創業融資のポイント

創業融資の個人保証が不要に !?

5月29日の日本経済新聞の記事で「創業時の個人保証は不要に」というタイトルで創業融資に関する政府の案が出てましたので、いくつか内容に分けて解説をしてみたいと思います(詳細は日経新聞の記事にてご確認いただければと思います)

「新しい資本主義」とは

政府が2022年6月にまとめる予定の「新しい資本主義」では、エンジン(原動力)となるスタートアップ企業の支援を柱とし、創業資金を借りやすい環境と作るための制度を政府が創立しようとしています。

信用保証協会の保証がある場合

具体的には、信用保証協会の保証がある場合は、経営者の財産を担保にとる個人保証を不要にします。
また、官民ファンドの産業革新投資機構の運用期限を2034年から50年に延ばし、長期的な投資も促します。
スタートアップ企業は工場などの有形資産を持たない場合が多いです。その代わりとしてノウハウなどの無形資産を含む事業価値全体を担保にできる法整備を目指しています。

この点、現状、保証協会付きの創業融資を利用する場合、必ず経営者自身の個人保証を求められる現実があります
ただし、記事では「経営者の財産を担保に取る個人保証」と記載がありますが、実務上は、例えば創業オーナーの持つ住宅や預金などの財産を担保にする創業融資は非常に稀であり、金融機関側からの要望はなく、創業オーナー側の要望(借入時の金利をより低くしたい等)により、自ら財産を担保として創業融資を申込みすることは時々あります

この点、「新しい資本主義」で謳う「創業融資の個人保証不要」の意味について、物的担保が不要という意味ではなく、純然たる意味合いで個人保証が不要になる(つまり、個人による連帯保証はなし)ということであると良いなと考えています。

一方で、単に「物的担保が不要」という意味に過ぎないとなりますと、そもそも創業融資の現場では物的担保が条件になることはほとんどなく、有名無実な政策と言わざるをえません。前者の意味合いであることを祈りたいと思います。

銀行から創業資金を借りる場合

保証協会による返済の保証が条件になることが多いと思われます。
その際、銀行と保証協会の双方から経営者の個人保証を求められます。
この場合、自宅や車などを担保として差し出すことがあります(ただし、前述の通り、経営者が自主的に要望することが多いです)。
そのため、個人の財産を失いかねず、創業の意欲が失われてしまう原因の一つとなっていました。
22年度内にも信用保証協会法を所管する経済産業省の内規を改め、協会が個人保証をとるのをやめます。
最終的には、銀行にも個人保証をとらないよう求めていく予定です。

回収懸念が増えるのでは?

個人保証をやめると回収できない融資がかさむ懸念があります。
一定の自己資金の保有や 専門家による経営支援を条件にするなど、焦げ付きを未然に防ぐ仕組み作りを検討しています。

また、各金融機関には「事業性評価融資」を促し、決算内容や個人保証・物的担保だけで融資の判断するのではなく、事業自体の魅力や成長可能性、収益性等も評価して行うことで、例えば個人保証をなくしたとしても、回収リスクを下げることができると思われます

他にどのような選択肢があるか

保証料の引き上げも選択肢のひとつです。
保証料を抑えるために自ら望む創業者から個人保証・物的担保をとるのは認めるものとします。
保証協会は債務の肩代わりに備えて政府系の日本政策金融公庫に保険をかけています。
その場合、公庫の拠出が増える可能性があるため、政府は公庫への資金支援の増額を検討しています。

政府の狙いは!?

東京商工リサーチによると20年度の破産企業の68%で社長が個人破産しました。
日本公庫 の19年の調査では、関心があるのに失敗時のリスクの大きさから起業しない人の77% が「借金や個人保証」を具体的なリスクに挙げました。


個人の財産を失いかねず、創業の意欲が失われてしまうことが日本の起業率が上がらない大きな要因と考えられています。

創業時の融資に保証協会の返済保証を付けるのは年2万件ほどです。
この際の個人保証を取り除くことで、保証協会が間に入らない銀行融資(プロパーローン)でも撤廃し、日本の起業率を高めることが政府の狙いです。

経済産業省によると

日本の開業率は20年に5.1%、廃業率は3.3%。
欧米がそれぞれ10%前後であるのと対照的で、新陳代謝の鈍さが日本の低成長の背景にあると指摘する声があります。
スタートアップ支援の強化で成長力の底上げを図ります。
5カ年計画をまとめ、司令塔機能の創設や最先端の研究技術を生かした「ディープテック(大規模研究開発型)」に対する官民ファンドなどからの出資の増額も盛り込みます。
政府がモノやサービスを調達する際、スタートアップを積極的に活用する制度も拡充する予定です。

終わりに

いかがでしたでしょうか。これから、創業を考えている方にとっては朗報と言えるのではないでしょうか。時代と共に新しい制度が生まれ、私たちの仕事や暮らしがより良い方向に向かっていけばいいですね。

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