創業融資のポイント

創業融資は新設法人が良い!?株式会社の特徴とメリット・デメリット

誰しも一度は「株式会社」という言葉を聞いたことがあるはずです。
しかし、株式会社がどういう形態で、どんな特徴があるのかを詳細に説明できる方は多くはないかと思います。

そこで、今回は株式会社とは何か、その特徴について解説させていただきます。

株式会社とは、どのような会社形態なのかを理解することで、起業する際の会社形態選びを間違えずに済み、事業運営が円滑になります。

株式会社とは

株式会社は、発行した株式で資金を調達し、利益を株主に還元する会社の形態です。

株主は株式を購入して所有権を持ちますが、経営に直接参加するわけではありません。代わりに、株主は株主総会を通じて会社の方向性や重要な決定に影響を与えることができます。

株式会社は資金調達のために株式を発行し、その資金を用いて事業を展開します。株式とは出資者に対して発行される証明書であり、株主はこれに基づいて所有権を主張しますが、直接的な経営権は持ちません

事業の開始や拡大には十分な資金が必要です。資金調達の方法は、自己資金や融資に加えて、株式の発行による調達も可能です。

発行した株式による資金調達は、返済の必要がありません。しかし、株主には利益の一部を配当として還元する義務があり、株主の意向に沿った経営が求められます。

株式会社を設立する場合、慎重に資金調達方法を考える必要があります。株主の意向を尊重しなければならず、経営者としての責任も重要です。

所有と経営の分離

株主は資金を出資することで経営に参加します。株主は経営のために資金を提供し、これが株式会社の所有とみなされます。

一方、経営は取締役によって行われます。株主から出資された資金を運用し、利益を得てそれを株主に分配する役割を持ちます。

株主と取締役は異なる人物であり、所有と経営が分離されています。このように所有と経営を分離する仕組みを「所有と経営の分離」と言います。

ただし、日本の中小企業では、会社の代表取締役が大部分の株式を保有しているケース(オーナー企業)が一般的であり、株式会社の原則とは逆の状況となっていることが多いです。

株式会社のメリット

資金調達が比較的容易である

資金調達となると、公庫や銀行などの金融機関からお金を借りるのが一般的です。しかし株式会社の場合、株式を発行することで多くの投資家から資金を集めやすく、投資しやすい組織形態です。これは他の会社形態ではできない手法です。

また、出資者は間接有限責任であるため、出資金額を超えて損失を負うことがありません

節税しやすい

株式会社は法人税制に基づいて課税されるため、利益が増えても個人事業より税負担を抑えやすいです。

個人事業主と株式会社では計上できる経費科目が違います。個人事業主は株式会社よりも必要経費として認められる幅が狭いです。

使ったお金を経費として計上できると利益が下がります。利益が下がると、利益にかかる税金も下がります。

また、所得税の最高税率よりも法人税の税率の方が低いため、税率の観点からも個人の事業所得が増えてきた場合に法人化を検討される方が多いです。

このように株式会社になることで、経費や税率の面で節税しやすい場合があります。

③社会的信用が高い

株式会社は登記が必要であり、他の会社形態と比較して法律の規制も多いため、社会的な信用が高いです。販売拡大や人材採用の募集、融資などでも個人事業に比べて有利です。

個人事業と比較しても、株式会社の方が社会的信用が高く、節税や資金調達がしやすいです。また、株式会社では多くの投資家からの出資が受けられるため、大きな事業展開が可能です。

株式会社のデメリット

①設立や手続き費用等がかかる。

株式会社の設立には多くの費用がかかります。

例えば、定款認証や登記には約25万~30万円、役員の変更や再任にも費用がかかります

また、株式会社の役員には任期があり、変更登記や登録免許税が必要です。このような費用と手間が度々発生するため、株式会社の設立費用は高いと感じる人も多いです。

合同会社の設立費用は約10万円程度で、定款の謄本手数料と定款の認証料が無料です。

年に一回、決算公告の義務がある

株式会社を設立すると、毎年の決算公告が求められます。

公告方法は「官報公告」「新聞公告」「電子公告」の3つがありますが、一般的には官報公告(約6万円の料金がかかる)または電子公告(自社ウェブサイトに掲載する場合は費用がかかりません)が利用されます。

また、赤字であっても会社は法人住民税の均等割として年間7万円を支払わなければなりあません。

さらに、法人税などの申告書は専門知識が必要であり、税理士費用がかかることが一般的です。また、各種社会保険の手続きも必要です。

株式会社は経営状況や財務状況を公開する必要がありますので、経営状態が芳しくない場合には、決算報告を公開することで信用力が下がる恐れがあるため、デメリットとなるケースがあります。

なお、合同会社には決算公告の義務はありません。

役員に任期があるため、その都度申告の必要がある

株式会社の設立では、取締役の選任が必要です。取締役の任期は2年(原則)から最長10年までであり、事前に設定し、定款に明記する必要があります

株式会社は任期が終わりを迎える都度、新たな役員を選任し、それを法務局に申告しなければいけないため、手間がかかります。同じ人物が再任されて役員の変更がない場合も同様です。

万一申告しなかったり、任期越えをしてしまったりすると、会社法に違反したことになってしまいます。場合によって100万円以下の罰金を受ける可能性もあります

 

申告漏れの場合は気が付いたときに申告し、任期越えは直ちに改選し、2週間以内に申告しましょう。

会社設立時の創業融資について

株式会社を設立するタイミングで、どのようなスケジュールで日本政策金融公庫などから創業融資を受けるべきか、弊社にも多くの相談が寄せられております。

株式会社を含む法人での創業融資の申込みの際には、「登記簿謄本」と呼ばれる資料を添付する必要がありますが、この資料は会社設立後でないと入手できません

そのため、株式会社の設立後に創業融資を申し込む流れになりますが、法人の設立手続きには少なくても2週間程度はかかりますので、並行して創業融資の資料の準備を行う方が良いでしょう

創業融資は新設法人での申し込みが有利なのか?

結論から申しますと、個人事業のまま日本政策金融公庫に創業融資を申し込んでも、株式会社や合同会社など、新設法人を設立してから公庫に創業融資を申し込んでも、創業融資の通過率は変わりません。

ただし、新設法人で申し込んだ場合は無担保・無保証制度などを利用できるため、より安心感を持って創業に臨めるというメリットはありますが、その分、設立費用がかさみ、万が一融資が通らなくても設立費用が出てしまう、というデメリットもあります。

それぞれにメリット・デメリットを比較衡量の上、ご判断いただければと思います。

さいごに

今回は株式会社の特徴とメリット・デメリットについて解説させていただきました。

株式会社を設立する予定の人は、株式会社の仕組みをきちんと理解した上で準備を進めていきましょう。

創業融資 代行サポート(CPA)は、会社設立時の資金調達に関して、詳しい専門家が在籍している認定支援機関です。

多くの事業主様から創業融資のご相談を承っており、多くのノウハウと実績を兼ね備えた専門家が在籍しております。日本政策金融公庫の創業融資や保証協会の創業融資に関しても、相談を承っております。

万全の態勢で審査に挑むために、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

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