金調達において最も利用される融資機関の一つです。
特に、自己資金が少ない
創業期や、信用力がまだ十分でない事業者に対しても積極的に融資を行っています。

主な特徴

👍女性・若者・シニア起業家支援関連 など、多様な融資プログラムが用意されている

👍原則、無担保・無保証人での融資が可能 (要件を満たせば、日本政策金融公庫の保証のみで借りられる)

👍比較的 低金利 で利用できる

👎起業時の 面談が必須 となるため、事業計画の準備が重要

特に「新規開業・スタートアップ支援資金」は、原則無担保・無保証人でも申し込めるため、創業時の強い味方となります。

地方自治体(制度融資)

地方自治体も、起業支援の一環として制度融資 を提供しています。
制度融資は、地方自治体・信用保証協会・金融機関が一体となって提供する融資制度です各自治体が定めた要件を満たせば、低金利での融資 を受けることが可能です。

主な特徴

👍利子補給を利用することで金利が低めに抑えられる

👍自治体によっては補助金や助成金と組み合わせて利用可能

👎複数の機関が審査を行うため、申請から融資まで時間がかかる

地方自治体の融資制度は、各地域によって条件や内容が異なるため、事前に自治体の公式サイトや商工会議所に相談 することが重要です。

制度融資につて、詳しくはこちらの記事で説明しています。

制度融資の仕組みがよくわかる|メリット・デメリットと公庫との違い【税理士が解説】 この記事を読めば分かること 制度融資の仕組み【図解あり】 制度融資のメリット・デメリット 比較表|制度融資 vs...

地方銀行

地方銀行は、地域の中小企業を支援する目的で、起業家向けの融資プランを用意しています。地元密着型の金融機関のため、地域経済の発展を目的とした支援 を受けられる可能性があります。

主な特徴

👍地元企業への支援に積極的 で、柔軟な融資対応が期待できる

👍地域の特性に合った事業計画であれば、融資審査に通りやすい

🔹信用保証協会の保証を活用した融資 が多い

ただし、全国展開している銀行と比べて融資の規模は小さく、起業後の成長資金としては追加の資金調達が必要になる可能性 があります。

地方銀行は都市銀行よりも初回の融資に対応しやすい傾向がありますが、基本的に保証協会付き融資を提案されるでしょう。
これは信用保証協会が保証を行い、返済不能時に立て替え払いをする仕組みで、金融機関のリスクを軽減します。
一方、保証なしのプロパー融資は金融機関が全額リスクを負うため、審査が厳しく、一定の事業実績がないと利用は難しくなります。

都市銀行(メガバンク)

三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などのメガバンク も事業者向けの融資を行っています。
ただし、創業時の融資を受けるハードルは地方銀行や日本政策金融公庫よりも高め です。

主な特徴

🔹融資額が大きい ため、将来的な事業拡大を視野に入れている企業向け

🔹審査基準が厳しいため、創業時よりも実績のある企業が対象となりやすい

👎大企業向けの融資が中心 で、起業家向けのプランは少ない

創業直後よりも、事業が軌道に乗った後の追加融資や運転資金調達 に適した融資先と言えます。

信用金庫・信用組合

信用金庫や信用組合は、地域密着型の金融機関であり、地域の中小企業や個人事業主への融資に力を入れています。

主な特徴

🔹会員制の金融機関 であり、地元の事業者であることが条件となる

👍小規模事業者向けの融資が豊富

👍融資審査が比較的柔軟 で、起業家の状況に応じた対応をしてくれる

ただし、信用金庫や信用組合は地域ごとに融資の条件が異なる ため、事前に相談して詳細を確認することが大切です。

例外:クラウドファンディング

通常の融資とは異なりますが、資金調達の手段として クラウドファンディング も注目されています。クラウドファンディングは、不特定多数の人から少額ずつ資金を集める方法 で、銀行融資とは異なるメリットがあります。

主な特徴

🔹担保や保証人が不要 で資金調達が可能

🔹商品やサービスの宣伝効果 も期待できる

🔹融資ではないため、返済の必要がない (リターン型の場合)

ただし、目標金額に到達しない場合は資金を受け取れない『オール・オア・ナッシング型』 の仕組みが多いため、成功するためのマーケティング戦略が重要になります。

融資の選び方(起業時)

