創業融資のポイント

資金調達の1つである「マル経融資」について

今回は、タイトルにもあるとおり、「マル経融資」について説明していきたいと思います。

何やらカタカナと漢字が混ざっており何の言葉かさっぱり分からない方もいるかと思われますので分かりやすく解説出来ればと思います。

「マル経融資」とは

マル経融資」とは、小規模事業者の方々の経営をバックアップするため商工会議所の推薦にもとづき無担保・無保証人で融資を受けることができる日本政策金融公庫の融資制度です。

正式名称を「小規模事業者経営改善資金」と言います。この名称からもわかるように中小企業を対象にしている(商工業者に限る)融資制度となります。

通常の日本政策金融公庫の融資において融資枠が一杯となっている場合でも、マル経の融資枠は別枠となっているため、融資を受けられる可能性が十分にあります。

概要

「マル経融資」の概要については、下記のとおりになります。

融資限度額
2,000万円
返済期間
・運転資金 7年以内(※1据置期間1年以内)
・設備資金 10年以内(※1据置期間2年以内)
利率(年)
「1.07」%(2023年7月20日現在)※2
担保/保証人
・不要(保証協会の保証も不要)
資金使途
〇運転資金
・仕入資金、掛金・手形決済資金、給与・ボーナスの支払い、諸経費等の支払い
〇設備資金
・店舗・工場改装、営業車両購入、機械・設備・什器等の購入

※1据置期間…一定期間、金利のみの支払いで済む期間

※2融資利率は金融情勢により変わることがあります。

融資対象者

マル経融資を利用するには、商工会、商工会議所等の推薦を受ける必要があり、推薦を依頼するには、下記の5点すべての要件を満たす必要があります。

  1. ※1小規模事業者であること
  2. 原則6カ月以上、商工会、商工会議所等の経営改善普及事業に基づく※2経営指導を受けている者であること
  3. ※3最近1年以上、商工会、商工会議所等の地区内で事業を行っていること
  4. 所得税、法人税、事業税及び都道府県民税や市町村民税(均等割りを含む。)を原則としてすべて完納していること
  5. 商工業者であり、かつ日本政策金融公庫(国民生活事業)の非対象業種等でないこと

※1常時使用する従業員(「常時使用する従業員」にパート・アルバイトは含まれる一方、会社役員や個人事業主本人は含まれない。)が商業・サービス業(宿泊業及び娯楽業を除く。)にあっては5人以下、製造業その他にあっては20人以下の企業

※2経営指導では、経営指導員と呼ばれる方が、経営改善に役立つアドバイスや指導を行なってくれます

※3この要件からマル経融資は会社立ち上げのための資金(創業融資)としては利用できません。

メリット

①金利が低い…マル経融資の金利は、1.07%(2023年7月20日現在)と他の金融機    関と比べて金利が低いです(借入当初から完済まで金利が変わらない固定金利になります)。

②無担保・無保証人…担保が必要ないことや、保証協会を保証料を必要としないため、費用面で有利です。

③商工会議所からのサポートを受けられる…商工会等の経営指導員が経営相談に乗ってくれます。

④マル経融資へ別枠…マル経融資は一般貸付とは「別枠」となるため、日本政策金融公庫ですでに枠一杯借りていてもマル経融資を利用して借りられる可能性があります。

デメリット

①創業融資としては利用できない…マル経融資の要件として「最近1年以上、商工会、商工会議所等の地区内で事業を行っていること」という要件があることや、申込の際に、直近2年分の決算報告書を提出する必要があります。

②融資実行までに時間を要する…マル経融資の要件として「原則6カ月以上、商工会、商工会議所等の経営改善普及事業に基づく経営指導を受けている者であること」という要件があるため、一般的に融資とは異なり時間を要します。

③商工会に加入する必要がある…商工会議所経営指導を受けるにあたって、商工会議所の会員にならなければならず、年会費が発生します。

必要書類

個人事業主の方

  • 前年、前々年の決算書(または収支内訳書)および確定申告書
  • 所得税・事業税・住民税の領収書または納税証明書
  • 見積書・カタログ等(設備資金の申込みの場合)

法人の方

  • 前期、前々期の決算書および確定申告書
  • 決算後6ヶ月以上経過の場合は最近の残高試算表
  • 法人税・事業税・法人住民税の領収書または納税証明書
  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 見積書・カタログ等(設備資金の申込みの場合)

個人事業主の方と法人の方では、準備する書類が異なりますので、注意しましょう。

なお、マル経融資は日本政策金融公庫の融資制度となりますので、本来は商工会議所から発行される推薦書を添えて公庫への借入申込書類とセットで公庫に提出する必要がありますが、実務的には商工会議所(又は商工会)の窓口に公庫への借入申込書類も提出することで、そのまま商工会議所から管轄の公庫の支店窓口に提出してくれることが多いようです(別途、公庫に提出する必要がないことが多いです)

まとめ

「マル経融資」は申請要件も多ければ、必要書類も少なくはないですね。自社の状況やメリット・デメリットを比較衡量しながら申請を行うか検討することが大切です。

前述のとおり「マル経融資」は、創業融資としては利用できません。もし、創業融資として日本政策金融公庫の融資を受けることを考えている場合には、弊社にご相談ください。

創業融資に関する代行サポートのプロフェッショナルとして、様々な方を支援してきました。ご相談があれば、お気軽にご連絡ください。

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