開業・起業

不動産会社を一人で起業することは可能?資金調達までを解説します

不動産業は在庫を抱える必要がないなどの理由から、未経験者でも比較的開業しやすい業種といわれています。
独立の際、自身が宅建士(宅地建物取引)免許を所持していれば、一人でも事業を開始できるため、不動産業界で働きながら、いつか独立開業を目指している人も少なくないことでしょう。

そこで今回は、不動産会社を開業することを検討している方に向けて、開業の流れと不動産会社起業を成功させるポイントについてみていきたいと思います。

監修:駒田 裕次郎
駒田会計事務所【コマサポ】代表

【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

一人で不動産業を運営するメリットも多く存在しますが、しっかりとした事業計画と資金計画を立てることが重要です。コマサポでは資金計画についてサポートを行っておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

 

一人でも不動産会社は起業できる!

結論、一人でも不動産会社を起業することは可能です。
競合他社や売り上げ、集客についてなど、たくさん悩むことがあると思いますが、一人で始める小さな不動産屋でも稼ぐことは可能です。

経営形態・不動産業の種類について

不動産を開業する際は「個人事業主」か「法人」のどちらかを選択する必要があります。

こちらの記事でも個人事業主や法人の違いについて説明しています。

起業とは?法人・個人事業主・フリーランスの違いを説明いたします。現在、働き方の多様化が進む中で、起業へのハードルは徐々に下がっています。しかし、起業についてよくわからず、難しいものだと考えている方が多...

また、どの不動産業をメインに開業するか決める必要があります。一人で不動産会社を起業する場合は下記②流通から始める場合が多いでしょう。
不動産業の種類は以下の通りです。

①開発・販売

不動産業における“開発・販売”は、土地の仕入れから建物の建設、その後の販売・貸出までの一連の流れを手掛けています。このような事業を行う企業は、“デベロッパー”とも呼ばれます。

開発・販売では、土地の仕入れから始まり、建築会社・ゼネコンと協業して、住宅建設や商業施設の企画、都市開発などを行います。

開発事業には莫大な資金が必要となるため、資金力のある大企業が手掛けていることが一般的です。

▼主な業務内容

  • 事業用地の取得
  • 不動産の企画・開発
  • 不動産の売買・賃貸
  • 建物の管理・運営

②流通

不動産業における“流通”は、不動産のオーナー(売り手)と顧客(買い手)を結ぶ役割を担います。

流通は、主に売買・賃貸の仲介事業と不動産代理販売の2つに分類されます。いずれの場合も、不動産オーナーの「売りたい・貸したい」、顧客の「買いたい・借りたい」という両者のニーズをマッチングさせることが主な業務です。

また、土地や物件の仕入れ・建築を行うことはなく、仲介手数料によって収益を確保します。土地の仕入れや建設などを行うデベロッパーとは異なり、小資本で事業運営できるため、独立開業が多い業種です。

▼主な業務内容

  • 売買仲介
  • 賃貸仲介
  • 販売・仲介を行うための広告活動
  • 売主・買主への営業活動
  • 物件の紹介・案内
  • オーナー・顧客との交渉
  • ローンの手続き

③管理

不動産業の“管理”では、不動産オーナーに代わって不動産を効率よく活用するためのサポートや提案を行います。

不動産オーナーから委託を受けて、住宅やビル、駐車場などの管理業務を行うことが主な業務です。なかには、公共施設や商業施設の管理、マネジメントなどを行う事業者もあります。

また、流通の仲介事業と併行して管理事業を行っている事業者も見られます。

▼主な業務内容

  • 定期清掃
  • 建物・設備の維持管理
  • 入居者の集客
  • 入居者のトラブル対応
  • 賃料の集金・管理
  • 収益向上に向けたマーケティング活動

 

不動産開業の流れ

不動産開業には最短でも4ヶ月程度かかります。賃貸仲介業の繁忙期は1〜3月のため、12月までに開業できるようにスケジュールを立てることが重要です。
詳しい流れは以下の通りです。

  • 経営形態・不動産業の種類を決める
  • 事業計画書作成
  • 資金計画・資金調達
  • 事務所の設置
  • 宅地建物取引士の設置
    不動産を開業するにあたっては、「宅地建物取引士」の設置が義務付けられています。
    参照:宅地建物業法 第三章第十五条
  • 宅地建物取引業免許の申請
  • 各協会への加入

こちらの記事では不動産業に限らず、「起業の流れ」について説明しています。

起業するには?「起業の流れ」を説明いたします。「いつか起業したい」と考える方は多いのではないでしょうか。しかし、いざ起業しようとしても、何から手をつければいいのか分からずに立ち止まっ...