起業時の資金調達は、どの融資先を選ぶかによって、資金調達の難易度や金利、返済条件が大きく変わるため、慎重に検討する必要があります。
ここでは、個人事業主の開業資金として最も利用される「日本政策金融公庫」の融資制度 について詳しく解説し、さらに融資を成功させるために役立つ「専門家の選び方」についても紹介します。

個人事業主以外でも、新規に法人(新設法人)を設立をして開業・起業を考えている場合も共通しますので、ぜひ参考にしてみてください。

個人事業主の開業資金なら日本政策金融公庫

日本政策金融公庫が創業時の資金調達を支援するための融資制度を提供しています。
特に、自己資金が少ない個人事業主や中小企業が融資を受けやすい 仕組みになっています。

代表的な融資制度として「新規開業・スタートアップ支援資金」があり、以下のような優遇制度が設けられています。

新規開業・スタートアップ支援資金

新規開業・スタートアップ支援資金 は、これから事業を始める人や事業開始からおおむね7年以内の個人事業主・法人 を対象とした融資制度です。

項目内容
対象者以下のいずれかに該当する方が対象です。
🔷これから新たに事業を始める方
🔷事業開始後おおむね7年以内の方
融資限度額7,200万円(うち運転資金は4,800万円まで)
金利基準金利:2.50~5.20%
*決算が2期未満の方は、原則として0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引下げ
返済期間🔷設備資金:20年以内
🔷運転資金:10年以内
*うち据え置き期間5年以内
担保・保証人原則不要
自己資金要件は明記されていませんが、融資希望額の30%程度が望ましいです
*金利は令和8年7月1日現在のものです。最新の金利情報を公庫のHP(金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】)でご確認ください。
*参照:日本政策金融公庫|新規開業・スタートアップ支援資金

さらに、特定の条件を満たす場合、金利の優遇や返済期間の優遇が受けられます。

資金種類優遇内容メリット注意点
新規開業・スタートアップ支援資金
(女性・若者・シニア起業家支援)
優遇金利・通常より低金利で借りられる
・ 比較的審査に通りやすい
・申請時に年齢条件を満たす必要がある
・事業計画書の作成が重要
新規開業・スタートアップ支援資金
(再挑戦支援)
返済期間の優遇・返済期間が長く、月々の負担が軽減 
・事業再挑戦者としての実績が加味される
・以前の事業失敗の理由を明確にする必要がある
・信用情報の確認が重要
新規開業・スタートアップ支援資金
(中小企業経営力強化関連)
優遇金利・通常より低金利で借りられる
・経営支援を受けながら資金調達できる
・専門家(税理士や中小企業診断士)の支援が必要  
・経営力強化の計画書作成が必要

融資の専門家(税理士や中小企業診断士)の選び方

起業時の融資申請は、事業計画書の作成や財務状況の整理が重要 です。
そのため、融資の専門家(税理士・中小企業診断士) に相談することで、融資の成功率を高めることができます。専門家の選び方のポイントを確認しましょう。

融資の専門家を選ぶポイント

✔️融資支援の実績があるか確認する
・・・過去にどのくらいの融資案件をサポートしてきたかを確認しましょう。

✔️日本政策金融公庫の融資に詳しいか
・・・日本政策金融公庫の融資制度に詳しい専門家の方が、より適切なアドバイスを行うことができます。

✔️成功事例を聞いてみる
・・・具体的な成功事例を紹介できる専門家は、信頼できる可能性が高いでしょう。

こちらの記事もご参照ください。

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融資に失敗しないコツとは?

