業種別 開業に必要な資金目安
- 飲食業
カフェ 500万~1,000万円
イタリアン・フレンチレストラン 1,000万前後
居酒屋 600万円前後
ラーメン店 1,000万前後
テイクアウト専門店 300万〜1,200万円
キッチンカー 300万~800万円 - 美容・健康系
ヘアサロン 1,000万円前後
ネイルサロン 15~400万円
エステサロン 30万~600万円
整体・マッサージ店 30万~600万円
パーソナルジム 200万~600万円 - 小売業
ネットショップ(中小規模)・ECサイト 55万~260万円
中古品の買取販売・中古車販売店 2,000万円前後
サービス業家事代行サービス 30~50万円
ペットサロン・ペットホテル 200万円〜400万円
習い事教室(英会話・ピアノなど) 300万~500万円 - 専門職・フリーランス
Webデザイナー・Webライター 20万円~50万円
士業(税理士、行政書士など) 100万円前後
コンサルタント300万円~500万円
対象は創業前~創業7年以内の方、融資額は最大7,200万円、返済期間は最大20年、担保・連帯保証人不要です。
新規開業資金の申請方法と審査のポイント
その他の資金調達方法
- 制度融資(地方自治体)
- 信用保証付き融資
- ビジネスローン 5社
- カードローン 3社
- 補助金・助成金
開業1年以内の7,032社を対象におこなった、日本政策金融公庫総合研究所の『2023年新規開業実態調査』によると、開業費用の平均は1,027万円、中央値は550万円でした。
ただし、業種によっても開業資金は大きく異なります。
今回は起業・開業を検討している方に向けて、業種別開業資金と資金調達におすすめの新規開業資金について解説します。
新規開業資金は2025年に「新規開業・スタートアップ支援資金」へ名称が変更されましたが、本記事ではわかりやすさのため、引き続き「新規開業資金」と表記しています。

監修:駒田 裕次郎
駒田会計事務所【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。
目次
起業・開業を考えているけれど、資金調達はいくら必要なのか分からない、資金調達方法がわからないと悩んでいる方も少なくないと思います。
そこで今回は、業種別に具体的な開業資金と創業時に利用できる資金調達方法を紹介します。
コマサポでは、新規開業資金の申請代行サポートを行っております。
書類準備・創業計画書の作成から面接対策までトータルサポートしているので、不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
【業種別】個人事業主の開業に必要な資金目安一覧表
飲食業 | カフェ | 300万~1,000万円 |
イタリアン・フレンチレストラン | 1,000万前後 | |
居酒屋 | 600万円前後 | |
ラーメン店 | 1,000万前後 | |
テイクアウト専門店 | 300万〜1,200万円 | |
キッチンカー | 300万~800万円 | |
美容・健康系 レンタルサロン~テナントサロン | 美容室(ヘアサロン) | 1,000万円前後 |
ネイルサロン | 15~400万円 | |
エステサロン | 30万~600万円 | |
整体・マッサージ店 | 30万~600万円 | |
パーソナルジム | 200万~600万円 | |
小売業 | ネットショップ(中小規模)・ECサイト | 55万~260万円 |
中古品の買取販売・中古車販売店 | 2,000万円前後 | |
サービス業 | 家事代行サービス | 30~50万円 |
ペットサロン・ペットホテル | 200万円〜400万円 | |
習い事教室(英会話・ピアノなど) | 300万~500万円 | |
専門職・フリーランス | Webデザイナー・Webライター | 20万円~50万円 |
士業(税理士、行政書士など) | 100万円前後~ | |
コンサルタント | 300万円~500万円 |
- 開業資金は、規模や立地、内装によって大きく変わります。
- テナントが「居抜き物件」か「スケルトン物件」かによって設備資金が大きく変わります。
- 業種別に開業資金の特徴はありますが、共通していえるのは「創業期は資金に余裕があるほうがいい」ということです。
特に開業直後は、想定外の出費が発生することも多く、資金が足りずに事業が続けられなくなるケースも少なくありません。
「もっと借りておけば続けられたのに…」「順調だったのに資金が尽きてしまった…」と後悔しないためにも、創業時にはできるだけ余裕のある資金計画を立てておくことが大切です。
業種別の開業資金の特徴については、それぞれの見出しの下に詳しく記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
前の店舗の内装や設備がそのまま残っている物件。初期費用を抑えやすいのが特徴です。
コンクリートむき出しなど、内装が何も施されていない状態の物件。自由に設計できる反面、ゼロから内装を作る必要があり費用がかかります。
飲食業
飲食業は、スケルトンからの場合、厨房機器や内装工事などが必要になるため、設備資金が高額になるケースが多いです。
少しでも初期費用を抑えようとする場合は、居抜きで始めることをおすすめします。
ただし、居抜きの場合でも、内装・外壁などの工事が必要になることがあるため、ある程度の設備投資は、必要になってきます。
また、新品ではなく、中古品を導入することで、初期費用を抑えることができます。
加えて、食材の仕入れや広告費(ホットペッパーが多いです)などの運転資金もかかります。
運転資金+設備資金で500万円~1,000万円で融資を申請される方が多いです。
カフェ
カフェの開業資金は300万円〜1,000万円が目安です。
店舗の広さや立地、内装のこだわり度合いによって必要な金額は大きく変わります。
また、エスプレッソマシンや焙煎機など設備費用も想定以上にかかることがあります。
仕入れや広告宣伝費、運転資金なども見込んで、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。
下記の記事でカフェの開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

