日本政策金融公庫

【専門家が解説】日本政策金融公庫の返済免除は可能?返せない時の現実的な対処法

【結論】日本政策金融公庫の返済免除は原則ありません。ですが、事業と生活を守る方法はあります。

まず、最も気になる点からお伝えします。

日本政策金融公庫の返済が「免除」されることは、原則としてありません。

自然災害など極めて特殊な事情を除き、借りたお金は返済するのが原則です。

厳しい現実かもしれませんが、ここで絶望する必要はありません。

返済免除は難しくても、
返済負担を軽減し、事業を立て直すための制度は用意されています。

本記事では、

  • 返済に困ったときの現実的な選択肢
  • 具体的な相談方法
  • 成功率を高める準備の仕方

をわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 返済が厳しくなったときに利用できる「リスケジュール(返済条件変更)」の仕組み
  • リスケジュールのメリット・デメリットと信用情報への影響
  • 返済猶予を相談するための具体的な手順と準備すべき書類
  • 返済が難しくなったときに取れる現実的な対処法


   監修: 駒田 裕次郎 駒田会計事務所【コマサポ】代表
【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。
【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2026年2月末現在)
【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関
「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

目次

日本政策金融公庫の返済が不安な場合でも、
まずは早めに現在の状況を正しく整理することが大切です。

コマサポでは、創業融資や資金調達に関するご相談を承っております。
ぜひお気軽にご相談ください。

もし返済できないとどうなる?放置した場合の流れ

「返済できない=すぐ差押え」ではありません。
返済ができないのに金融機関への連絡もせず、督促状なども放置した場合、非常に問題となります。
一般的な流れは次の通りです。

① 返済遅延(1〜2ヶ月)

② 督促状の送付

③ 一括請求・期限の利益喪失

④ 法的措置(支払督促・訴訟)

⑤ 強制執行(差押え)

特に注意すべきは、期限の利益喪失です。

これは「分割払いの権利を失い、一括返済を求められる」状態です。
ここまで進むと交渉は一気に厳しくなってしまいます。

だからこそ、延滞する前に相談することがとても重要と言えます。

まず知るべき最も現実的な選択肢「リスケジュール(返済条件の変更)」とは

返済が困難になった際、多くの経営者が利用している最も有効な手段が「リスケジュール(通称:リスケ)」です。

リスケジュールとは

一言で言えば「今の状況に合わせて返済計画を書き換えてもらうこと」です。

例えば、多くあるケースでは

🔹一定期間(半年~1年間など)は元金の支払いを待ってもらい、利息のみの支払いにしてもらう


🔹毎月の返済額を50万円から10万円に減らし、その分返済期間を延ばす

などの調整を行います。

リスケジュールの2つの大きなメリット

メリット1:資金繰りが大幅に改善し、事業の立て直しに集中できる

キャッシュフローが改善することで、仕入れや人件費の支払いに充てられ、倒産のリスクを直接的に回避することができます。

例えば、
毎月30万円の返済を5万円に変更できた場合、
月25万円の資金余裕が生まれます。

年間では300万円です。

この資金で:

  • 仕入れ回復
  • 人件費維持
  • 広告再開
  • 新規営業

が可能になります。

メリット2:精神的な負担が大きく軽減される

資金繰りの不安は、判断力を奪います。

条件が整理されることで、

  • 冷静に数字を見られる
  • 家族への不安が減る
  • 改善策に集中できる

心理的効果は非常に大きいでしょう。

知っておくべきデメリットと注意点

デメリット1:返済総額は増える可能性がある

返済期間を延ばせば、その分、利息を支払う期間も長くなります。
結果として、最終的に支払う合計金額は当初の予定より増えることになります。

デメリット2:新規の追加融資は受けにくくなる

リスケジュールは「当初の約束通りに返済できていない状態」です。
そのため、リスケ期間中(もしくはその後数年)は、日本政策金融公庫や他の金融機関からの新たな借入は非常に難しくなります。

デメリット3:信用情報への影響は?

