これから創業融資をうけたいと考えている方にとって、心配の要素の一つになるのが担保や保証人が必要なのかという点かと思います。
担保を設定したり、保証人になると事業に失敗したときに、大きなリスクを背負うことになります。
なるべくなら担保や保証人を外して融資をうけたいというのは当然の話かと思います。
そこで今回は日本政策金融公庫の創業融資では担保や保証人は必要になるのかという点について解説していきます。
新創業融資は原則無担保・無保証
新創業融資では、法人・個人事業主問わず、原則無担保・無保証となっています。
公庫の新創業融資の説明欄には下記のとおり、記載があります。
新創業融資の概要
担保・保証人 原則不要 ※原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個人には責任が及ばないものとなっております。法人のお客さまがご希望される場合は、代表者(注4)が連帯保証人となることも可能です。その場合は利率が0.1%低減されます。
(日本政策金融公庫 新創業融資制度より抜粋)
つまり、万一事業に失敗しても巨額の債務を引継ぐ必要性はなく、担保とした家や土地をもっていかれることがないということです。
ローリスクで起業ができるということになります。
一般的に金融機関から融資を受けようとする場合、担保や保証人が求められます。
特に実績がない企業やつきあいのない企業の場合はなおさらのこと。
しかしながら、創業間もない段階でうまくいくかもわからない事業をするのに、担保を提供したくはないし、保証人にもなりたくないですよね。
そこで国は日本政策金融公庫を通じて、創業を支援するために、新創業融資を原則無担保・無保証としたのです。
新創業融資は創業時や創業間もない事業者に限定した資金となります。
無担保・無保証の融資を希望されているかたは必ず活用することをおすすめします。
法人の場合は代表者のみ保証人となることで、金利を下げることができる
個人事業主の場合は無担保・無保証となっていますが、法人の場合は代表者本人の希望で保証人になることができます。
代表者が保証人となる場合、融資金利を0.1%引き下げることができます。
新創業融資の金利は国民生活事業(主要利率一覧表)をご参照ください。
金利は情勢によって変わりますが、概ね2%と思っておいて間違いないでしょう。
とはいえ、法人の代表者が保証人になるケースはそう多くはありません。
金利の下げ幅が少ないことと保証人になることが抵抗がある人が多いためかと思われます。
ただでさえ、コロナ禍で厳しい経済状況となっているので、特別な事情がない限り、無担保・無保証で問題ないでしょう。
中小企業経営力強化資金も無担保・無保証
新創業融資とは別に、中小企業経営力強化資金という融資制度もあり、こちらも無担保・無保証となっています。
制度の違いは下記のとおり
名称 | 新創業融資 | 中小企業経営力強化資金 |
要件 | 新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方自己資金の要件(新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方 ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします | 次の1または2に該当する方
|
資金 用途 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 | 「ご利用いただける方」に該当する方が、事業計画の実施のために必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
担保・保証人 | 原則不要 ※原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個人には責任が及ばないものとなっております。法人のお客さまがご希望される場合は、代表者(注4)が連帯保証人となることも可能です。その場合は利率が0.1%低減されます。 | お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。 |
いずれも無担保・無保証で利用できる融資制度です。
この2つの融資制度の大きな違いは融資限度額です。
新創業融資は上限が3,000万円(実質は300万円程度になることが多い)なのに対して、中小企業経営力強化資金は上限が7,200万円(無担保・無保証は1,000万円が上限)となっています。
大きな資金を借り入れるには中小企業経営力強化資金の方が好ましいといえます。
しかしながら、中小企業経営力強化資金は「策定した事業計画期間内において、年1回以上、事業計画進捗状況を公庫に報告すること。」という要件があります。
審査自体も新創業融資よりも厳しくなる傾向にあるので、大きな資金が必要でないかぎり新創業融資の方が好ましいと言えるでしょう。
まとめ
今回は創業融資では担保や保証人は必要なのかというテーマで解説させていただきました。
ポイントをまとめると下記のとおりです。
- 創業融資は法人、個人事業主ともに無担保・無保証で大丈夫
- 法人の場合、代表者が保証人となることで、金利0.1%下げることができる
- 中小企業経営力強化資金も無担保・無保証なので検討余地あり
公庫の創業融資は無担保・無保証で利用できる資金です。
また多めの資金調達をしたいのであれば、中小企業経営力強化資金を利用する手もあります。
いずれにしても事業が失敗したときのリスクは限定的なので、過度に恐れる必要はありません。
創業を決めている方は積極的に利用することをおすすめします。
創業融資代行サポート(CPA)では、公庫の創業融資を含め、資金調達のご相談に乗らせていただいております。まずはお気軽にお問い合わせください。