下記の記事で喫茶店の開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

イタリアン、フレンチレストラン
イタリアンやフレンチレストランの開業資金は、1,000万円前後が目安です。
本格的な厨房設備や内装にこだわることが多く、他の業態に比べて初期費用が高くなる傾向があります。
また、食材費やスタッフの人件費も考慮しておく必要があります。
下記の記事で飲食店(レストラン)の開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

居酒屋
居酒屋の開業資金は、平均して600万円程度と言われています。
ただし、店舗の広さや立地、必要な設備によっては1,000万円以上かかることも珍しくありません。
コストを抑えたい場合は、居抜き物件を活用して前の店舗の設備や機器をそのまま使ったり、中古機器を導入したりすることで、初期費用を抑えることも可能です。
その場合でも最低300万円以上、開業後の運転資金も必要になるため、トータルでは最低でも500万円程度を見込んでおくと安心です。
また、席数が多い店舗や、コンセプト居酒屋の場合は、1,500万円前後の資金が必要になることもあります。
下記の記事で居酒屋の開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

ラーメン店
ラーメン店の開業資金は、平均1,000万円前後が目安です。
たとえば、都内で10坪程度のラーメン店を開業する場合、内装工事や厨房機器などを含めた初期費用として、1,000万円〜1,500万円程度をかかるといわれています。
ただし、居抜き物件を活用する場合は300万円〜に抑えられるケースもありますが、運転資金として200万円〜500万円程度を別途用意しておくと安心です。
そのため開業資金は最低500万円~を目安に考えましょう。
下記の記事でラーメン屋の開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

テイクアウト専門店
テイクアウト専門店の開業資金は、300万円〜1,200万円が目安です。
小規模な店舗で設備を最小限に抑えれば300万円程度でも開業可能ですが、内装や厨房機器、立地にこだわる場合は1,000万円以上かかることもあります。
店舗面積が小さく、客席を設けない分、費用を抑えやすい業態ではありますが、初期仕入れや広告費、運転資金も含めて余裕をもった資金計画が必要です。
下記の記事でテイクアウト専門店(お弁当屋さん)開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

キッチンカー
キッチンカーの開業資金は、300万~800万円が目安です。
車両やキッチン設備にかかる設備資金は200万~500万円程度で、中古車を活用すればコストを抑えることも可能です。
加えて、保健所の許可申請費や運転資金なども必要になるため、総額300万~800万円程度となります。
下記の記事でキッチンカーの開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

美容・健康系
施術用の機械や美容機器の導入が必要となるため、初期費用としての設備資金が高くなる傾向があります。
さらに、開業には店舗に関する費用もかかります。具体的には、敷金や保証金、内装工事などが代表的です。
また、代表者が一人で施術を行う場合、ランニングコストとして大きいのは主に広告費(ホットペッパービューティーなど)になります。
そのため、個人での開業では毎月の運営費用よりも、初期費用のほうが重く感じられるケースが多いです。
導入する機器の種類やグレードによっても異なりますが、多くの事業者は400万円~800万円ほどの資金で申請しているようです。
美容室(ヘアサロン)
美容室(ヘアサロン)の開業資金は、平均1,000万円前後が目安です。
内装や美容機器、シャンプー台などの設備費が大きな割合を占めます。
また、席数が少なく、サービスを絞った小規模な店舗であれば、500万円程度からの開業も可能です。
一方で、内装にこだわった店舗や複数席を備えたサロンでは、1,200万円以上かかるケースもあります。
さらに、物件取得費や広告宣伝費、当面の運転資金も必要になるため、トータルで1,000万円程度を見込んでおくと安心です。
なお、居抜き物件や中古設備の活用によって、初期費用を抑えることも可能です。
下記の記事で美容室の開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

