「バーチャルオフィスだと、創業融資は不利になるのでは?」
これから独立を考えている方から、非常によくいただくご相談です。
特に、Web制作・マーケティング・コンサル業など「場所に縛られないビジネス」を始める方ほど、
- 自宅住所は公開したくない
- 固定費はできるだけ抑えたい
- でも融資に落ちるのは怖い
という葛藤を抱えています。
結論から言えば、バーチャルオフィス=即NGではありません。
ただし、「なぜその住所形態なのか」を合理的に説明できるかどうかが分かれ目です。
この記事では、日本政策金融公庫の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)の利用を前提に、
- 日本政策金融公庫が本当に見ているポイント
- バーチャルオフィス利用時の注意点
- 面談での説明方法
- 退職タイミングとの関係
まで、実務目線で整理します。
まだ「申し込むかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。
まずは、ご自身の状況を落ち着いて整理する材料にしてください。
🔸バーチャルオフィスでも創業融資は通るのか
🔸日本政策金融公庫が本当に見ている審査ポイント
🔸バーチャルオフィスが「不利」と言われる理由と実際の評価軸
🔸面談で使える具体的な説明トーク例
🔸OKケース/注意ケースの違いと判断基準
🔸退職前・退職後どちらで申し込むべきかの考え方
| 監修: 駒田 裕次郎 駒田会計事務所【コマサポ】代表 | ||
| 【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金サポートを中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。 【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2026年2月末現在) 【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関 | ![]() | |
| 「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。 | ||
目次
日本政策金融公庫の創業融資には、書類作成段階からいくつかのポイントがあります。公庫の認定支援機関でもある弊社コマサポでは、事業計画書の内容から融資審査の面談まで、手厚くサポートさせていただいております。まずは無料相談にお気軽にご連絡ください。
【結論】バーチャルオフィスでも創業融資は通る。「理由を語れるか」が分かれ目

「バーチャルオフィス=即NG」という噂がありますが、これは誤解です。
ただし、リアルな事務所に比べて「実態把握が難しい」というハードルがあるのは事実です。
なぜ「不利」と言われるのか
バーチャルオフィスが不利だと言われる理由は、主に次の2つです。
- 事業の実態が見えにくい
実際にそこで働いている姿が見えないため、「本当に事業を行っているのか?」という疑念を晴らす必要がある - マネーロンダリングの防止
過去、実体のない法人が犯罪に利用された経緯から、所在が不明確な拠点には慎重になる
金融機関は「実在する事業かどうか」を非常に重視します。
住所が実体のないものに見えると、慎重になるのは当然です。ただし、これは「住所がダメ」という話ではなく、「実態が説明できないこと」が問題なのです。
民間金融機関の創業融資は、バーチャルオフィスはNGとしているところが多いです。
日本政策金融公庫が慎重姿勢ながらも認めているのは、政府系金融機関であり、創業を支援する立場にあるからです。
公庫が評価するのは「住所」ではなく「経営の整合性」
最近の日本政策金融公庫(以下、公庫)は、バーチャルオフィスに対して対応が柔軟です。
特にIT、コンサル、Web制作などの業種では、以下のポイントが揃えば「合理的な経営判断」としてポジティブに評価されます。
- 事業の実現可能性
- 返済可能性
- 経営者の経験・準備状況
たとえば、「固定費を抑え、その分を広告費や開発費に回し、早期黒字化を狙う」という資金計画などは、合理的な経営判断と評価される傾向にあります。
重要なのは「なんとなく安いから」ではなく、戦略的な選択として説明できるかどうかです。
バーチャルオフィスとシェアオフィスの違い
両者の一番の違いは、実務・作業場所です。
シェアオフィスは文字通り「オフィスをシェア」する契約をし、出勤して仕事ができます。一方のバーチャルオフィスは、住所の取得と郵便物などの受取を目的に契約し、基本的には自宅で仕事をすることになります。