「リスケをするとブラックリストに載るのでは?」と心配される方も多いですが、
リスケジュールは日本政策金融公庫や金融機関の判断で行われるものです。

いわゆる信用情報機関(CICやJICCなど)に「事故情報」として登録されるわけではありません。
クレジットカードが止まったり、個人のローンが組めなくなったりすることはないので、その点は安心してください。

信用情報に傷が付くことはありませんが、
金融機関(日本政策金融公庫など)内部の格付けとしては、信用ランクは当然下がります。
要管理顧客となってしまうため、追加融資が難しくなります。

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リスケジュールを行う際の注意点

できるだけ早めに相談する

最も重要なのは、延滞する前に相談することです。
返済が遅れてから相談するよりも、

「資金繰りが厳しくなりそうなので、事前に相談に来ました」

「今後の返済継続のために条件見直しをお願いしたい」

こういった姿勢の方が、金融機関の印象は明らかに良くなります。

実際、延滞が続くと「期限の利益喪失」へ進み、交渉の立場が弱くなる可能性があります。

日本政策金融公庫も【事前に誠実に相談する経営者】を信用することはできますが、
【放置する人】には厳しくなります。

だからこそ、

「払えなくなってから」ではなく
「払えなくなりそうな時点」で動くこと

が極めて重要です。

自分で行った対策をまとめておく

もう一つ重要なことが、
「すでに努力している」という事実を示すことです。

例えば:

  • 経費削減を実施(固定費見直し)
  • 役員報酬の減額
  • 在庫圧縮
  • 新規販路の開拓
  • 広告施策の見直し

こうした取り組みを整理し、数値で示せると説得力が増します。

日本政策金融や金融機関は、「この経営者は本気で立て直そうとしているか」という点を見ています。
何も対策をしていない状態では、条件変更は難しくなります。

【実践】日本政策金融公庫へリスケを相談する具体的3ステップ

ステップ0:誰に相談すべきか?まずは日本政策金融公庫へ直接相談が基本

リスケジュールを検討する場合、
最初に相談すべき相手は、日本政策金融公庫の担当窓口です。

なぜなら、

  • 実際に条件変更の決定権を持つのは日本政策金融公庫である
  • 相談自体に費用はかからない
  • 早期相談の姿勢はマイナスにならない

からです。

ステップ1:相談前の準備【最重要】

リスケジュールの相談を成功させるには、準備が最も重要です。
成功するための要素の9割が準備にあると言えるでしょう。
まずは、相談前に以下のものを揃えましょう。

準備するもの理由
試算表・資金繰り表(直近3ヶ月~半年分)現状を客観的に示すため
経営改善計画書今後どのようにして事業を立て直すか意思を示すため
返済計画の希望案いつから、いくらなら返済できるかの希望を示すため
なぜ返済が困難になったのかの説明気候、為替、原材料高騰など、正直かつ簡潔に

経営改善計画書の書き方3つのポイント

ポイント1:原因の分析と現状把握が客観的であること

「なぜ今の状況になったか」を冷静に分析できているかが重要です。

ポイント2:具体的な改善策(売上UP策、経費削減策)が示されていること

「売上を5%上げるために〇〇キャンペーンを行う」
「役員報酬を減額」
など具体的に。

ポイント3:実現可能な返済計画(数値計画)であること

無理な計画はすぐに見抜かれてしまうため、実現可能性のある数字を記載しましょう。

日本政策金融公庫のサイト(各種書式)にも、上記の経営改善計画書の記入例が掲載されています。参考にしてください。

前向きな姿勢を示すことが重要です。

ステップ2:担当窓口への連絡と面談

まずは電話でアポイントを取りましょう。
延滞が発生する前に、早めに連絡することが鉄則です。

📞電話でのアポイント(会話例)

「お世話になっております。〇〇株式会社の〇〇です。現在お借り入れしている件で、返済のご相談がありご連絡いたしました。担当の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか?」

「リスケジュールを相談させていただきたく、ご連絡いたしました。面談の予約を取らせていただけますでしょうか。」

面談の予約が取れたら、面談でリスケジュールについて相談しましょう。
担当者からの質問を想定して事前に準備しておくと、安心して臨むことができます。
面談時に伝えるべきポイントと、想定される質問について解説します。

💬面談時に伝えるべきこと

🔷誠実な謝罪
もし延滞があれば、まずは誠実な謝罪をしましょう。
延滞がない場合でも、返済計画が予定通りに行っていない旨を謝罪することで、誠意を示すことができます。

🔷現状の厳しい経営状況
試算表や資金繰り表をもとに、具体的な数字で説明しましょう。

🔷事業継続への強い意志
経営改善計画書をもとに、事業を立て直し、継続したいというあなたの強い意志を担当者に伝えましょう。
数字や具体的な計画を示すことで、説得力が増します。

🔷具体的な返済計画案
返済計画の希望案をもとに、いつから、いくらなら返済できるのか具体的な数字で説明しましょう。

📢想定される質問

🔷「なぜ今の状況になったのですか?」
経営改善計画書の現状分析をもとに説明しましょう。
加えて、改善目標・改善策・実施計画もあわせて伝えることで、担当者に現状と改善策を伝えることができます。