ネイルサロン
ネイルサロンの開業資金は、形態によって大きく異なります。
レンタルサロン | 15万円~20万円程度 |
自宅サロン | 20万円~50万円程度 |
マンションサロン | 60万円~100万円程度 |
テナントサロン | 200万円~400万円程度 |
個人事業主の場合、マンションタイプのサロンで開業するケースが多く、初期費用を抑えつつも独立した空間を確保しやすいのが特徴です。
下記の記事でネイルサロンの開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

エステサロン
自宅サロン | 30万円~70万円程度 |
マンションサロン | 150万円~200万円程度 |
テナントサロン | 300万円~600万円程度 |
個人事業主の場合は、マンションタイプのサロンで開業するケースが多く、適度な初期投資で独立しやすいのが特徴です。
下記の記事でエステサロンの開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

整体・マッサージ店
自宅サロン | 100万円前後 |
マンションサロン | 120万円〜180万円程度 |
テナントサロン | 150万円 ~ 200万円程度 |
上記の他に出張訪問サービスがあります。設備が少なく抑えられますが、別途車両費などがかかる場合あります。
下記の記事でマッサージ店の開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

パーソナルジム
開業形態や導入する設備によって、店舗の広さや設備費用は大きく異なります。
自重トレーニングのみ | 200万~300万円程度 |
トレーニングマシンを導入する | 400万~600万円程度 |
自重トレーニングのみの場合は、マシン不要でマットだけで運営可能です。
狭めのスペースでも開業でき、マンションの一室からスタートできます。
トレーニングマシンを導入する場合は、マシンの種類やメーカーにより設備費用が変わってきます。
マシンは家庭用で15〜50万円、業務用で50〜150万円が一般的です。
店舗面積も広くなるため、設備費用がかさみます。
下記の記事でパーソナルジムの開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

小売業
ネットショップ・ECサイトについては、Amazonや楽天などのECサイトを使う場合と使わない場合で開業費用が大きく変わってきます。
自社のECサイトを立ち上げると高額になるため、初期費用が嵩みます。
自社サイト以外で集客していく場合は、広告費がメインになり、加えて、仕入れが必須になるため、運転資金の比率が高くなる傾向があります。
運転資金+設備資金で400万円~で融資を申請される方が多いです。
ネットショップ・ECサイト
ネットショップ・ECサイトの開業資金は、開業方法や規模、仕入れ金額によって大きく変わります。
中小規模のネットショップの場合、55万円~260万円程度が目安となります。
下記の記事でネットショップの開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

中古品の買取販売・中古車販売店
中古品の買取販売・中古車販売店の開業資金は、店舗型で2,000万円前後が目安となります。
物件取得費や内装、設備費がかかるほか、中古車を陳列するための広いスペースや整備用の設備・機材も必要なため、コストが高くなりがちです。
一方、実店舗を持たずにネット店舗(EC販売)での開業も可能で、比較的少ない資金で開業することができます。
ただし、実物を直接見てもらえないため信頼性の確保が課題となり、商品の状態認識違いによるトラブルリスクもあります。
また、納車や陸送の手配にコストと手間がかかり、整備やアフターサービスの提供も難しい点に注意が必要です。
下記の記事で車屋の開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

サービス業
サービス業は店舗の有無で初期費用が変わってきます。
自宅兼事務所の場合だと、物件取得費が発生しないため、パソコンやインターネット、備品など最小限でスタートできる場合は、初期費用は大幅に削減できます。
店舗が必要な場合だと、初期費用に加え、ランニングコストとして賃料や水道光熱費が発生するため、運転資金を多めに用意しておく必要があります。
また、機械導入が必要な場合は、運転資金より設備資金の方が高くなる傾向があります。
家事代行サービス
家事代行サービスを個人事業主として開業する場合、必要な資金は30万〜50万円程度です。
主に宣伝費や必要な道具の購入費用が中心となり、比較的低コストで始められる業種です。
下記の記事で家事代行サービスの開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

