開業・起業

銀行から創業融資を受けるには?融資条件・メリット・注意点を解説

 

この記事で分かること

創業融資に積極的な銀行は「地方銀行」と「信用金庫」

 銀行から創業融資を受ける条件
対象者:その銀行が管轄する営業エリア内の事業者
融資額:自己資金の3倍
金利:1%台~3%台
返済期間:5~10年

創業融資の審査で見られるポイントは「返済能力」と「事業の将来性」

銀行以外の創業融資は「日本政策金融公庫」と「地方自治体の制度融資」

これから起業する人にとって、銀行から直接創業融資を受けるのは簡単ではないと言われています。開業直後は事業実績がなく、事業そのものに対する信用力もまだ低いため、銀行側も融資には慎重になる傾向があるためです。
しかし、信用力を補完してくれる制度(都道府県の制度融資等)や保証協会を活用し、創業支援に積極的な銀行に申し込むことで、創業時でも融資の可能性が高まります。
また、銀行から創業融資を受けるには、事前に確認しておきたい条件や審査上の重要ポイントがいくつかあります。
この記事では、創業融資に積極的な銀行と銀行以外の創業融資を行っている金融機関、創業融資の審査で見られるポイントなどを詳しく解説します。

監修:駒田 裕次郎
駒田会計事務所【コマサポ】代表

【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

これから起業する人にとって、資金調達は大きな課題です。
銀行から直接創業融資を受けるのは簡単ではないと言われていますが創業融資に積極的な銀行を選ぶことで銀行から融資を受けることが可能です。
コマサポでは、地方銀行を含む全金融機関の創業融資の申請サポートを行っています。お気軽にご相談ください

創業融資に積極的な銀行

種別目的特徴規模金利水準審査の難易度
信用金庫、信用組合地域の活性化地域密着で、新規事業者の支援に積極的小規模 少し高め多少低め
地方銀行銀行ごとの方針による創業融資に積極的なところと、そうでないところがある中規模 中程度中程度
都市銀行、ネットバンク成長企業の支援小規模事業や個人事業主への創業融資は消極的大規模低め高め

地方銀行

地方銀行は、大手銀行とは異なり、それぞれの地方に本店を構える地域密着型の銀行です。
地域経済を支える役割を担っており、地域のニーズに応えるべく小口取引にも積極的です。
最近では、地域の創業者を支援するために、「創業支援プラン」や「起業家応援プログラム」といった独自の融資メニューを設けている銀行も増えています。

信用金庫

信用金庫や信用組合では、信用保証協会の創業融資」と「信用保証協会を介さずに直接融資を行うプロパー融資」の2種類があります。
特に創業融資は、信用保証協会の保証がついている「信用保証協会の創業融資」が一般的です。創保証協会の支援を受けることで、事業実績が少ない段階でも融資を受けやすくなるのが大きな特徴です。

下記の横浜信用金庫「地産」は信用保証協会を介さずに直接融資を行うプロパー融資です。創業融資で利用できるプロパー融資は数が少なく、融資上限も低い傾向あります。

横浜信用金庫
創業支援融資「地産」
対象者営業地区内で事業を営む創業1年以上5年未満の法人及び個人事業主の方
融資上限500万円以内
返済期間運転資金:3年以内
設備資金:5年以内
(据置期間最大1年を含みます)
金利固定2.750%

プロパー融資とは、保証協会や制度融資を利用せずに、銀行が100%リスク負担して事業者に貸付を行う融資形態となります。プロパー融資の方が、金利が低くなることも多いですが、一般的に創業者や、起業して間もない企業が利用することは難しいと言われています。

創業融資が受けやすい銀行の選び方

前述した銀行ごとの特徴と下記の比較・注意点を理解した上で、最適な銀行を選びましょう。

地方銀行信用金庫
金利
年1%台前半〜

保証付き:金利2%前後
プロパー融資:3%前後
融資額
1,000万円以下の融資から
1,000万以上の融資高額な融資資にも対応

1,000万円以下の比較的少額な融資に積極的
審査の厳しさ
信用金庫に比べると審査は厳しい。
大手銀行での審査に落ちた場合でも問題視されない。

地方銀行より審査に通りやすい
対応エリアやや狭い
他地域への事業展開への支援が受けられない可能性がある
×狭い
他地域への事業展開への支援は地方銀行よりも厳しい
注意点・担保や第三者保証人を求められる場合がある・信用保証協会の創業融資は、信用保証協会に対して「保証料」を支払う必要がある

 

