事業計画書と創業計画書の違い
- 創業計画書はこれから始めようとしている事業の内容や見込みを示すための書類で、起業・開業前に作成
- 事業計画書はすでに事業を行っている事業者が、どういう事業を行っているかを説明するための書類で、事業者が、融資や補助金の申請、出資者への情報共有を行う際に作成
創業計画書で重要視されるポイント
- 経営者の経歴・事業経験
- 事業の見通し・事業の強み(差別化ポイント・自社の強み・独自性)
- 自己資金(融資の上限金額は自己資金の3倍程度)
- 資金調達方法(銀行の通帳のコピーや貯金の履歴など証明が必要)
事業計画書で重要視されるポイント
- セグメントの明細(各年度ごとに売上の明細、人員計画、設備投資の内訳)
- 過去の実績との整合性を保っているか
起業時に資金調達を行う際、多くの金融機関から提出を求められるのが「創業計画書」です。
一方、よく似た名称で「事業計画書」という書類もあり、違いが分かりづらいと感じる方も多いかもしれません。
この記事では、創業計画書と事業計画書の違いを詳しく解説します。

監修:駒田 裕次郎
駒田会計事務所【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。
目次
創業計画書と事業計画書は記載内容が似ているため、違いがよく分からないという方は少なくありません。
どちらも融資を検討する際に必要となることが多く、それぞれの目的や役割を正しく理解して作成することが重要です。
コマサポでは、創業計画書・事業計画書の作成をサポートしています。計画書作成に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
創業計画書と事業計画書の違い
創業計画書と事業計画書の違いは、その作成時期や目的です。
具体的には、創業計画書はこれから始めようとしている事業の内容や見込みを示すための書類で、起業・開業前に作成します。創業融資の申請のために作成することが多いです。
一方、事業計画書はすでに事業を行っている事業者が、どういう事業を行っているかを説明するための書類で、事業者が、融資や補助金の申請、出資者への情報共有を行う際に作成します。
なお、創業計画書は事業計画書の一種であり、場合によっては同義として扱われることもあります。どちらの書類も、融資を受ける際には非常に重要で、提出する際には金融機関ごとに指定されたフォーマットを使用するのが一般的です。
そのため、すべての金融機関に通用する共通のテンプレートというものは存在しません。
創業計画書 | 事業計画書 | |
作成時期 | 起業・開業前/直後 | 事業者が、融資や補助金の申請、出資者への情報共有を行う際 |
作成の目的 | 創業融資の申請 |
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記載する項目 |
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重要視される点 |
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創業計画書
作成時期/目的
創業計画書は、事業を始める前後に作成します。主に創業融資を申請する際に使用されます。
記載項目/書き方
創業計画書は実績がないため、融資担当者に納得してもらえるように書くことが重要です。実績がないことを理由に不安になる必要はありませんが、計画に対する信頼性を高めるためには、事業の将来性や創業者の意欲を具体的に伝える工夫が求められます。
創業の動機 | 基本的には自由に書いてかまいません。 できるだけ積極性や熱意の感じられるよう書きましょう。 |
経営者の略歴等 | 経営者の略歴・過去の事業経験・取得資格・知的財産権などを記載します。 経営者の略歴については勤務先のみではなく担当した業務や役職、身に着けたスキルについて詳しく書きましょう。 |
取扱商品・サービス | 取扱商品・サービスの内容、セールスポイント、販売ターゲット・販売戦略、競合・市場などを記載します。 事業の内容を理解してもらえるように書きましょう。 |
取引先・取引先関係等 | すでに取引することが決定している販売先・仕入先・外注先を記載します。 |
従業員 | 常勤役員の人数や従業員数を記載します。 |
お借入れの状況 | 借入の状況を記載します。必ず正直に書きましょう。 もし過去に借入があり、それを完済している場合は、「完済済み」と明記します。 |
必要な資金と調達方法 | 設備資金や運転資金等の必要な資金と調達方法を記載します。 正確に記述することが重要です。 |
事業の見通し(月平均) | 創業当初と軌道に乗った後の売上高・売上原価・経費(人件費・家賃・支払利息・その他)・利益の具体的な数値を設定して記載します。過大な目標は信頼性を損なう可能性があるため、軌道に乗った後の売上高などの計画は、現実的に数値にしましょう。 |
下記の記事で詳しい書き方を解説しています。業種別テンプレートも多数掲載していますので、ぜひご一読ください。

重要視される点①経営者の経歴・事業経験
創業時の会社には過去の実績がないため、創業者の過去の事業経験が重要なポイントとなります。
融資担当者が注目するのは、創業者の経験が新たに始める事業とどのように結びついているかです。事業成功のために必要なスキルや知識をどれだけ備えているかをしっかりとアピールしましょう。
下記の記事で、事業経験の重要性を解説しています。ご興味がございましたらご一読ください。