ペットサロン・ペットホテル
ペットサロン・ペットホテルを個人経営で小規模に開業する場合、必要な資金は200万円〜400万円程度です。
設備やペット用のケア用品、施設の改装費用などが主な費用となります。
下記の記事でペット関連ビジネスについてを詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

習い事教室(英会話・ピアノ・学習塾など)
習い事教室(英会話・ピアノ・学習塾など)の開業資金は、300万円~500万円程度が目安です。
教室によってはオンラインでの運営も可能で、オンライン専門の場合は開業費用を大幅に抑えられます。
下記の記事で学習塾の開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

専門職・フリーランス
サービス業と同様に店舗・事務所の有無によって、初期費用等が変わってきます。
また、ソフトウェアを導入する場合は、ランニングコストを想定しておく必要があります。
設備導入がなく、運転資金が中心となる場合は、他の業種と比べて初期費用は少ない傾向があります。
具体的なランニングコストとしては、外注費が発生するケースが多いです。
Webデザイナー・Webライター
Webデザイナー・Webライターの開業資金は20万円~50万円程度が目安です。
主に通信費やパソコンなどの設備費、レンタルオフィスの使用料がかかります。
自宅開業で既にパソコンを持っていれば、10万円以下に抑えることも可能です。
士業(税理士、行政書士など)
士業(税理士、行政書士など)の開業資金は100万円前後~が目安です。
内訳としては、パソコンが約10万円、名刺が1,000円程度、チラシが3万円程度、ホームページ制作費が20万円程度です。
事務所の費用は開業場所によって異なり、協会の登録費や会費なども業界によって必要です。
コンサルタント
コンサルタントの開業資金は300万円~500万円程度が目安です。
主に事務所の賃貸費用や設備投資、パソコンやソフトウェアの購入費用、広告宣伝費などが含まれます。
自宅開業の場合は費用を抑えられますが、クライアントとの面談や打ち合わせのためのスペース確保も考慮が必要です。
下記の記事でコンサルタントの開業の流れ、開業資金を詳しく解説します。お考えの方はご一読ください。

個人事業主の資金調達は日本政策金融公庫の新規開業資金がおすすめ
自己資金だけで開業資金をすべてまかなうのは難しいのが現実です。
そこで活用したいのが、創業時に特化した日本政策金融公庫の新規開業資金です。
審査は決して簡単ではありませんが、しっかりと準備をすれば十分に通過可能です。
下の項目詳しい審査のポイントを解説していますが、創業計画をきちんと立てて、必要な書類を用意することが重要です。
日本政策金融公庫は、国が全額出資する政策金融機関であり、中小企業や小規模事業者、農林漁業者などを対象に融資を行っています。
特に新規開業者やスタートアップへの支援に力を入れており、低金利や無担保での融資制度も用意されています。
新規開業資金の条件は下記の通りです。
対象者 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 |
資金使途 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
金利 | 1.20~4.00% 2025年5月時点 |
返済期間 | 設備資金20年以内 運転資金10年以内 ※うち措置期間5年以内 |
担保・保証人 | 原則不要 |
記事の冒頭でも触れたように、「新規開業資金」は2025年に名称が変更され、現在は「新規開業・スタートアップ支援資金」として提供されています。
名称は変わりましたが、融資上限など内容に変更はありません。
名称変更については下記の記事で詳しく解説しています。ご興味がございましたらご一読ください

利用条件
対象者
- 新たに事業を始める方
- 事業開始後おおむね7年以内の方
新規開業資金は創業前から申し込むことができ、準備段階でも資金調達が可能です。
また、事業開始後もおおむね7年以内であれば利用できるため、銀行や信用金庫の融資は創業後3~5年以内としているところが多いですが、対象期間が比較的長いのが特徴です。
融資限度額
融資額
最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)
融資の上限は最大7,200万円と高額ですが、実際の平均借入額は約800万円程度となっており、必ずしも希望額をそのまま借りられるわけではありません。
審査を経て融資額が決定されるため、特に創業融資の場合は1,000万円程度を目安に考えておくとよいでしょう。
下記の記事で日本政策金融公庫の平均融資額について解説しています。ご興味がございましたらご一読ください