🔷「今後の売上見込みはどうですか?」
経営改善計画書をもとに、現実的な売上見込みを提示しましょう。
楽観的すぎず、根拠に基づいた数字を示すことが重要です。

ステップ3:条件変更の手続き

日本政策金融公庫の担当者とリスケジュールの交渉がまとまれば、「借入条件変更申込書」などの書類を提出し、正式な手続きに進みます。

🔷経営改善の見込みがない場合は、返済猶予を受けられない可能性があります。
🔷経営改善計画の期間は原則5年以内が目安です。
🔷リスケジュール期間中は、日本政策金融公庫で新たな融資を受けることはできません。
🔷リスケジュール計画は毎年1回の更新が必要です。

リスケジュール以外の選択肢

返済が厳しくなりそうな場合、リスケジュール(返済条件の変更)が最も現実的な方法ですが、
状況によっては他の選択肢を検討すべき場合もあります。

ここでは、代表的な3つの方法を解説します。

他の金融機関への借換・おまとめローン

金利の低い他の融資に借り換えることで、返済負担を軽減する方法です。

ただし注意点として、

業績が悪化している状態では、
新たな金融機関の審査は厳しくなります。

「返済が苦しい状態」のままでは、
借換は現実的でないケースも多いのが実情です。

そのため、

業況がまだ深刻になる前であれば検討可能

という位置づけになります。

👌借換融資がおすすめできるケース

🔷日本政策金融公庫の融資とは別で「銀行やノンバンクの融資」を受けている場合
銀行やノンバンクの融資を日本政策金融公庫に借り換えることで、金利が低くなったり、返済期間を延ばすことができる可能性があります。

日本政策金融公庫の融資を他の金融機関に借り換える場合は、金利が高くなる可能性が高いのでおすすめできません。
日本政策金融公庫の融資の返済が厳しい場合は、リスケジュールを日本政策金融公庫の担当者に相談することをおすすめします。

中小企業再生支援協議会など公的機関への相談

公的な再生支援機関に相談する方法もあります。
代表的なものが、
中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)です。

この機関は、

  • 中立的な立場で
  • 無料で
  • 再建計画の策定支援をしてくれる

公的な支援窓口です。

参考:中小企業庁公式サイト

最終手段としての法的整理(民事再生・破産)

弁護士に相談の上で「任意整理」「民事再生」「破産」といった法的な手続きを検討します。
ただし、これらは

  • 事業は継続できない可能性が高い
  • 社会的信用への影響も大きい

上記のような理由のため、あくまで最終手段と捉えるべきです。

債務整理の概要

🔷任意整理(私的整理)
裁判所の手続をとらず、直接債権者と交渉して借金の減額や返済条件の変更を行う方法です。

🔷民事再生
株式会社のみ利用できます。
裁判所に申し立てを行い、債務を一部免除してもらい経営再建を図る手続きです。
ただし、株主の権利は喪失し、代表者などの交代を要するが、会社自体は存続します。

🔷破産
裁判所に申し立てを行い、会社の財産を金銭に換えて債権者に平等に支払う手続きです。
会社は清算され、事業の継続はできません。

債務整理はあくまで最終手段です。
まずは顧問税理士などに相談し、それでも資金繰りの改善が見込めない場合に、弁護士に相談する流れをおすすめします。


債務整理は法律的な交渉や裁判所への申し立てが必要であり、弁護士しか対応できないため、債務整理を検討する場合は、必ず弁護士に相談する必要があります。

📞弁護士に相談するタイミング

🔷リスケジュールをしても返済が難しいと感じる場合
返済額を減らしても資金繰りが改善しない場合は、早めに次の手を考える必要があります。

🔷どうにもならなくなる前に
延滞や督促が始まってしまうと、選べる手段が限られてしまいます。
そのため、早めに弁護士に相談し、対策を立てることが重要です。

まとめ:一人で悩まず、早めに相談を。それが事業再生の第一歩です。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

✔ 返済免除は原則ない
✔ 最も現実的なのはリスケジュール
✔ 状況により借換や公的支援機関も選択肢
✔ 法的整理は最終手段

どの選択肢を取るにしても、一人で抱え込まないことが何より大切です。

返済に不安を感じた時点が、
相談のタイミングです。

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代表 駒田裕次郎 税理士・公認会計士・認定支援機関

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