銀行から創業融資を受ける条件 

銀行融資の対象者

地方銀行や信用金庫等の創業融資は、基本的にその銀行が管轄する営業エリア内に、事業所や申請者の住所があることが条件となるケースが一般的です。
地方銀行・信用金庫は、地元の中小企業や個人事業主の支援を目的とした金融機関のため、融資の対象も、原則としてその地域で事業を営む人や企業、またはその地域に居住している人に限られます
また、創業融資は創業支援を目的とした制度のため、「創業前」や「創業から3年以内」など、利用できる期間に年数制限が設けられている点も特徴です。開業から一定期間内にしか利用できない制度も多いため、タイミングを逃さずに活用することが大切です。
銀行によっては自社のみで審査を行う場合もありますが、多くのケースでは信用保証協会の保証審査に通過することを融資の条件としています。特に創業融資では、銀行側のリスクを軽減するため、信用保証協会の保証付き融資が一般的に利用される仕組みになっています。

銀行融資の融資額

銀行から創業融資を受ける場合、その融資額は創業に必要な資金額を上限として、主に自己資金の額を基準に決定されます。
自己資金とは、開業までに自分で貯めた預金のことを指し、一般的に融資希望額の1/3程度の自己資金を用意することが必要とされています。
また、利用する制度ごとに融資額の上限が設定されており、その範囲内での借入となります。もし上限額を超える資金調達が必要な場合は、複数の金融機関から融資を受ける方法を検討するのも一つです。
自己資金なしで融資が受けられるのかについて、下記の記事で詳しく紹介しています。ご興味がございましたらご一読ください。

銀行融資の金利

銀行から創業融資を受ける場合の金利は、多くの場合1%台から3%台です。その中で実際に適用される金利は、審査によって決定します。

金利の審査の基準
融資制度や申込先の種類利用する制度や金融機関ごとに設定された所定の金利が適用される
事業内容採算性が高い、将来性があると判断されると、金利が優遇されやすい
返済期間返済期間が短いと貸し倒れリスクも下がるため、金利が低くなる傾向
保証人の有無保証人がいる場合、金融機関のリスクが減るため金利が下がる

多くの銀行では、創業融資において保証人や担保は必須ではありません
ただし、保証人や担保を用意することで、より低い金利で融資を受けられる可能性が高くなります。

銀行融資の返済期間

銀行から創業融資を受ける場合、返済期間は一般的に5~10年で設定されます。
最終的な返済期間は、審査結果によって決定されますが、融資額や資金の使い道によって返済期間が異なります。
物件取得費や機械設備の導入など高額な設備資金は、10年など長めの返済期間が設定されることが多いです。一方で、運転資金であれば、1年から3年程度の短期で設定される傾向があります。

銀行で創業融資を受けるまでの流れ

必要書類を作成する
金融機関の審査に必要な、事業の内容・計画・収支見込み・資金の使い道を具体的にまとめた書類を用意します。

必要書類

  • 創業計画書、事業計画書
  • 信用保証委託申込書
  • 自己資金を預けている銀行の通帳
  • 確定申告書
  • 会社の登記簿謄本
  • 定款(写し)
  • 事業にかかる許認可証
  • 印鑑証明書 など

申請する銀行によって書類は異なります。申込みの際に十分に確認しましょう。

担当者と直接面談して相談する
金融機関の担当者と直接やり取りをし、事業計画や融資に関する疑問を解消しましょう。
直接相談することで、スムーズに進めるためのアドバイスを受けられる場合もあります。

申請・銀行審査
必要書類を揃えて金融機関へ正式に申し込みます。
場合によっては信用保証協会の審査も同時に行われます。

契約・融資
信用保証協会の審査に通過すると借入保証書が届くので、この借入保証書を銀行に持参して融資の契約を行います。
一般的に、銀行の審査から融資を受けられるまでの期間は、スムーズにいけばおよそ3週間前後といわれています。

創業融資の審査で見られるポイント

利用者の「返済能力」と「事業の将来性」が主にチェックされます。
創業時はまだ事業の実績がないため、金融機関は返済能力と将来性をもとに、その事業が本当に育つかどうかを判断するしかありません。
まず返済能力については、利用者の信用情報と売上見込みがポイントになります。
信用情報とは、クレジットカードやローンの返済履歴のこと。これまで滞りなく返済していれば問題ありませんが、長期延滞や債務整理などの記録があると、返済能力が低いと判断され、審査に通るのは難しくなります。

次に事業の将来性は、創業計画書によって評価されます。
創業計画では、自社の商品・サービスが競合と比べて優れている点や、出店場所の特性、見込み客の存在などを具体的なデータとともに示し、将来の売上予測を数字で説明することが重要です。