金利
基準金利
- 担保あり:年1.20%~
- 担保なし:年2.60%~
民間の金融機関に比べて低金利で設定されています。
そのため、創業期の資金調達手段として非常に利用しやすいのが特徴です。
下の項目で金利の優遇を受けられる条件を紹介しています。
こちらの条件に当てはまる場合はさらに低い金利で融資を受けることが可能です。
詳しくは日本政策金融公庫の金利情報をご確認ください。
返済期間
返済期間
- 設備資金:最長20年以内
- 運転資金:最長10年以内
- 据置期間(元金の返済を猶予できる期間):最大5年
長めに設定されています。
特に開業初期の資金繰りが厳しい時期に、この据置期間があることで、余裕を持って返済を開始できる点が大きなメリットです。
融資を受けたあと、元本の返済が始まるまでの「猶予期間」のことです。
この期間中は、利息のみを支払えばOKで、元本(借りたお金)の返済は不要です。
下記の記事で設備資金、運転資金の説明と運転資金の相場を解説しています。ご興味がございましたらご一読ください

担保・保証人
担保・連帯保証人
原則不要
担保や保証人は原則不要なので、誰でも申請しやすいです。
ただし、担保を設定すると金利が優遇される場合もあります。
条件を満たせば融資に関する条件が優遇される
女性、35歳未満・55歳以上の男性
女性、35歳未満・55歳以上の男性は女性・若者/シニア起業家資金の対象になり、優遇金利が適用されます。
条件:女性、35歳未満・55歳以上の男性
優遇内容:特別利率A(1.20~3.60%)が適用
廃業歴を有する再チャレンジしたい人
廃業歴を有する再チャレンジしたい人は再挑戦支援関連の対象になり、優遇金利・返済期間の延長が適用されるなど優遇措置が受けられます。
条件:廃業歴等があり、創業に再チャレンジする方で、以下の条件を満たす
- 廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
- 廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
- 廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること
優遇内容:
- 特別利率A(1.20~3.60%)が適用
- 前事業に係る債務を返済するために必要な資金にも利用可能。
- 運転資金は15年以内(うち据置期間5年以内)に延長。
- 上記の条件+女性、35歳未満・55歳以上の男性である場合は特別利率B(0.95~3.35%)が適用
中小会計を適用する人
中小会計を適用する人は中小企業経営力強化関連の対象になり、優遇金利が適用されます。
条件:以下の条件を満たす
- 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用中または適用予定
- 自ら事業計画書の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている
優遇内容:特別利率A(1.20~3.60%)が適用
新規開業資金の申込みの流れ

①融資相談
まず日本政策金融公庫に融資相談をします。
相談方法は下記の3通り。
・相談ダイヤルに連絡
・支店の窓口で相談(要予約)
・Web相談(要予約)
②申込・書類提出
書類を準備して、日本政策金融公庫に正式に申し込みます。
申込方法は下記の3通り。
・支店窓口
・郵送
・インターネット(インターネット申し込みが主流です)
必要書類は下記の通り。
③面談
日本政策金融公庫の支店で融資面談が行われます。
面談時に持参する書類は下記の通り。

④審査
日本政策金融公庫による審査が行われます。
必要時、担当者による現地調査が行われますが、日時が事前に連絡されるため、あらかじめ準備をしておくことが可能です。
⑤結果通知
面接後、約1週間程度で審査結果の通知が届きます。
⑥融資による借入額が着金
書類に不備がなければ、必要書類を郵送後1週間程度で指定の口座へ振込手数料が差し引かれて振り込まれます。
下記の記事で必要書類の詳細と詳しい申請の流れを解説しています。申請前にご一読ください。

新規開業資金の審査のポイント
自己資金は融資額の30%が基準
自己資金には明確な要件はありませんが、融資審査では自己資金の有無が重要視されます。
審査に通過するための目安として、一般的には希望する融資額の30%程度の自己資金を準備しておくことが望ましいとされています。
資金準備が不足していると、「資金計画に無理がある」と判断され、審査に不利になる可能性があるため注意が必要です。
下記の記事で自己資金になるもの、自己資金の目安について詳しく解説しています。ご興味がございましたらご一読ください。

