創業融資のポイント

美容室での創業計画書の書き方を具体例を用いて解説します

美容室を開業しようと考えている方にとって、最初のハードルとなるのが創業計画書です。
創業計画書を書こうとしたものの、

  • どのように書けば良いかわからない
  • 創業計画書の具体例が知りたい

と思われた方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は美容室での創業計画書の書き方を具体例を用いて解説していきます。
これから美容室を開業し、日本政策金融公庫で資金調達をしようと検討している方はぜひ参考にしてみてください。

美容室の創業計画書の具体例

公庫の創業計画書のテンプレートは下記の通り。


創業計画書 日本政策金融公庫)
創業計画書はあくまでテンプレートなので、自分で作成しても構いません。
しかしながら、公庫の創業計画書は必要事項が網羅されており、使いやすい資料です。
特段理由がなければ、テンプレートのまま利用することをおすすめします。

美容室の創業計画書の具体例は日本政策金融公庫が公開している資料である「創業の手引+」「創業ポイント集」「創業計画書記入例」を参考にしてみることをおすすめします。
具体的な内容を確認していきましょう。

1.創業の動機

創業の動機には美容室を創業する目的や動機を記入します。
単純な動機だけではなく、自身が培ってきた経験や強みをアピールしておきましょう。
創業への準備、支援者からの協力、経営方針、立地選定理由も記入しておいた方が良いです。
もし、書ききれない場合は、面談で聞かれる可能性が高いので、事前に答えを用意しておくことをおすすめします。
具体例は下記の通り。

・勤務当初から自分の店を持つことが夢で、12年の勤務経験で技術や経営ノウハウを身に付けることができた。
・現勤務先で固定客がついてきた。美容師の資格を持つ妻とともに店を持つことにした。
・現勤務先とは違う自分なりの経営方針(適正価格で、髪を傷めない施術中心)で経営したいため。
・○○駅の近くに良い物件が見つかった(ショッピングセンターへの通り道に面したビル)。

創業の手引+ 日本政策金融公庫)

自身の斯業経験が十分であること、すでに固定客がいること、物件の特性など公庫側が知りたい情報が十分に記載されています。
面談では「マネージメント経験」「固定客はどのくらいいるか」「同じような施術で成功している会社はあるか」などが深堀されそうです。
事前に様々な質問を想定し、回答を用意しておきましょう。

2.経営者の略歴等

経営者の略歴は履歴書と同じように淡々と経歴を書いてはいけません。
必ずアピールをするようにしましょう。
具体例は下記の通り。

平成○○年・・○○美容専門学校卒業
平成○○年・・美容室△△に4年勤務(若手美容師対象のコンクールで入賞)
平成○○年・・ヘアサロン○○に8年勤務
→平成○年○月からは○○店の店長として従事(給与 30 万円)
人材育成や店舗運営を任され、店長就任1年目で売上を 10%増加させる                     ことができた。
平成○○年・・退職予定(退職金 80万円)

技術関係で入賞歴があれば必ず記載しておきましょう。
入賞歴がなければ、美容室でどのような役割を担っていたかを説明していきます。
カットやカラーの経験、オリジナルの施術、数字管理などアピールできるところを明確にしていきます。
また、店長経験などのマネージメント経験は必ず記入しておきましょう。
自分で美容室を経営するとなると重要になるのはマネージメント経験です。
特に従業員を将来的に人を雇用するとなると、なおさらのこと。
独立する際は、店長などのマネージメント経験を経験してから退職することをおすすめします。

3.取扱商品・サービス

最も重要な記入欄ともいえるのが、取扱商品・サービスです。
ビジネスモデルの全体像をこの記入欄で説明する必要があります。
自社のセールスポイント、他社との差別化のポイントを具体的に説明しましょう。
具体例は下記の通り。

【取扱商品・サービスの内容】
・カット(シャンプー、ブロー込)3,500 円~ (売上高シェア 98%)
・カラー(カット、シャンプー、ブロー込)8,000円~、パーマ(同左)10,000円~
・ヘアケア商品販売(シャンプー等)1,500円~ (売上高シェア 2%)
【セールスポイント】
・顧客一人ひとりのカルテを作成。施術中の「対話」を大事にして、お客様にあった新しいスタイルを提案。
・天然ハーブを主原料としたヘアケア剤を使用し、髪が傷まない施術を心がける。
・ハーブティの無料サービス、無料ヘッドマッサージなど、お客様に最高の「癒し」を提供
【販売ターゲット・販売戦略】
・現勤務先の固定客約 200人を中心に、口コミなどで顧客層を広げる。
【競合・市場など企業を取り巻く状況】
・○○駅近くで人通りが多く、ショッピングセンターへの通への通り道に面したビルの1階
・人通りが多いため、新規客を獲得しやすい。
創業の手引+ 日本政策金融公庫)

