新型コロナウィルスの影響も長期化している中、創業融資をうけようか迷っている方もいらっしゃいますよね。
実際、コロナの影響で創業融資が受けにくくなっているという話もあるため、迷われるのは当然のことかと思います。
しかしながら、創業間もない事業者にとって、メリットが多い創業融資を使わないという選択肢はあまり得策ではありません。
そこで今回はコロナ禍で創業融資を獲得するためにはどうすべきかについて解説していきます。
これから創業融資を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
創業融資が受けにくくなっている傾向にある
コロナ禍では創業融資が受けにくくなっている傾向は間違いなくあります。
理由は主に下記の2つかと思われます。
- 公庫がコロナ対応の融資に対策が追われている
- コロナの影響で業績が見通しにくくなっている
具体的に解説していきます。
公庫がコロナ対応の融資に対策が追われている
現在、日本政策金融公庫は非常に多くのコロナ融資の対応を行っています。
相談件数は2020年がピークで、2021年からは少し落ち着いているようですが、それでもまだ多くの相談が寄せられているようです。
融資方針をみても、「これから新規の開業者を増やして、産業や地域の活性化を狙っていく」というよりも、「既存の事業者を有利な条件で貸付し、産業を守っていく」という守りの方針が強いかと思われます。
ですので、コロナ対応の負担が大きく、創業融資にあまり力がさけないというのが現状かと思われます。
コロナの影響で業績が見通しにくくなっている
コロナの影響で業績が見通しにくくなっているというのも創業融資が難しくなっている原因の一つかと思われます。
コロナ禍では事業環境が大きく変わりました。
非対面の事業が推奨され、店舗型ビジネスは軒並み悪い影響を受けました。
ECやオンラインサービスなど一部の事業はコロナの影響で好調だったものの、飲食サービスや宿泊業を中心に全体的にみれば悪い影響を受けた事業者の方が多かったかと思われます。
給与の減少や消費意欲の減退などの影響やコロナの先行きが見通せない中、業績が見通しにくくなっているのは言うまでもありません。
公庫は「先行きが不透明な中、創業してしっかり返済出来ていくのか」という点を疑問視しして、創業融資に後ろ向きになっているかと思われます。
とはいえ、コロナ禍だから創業融資に通過しないのかといわれるとそうではありません。
しっかりとした事前準備をしていくことで、コロナ禍でも問題なく創業融資に通過することができます。
次の章ではコロナ禍でも創業融資を獲得するためのポイントについて解説していきます。
コロナ禍でも創業融資を獲得する3つのポイント
コロナ禍でも創業融資を獲得するためのポイントは下記の3つです。
- 事前準備をしっかりと行う
- コロナ禍でも対応できるビジネスモデルを構築する
- 事業計画書を正確に、客観性を持たせた数字で
具体的に解説していきます。
事前準備をしっかりと行う
創業融資を獲得する前に必要なことは事前準備をしっかりと行うことです。
事前準備とは主に下記のことをいいます。
- 自己資金を開業資金の3割以上貯めておく
- 他社からの借入をゼロまたはゼロに近い数字にしておく
- 斯業経験(同業種での仕事の経験)を1年以上積んでおく
コロナ禍での創業融資が受けにくい状況では少しでも不安要素をなくしていくことが重要です。
事前にマイナス要素となりうる点はなるべく消しておきましょう。
コロナ禍でも対応できるビジネスモデルを構築する
以前と全く異なる社会環境になった昨今では、コロナ禍でも対応できるビジネスモデルを構築することが不可欠と言えるでしょう。
コロナ禍でも対応できる代表的なビジネスモデルはECサイトやオンラインサービス、デリバリーサービスなどが挙げられます。
反対に店舗型ビジネスモデルは人流が抑えられているコロナ禍では厳しく審査される可能性が高いです。
もし、店舗型ビジネスをはじめるために創業融資に申し込む場合はコロナ対応も説明することが必要になるかと思います。
例えば、
- 店舗型ビジネスと並行して、通販事業も行う
- サブスクリプションモデルや予約管理システムを導入し、計画的な来客対策を練る
- ソーシャルディスタンスや体温計などを設置し、万全な防疫体制を整える
などが代表的です。
これから創業する方は、コロナと付き合いながらの事業計画が必要です。
どのようにコロナ対策をするかという点も事業計画の中に盛り込んでいくことをおすすめします。
事業計画書を正確に、客観性を持たせた数字で
事業計画書は客観性を持たせた数字で作成することが重要です。
創業融資の審査に通過しない人の特徴の一つに、数字が大まかで主体的すぎるというものがあります。
売上はどうしてこの数字になるのか、経費の数字はどこからもってきたのかなどの説明があいまいになりがちです。
面談の時にしっかりと説明できず、公庫の理解を得られず審査に通過なかったというケースは少なくありません。
事業計画書を作成するときはしっかりとした裏付けが必要です。
例えば、売上予測は公庫の創業計画Q&Aの中で下記の通り説明があります。
Q5:売上予測の方法を教えてください
主な売上予測の方法は次のとおりです。業種の特性を考え最も適した方法を選び、検討してみましょう。
また、業界平均に地域事情などを加味することや、他の方法もあわせて多角的に売上高を予測することが大切です。(1)販売業で店舗売りのウェイトが大きい業種(コンビニエンスストアなど)
<算式>1m²(または1坪)当たりの売上高 × 売場面積
[設例] 業種:コンビニエンスストア
- 売場面積 100m²
- 1m²当たりの売上高(月間) 16万円
売上予測(1ヵ月)=16万円×100m² =1,600万円
(2)飲食店営業、理・美容業などサービス業関係業種
<算式>客単価 × 設備単位数(席数) × 回転数
[設例] 業種:理髪店
- 理髪椅子 2台
- 1日1台当たりの回転数 4.5回転
- 客単価 3,950円 月25日稼働
売上予測(1ヵ月)=3,950円×2台×4.5回転×25日=88万円
(3)労働集約的な業種(自動車販売業、化粧品販売業、ビル清掃業など)
<算式>従業者1人当たりの売上高 × 従業者数
[設例] 業種:自動車小売業
- 従業者 3人
- 従業者 1人当たりの売上高(月間) 256万円
売上予測(1ヵ月)=256万円×3人=768万円
(4)設備が直接売上に結びつき、設備単位当りの生産能力がとらえやすい業種 (部品製造業、印刷業、運送業など)
<算式>設備の生産能力 × 設備数
[設例] 業種:部品(ボルト)加工業
施盤 2台
1台当たりの生産能力 1日(8時間稼働)当り500個
加工賃@50円 月25日稼働
売上予測(1ヵ月)=50円×500個×2台×25日=125万円※ 1m²当たりの売上高や従業者1人当たりの売上高などについては、「小企業の経営指標」(日本政策金融公庫総合研究所編)などで調べることができます。
このように近隣の状況や業界状況などを踏まえた上で、客観性・合理性のある数字を盛り込んだ上で事業計画書を作成していきましょう。
まとめ
今回はコロナ禍で、創業融資を獲得するにはどうすべきかというテーマで解説させていただきました。
ポイントをまとめると下記の通りです。
- コロナ禍で創業融資の審査が厳しくなっている傾向
- ただし、ポイントを押さえることで審査に通過することはできる
- 事前準備、コロナ対策、正確性・合理性のある事業計画書の策定が必要
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