では、融資に失敗しないためのコツとはなんでしょうか。融資申請の際、よくある失敗例を知っておくことで、事前に対策を講じることができます。

融資に失敗しない ポイント図示

信用情報を確認しよう

信用情報とは?
クレジットカードの利用履歴や各種ローン、分割払い(割賦販売)などの契約内容や支払い状況などが記録された取引履歴のことです。

過去のクレジットカードやローンの延滞などがあると、融資審査に影響を与えることがあります。

✔️信用情報を事前に確認 し、問題がある場合は改善策を講じる

✔️過去の延滞履歴がある場合、最低でも半年間はクレジット利用を適正に管理する

信用情報の確認方法

主な機関は次の3つです。

信用情報機関情報登録期間主な登録内容
CIC
(株式会社シー・アイ・シー)
5年クレジットカード、ショッピングローン、携帯電話の分割払いなどの情報が中心
JICC
(株式会社日本信用情報機構)
5年消費者金融、キャッシング、銀行系カードローンなどの情報が中心
KSC
(一般社団法人全国銀行協会)
5~7年銀行のローン(住宅ローン、マイカーローンなど)、奨学金などの情報が中心
*自己破産、個人再生の情報は7年間登録


各機関の公式サイトからオンライン・郵送で開示請求が可能です。
あなたが利用した金融機関が加盟している機関を選んで照会しましょう。
なお、本人確認書類と手数料が必要です。

もし手続きが不安な場合は、弁護士を通じた開示請求も可能です。

自己資金が0円ではない

自己資金が全くないと、「事業に対する本気度が低い」と判断され、融資が難しくなります。

✔️最低でも融資額の1/10~3/10程度の自己資金 を準備する

✔️事業計画書で、自己資金の使い道を明確に説明する

起業に必要な自己資金の目安について、こちらの記事で詳しく説明しています。

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書類の書き方

事業計画書や資金繰り表が不十分だと、審査では不利になります。
返済シミュレーションなどを利用して、しっかり計画を立てましょう。
日本政策金融公庫 事業資金用返済シミュレーション

✔️専門家に相談しながら書類を作成する

✔️事業の収益見込みやリスク管理をしっかり記載する

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面接対策をしよう

日本政策金融公庫の融資では面談が必須 です。
準備不足で面談に臨むと、融資審査に落ちてしまう可能性が高くなります。

✔️事業の目的や将来のビジョンを明確に伝えられるように準備する

✔️質問される内容を事前に想定し、練習する

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よくある質問

Q. 創業融資はどこで借りるのがおすすめですか?

創業前・創業直後の方は、日本政策金融公庫を最初に検討しやすいです。創業者向けの融資制度があり、事業実績が少ない段階でも、自己資金・経験・事業計画をもとに審査を受けられるためです。

Q. 日本政策金融公庫と銀行はどちらが借りやすいですか?

一般的には、創業前・創業直後であれば日本政策金融公庫の方が相談しやすいケースが多いです。銀行や信用金庫では、信用保証協会付き融資や自治体の制度融資を利用するケースが多くなります。

Q. 信用金庫は創業融資に向いていますか?

地域で店舗や事業を始める方には、信用金庫も選択肢になります。地域密着型の金融機関のため、小規模事業者や個人事業主の相談に対応している場合があります。ただし、保証協会付き融資になることも多いため、条件を確認しましょう。

Q. メガバンクで創業融資を受けるのは難しいですか?

創業直後は事業実績が少ないため、メガバンクで融資を受けるハードルは高めです。大きな資金調達や将来的な取引では候補になりますが、創業初期は日本政策金融公庫や信用金庫、制度融資を検討する方が現実的です。

Q. 融資先に相談する前に何を準備すればいいですか?

創業計画書、自己資金の状況、必要資金の内訳、設備の見積書、売上計画の根拠などを準備しておくとスムーズです。日本政策金融公庫では面談もあるため、事業内容を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

まとめ

創業時の融資先は複数ありますが、創業前・創業直後の方は、日本政策金融公庫を最初に検討しやすいです。
一方で、地域で店舗を開業する場合は、信用金庫や自治体の制度融資が向いていることもあります。
どの融資先が合うかは、自己資金、事業経験、必要資金、開業地域によって変わります。
迷った場合は、早めに専門家へ相談し、創業計画書や面談対策を進めておきましょう。

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駒田会計事務所【コマサポ】 
代表 駒田 裕次郎
(税理士・公認会計士・認定支援機関)

   監修: 駒田 裕次郎 駒田会計事務所【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2026年4月末現在)
【所有資格】
・日本公認会計士協会 東京会所属(第26214号)
・東京税理士会所属(第118805号)
・経営革新等支援機関(認定支援機関)
コマサポ代表 駒田裕次郎
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。