介護保険外サービスは、「自費サービス」や「自費ヘルパー」とも呼ばれ、近年の高齢化社会の進行によりますます需要が高まっています。
高齢化が進み、様々なニーズが顕在化している中で、介護保険サービスではカバーできない範囲を支援する、介護保険外サービスに注目している方も多いでしょう。
そこで今回は、介護保険外(自費)サービスで起業をお考えの方に向けて、開業までの流れと、起業時の課題として挙げられることの多い資金調達についてみていきたいと思います。
この記事では、介護保険外サービスでの起業の流れと資金調達の方法について解説します。介護保険外サービスでの起業を検討している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
監修:駒田 裕次郎
駒田会計事務所【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。
介護保険外の自費サービスの需要が高まり、起業を考える人も増えています。しかし、資金調達は大きな課題の一つです。自己資金や融資などの選択肢をしっかり理解し、自分に合った方法を選ぶことが成功への第一歩となります。コマサポでは資金調達のサポートを行っていますので、お気軽にご相談ください。
介護保険サービスとは?
まずは介護保険サービスの概要について確認しましょう。介護保険サービスとは、要支援・要介護認定を受けた介護保険の被保険者が利用できるサービスです。
介護保険サービスは介護保険を使って利用できるサービスなので、利用した時にかかる費用は、利用者の所得に応じて1~3割を利用者が負担し、7~9割を税と保険料で負担する形で運用されています。
介護保険サービスは大きく分けて「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」、「居宅介護支援」の4つに分かれています。
介護保険サービス
【居宅サービス】
- 訪問介護、訪問入浴介護、
- 訪問看護、訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 通所介護、通所リハビリテーション
- 短期入所生活介護、短期入所療養介護
- 特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
【施設サービス】
【地域密着型サービス】
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
【居宅介護支援】
なお、同居家族がいる場合は、介護保険サービスでは「生活援助」を原則として利用することができません。(厚生労働省「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」)
そうした場合に「介護保険外サービス」として利用することができます。(※但し、家族に事情がある場合は、介護保険サービスでの「生活援助」が認められることもあります)
では、介護保険外サービスとは?
介護保険外サービスとは、介護保険が適用にならない介護サービス全般を指します。介護保険サービスでは、年齢や要介護認定の有無によって利用できるかどうかが決まりますが、保険外サービスは、基本的に誰でも利用できます。介護認定を受けていない比較的元気な高齢者にも、利用することができるのです。
また、保険外サービスは、介護保険が適用にならないため、利用料は事業者が決めることができ、全額利用者が負担することも介護保険サービスと保険外サービスとの違いとなっています。
例えば以下のような内容のサービスを行うことが可能です。
介護保険外サービスの例
- 配食サービス
- 家事代行サービス
- お泊りデイサービス
- 外出・旅行の支援サービス
- 訪問理美容サービス
デイサービスについてはこちらの記事でも説明しています。
デイサービス開業「開業の流れから開業資金の調達まで」解説いたします! 高齢化社会が進む中、デイサービスは高齢者の生活支援や交流の場として非常に重要な役割を果たしています。また、デイサービ...
国も推進する介護保険外サービス
全ての高齢者が、一人ひとりできるだけ健康で質のよい生活を送り、生きがいをもつことが大切です。そのために国は、住まい、医療、介護、生活支援・介護予防を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を現在、急ピッチで進めています。
この「地域包括ケアシステム」実現に大きな役割を担うのが、きめ細かく高齢者の支援ができる介護保険外サービスです。
また、要介護者が介護保険外サービスをより利用しやすくするために、国は介護保険サービスを提供する同じヘルパーが保険外サービスも同時に提供できるような「混合介護」の規制緩和策も進めています。
混合介護とは、 介護保険サービスを利用している要介護者が、介護サービス事業者が提供する介護保険外サービスを全額自費で利用する場合をいいます。
例えば、通院の付き添いは介護保険サービスを利用し、病院内の待ち時間・診察の付き添い、トイレ介助などは介護保険外サービスを利用するときに混合介護が行われています。
また、いわゆるデイサービスの「お泊りデイサービス」は、昼間は介護保険によるデイサービスが行われ、夜間の宿泊は保険外サービス利用になるので、これも混合介護と呼べます。
介護保険外サービスでは、地域の介護保険サービス事業者、NPOや住民ボランティア、様々な業種の民間企業が、生活支援や介護予防サービスを提供することが可能になります。
開業に必要な資格は?
介護保険内のサービスを提供する際に介護系資格が必要となりますが、保険外サービスの場合どうでしょうか。実は、介護保険外サービスの開業に必要な資格はありません。
ただし、サービス内容によっては運営者が資格所有者である方が顧客の信頼を得やすいかもしれません。
例として、訪問理美容サービスや、社会福祉士が運営する見守りやお話相手メインの保険外サービスなどもあります。
こちらの記事では看護師の資格を活かして起業できる事業についても紹介しています。
https://www.sogyo-support.biz/blog/sougyo/nurse-0716/
介護保険外サービス起業の流れ
こちらでは介護保険外サービスの起業についての流れをまとめています。
- ビジネスモデルの設定
サービス内容や料金形態の設定 - 法人を設立する(個人で開業する場合は不要)
株式会社についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
創業融資は新設法人が良い!?株式会社の特徴とメリット・デメリットを分かりやすく解説します!誰しも一度は「株式会社」という言葉を聞いたことがあるはずです。
しかし、株式会社がどういう形態で、どんな特徴があるのかを詳細に説明でき...
- 事業計画書の作成
- 開業資金の調達
- 従業員を採用する場合は採用活動を行う
- 備品等必要なもをの調達
- 自治体への届出や認可
地域の行政に相談し、自治体のルールを詳しく確認、必要な届出や認可を行いましょう。 - 営業活動
事業内容を紹介するパンフレット、名刺、HPなどを作成しましょう。
資金調達について
一般的に介護保険外サービスの起業時に必要資金のすべてを自己資金でまかなうことは難しい場合が多いです。また、開業後には予想外の支出が出てくることも念頭に置いておきましょう。
介護保険外サービスの起業に限った話ではないのですが、起業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。
- 全額自己資金で賄う。
- 他人(家族・親族を含む)から出資を受ける。
- 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。
このうち、自己資金で開業できればベストなのですが、介護サービスの起業に必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。
また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によって開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。
現実的には、日本政策金融公庫等の金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが多くなると思います。
それでは、具体的に融資を受ける方法について見ていきましょう。
利用できる融資先の例
下記は、創業や開業時に利用可能な融資先の例です。
【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開等、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。特に「新規開業資金」は創業融資の制度としてよく利用されています。詳しくは、こちらをご覧ください。
日本政策金融公庫の融資についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
日本政策金融公庫の融資について解説いたします!近年、日本政府は起業家精神の促進と新規ビジネスの支援を強化しています。これに伴い、日本政策金融公庫をはじめとする公的金融機関が、創業融資...
【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。実際の融資は信用金庫や信用組合が行い、それを保証協会が連帯保証してくれる形です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
まとめ
今回は、「介護保険外(自費)サービス」について、スポットをあててご説明してきました。
介護保険外(自費)サービスの需要が高まっており、これから起業を考える方々にとっては大きなチャンスが広がっています。介護保険内サービスを提供するためには介護系資格が必要ですが、介護保険外サービスの開業には特別な資格は求められません。これにより、幅広い分野で新しいサービスを提供することが可能となり、多くの事業者にとって参入しやすい市場となっています。
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駒田 裕次郎