創業融資のポイント

新創業融資制度の特徴とメリット・デメリットを解説します

創業時に最も重要な取り組みのひとつになるのが資金集めです。資金に余裕があると、売上げが安定しづらい創業後、しばらくの期間を落ち着いて乗り越えることができます。これから創業を予定している方は、創業融資を活用して資金を集めるとよいでしょう。このページでは、公的創業融資のひとつ新創業融資制度の概要とメリット・デメリットを解説しています。

新創業融資制度とは

新創業融資制度は、日本政策金融公庫が実施している創業融資です。同公庫が実施している他の融資制度と組み合わせて利用します(オプションとして利用)。具体的に、どのような創業融資なのでしょうか。

利用条件

新創業融資制度を利用するには、3つの要件を満たさなければなりません。

創業の要件:新たに事業を始める、または事業を始めてから税務申告を2期終えていない(個人事業主の利用も可)

雇用創出などの要件:「雇用創出を伴う事業を始める」、「勤めている企業と同じ業種の事業を始める」など一定の条件に該当する

自己資金要件:これから事業を始める方または事業を始めてから1期目の税務申告を終えていない方は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる

出典:日本政策金融公庫:新創業融資制度

3つの要件を満たす場合、新創業融資制度に申込めます(詳しい要件は日本政策金融公庫の公式サイトでご確認ください)。利用条件はそれほど厳しくないので、積極的に検討するとよいでしょう。

融資限度額

新創業融資制度の融資限度額は3,000万円(うち運転資金は1,500万円)です。ただし、3,000万円までであれば自由に融資を受けられるわけではありません。融資額が大きくなると審査は厳しくなると考えられています。多くの資金を集めたい場合は、専門家のサポートを受けましょう。

資金の使い道

資金の使い道は、設備資金および運転資金となっています。どちらで計上するかにより融資額が削られやすい、削られにくいといったことがあるようです。希望額を調達するため、ノウハウが必要になることもあります。不安を感じる場合は専門家に相談しましょう。

返済期間

返済期間は、各融資制度で定める返済期間以内です。このように定められている理由は、新創業融資制度が他の融資制度と組み合わせて利用するものだからです。「新規開業資金」、「女性、若者/シニア起業家支援資金」、「再挑戦支援資金」と組み合わせて利用する場合の返済期間は、最長で、設備資金20年以内(据置期間2年)、運転資金7年(据置期間2年)です。

利率

2020年8月3日時点の基準利率は、「2.46~2.85%」です。他の融資制度と比べると、金利はやや高めに設定されています。適用される利率は、資金の使い道、返済期間、担保・連帯保証人の有無などで変わります。

担保・保証人

担保・保証人は原則不要です。代表者個人に責任は及びません。ただし、法人の場合は、代表者が連帯保証人になることも可能です。これにより、利率は0.1%低減します。

新創業融資制度のメリット

続いて、新創業融資制度のメリットを紹介します。

積極的な融資を期待できる

最も大きなメリットは、起業家へ積極的な融資を期待できることです。新創業融資制度を実施している日本政策金融公庫は、民間金融機関の役割を補完しつつ事業家などの支援を行っている政府系金融機関(政府の出資100%)です。日本経済成長・発展への貢献、地域活性化への貢献などを経営方針として掲げているので、民間金融機関よりも積極的に創業時の資金を融資してくれると考えられています。

担保・保証人が不要

融資に当たり担保・保証人を必要としないことも、新創業融資制度のメリットとして挙げられます。不動産などの担保はもちろん、法人代表者の保証も不要なので、民間金融機関の融資に比べると創業時でも利用しやすいはずです。

利用条件をクリアしやすい

申込に当たり満たさなければならない3つの要件が、それほど厳しくない点も新創業融資制度のメリットといえます。問題になりがちな自己資金要件は、創業資金総額の10分の1以上となっています。各自治体が実施している融資制度は、2分の1以上となっていることが多いようです。自己資金が少なくても、創業融資を受けられる可能性があります。ただし、自己資金が少ないと高額な融資は受けづらいとされています。基本的には、10分の3~10分の4程度の自己資金を用意しておく方がよいでしょう。

融資実行までのスピードが速い

申込から融資実行までのスピードが速い点も、新創業融資制度のメリットとして挙げられます。申込から融資実行まで1か月程度しかかかりません。民間金融機関は2~3か月程度かかることが多いので、事業者にとっては利用しやすい融資制度といえるでしょう。

新創業融資制度のデメリット

新創業融資制度にはデメリットもあります。以下の点に注意が必要です。

金利がやや高い

新創業融資制度のデメリットは、自治体が実施している融資制度に比べ金利がやや高いことです。金利が高い理由は、無担保・無保証人だからと考えられます。とはいえ、民間金融機関の融資に比べると、金利はかなり低いといえます。念のためチェックしておきたいポイントです。

融資限度額が低くなる

融資限度額が低くなってしまう点も、新創業融資制度のデメリットとして挙げられます。前述の通り、新創業融資制度は日本政策金融公庫が実施する他の融資と組み合わせて利用する制度です。他の融資と組み合わせると、融資限度額は新創業融資制度のものが適用されます。例えば、「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」「再挑戦支援資金」の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)ですが、新創業融資制度を組み合わせると3,000万円(うち運転資金1,500万円)になってしまいます。必要な資金を考えたうえで、利用を検討しなければなりません。

新創業融資制度は起業家を強力にサポートしてくれる融資制度

新創業融資制度は、日本政策金融公庫が実施している融資制度です。創業前または創業後間もない事業者が利用できます。最も大きな特徴は、担保と保証人を必要としないことです。申込から融資実行までのスピードが速い点も見逃せません。新たに創業した事業者を強力にサポートしてくれる融資制度といえるでしょう。ただし、利率がやや高い、融資限度額が制限されてしまうなどのデメリットもあります。また、融資を必ず受けられるわけでもありません。申込や審査に不安を感じる方、融資を受けるべきか悩んでいる方は、創業融資の専門家に相談したうえで利用を検討するとよいでしょう。

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