説得力のある事業計画書
融資審査では事業計画書の内容が重視されます。
どれだけ将来性のあるビジネスでも、計画に説得力がなければ融資は難しくなります。
そのため、事業の収支見通しや市場ニーズ、差別化のポイントなどを具体的に盛り込み、説得力ある内容に仕上げることが重要です。
初めての作成で不安がある場合は、専門家や支援機関のサポートを受けることをおすすめします。


開業分野の実務経験
開業を希望する分野での実務経験の有無は、融資審査において重要なポイントとされています。
たとえ副業レベルでも、実際にその業種で働いた経験があることで、計画の現実性や経営の見通しに信頼感が生まれます。
これから開業を考えている場合は、できるだけ事前に実務経験を積んでから融資申請を行うことをおすすめします。
下記の記事で、実務経験について詳しく解説しています。ご興味がございましたらご一読ください。

延滞や未払いのない信用情報
これまでにお金を借りたり、クレジットカードを使ったりした履歴のことです。
信用情報に延滞や未払いの履歴があるかどうかは融資審査で重要視されます。
過去にクレジットカードやローンの延滞、債務整理などの履歴がある場合、審査通過は厳しくなります。
ただし、信用情報に問題があった場合でも、返済や納付を終えてから一定の期間が経過すれば、記録は削除されます。
したがって、信用情報に傷があるとわかった場合は、記録がクリアになるまで待ってから融資申請をすることをおすすめします。
融資を申し込む前に、自分の信用情報を確認しておきましょう。
信用情報の確認方法
特定の機関は、以下の3つになります。
- CIC(日本信用情報機構)
クレジット会社が主な会員 - KSC(全国銀行個人信用情報センター)
銀行が主な会員 - JICC(日本情報信用機構)
貸金業者が主な会員
以上の機関のHPからオンラインや郵送で、信用情報照会の申請をすることができます。
本人の確認書類や手数料(約1000円)がかかるので注意しましょう。
開示を求める手続きが複雑だと感じる方については、弁護士などを通じて開示を請求するといった方法もあります。
また、それぞれの機関により加盟している金融機関などが異なっているので、自身が利用をしているもしくはしていた金融機関などが加盟している機関を選択しましょう。
下記の記事で信用情報について詳しく解説しています。ご興味がございましたらご一読ください。