不動産業の開業資金について

不動産会社の設立資金は一般的に約400万~1,000万円と言われています。

  • 事務所設置費用
    150万円〜300万円
    自宅でも条件を満たせば開業は可能ですが、事務所を設けるケースが多いです。
  • 宅地建物取引業免許の申請手数料
    1つの都道府県に事務所を設立する場合:都道府県知事免許 3万3,000円
    2つ以上の都道府県に事務所を設立する場合:国土交通大臣免許 9万円
  •  営業保証金
    営業保証金の供託は、宅地建物取引業法により義務付けられています。
    複数の支店がある場合、本店で1000万円、支店ごとに500万円の供託金が必要です。
    ただし、国土交通大臣指定の宅地建物取引業保証協会に加入した場合は本店で60万円、支店ごとに30万円の弁済業務保証金分担金を納付すれば免除になります。
  •  宅建協会の入会金
    全国宅地建物取引業協会連合会:約130万~180万円
    全日本不動産協会:約160万円

事務所の設置について

事務所は以下の要件を満たす必要があります。

  • 専用の出入口を有している
  • 完全に壁で間仕切られた独立スペースを使用している
  • 玄関を入ってから他の部屋を通ることなく、事務所用の部屋にたどり着けること
  • 事務所の用途のみに使用して、事務所としての形態が整っている

自宅で開業を検討している方で自宅の間取りが要件を満たしていない場合は、改修やテナントの賃借などの選択肢を検討する必要があります。

不動産会社を一人で開業するメリットは?

不動産屋は個人で開業するのが難しくない業態です。特に仲介業だけをおこなう不動産屋は在庫を持つ必要がなく、人件費や固定費が少なくて済みます。

また、一人で始める場合でも高い収益を目指すことも可能です。なぜなら小規模な不動産屋ならではの売り方が存在するからです。

他にも、以下のようなメリットがあります。

  • お客様との距離が近いので、信頼関係を構築しやすい
  • ノルマがないので、お客様のための提案ができる
  • 仲介手数料で大手不動産会社と差別化できる
  • お客様対応が迅速に可能
  • 独自のブランディングがしやすい
  • 柔軟な働き方が可能

 

不動産会社に限らず、こちらの記事でも一人で起業・開業できる仕事についてや、ひとり起業のアイディアについて紹介していますので、ご参照ください。

一人で起業・開業できる仕事から融資までを説明いたします!一人起業・開業とは、「自分一人」で事業の企画から運営を行います。 会社に所属することなく、個人で事業を始め、収入を得ることを指しま...
ひとり起業のアイディアは?融資までを説明します!ひとりでの起業を目指したいけど、いいアイディアが思い浮かばなくて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。「独創的で面白いビジネスがしたい...

不動産会社起業を成功させるポイント

人脈があるか

人脈は独立直後から売上を安定させるうえで必要な要素です。特に一人で不動産屋をやっていく上で人脈は開業後の成功を左右します。

特に注目したいのは顧客との人脈です。これから顧客になる可能性のある人を紹介してくれる人との人脈が収益に直結します。

個人経営の不動産屋に一人で足を運ぶのは誰しも不安です。しかし、信頼できる知り合いに紹介された不動産屋であれば安心して取引を検討していただけるでしょう。

役立つ資格を持っているか

個人で不動産屋を運営するうえで資格を取得することは重要です。不動産に直結する資格はもちろん、直接関わらなくても業務を助けてくれる資格もあります。

宅建士(宅地建物取引士)は独立するうえで必須の資格です。不動産賃貸業や不動産投資では必要ないですが、不動産仲介業を営むうえで必要となります。開業前に必ず取得しましょう。

建築士やFP(ファイナンシャルプランナー)は取得することで業務の幅を広げることができます。建築士は建物全般に関するアドバイスを行うことができるようになり、FPは金銭面全般に関してアドバイスすることができます。これらの資格は必須ではないですが、取得することで業務の幅を広げることができるため取得をおすすめします。

また、資格を取得していることで顧客に安心感を与えることができます。ほとんどの顧客は不動産に関する知識を持っていません。したがって有資格者であることも不動産屋を選ぶ判断材料として大きいでしょう。特に個人の不動産屋は口コミが少ないため資格によるアピールは有効です。

他にも取得していると役立つ可能性がある資格を以下にあげておきます。

  • 管理業務主任者・・・主にマンション管理業務を行う人向けの資格です。
  • 賃貸不動産経営管理士・・・ 賃貸物件の管理や運営に関わる知識を持つ専門資格です。
  • 不動産鑑定士・・・不動産の価値を評価する専門家としての資格です。
  • 住宅ローンアドバイザー・・・住宅ローンに関する知識を持ち、顧客に最適なローンプランの提案ができる資格です。
  • 相続診断士・・・相続に関する知識を持ち、相続問題の相談に対応できる資格です。

他社との差別化

不動産業に限らずビジネス全般において、いかに他社との差別化を図れるかが重要になります。不動産業の場合、こんなエリアに出店し、こんなターゲットを対象に、こんな点を売りにしていこうという戦略が、成功して稼ぐために必要な基本となります。

数ある不動産会社のなかで勝ち残るためには、「この店でなければ」というポイントがあるかどうかが決め手になるでしょう。例えば「ペット可賃貸物件の品ぞろえ地域一番」「女性も安心できる接客システム」などです。

また、近年ではスマートフォンの普及により、インターネット上で物件を探すのが当たり前になっています。他社との差別化には、オフラインの戦略だけでなく、オンラインの戦略がかなり重要となります。

