開業・起業

フランチャイズ制度を活用して日本政策金融公庫の創業融資の申込はできるか?

新規事業に挑戦したい」という気持ちはあるものの、ノウハウがなく事業としてやっていけるのか不安な方もいるのではないでしょうか。

そのような時、フランチャイズ(以下「FC」という)を上手く活用することで事業を軌道に乗せられる可能性が高まります。

そもそも、「FC」とは親企業が契約者に与える、一定地域内での独占販売権のことです。そして、FCチェーンとはチェーン本部が加盟店にFCを与え、各種経営指導を行って事業の拡大をはかる方式またはその加盟店を指します。

飲食店やコインランドリーなどでFC展開している事業は沢山ありますね。しかしながら、FCにはメリットばかりではないことも忘れてはいけません。
当たり前ですが、何事にもメリットがあればデメリットもあります。
デメリットもしっかりと理解したうえでFCを上手く活用しましょう。

そこで今回は、FCで創業融資を検討している方に向けて、FCを利用した開業で日本政策金融公庫の創業融資の申込はできるかと、FCでも融資が難しい場合についてみていきたいと思います。

監修:駒田 裕次郎
駒田会計事務所【コマサポ】代表

【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

FCを活用して日本政策金融公庫で融資が受ける場合、融資審査が厳しくなることがあります。創業融資は、万が一通過しなかった場合、最低でも半年間は再申請ができませんので、安心して申請いただくためにも、公庫への申込み前にぜひお気軽にご相談いただければと思います。

 

FCは日本政策金融公庫などで融資が受けやすいのか

本部のマニュアルに従って、運営を行えることがFCの特徴といえます。そして本部からのサポートなども受けられるという点で、安定した経営が行えるようなイメージ持っている方も多いのではないでしょうか。

融資を受ける際にも、しっかりと利益がでる仕組みだからFCの方が有利なのではないかとお考えの方も多いと思います。
しかしながら、日本政策金融公庫(以下「公庫」という)の創業融資で、
FCだから融資が通りやすりというようなことはありません。
どちらかというと、FCでの融資は状況によって難しい場合も多くあります。

FCでも融資が難しい場合

FCでの融資では、状況によって融資が難しい場合があると説明しましたが、日本政策金融公庫の創業融資では、「経営者のこれまでの経験」「自己資金」「信用情報」の3つを中心に融資審査が行われ、総合的に融資の可否を判断します。

未経験の業種で事業を始める場合

FCは、加盟金を支払うことで未経験でも事業をスタートすることができるという点が大きな特徴になります。
しかし、公庫の創業融資は経験のない事業での創業に対する融資は厳しく見られる場合が多く、融資を受けることが難しい場合が多いです。
というのも、これからやろうとする事業の経験がある人の方が事業を上手く軌道に乗せられる可能性が高いためです。公庫側からすればしっかりと返済できる方にお金を貸したいですよね。

FCはノウハウなどを提供してもらえるから、問題ないと楽観的に考えている方もいるかもしれませんが、その考えが問題ありと思われてしまいます。

本部のノウハウやマニュアル通りにやれば利益がでるという保証は一切ありません。

経営者の手腕によって、事業の可否は大きく変わります。全く経験はないけど、本部の指示通りにやっていれば問題ないだろうと考えているのであれば、その考えは今すぐに捨てたほうがよいでしょう。
あくまでFCは補助的な位置付けにしておくべきだと思います。

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申請金額が高額になる場合が多い

FCの加盟金は高額な場合が多いです。
普通に開業するよりも開業資金が高くなることがあり、開業資金が1,000万円を超えることも珍しくありません。
初めて公庫から融資を受ける場合、1,000万円以上の融資を受けることは簡単ではありません。初回融資の平均は300万円~500万円程度になると考えておいた方が良いでしょう。最初から足りない部分は自己資金で補う予定にしておいた方がよいでしょう。

1,000万円以上の融資を希望される場合には、自己資金として300万円程度は準備しておく必要があります

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本部の財務状況は問題ないか

FCで融資を受ける場合、本部の財務状況も重要になってきます。何故かと言うと、FC加盟店に融資を実行し、万が一、FC本部が破産する事態になった場合、融資したFC加盟店にも影響がでるからです。

例えば、FC本部が公庫や民間の金融機関から融資を受けており、返済が遅れている等、過去に金融事故がある場合には、加盟店として融資を受けることが難しくなります。

FC融資のポイント

FCでの融資は、状況によっては難しい場合もありますが、ポイントをしっかりと抑えることで融資の可能性を高めることができます。
公庫からFCで融資を受ける場合には「創業計画書」と「自己資金」の2つが大切なポイントとなります。

創業計画書について

創業計画書は、公庫で創業時の融資を受ける場合に必ず提出する書類です。創業計画書には、経営者の方の略歴や、事業の見通しなどを詳しく記入します。

融資では、提出された書類の根拠を明確にすることが重要になります。なぜ、その数字になるのかを説明できるようにしましょう。しっかりとした根拠に基づいて創業計画書を作成しましょう。

フランチャイズ本部から収益計画のサンプルをもらえることもあるようですが、そのまま内容も理解せずに公庫に提出してしまいますと、公庫での面接時に内容についてうまく答えられない可能性も出てきますので、少なくても内容面の理解だけはしておきたいです。

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まとめ

今回は、フランチャイズ(FC)を活用した日本政策金融公庫の創業融資について説明しました。

FCを利用することで、安定した事業運営が期待できる一方で、融資を受けるにはいくつかの課題もあります。特に、未経験の業種で事業を始める場合や高額な融資を希望する場合は、融資審査が厳しくなることがあります。さらに、FC本部の財務状況も融資に影響を与えるため、慎重に検討することが重要です。

FCを利用した融資は難しい場合が多く、ご自身で進めるよりも専門家に相談することをおすすめします。
経験の有無や自己資金などを含め、専門家に相談することで、融資を受けられる可能性が高まりますその他、書類の書き方なども相談できます。

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駒田会計事務所 代表
 税理士・公認会計士 駒田裕次郎