もしも月数万円の出費が可能であるなら、シェアオフィスのほうが社会的信用は高くなります。
| 場所 | 役割 |
| シェアオフィス | 🔸事業所の登記 🔸対外的な住所 🔸実務・作業場所 |
| 自宅 | 🔸書類の保管場所 |
シェアオフィスでできること
- 個室や半個室での実務作業
- デスクや椅子、コピー機などのオフィス機器の利用
- 郵便物・宅配便の受取
- 会議室の利用(併設されている場合)
料金の目安
数万円~8万円程度/月(個室or半個室などサービス内容による)
| 場所 | 役割 |
| バーチャルオフィス | 🔸事業所の登記 🔸対外的な住所 |
| 自宅 | 🔸実務・作業場所 🔸書類の保管場所 |
バーチャルオフィスでできること
- 電話対応
- 郵便物・宅配便の受取(転送)
- 会議室の利用(併設されている場合)
料金の目安
約1万円~/月
公庫審査で「事業の実態」を証明する3つの武器
審査官の不安を払拭するために、以下の3点を準備しましょう。
① 作業環境と業務フローの具体化
特にIT・Web業の方は、「PC一台でできます」という説明は、実は最も警戒されやすい言葉のため、次のように具体化しましょう。
- 使用ツールの明示
Adobe Creative Cloud、Slack、Zoomなどの契約画面や利用状況 - クライアントとの契約形態の明示
業務委託契約書や見積書など - 月間の作業スケジュール
- 副業実績の売上データ
これらに加え、効果的なのが作業現場の写真です。
- パソコンとモニター
- その他の必要機器の整備状況
- 書類や資料、その保管状況
② 自己資金と融資額のバランス
自己資金があまり用意できず、自宅を事務所にできない場合、バーチャルオフィスの利用は合理的判断です。創業計画書で、浮いた物件取得費を「運転資金」や「広告宣伝費」に充てることを示し、資金効率の良さをアピールできます。
とはいえ融資を受ける以上、自己資金は、融資希望額の最低でも10%以上、理想的には30%程度を目安に用意しましょう。融資実行額は自己資金の3倍程度になることが多いです。
③ 経験・スキルとの整合性
住所以上に重視されるのが、以下3点です。
- 同業での勤務経験
- 副業実績
- 既存顧客の存在
未経験の場合は、次の内容で補強することが必要です。
- 研修歴
- 業界ネットワーク
- 具体的な集客計画
バーチャルオフィス利用時の注意点
①契約書・郵便体制の整備
バーチャルオフィスの中には、公庫からの「転送不要郵便」を受け取れないところがあります。郵便物の受取・転送体制を、契約前に必ず確認してください。
代表電話を固定電話番号にしたい場合は、電話の転送サービスの有無もあわせて確認しましょう。
②事業内容との整合性
ITやWeb、コンサル業であれば問題になりにくいですが、店舗型ビジネスや来客が前提の業種では説明が難しくなります。業種との整合性が重要です。
③面談での説明トーク例
審査担当者から理由を質問された場合の回答例です。
このように、
- 戦略
- 将来の計画
- 収支との整合性
をセットで語れると印象が変わります。
④事業計画書への記載例
特記事項として、
「当初は固定費削減と資金効率向上のためバーチャルオフィスを利用。事業拡大に応じて移転を検討。」
と一文入れるだけでも、「隠していない」という信頼につながります。
OKケース/注意ケース比較
迷う場合は、「実態の説明が具体的にできるか」で判断してください。
| 項目 | OKになりやすいケース | 注意が必要なケース |
| 業種 | Web制作、コンサル、エンジニアなど | 飲食業、小売業など接客や来店、許認可が必要な業種 |
| 理由 | 固定費削減のため(合理的) | 理由が不明確 |
| 作業場所 | 自宅に専用デスクがある | カフェのみで作業(セキュリティに懸念あり) |
【重要】退職前に申し込むか、後にするか
ここが運命の分かれ目になることもあります。十分に検討してから決断することが重要です。
会社員という信用があるうちに準備するメリット
「会社員」という属性は、安定収入と社会的信用があるため、公庫にとっても大きな信用になります。準備を整え、退職直前〜直後に創業融資を申し込めるようなスケジュールを組むのが理想です。
退職後のリスクとリカバリー
退職後は収入がゼロになり、審査では準備不足と見られる可能性もあります。
無職の期間が長引くと「生活費で自己資金が削られている」と見なされるため、早めの行動が吉です。ただし、断られても再挑戦は可能です。原因を分析し、事業計画を修正すれば道はあります。
バーチャルオフィスで開業する流れ
STEP1|【最重要】バーチャルオフィス選定
簡単に変更できないので、選定は慎重に!