その他の資金調達方法
制度融資(地方自治体)
制度融資は、地方自治体・民間の金融機関・信用保証協会の三者が連携して実施する公的な融資制度です。
自治体が地域経済の活性化や中小企業の支援を目的に、金融機関と協力して、低金利で融資を受けられる仕組みを提供しています。
創業間もない事業者は、実績や取引履歴が少ないため、通常は金融機関からの融資審査が厳しくなる傾向がありますが、信用保証協会が事業者の保証人となるため、万が一返済が難しくなった場合でも、信用保証協会が金融機関に対して代わりに返済を行うため、創業間もない事業者でも融資を受けやすくなるのが特徴です。
また、自治体が金利の一部を補助したり、保証料の負担を軽減する場合があります。
東京都中小企業制度融資『創業』 | 大阪府「開業サポート資金」 | 神奈川県「創業支援融資」 | |
対象者 | 事業計画書を策定し、認定支援機関の指導を受けている中小企業 | ①事業を営んでいない方 ②以下の条件に当てはまる方 ・事業を開始する場合 ・事業開始後5年未満の場合 | 下記のどちらかに該当する ・創業予定の方 ・創業後5年未満の方 |
融資上限 | 3,500万円 | 3,500万円 | 3,500万円 |
返済期間 | 設備資金10年以内 運転資金7年以内 ※うち据置期間1年以内 | 10年以内 | 分割返済 ※1年以内の据置き可 |
金利 | 0.27%~1.72% | 1.4%(固定金利) | 2.0%以内 創業特例の場合は年1.8%以内 |
担保・ 連帯保証人 | 担保:既存・新規の保証付融資額が8000万以下まで不要 連帯保証人:法人代表者のみ必要な場合がある | 自己資金:条件により創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要 連帯保証人:法人代表者のみ必要 | 担保:不要 連帯保証人:法人代表者のみ必要 |
特記事項 | ・融資申請から実行までの期間が長い(約3カ月) | 信用保証料:年1.0%が必要 | 信用保証料率:0.40%が必要 |
信用保証付き融資
創業初期は、金融機関にとって「返済能力があるのかどうか」を判断する材料が乏しいため、融資審査が厳しくなる傾向があります。
これらの信用面の不安をカバーするのが、公的機関である信用保証協会です。
信用保証協会は、事業者の代わりに金融機関へ保証を提供する役割を担っています。
万が一、借入者が返済できなくなった場合は、協会が代わって金融機関に返済を行います。
これにより、金融機関は貸し倒れのリスクを抑えることができるため、創業者でも融資を受けやすくなるのです。
ただし、信用保証協会の保証を利用する場合は、保証料の支払いが必要になります。
また、協会が代位弁済を行ったとしても、その金額を事業者が信用保証協会に返済する義務がある点には注意が必要です。
都創業融資 | |
対象者 |
|
融資上限 | 3,500万円 |
返済期間 | 設備資金10年以内 運転資金7年以内 ※うち据置期間1年以内 |
金利 | 1.65%~2.35% |
担保・ 連帯保証人 | 担保:原則不要 連帯保証人:必要となる場合がある |
特記事項 | 全事業者に対して東京都が信用保証料の2/3を補助 |
ビジネスローン
ビジネスローンは、条件や審査の難易度が緩く、必要書類も少なく、融資実行までのスピードが早いのが特徴です。
ただし、金利は3~15%(多くの場合7%以上)と高めに設定されていることが多く、返済負担が重くなる可能性があります。
また、ビジネスローンを利用していると、将来的に銀行などから借入を行う際に、信用評価に影響を与える可能性がある点にも注意が必要です。
AGビジネスサポート | セゾンファンデックス | オージェイ | PayPay銀行 | アクト・ウィル | |
要書類 | 法人:2点 個人事業主:3点 | 法人:8点 個人事業主:5点 | 5点 | なし | 4点 |
担保 | 不要 | 不動産(代表者または代表者の親族が所有するもの) | 不要 | 不要 | 不要 |
保証人 | 法人:代表者に原則連帯保証 個人事業主:不要 | 法人:代表者に原則連帯保証 個人事業主:不要 | 法人:代表者に原則連帯保証 個人事業主:不要 | 不要 | 場合により必要 |
契約方法 | オンライン | オンライン可能 | 対面での面談が必須 | オンライン可能 | オンライン可能 |
融資速度 | 最短即日 | 最短3営業日 | 最短即日 | 最短即日 | 最短即日 |
借入限度 | 50万円~1,000万円 | 500万円~5億円 | 30万円~1億円 | 1,000万円 | 500万円 |
金利(年) | 3.1%~18% | 2.9%~9.9% | 10%~18% | 1.8%~13.8% | 10.00%〜20.00% |
特記事項 | ・手数料が必要 ・不動産の担保価値を重視した審査基準 |
下記の記事で上記ビジネスローンの詳細を紹介しています。お考えの方はご一読ください。

カードローン
カードローンは、銀行や消費者金融が提供する借入専用のカードで、ATMなどから限度額の範囲内でいつでも借入ができるサービスで、繰り返し利用できる点が特徴です。
ビジネスローン同様に、審査は比較的通りやすく、必要書類も少なく、融資実行までが早いというメリットがありますが、金利は3~18%(多くの場合7%以上)と高く設定されており、返済負担が重くなることがあります。
また、カードローンの利用履歴は信用情報に残るため、将来的に銀行などで事業資金を借りる際に不利になる可能性がある点には注意が必要です。
アコム | プロミス | アイフル | |
実質年率 | 3.0%-18.0% | 4.5%~17.8% | 3.0%-18.0% |
限度額 | 1万円~800万円 | ~500万円 | ~800万円 |
必要書類 | 本人確認書 収入証明書(50万以上) | 本人確認書 収入証明書(50万以上) | 本人確認書 収入証明書(50万以上) |
補助金・助成金
創業時に活用できる補助金
- ものづくり補助金:新しい技術や設備投資をサポート
- IT導入補助金:ITツール導入費用を一部補助
- 小規模事業者持続化補助金:小規模事業者の販路拡大や安定化を支援
- 起業支援金:開業に必要な資金を支援
※補助金の中には「税務申告を2期終えていること」が要件となるものがあるため、開業前に利用を検討している場合は、事務局に確認しましょう
- 補助金は融資と異なり、原則として返済の必要がありません。
- ただし、申請には審査があり、交付決定を受けた事業者のみが受給できます。そのため、申請すれば必ず受け取れるわけではない点に注意が必要です。
コマサポでは、各種補助金の申請代行サポートを行っています。対象となる補助金のご案内も可能ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
補助金代行サポートはコマサポにお任せください!
下記の記事で創業時に使える補助金・助成金を解説してします。お考えの方はご一読ください。