銀行から融資を受けやすくする方法

信用保証協会を利用する

創業間もない事業者は、実績や取引履歴が少ないため、金融機関からの融資審査が厳しくなる傾向があります。
そこで、その不足している信用を補う役割を果たすのが信用保証協会です。
信用保証協会は、事業者の代わりに銀行の融資に対して保証人となる公的機関で、万が一返済が滞った場合には銀行へ代わりに弁済を行います。これにより、金融機関はリスクを軽減できるため、創業間もない事業者でも融資を受けやすくなるのが特徴です。
信用金庫の注意点でも紹介したように、保証を受ける場合は保証料の負担が発生します。
また、もし信用保証協会が弁済した場合でも、事業者はその金額を保証協会へ返済する義務があります

地方自治体と連携している銀行を探す

地方自治体は、地域の創業支援のために制度融資という形で銀行と連携した融資制度を用意しているケースが多いです。
地方自治体と連携している銀行であれば、銀行のプロパー融資に加え、制度融資の申し込みが可能です
制度融資については後の項目で詳しく解説しています。

銀行以外の創業融資

次にご紹介するのは、銀行以外の機関を通じて創業融資を受ける方法です。
銀行からの融資は、信用構築や将来的な資金調達において有利に働く一方で、審査の厳しさや条件面でのハードルが高いことも事実です。
そのため、創業初期の段階では、以下のような「金利が低め」「融資枠が柔軟」「審査が比較的通りやすい」といった特徴を持つ制度の方が、効率的に資金を確保できる可能性があります。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、日本政策金融公庫の創業融資の一つで、創業期の事業者が資金調達をスムーズに行えるよう支援し、地域経済の活性化を促す役割を担っています。
この制度は、起業家や中小企業が事業を成功させ、成長を遂げるための重要な資金源となっています。

日本政策金融公庫の創業融資「新規開業・スタートアップ支援資金」の詳細は以下の通りです。

対象者・新たに事業を始める方
・事業開始後おおむね7年以内の方
資金使途新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資上限7,200万円
(うち運転資金4,800万円)
返済期間設備資金20年以内
運転資金10年以内
※うち措置期間5年以内
金利基準利率
2.80~4.00%(2025年4月時点)
※無担保の場合
担保・連帯保証人原則不要

出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

地方自治体の制度融資

地方自治体が創業融資の支援を行う制度融資があります。
制度融資とは地方自治体、民間金融機関、信用保証協会の3つの機関が連携して融資を実行する仕組みです。
地方自治体は、地域経済の振興と中小企業者の支援を目的に、民間金融機関や保証協会と協力し、低金利の融資を提供します。
万が一返済が滞った場合、保証協会が代わりに返済を行うことで、民間金融機関は融資を実行できる仕組みです。この融資制度では、自治体が金利の一部を負担し、保証協会が連帯保証を引き受けるため、事業者は低金利で融資を受けやすくなります

以下、代表的な制度融資の詳細です。

東京都中小企業制度融資『創業』大阪府「開業サポート資金」神奈川県「創業支援融資」
対象者事業計画書を策定し、認定支援機関の指導を受けている中小企業①事業を営んでいない方
②以下の条件に当てはまる方
・事業を開始する場合
・事業開始後5年未満の場合
下記のどちらかに該当する
・創業予定の方
・創業後5年未満の方
融資上限3,500万円3,500万円3,500万円
返済期間設備資金10年以内
運転資金7年以内
※うち据置期間1年以内
10年以内分割返済
※1年以内の据置き可
金利0.27%~1.72%1.4%(固定金利)2.0%以内
創業特例の場合は年1.8%以内
担保・

連帯保証人

担保:既存・新規の保証付融資額が8000万以下まで不要

連帯保証人:法人代表者のみ必要な場合がある

自己資金:条件により創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要

連帯保証人:法人代表者のみ必要
条件を満たせば法人代表者の保証も不要

担保:不要

連帯保証人:法人代表者のみ必要
条件を満たせば法人代表者の保証も不要

特記事項・融資申請から実行までの期間が長い(約3カ月)信用保証料:年1.0%が必要信用保証料率:0.40%が必要

 

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まとめ

今回は、銀行で創業融資を受ける方法を紹介しました。
ポイントは以下の通りです。

  • 創業融資はそれぞれ利用条件や特徴が異なるため、自分の資金計画や事業内容に合った制度を選ぶことが重要。
  • 銀行から創業時の融資を受けることは難しいが、信用金庫や地方銀行など創業支援に積極的な金融機関を選ぶことで、融資が受けられる可能性が高まる
  • 審査では自己資金の割合、事業経験、事業計画書の内容などが重視される
  • 金融機関選び・申請に不安がある場合は、プロのサポートの活用がおすすめ


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駒田会計事務所【コマサポ】 代表 駒田裕次郎 税理士・公認会計士

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