重要視される点②事業の見通し・事業の強み
創業時には実績がなくても、事業が成功する可能性を客観的に示すことが重要です。
業種自体に発展の見込みがある場合、その情報を記載することで事業の将来性を伝えられます。
また、すでに競合が多い市場では、差別化ポイントを明確に示すことで、他社との違いをアピールできます。
さらに、開業地周辺の競合店と比較し、自社の強みや独自性を強調することで、ユーザーに選ばれる理由を伝えることができます。
重要視される点③自己資金・資金調達方法
創業時に融資を受ける際、自己資金は非常に重要な要素となります。
特に、実績のない創業時には、自己資金の有無が信用度を大きく左右します。
融資を受ける際の目安として、融資の上限金額は自己資金の3倍程度です。
自己資金は、単に手元にあるお金だけでなく、実際に自分が出資した証拠となるものが求められます。
例えば、他の金融機関から借りたお金や親族・知人から借りたお金は自己資金として認められません。
また、融資申請時には、資金の証明書類が必要です。銀行の通帳のコピーや貯金の履歴など、コツコツと貯めてきた資金を証明できる書類が求められるため、自己資金を貯める過程をしっかり記録しておくことが重要です。
このように、自己資金は融資申請において重要な信用材料となり、融資の可否や金額にも影響を与える要素となります。
下記の記事で自己資金になるもの・ならないもの、自己資金なしで融資を受けられるのか、自己資金について詳しく解説しています。ございましたらご一読ください。

事業計画書
作成時期/目的
事業計画書は、事業を既に運営している事業者が、融資や補助金の申請、または出資者への情報共有を行う際に作成します。
融資や補助金を受けるためには、事業計画書が必要であり、事業の詳細な運営計画や将来の見通しを示すことが求められます。また、出資者に対しては、投資の決定材料として事業計画書が重要な役割を果たします。
記載項目/書き方
事業計画書は、事業の実績と数値がしっかり一致するように記載することが重要です。
事業が順調に進んでいる場合は、その将来性や成長の見通しを具体的に示しましょう。
一方で、事業が思うように進んでいない場合は、その原因を分析したうえで、今後の改善策を明記することが大切です。
事業概要 | 事業の理念やビジョン、商号・事業所の所在地、役員構成、取引先、従業員数などを記載します。 |
事業の内容 | 自社の事業が誰に、何を、どのように提供しているのかを、できるだけ具体的にまとめます。 専門用語は避け、金融機関の担当者や投資家に伝わりやすい内容で書きましょう。 |
創業メンバー経歴 | 創業者や創業メンバーの学歴、職歴、保有資格、スキルなど、事業に直接関係する情報を記載します。 |
事業の強み・弱み | 競合や市場調査を元に、事業の強みや弱みを記載します。 強みだけでなく、弱みへの対策もしっかり記載しましょう。 |
自社の状況(競合・市場規模・ニーズなど) | 競合や市場規模についての情報を、関連統計やアンケート結果などを参照して記載します。 |
商品・サービス概要 | 取り扱う商品やサービスの機能・特徴を説明し、利用者が享受できるメリットについても記載します。 |
販売戦略 | 価格設定、販売場所、宣伝内容などを実現可能な範囲で記載し、過去の実績をもとに受注の見込みがあればそれも記載します。 |
資金・収支計画 | 必要な資金の調達方法や用途を記載し、事業年度ごとの売上、経費、利益などを含む収支計画を示します。 |
重要視される点①セグメントごとの明細
事業計画書では、各年度ごとに売上の明細、人員計画、設備投資の内訳をセグメントごとに明確に分けて記載する必要があります。
特に売上については、製品やサービスが複数ある場合、それぞれを分けて計画しなければなりません。
例えば、顧客や製品、地域ごとに売上を把握し、それを元に将来の計画を立てることで、利益が出やすい分野に経営資源を集中させることができます。
重要視される点②過去の財務諸表と整合性
事業計画書を作成する際には、過去の実績との整合性を保つことが重要です。
過去の実績を無視して過大な予測を立てると、信用を失う原因となります。
通常、売上や利益率、固定費などは前年比較で数パーセントから数十パーセントの範囲でしか変動しません。
これを無視して売上が10倍になるような事業計画を立てるのは現実的ではなく、過剰な投資が原因で経営が崩れる可能性があります。
そのため、過去の損益計算書や資金収支をもとに実行可能な改善策を提案し、その改善策に基づいて事業計画を作成する必要があります。
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まとめ
今回は創業計画書と事業計画書の違いについて解説しました。ポイントは以下の通りです。
- 創業計画書と事業計画書の違いは「作成時期」と「目的」
- 創業計画書は過去の実績がないため、経営者の実務経験、自己資金、創業計画書が重要視される
- 事業計画書は事業の実績と数値がしっかり一致するように記載することが重要
- 融資を検討している場合は、計画書が審査のポイントになるので、プロのサポートを活用することをおすすめします
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駒田会計事務所【コマサポ】 代表 駒田裕次郎 税理士・公認会計士