取扱商品・サービスは具体的に書きましょう。
最近ではECを通じて、自社商品のヘアケア商品を販売する事業者も少なくありません。
多角的な販路を持つという点や差別化という点でもECの導入を検討してみても良いかと思います。
セールスポイントは他社との差別化ポイントです。
具体的に他社よりも優れている点を記入しましょう。
セールスポイントの書き方については下記の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

https://www.sogyo-support.biz/blog/sougyo/selling-point/

販売ターゲット・販売戦略は口コミ・SNS・WEB広告・チラシ・HPなどが代表的です。
自身の得意の広告戦略で顧客を獲得していきましょう。
競合・市場など企業を取り巻く状況は立地をベースにアピールすることをおすすめします。
店舗型ビジネスをする上で、最もポイントとなってくるのが立地のためです。
「ターゲット層が確実に集客を見込める立地であるか」「家賃相場は適正以下か」「競合他社は近くに存在するか」など事前にマーケティング調査をしておくと明確にアピールできるようになります。

4.取引先・取引条件

取引先・取引条件は顧客及びヘアケア商品などの仕入先を記入します。
抽象的ではなく、顧客のペルソナを明確にしておきましょう。
具体例は下記の通り。

【販売先】
一般個人(現勤務先での固定客約 200 人)・・駅近で人通りも多く、新規客を獲得しやすい
【仕入先】
△△商事(株)・・○○区○○、現勤務先の仕入先
(株)××販売・・○○区○○、現勤務先の仕入先
創業の手引+ 日本政策金融公庫)

販売先は公庫側がイメージできるように具体的に書きましょう。
固定客なのか、全て新規なのかは特に明確にしておく必要があります。
ほとんど新規での顧客を見込んでいる場合は根拠も明確にしておいた方が良いでしょう。

5.必要な資金

設備資金と運転資金で必要な資金はいくらくらいかというのを説明する記入欄です。
具体例は下記の通り。

【設備投資】
・店舗内外装工事(設備工事含む) ○○社 600万円
・セット椅子 3台 ○○社 30万円
・シャンプー台 2台 ○○社 40万円
・什器、備品類 ○○社 100万円
・保証金 ○○社 100万円

【運転資金】
・消耗品等仕入 30万円
・広告費等諸経費支払 100万円
創業の手引+ 日本政策金融公庫)

金額は必ず2社以上から見積もりをとってください。
大体このくらいだろうという甘い見積もりは厳禁です。
出店する店の家賃相場と集客見込みは必ず説明できるようにしておいてください。
居抜き物件を利用する際は必ず、店を閉めた理由を確認しておいてください。
もし、新規顧客が思うように獲得できなかったなど集客上の理由で店を閉めた場合、同じ現象が起こる可能性が高いです。
店を閉めた理由を確認し、その不安要素を事前にしっかりつぶしてから面談に臨みましょう。

6.調達の方法

上記の必要資金をどのように準備するかを記入する必要があります。
具体例は下記の通り。

自己資金・・300万円
公庫からの借入・・500万円
他金融機関からの借入・・200万円
(○○信用金庫(元金3万円× 67回(年○ .○%))

自己資金はなるべく多めに準備しておきましょう。
審査時の加点ポイントとなるためです。
最低でも必要資金の20%、なるべくなら30%以上用意しておくことをおすすめします。
他の金融機関から融資を受けている場合は、どのような条件なのか明確に記入しておきましょう。

7.事業の見通し

最後に事業の見通しを記入する必要があります。
具体例は下記の通り。

<創業当初>
①売上高
平均単価 6,000 円×3台×2回転× 26 日= 93 万円
ヘアケア商品販売 月2万円
②原価率 15%(勤務時の経験から)
③経費
人件費 専従者1人(妻)10 万円
家賃 10 万円
支払利息 500 万円×年○ . ○%÷ 12 カ月=○万円
200 万円×年○ . ○%÷ 12 カ月=○万円
計2万円
その他光熱費、消耗品費等 20 万円
<軌道に乗った後>
①2回転→3回転(勤務時の経験から)
②当初の原価率を採用
③人件費 アシスタント1人増 15 万円増、その他諸経費 10 万円増

事業の見通しにおいて、重要なのはなぜその数値になるかという点です。
創業計画書の中ではある程度の数字で構いませんが、実際の面談では必ず数字の根拠を意識してください。
公庫の事例では勤務時の経験からとなっていますが、基本的には勤務時と同じような数字にはなりません。
特に売上高をいかに確保するかというのは、大きな課題となります。
「自分でWEBメディアを保有しており、既にアクセスが〇万PVがあり、独立しても十分な集客が見込める」「youtubeで登録者数が〇万人おり、顧客として見込める」などなぜその売上高になるのかは説明できるようにしておきましょう。

 

開業資金でおすすめなのは日本政策金融公庫の新創業融資です。
新創業融資は金利が安く、無担保・無保証。その上新規開業者専門の融資制度なので、事業経験がなくても問題ありません。
もし、新創業融資の借入を検討しているのであれば、まずは一度CPAまでご連絡ください。
詳細は下記のページを参考にしてみてください。

関連記事