新規開業資金 審査通過の実例と成功ポイント
異業種から不動産賃貸業で開業したAさん
融資審査では実務経験が重視されるため、Aさんも当初は不安を感じていました。
そこで申請書には、年収や現金・保有不動産といった現在の資産状況に加え、相続予定の不動産(土地・建物)の評価額も明記。
自己資金力と将来的な資産背景を具体的に示すことで、返済能力の裏付けとしました。
また、下の成功ポイントで紹介したように、不動産ポータルサイトに掲載されている物件情報(間取り図や内覧写真、特徴など)も添付し、物件の価値が視覚的にも伝わるように工夫しました。
その結果、自己資金の充実度と将来的な資産背景の信頼性が高く評価され、希望どおりの全額融資が実行されました。
成功ポイント
弊社のサポートにより、保有している不動産について、不動産ポータルサイト(例:HOME’Sなど)に掲載された情報を参考資料として添付し、間取り図や内覧写真、南向き・オートロック付きといったおすすめポイントも併せて提示しました。
これにより審査担当者が物件の具体的な価値をイメージしやすくなり、説明の説得力が高まりました。
また、前述のとおり、年収や現在の保有資産、相続予定の不動産の評価額を申請書に明記したことで、返済リスクの低さを具体的に示すことができました。
新規開業・スタートアップ支援資金の審査通過のためにはプロに代行依頼がおすすめ!コマサポでも申請サポートを行っております
創業融資を成功させるには、専門的な知識と十分な準備が欠かせません。
中でも事業計画書は、融資審査の可否を左右する非常に重要な書類です。
ただし、自分で作成する場合、要点を的確に押さえるのが難しく、不備があると正しく評価されない可能性もあります。
不安を感じる方は、経験豊富で相談しやすい専門家にサポートを依頼することをおすすめします。
コマサポに依頼するメリット
事業計画書の作成をサポート
自分で作成するのが難しい事業計画書も、プロのアドバイスを受けながら、具体的かつ説得力のある内容に仕上げます。
審査の通過率が大幅アップ
融資審査で求められるポイントを押さえた事業計画書を作成し、通過の可能性を高めます。
希望額での融資獲得が期待できる
自己資金や事業計画をもとに、適切な融資額を設定し、希望額での融資実行を目指します。
必要書類の準備をサポート
申請に必要な書類を事前に把握し、スムーズに準備できるようサポートします。
面接対策も万全
融資面談で聞かれやすい質問や、その適切な回答を事前に準備し、スムーズな対応ができるようサポートします。
創業融資を成功させるために、プロの力を借りて万全の準備を進めましょう!
まとめ
今回は新規開業資金(新規開業・スタートアップ支援資金)について解説しました。ポイントは以下の通りです。
- 開業資金は平均1,027万円、中央値550万円だが、業種により大きく異なる。
- 資金調達は融資上限7,200万円、低金利、返済期間も長く、担保・連帯保証人不要の新規開業資金がおすすめ
- 審査のポイントは「自己資金」「事業計画書」「実務経験」「信用情報」
- その他の資金調達方法としては「制度融資」「信用保証付き融資」「ビジネスローン」「カードローン」「補助金・助成金」がある。
- コマサポでも創業融資の申請サポートを行っていますので無料相談にお気軽にお問い合わせください。
「コマサポの創業サポートナビ」を運営する駒田会計事務所は、これから創業される方・創業5年以内の皆様に対して、創業時における資金調達のサポートを行っております。日本政策金融公庫の創業融資の支援を始め、多くの創業融資のサポート実績があります。
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まずは創業・起業のこと、融資に関することなどお気軽にご相談ください。お客様にとって最適なアドバイスをさせていただきます。
駒田会計事務所【コマサポ】 代表 駒田裕次郎 税理士・公認会計士