バーチャルオフィス選定は、その住所を事務所の登記に使うため最も重要です。
登記後の変更は大変手間がかかりますので、次のポイントを押さえて慎重に選んでください。
- 法人登記ができる
- 契約書・開業届に住所を使用できる
- 郵便物を確実に受取・転送ができる
STEP2|自宅側の確認
賃貸の場合、事務所利用できるか要確認!
NGでも「作業場所として使う」だけならOKなケースが多数。
賃貸物件にお住まいの場合は、事務所利用が可能かどうか、管理規約や大家さんの確認が必要です。
事務所利用が不可能な場合であっても「作業場所として使う」だけであれば問題がないケースがほとんどで、管理規約に「不特定多数の出入り禁止」とある場合は、来客しない前提なら問題ありません。
STEP3|開業届・税務関係の手続き
税務署には、「個人事業主の開業届」と「青色申告承認申請書」の2種類を提出!
<青色申告のメリット>
- 最大65万円の特別控除
- 赤字を最大3年間繰り越し可能
- 家族の給与を経費計上できる
- 30万円未満の資産を一括で経費にできる など
税務署に、バーチャルオフィスの住所で「個人事業主の開業届」を提出します。このとき、所得税の青色申告承認申請書も一緒に提出しておきましょう。青色申告をしておくことで、条件に当てはまれば確定申告時に特別控除が受けられます。
開業届には「屋号」が必須のため、事前に考えておきましょう。
なお、納税場所については、個人事業主の間は自宅かバーチャルオフィスの所在地かを選べます。家事按分については、実際の作業場所が自宅のため、自宅での経費が対象になります。
家事按分については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
STEP4|対外表示の整理
名刺やホームぺージ、契約書、請求書など、対外的に使用するものの住所はバーチャルオフィスに統一し、自宅住所は一切出しません。
STEP5|郵便・顧客対応フロー構築
「自宅に呼ばない」前提で設計することでトラブル回避を!
郵便物や宅配便の受取と顧客対応の流れをあらかじめ整理しておくことで、開業後の業務がスムーズになります。モデルケースは以下のようになります。
郵便物・宅配便
- バーチャルオフィスで受取 or 転送
- 原本は自宅保管
顧客対応
- 代表電話はバーチャルオフィスで対応後、転送
- 打ち合わせは基本的にオンラインで対応
- 対面での打ち合わせは、客先訪問かバーチャルオフィスの貸会議室で対応
STEP6|実務・監査対応の備え
お客様や労働基準監督署などから、
- 「どこで業務しているか?」
- 「帳簿・書類の保管場所は?」
といった質問を受ける可能性があります。
バーチャルオフィスでの開業に違法性はありませんので、模範解答は
「登録事務所は○○ですが、実務作業および電子帳簿管理は自宅で行っています。」
になります。
リアルオフィスへ移転するタイミング
バーチャルオフィスは「ずっと利用」でなくて構いません。
- 売上が安定
- 従業員を雇用
- 来客増加
このようなタイミングで移転を検討するのが一般的です。
創業計画書に「移転前提」という説明を入れておくと、融資の審査で安心材料になります。
まとめ|住所よりも「家族に説明できる計画」を
バーチャルオフィスは、決して後ろめたい選択ではありません。
大切なのは、
- なぜその選択をしたのか
- 返済計画は合理的か
- 家族に説明できる資金計画か
という視点です。
実際のご相談でも、「このまま申し込んで大丈夫でしょうか?」と不安を抱えて来られる方がほとんどです。
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まだ迷っている段階でも構いません。
まずは、あなたの計画がどの位置にあるのか、一度整理してみませんか。
失敗しない準備こそが、ご家族への一番の誠実さだと、私たちは考えています。
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代表 駒田裕次郎 税理士・公認会計士・認定支援機関


































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