不動産開業のための資金調達方法について

不動産業に限った話ではないのですが、不動産の開業資金のための資金調達の方法には、以下のような方法があります。

  • 自己資金
    自身が所有する資産を利用する資金調達方法です。自己資金が多いと多くの融資を受けやすくなるというメリットもあります。自己資金の説明はこちらの記事で詳しく説明しています。

創業融資・起業の「自己資金」について説明いたします!創業融資を受けて起業するためには、自己資金の確保が重要です。自己資金が多いほど、融資審査に有利に働きます。しかし、自己資金が少なくても、...
  • 親・親戚・友人に貸してもらう。
    公式な手続きや審査が不要なため、迅速に資金を調達できるほか、低金利または無利息で借りられることが多く、返済期間についても柔軟に設定できる場合が多いです。
  • 日本政策金融公庫等の金融機関から創業融資を受ける。
    日本政策金融公庫の融資についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
国金の借り方とは?日本政策金融公庫「国金(旧称)」について解説いたします!国金は、国民生活金融公庫の略称で、かつて中小企業金融公庫などと並ぶ政府系金融機関の1つとして知られていました。しかし、現在では国金は存在...
  • ベンチャーキャピタル
    将来成長が見込めるベンチャー企業やスタートアップ企業の将来の成長を見込んで投資する組織のことです。資金を返済する必要はありませんが、企業が成長や上場したときに株式を売却することで資金を回収します。
  • エンジェル投資家
    将来成長が見込めるベンチャー企業やスタートアップ企業に出資する個人投資家のことです。投資したお金を企業から直接回収することはせず、将来そのベンチャー企業が株式上場した際の出資金のキャピタルゲインを得ることを目的としている場合が多いです。

このうち、自己資金で開業できればベストなのですが、必要となる資金を全額自己資金で用意できる方は少数だと思います。

また、人脈や家族の力を利用し、「他人からの出資」によって開業資金を賄える方もかなりの少数だと思います。

現実的には、日本政策金融公庫などの金融機関や信用金庫からの創業融資を検討することが多くなると思います。

それでは、具体的に融資を受ける方法について見ていきましょう。

融資先の例

下記は、創業や開業時に利用可能な融資先の例です。

【日本政策金融公庫】
創業・継承、設備投資、研究開発、海外展開など、様々な事業目的に合わせた融資制度がある機関です。特に創業時は積極的な感じが見受けられます。
詳しくは、こちらをご覧ください。

【保証協会付き融資】
信用保証協会(東京都の場合)が保証人となって金融機関から融資を受ける制度です。
詳しくは、こちらをご覧ください。

まとめ

今回は、「一人での不動産起業」について、スポットをあててご説明してきました。
独立開業には、宅建士資格をはじめとした必要な資格取得や、適切な資金調達が欠かせませんが、少ない資本で始められる点や、お客様との信頼関係を築きやすい点など、一人で不動産業を運営するメリットも多くあります。しっかりとした事業計画と資金計画を立てることで、安定したビジネスを始めることができるでしょう。

「コマサポの創業サポートナビ」を運営する駒田会計事務所は、これから創業される方・創業5年以内の皆様に対して、創業時における資金調達のサポートを行っております。日本政策金融公庫の創業融資の支援を始め、多くの創業融資のサポート実績があります。
弊社の顧問先でも、不動産業のお客様は多く、不動産関係の融資も得意としています。

公庫の創業融資に関するお悩みを解決いたします。相談無料!お気軽にご相談くださいお電話でのお問い合わせはこちらメールでのお問い合わせはこちらLINEでのお問い合わせはこちら

日本政策金融公庫の創業融資に強い

常、公庫の創業融資が通る確率は1~2割とも言われていますが、駒田会計事務所では、通過率90%以上の実績でフルサポートいたします。

成功報酬型で安心。最短三週間のスピード対応!

成功報酬型なので、安心してご依頼ください。万が一、融資が通らな
かった場合には、成功報酬は発生しません。
公庫での面談がご不安の方には、 面談時の同席サポートもしております。

会社設立や税務会計もまとめてワンストップで提供いたします!

会社設立や 税理士顧問、許認可の申請など、ご要望に応じて創業時に必要なサービスをまとめて提供いたします。弊社は税理士・会計事務所であり、司法書士・社会保険労務士・弁護士・行政書士など、経験豊富なパートナーともに、ワンストップで対応いたします。 

創業のご相談はお任せください!

創業者の皆様は「必ずこの事業を成功させたい!」という熱い思いで、弊社に相談に来られます。このお気持ちに応えるため、私どもは、事業計画を初めて作成されるお客様でも、丁寧に一つ一つ確認しながら、一緒に事業計画書の作成や創業融資の申請をサポートいたします。

そして、お客様のビジネスが成功するために、創業融資、会社設立、経理、税務申告など、創業者に必要なサポートをさせていただいております。

まずは創業・起業のこと、融資に関することなどお気軽にご相談ください。お客様にとって最適なアドバイスをさせていただきます。

駒田会計事務所 【コマサポ】  代表
 公認会計士・税理士 認定支援機関
 駒田 裕次郎